目次
ABW導入に伴うデメリット

ABW導入に伴うデメリットとしては、次の4点が挙げられます。導入時には、デメリットへの対応策をあわせて検討しておくことが大切です。
勤怠管理や評価体制が難しくなる
従業員が各々に適した就業場所・時間を判断するようになることで、勤怠管理や評価体制をどうすべきかという課題が生じます。たとえば、「業務にどれだけの時間を費やしたのか」「具体的にどのような業務に取り組み、どういった成果を挙げたのか」といった過程が見えにくくなるからです。クラウド型の勤怠管理システムを導入したり、グループウェアを活用して業務の進捗状況や成果を挙げるまでのプロセスを可視化したりするなど、管理・評価の仕組みを確立しておく必要があります。
従業員の自主性・自律性が求められる
ABWのメリットを引き出すには、従業員に自主性・自律性が求められるという側面もあります。一例として、働く場所や時間を選ぶ際に「業務内容から判断してもっとも適切な環境を選択する」という従業員もいれば、単に「居心地がよくさぼりやすい場所にいたい」と考える従業員も出てくる可能性があるからです。ABWを導入する意図や目的を丁寧に説明し、従業員の理解を得ておかなければなりません。
コミュニケーションが取りにくくなる
各自が働く場所・時間を判断するようになれば、チームや部署単位で集まる機会が少なくなることが懸念されます。結果的に「気が合う従業員としか話さない」「業務連絡はチャットとビデオ会議のみで行う」といった従業員が現れかねません。対面でのコミュニケーションを通じた相互理解やアイデア創出の機会が失われないよう、「集まる」「言葉を交わす」ための場を意識的に設ける必要があるでしょう。
セキュリティ対策がよりいっそう必要になる
従業員がオフィス内で業務に取り組むとは限らなくなるため、これまで以上にセキュリティ対策に注力する必要があります。社外からアクセスする際にはVPN接続の利用を徹底したり、従業員一人ひとりのセキュリティ意識を高めるための研修を定期的に実施したりすることが重要です。会社組織の管理下にないツールや端末を業務に利用するシャドーITのリスクも高まることから、いっそう高度なセキュリティレベルが求められます。
ABWを導入すべきか迷ったときの判断基準

自社でABWを導入すべきか迷っている事業者様も多いことでしょう。ABWに向いている職種・働き方の特徴を紹介しますので、ABW導入に踏み切るべきか判断する際に役立ててください。
ABWに向いている職種・働き方
【職種の例】
企画・営業・マーケティング・コンサルタント・IT・クリエイティブ・メディア関係など
【働き方の特徴】
● 在席率が低く、就業場所や就業時間を比較的自由に選べる
● ネットワーク環境さえ確保されていれば場所を問わず仕事を進められる
上記はあくまでも一例です。ポイントとなるのは、就業する場所と時間を固定化する必要性がどの程度あるか、という点でしょう。また、柔軟な働き方に対応するにはクラウド型の業務ツールなど、必要なITツールが提供されていることが条件となります。
ABWに向いていない職種・働き方
【職種の例】
事務職・研究職・接客業など
【働き方の特徴】
● 会社の機密情報を管理・利用する機会が多い
● 専用の機器がなければ仕事を進められない
● ルーティンワークの事務作業がメイン
● 実店舗での接客のように、就業場所が限定されている
上記のような職種・働き方に該当するようなら、無理にABWを導入しないほうが生産性を維持できる可能性があります。業務内容や求められている成果を踏まえて、職種の特性に合った就業環境を整備していくことが大切です。
ABWの導入ステップ

ABW導入のステップを6ステップで紹介します。
- STEP1:目的を決める
ABWは手段であって目的ではない。何のためにABWを導入するのか、導入することによってどんな効果を得たいのかよく検討する。
- STEP2:働き方の現況を調査する
社員の意見を導入しながら、現在のオフィスの働き方について、課題やニーズを洗い出す。
- STEP3:レイアウトを検討する
オフィス内をABWに適したレイアウトにするため、作業に集中できる1人用のスペース、社員が集まるカフェスペース、リラックスするためのソファなど、さまざまな場所を選べるように設計する。オフィスレイアウトの専門家に相談するのもおすすめ。
- STEP4:社内ルールの策定
勤怠管理や評価制度など、ABWに沿った社内ルールを策定する。
- STEP5:ツールやネットワークの整備、セキュリティ対策
自席以外の場所でも業務ができるよう、ノートパソコンやスマートフォン、タブレットなど持ち運び可能な端末を導入する。オフィス外から社内ネットワークにアクセスする場合のセキュリティ対策も忘れずに。
- STEP6:サテライトオフィスの整備
自宅やカフェ、コワーキングスペースだけでなくサテライトオフィスを準備する場合は、開設に向けた準備を行う。
ABWの導入事例

ABWを導入した企業の事例を紹介します。ABWに適したオフィスづくりのヒントにしてください。
オフィスにグループ会社を集約し、シナジーを最大化
株式会社クボタ
その時々の業務内容に合わせて、働く場所を柔軟に選べるオフィスづくりを実現した事例です。オフィスリニューアル後の執務フロアは、次の4つから構成されています。
● フリーアドレスエリア:固定席を廃したエリア
● コラボレーションエリア:ミーティングが行いやすいテーブル席で構成されたエリア
● クリエイティブエリア:ソファに掛けてリラックスして話せるエリア
● フォーカスエリア:パーティションに囲まれ作業に集中できるエリア
さらに、別のフロアにカフェテリアを設けることにより、従業員が気分転換を適宜図れるようにしています。仕事の内容や状況に応じて、従業員が自律的に働く場所を選べるオフィスの好例です。
エンゲージメントを高めるABWオフィス
西濃シェンカー株式会社
出社とテレワークを適宜使い分けるハイブリッドワークを実現しつつ、従業員のエンゲージメントを高めるABWオフィスを構築した事例です。アイスブレイクが可能なフリースペースのほか、カジュアルなコミュニケーションを交わしやすいエリアなど、柔軟な働き方を支援する工夫が取り入れられています。各スペースを従業員が自由に行き来しながら働けるよう、シームレスな空間に仕上げました。従業員の自主性・自律性を重んじるオフィスの事例といえます。
ABW導入を通じて従業員の意識改革を実現しよう

従業員自身が働き方を自律的に判断するABW。単に働く場所や時間帯を柔軟に選べる仕組みにするだけでなく、従業員の自主性を培い、意識改革を促すことが導入の大きな目的といえます。一方で、ABW導入によって生じるデメリットも想定されることから、メリット面を引き出すための対策を講じておくことが重要です。
コニカミノルタジャパンでは、業務に応じて働く時間と場所を柔軟に選べるABWを自社オフィスに取り入れています。全国6カ所にてオフィス見学ツアーを実施していますので、ABW導入に向けて参考事例を現地でご覧になりたい事業者様におすすめです。ABWの実現を通じて従業員の意識改革を図りたい事業者様は、ぜひコニカミノルタジャパンのオフィス見学ツアーをご活用ください。
フリーアドレスの目的から導入手順のほか、“全員でのフリーアドレスは難しい” という場合の選択肢、導入後の課題と解決策までまるっとご紹介!オフィス改善のヒントに、ぜひご覧ください。
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