実践者から学ぶ!
仕事とプライベートが良い影響を与え合う
ワーク・ライフ・バランスの取り入れ方

スーツの女性が自転車に乗っている

2021年にリニューアルしたコニカミノルタの
『新』本社オフィス コンセプトブック

2021年5月に本社オフィスをリニューアルしたコニカミノルタが考えるニューノーマルな働き方を実際のオフィスの様子と共にご紹介しております。これからの働き方や働く場所のご参考に、ぜひご覧ください。

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オフィスコンセプトブック

2021年は、働き方が大きく変わった一年でした。企業でのリモートワーク導入が進み、自宅で過ごす時間が増える中、「自分はどんな働き方、生き方をしたいのか」について考え、地方への移住など行動した人も増えました。「ワーク・ライフ・バランス」という言葉の意味を意識した人も多いのではないでしょうか。日本では10年以上前から取り組まれてきた「ワーク・ライフ・バランス」ですが、今一度、人や組織の成長に与える影響や可能性について考えてみませんか。

今回、「ワーク・ライフ・バランス」を実践している先人として、イトナブ代表の古山隆幸さんにお話をうかがいました。今どんな「ワーク・ライフ・バランス」が求められているのか、どうすれば自分たちらしい形で実現できるのか、そのヒントが見つかるのではないでしょうか。

ワーク・ライフ・バランスとは?

自宅でweb会議をしている女性と猫

ワーク・ライフ・バランスの定義

「ワーク・ライフ・バランス」(work-life balance)について、内閣府では「仕事と生活の調和」と表しています。2007年、内閣府が定めた「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」によると、仕事と生活の調和が実現した社会とは、「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」だとしています。

仕事にやりがいを持ちながら自分が担う責任を果たすことでプライベートも潤い、また家庭や地域などで満足した生活を送ることができれば仕事にも良い効果を与える、そんな前向きな循環を生む関係性が「ワーク・ライフ・バランス」の理想といえます。残業をしないことや、家庭と仕事を両立することなど、狭い意味での「ワーク・ライフ・バランス」だけではなく、人生全体に目を向けてより豊かに生きるための「ワーク・ライフ・バランス」が重要なのです。

ワーク・ライフ・バランスの歴史

「ワーク・ライフ・バランス」という言葉が初めて生まれたのは1980年代といわれています。欧米各国では、就業に対する意識の変化や少子高齢化などを背景に、仕事と生活の調和を、個人の働き方や企業の経営、社会のあり方などで考える、「ワーク・ライフ・バランス」の取り組みを充実させてきました。

例えばイギリスでは、「ワーク・ライフ・バランス」を、「年齢、人種、性別にかかわらず、誰もが仕事とそれ以外の責任・欲求とをうまく調和させられるような生活リズムを見つけられるように、働き方を調整すること」と定義し、2000年に5年間を期限とする「ワークライフバランス・キャンペーン」を展開しました。2003年 4月から施行された 2002年雇用法では、出産休暇の拡充や父親休暇の導入など取り組みを強化しました。

日本で「ワーク・ライフ・バランス」を意識した取り組みが始まったのは、1990年代に入ってからです。少子高齢化や雇用状況の悪化などを大きな背景に、男女ともが育児、介護をしながらも長く働き続けられるための制度・環境づくりが国をあげて進められました。同時に、人々の価値観が多様化するのにともない、時代に合った「ワーク・ライフ・バランス」への注目度が高くなっています。

参考記事

ワーク・ライフ・バランスのメリット

では、「ワーク・ライフ・バランス」の実現を推進すると、企業にどんなメリットがあるのでしょうか。まず、一人ひとりが仕事も生活も充実することで、仕事面でより高いパフォーマンスを発揮する可能性が高くなることが挙げられます。優秀な人材にとっては「ワーク・ライフ・バランス」を実現できる場所が魅力的な環境となり、会社に長く定着し、新しい成長の機会を組織に生み出すことも期待できます。企業に対する社会貢献の期待が高まっている今、社会に新しい価値を創り出す可能性も大きく秘めています。

ワーク・ライフ・バランス実現に向けた取り組み

オフィスでチームと会話する人々

働き方改革を背景にした「働きやすい環境づくり」

欧米を中心に日本でも認識が広がってきたワーク・ライフ・バランスですが、今、ワーク・ライフ・バランスを実現するために、企業にはどんな働き方や環境づくりが求められているのでしょうか。
大きな軸となっているのが、多様化する価値観やライフスタイルへの柔軟な対応です。さらに次のような条件が挙げられます。

・仕事と家庭、どちらかではなく両方ともバランスよく楽しめる

・働く時間や働き方の選択肢が増える

・多様な価値観をもつ人との出会いにより仕事の可能性が広がる

・仕事と生活にやりがいをもつことでポジティブな循環が生まれる

・新しい価値をつくるきっかけになる

日本での大きな動きとしては、2019年4月、厚生労働省より「働き方改革関連法」が順次施行されました。これにより、時間外労働が規制され、年次有給休暇は確実に取得できるよう推進され、フレックスタイム制も拡充されるなど、制度を見直し、社員の目線に合わせた環境づくりを目指す企業が増えました。

具体的には、「育児休暇」をはじめとする仕事と家庭の両立支援制度、「短時間勤務制度」、また、「フレックスタイム制度」ではコアタイムをなくした「スーパー・フレックスタイム制度」を導入する企業も増えました。さらに「テレワーク(在宅勤務)」を浸透させるなど、人事制度や福利厚生を充実させ、社員の価値観、生き方を尊重した取り組みが進んでいます 。

例えば、コニカミノルタでは、2014年の本社移転をきっかけに働き方改革プロジェクトが発足し、全国の支店、営業所、サービス拠点など138拠点でテレワークを導入しました。第17回テレワーク推進賞「奨励賞」受賞や総務省「テレワーク先駆者百選」に選出されたほか、厚生労働大臣「えるぼし」最高段階認定など社員の働き方改善が世の中でも認められてきました。

現在も社員にとっての働きやすさを調査し、実践し続けているコニカミノルタのオフィス環境づくりには各方面から関心が高まっています。実際にどんなオフィス環境で社員がどんな働き方をしているのか、直接体感できるオフィス見学ツアーも行っています。興味がある方は参加してみてください。

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ワーク・ライフ・バランスの事例<イトナブの場合>

自分らしい「ワーク・ライフ・バランス」とはどんなものでしょうか。「ワーク・ライフ・バランス」を実践する先人からお話を伺ってみたいと思います。

子どもたちに、人生のターニングポイントをつくりたいんです

 

こう語るのは、宮城県石巻市を拠点に子どもや若者にプログラミング教育を展開している一般社団法人イトナブと株式会社イトナブの代表・古山隆幸さんです。

古山さんは、東日本大震災での支援活動をきっかけに東京から生まれ育った石巻市へ移住し、2012年1月、プログラミング教育の事業をスタートさせました。

「大学進学と同時に、石巻に魅力を見出せないまま上京しました。震災後、石巻に戻る機会が増えた時、相変わらず『石巻はつまらないから早く東京へ出たい』という子どもたちが多いことに気づきました。その時、同じ想いやモヤモヤを持っていた自分がこれからできることは、『石巻でも楽しいことはつくれるし、新しい価値を生み出せる』と、実践を通して伝えることだと思ったんです」

古山さんには、大学時代に友人を通してパソコンに触れる機会を得たことから、楽しみながら技術を深め、仕事につなげた経験があります。それは人生の大きなターニングポイントの一つになっているとのこと。その経験から、「子ども達のモヤモヤに対する解決策はすぐ見つからなくても、多様な選択肢は周りの大人が提供できるし、それが将来につながるきっかけになる」と感じているそうです。

そういった経緯から始めた石巻でのプログラミング教育のミッションは、「震災10年後の2021年までに1,000人のIT技術者を育てる」。小学生から大学生までを対象に、無料でプログラミングを教える場を創っていきました。そして、2020年の時点ですでに1,800人の子どもたちに教育の機会を提供できたそうです。

「未来をつくるのは子どもたちです。都会や地方といった場所に関係なく、ポジティブな方向で循環していく環境をつくりたい。子どもたちへの教育が、未来の地域の産業を盛り上げ、新しい地域のカタチをつくっていくと信じています」。

子どもたちの選択肢の幅を広げる

子どもたちがパソコンでイキイキと学んでいる

自分の人生を振り返ると、いろいろな人に出会い、その人たちの想いや考え、価値観に触れたことをベースに道が拓かれたと思っています。

 

と話す古山さん。

「強い思いを持つ面白い大人たちと出会う機会をつくることで、子どもたちの選択肢の幅を広げる」ことにこだわっていると話します。

「2012年頃から、イトナブに来てくれていた小学高学年の男の子がいるんです。プログラミングを学んだり、好きな音楽の話をしたりして過ごしていました。彼が高校2年の時、『イトナブで働きたい』と言ってくれて、今はメンバーの一人としてしっかり仕事をしてくれています」

また、イトナブはリモートワークも自由にできるとのこと。石巻ではまだ珍しいそうです。そういった柔軟性の高さは、仕事への姿勢からもうかがうことができます。

「イトナブでは、仕事は楽しくて面白いもの、と感じられることを大事にしています。僕自身も仕事を楽しんでいますし、そういった環境が新しいきっかけをつくっていくと思っています」

「仕事に対する姿勢がポジティブになると、生活や人生も好循環を生むと思うんです。あまりにも仕事優先だと、生活も人生もネガティブな方向へ転じてしまい、結果として仕事もうまくいかないと思います。生活環境が豊かだと、結果的に仕事にも前向きにコミットしてくれるようになるんですよね」

では、具体的にイトナブではどんな環境をつくっているのでしょうか。

「イトナブは、仕事以外でもみんなで集まってワイワイすることが多いんです。オンラインゲームをしたり、ご飯を食べたり。誰かひとりが、『みんなで一緒に楽しみたい』という小さな渦をつくると、巻き込まれるように仲間が集まって、「一緒にゲームでもする?」という会話が当たり前のように続いていくんです」

仕事は「遊び」から始まる

公園で走る兄妹

「一般的に、仕事は生活費を稼ぐための手段という認識がまだ強いと思います。子どもたちがこういった価値観に染まる前に、意識を変えたいんです。僕自身、東京で会社をやっていた時は、稼ぐことが目的で、楽しくなかったときもありました。そんな中、仕事の意義を考えた時に、もっと自分自身が楽しめる環境を作ろう、仕事を遊びのようにやろうと思ったんです。遊ぶために学び、知識やスキルが蓄積されていくうちにいつの間にか仕事になっているように、好奇心を大切にし、学ぶことを楽しみながら、いろいろな人とつながっていきました」。

「イトナブは、『遊ぶ』『学ぶ』『営む』『イノベーション』の造語です。だからこそ、遊びから仕事を始めることを実践していきました」。

「遊び」は、イトナブの「ワーク・ライフ・バランス」を実現する大きなキーワードと言えそうです。

「遊んでいる状態とは、何かに無我夢中で向かっている状態のことだと思っています。一つのことに夢中になっているうちに、遊びから自然と学びが生まれて、できることが増えて、やがて仕事の幅が広がっていくんです」

古山さん自身もイトナブのメンバーも、いろいろな人と出会い、遊びながら仕事に向き合うことで、結果として1,800人もの子どもたちにプロクラミング教育を提供してきました。

「これからの10年は、石巻からエリアを拡大し、東北全体の子どもたちにプログラミング教育を提供していきます。まず今年は、東北100箇所で展開することを目標にしています。いずれ、『最近、東北を中心に優秀なエンジニアがたくさん生まれているね』と言われるような状態にしたいですね」

生きるために魅力的な仕事ができる環境を

学生時代、就職を意識し始めた頃は、待遇や条件に目が向いていたという古山さん。友人をきっかけに出会ったパソコンや魅力的な仲間とのつながりから、現在のイトナブのような「遊び」から始まる仕事を生み出す環境が生まれました。

「魅力的な仕事ができているかどうかを大切にしたいです。もちろん、稼ぐことは生きるための大事な手段ですが、もっと広く、人生をつくることに視野を広げると、満たされた気持ちで仕事をすることが満足な人生につながると思うのです」。

「最初の一歩として、モヤモヤすることは何だろう、夢中になれることは何だろう、未来に対してどんな想いを持ちたいか、といった視点で向き合ってみると、理想の『ワーク・ライフ・バランス』を実現するきっかけが見つかると思います」。

ワーク・ライフ・バランスを実現する

コニカミノルタ本社のオフィスカフェ

実際に取り入れるための3つのポイント

古山さんのお話をヒントに、枠にとらわれない形で仕事も人生も豊かにするオフィス環境づくり として、3つのポイントが挙げられそうです。

1.社員の理想のバランスを知る
ヒアリングなどの調査を行い、率直な意見や思いを知ることで社員が理想とする「仕事」と「家庭」のバランスを把握する。例えば、コニカミノルタでは、社内アンケートによって課題を抽出し、「理想の働き方」を実現するためのオフィス環境のコンセプトやデザイン、レイアウトなどを決めた。

2.人と出会う機会を増やす
社員が通勤しやすい場所にサテライトオフィスを設置するなど、場所や時間に融通の利く環境をつくる。社員の満足度が上がると同時に、サテライトオフィスを中心とした新たな社内外の人とのつながりを生み、コミュニケーションの活性化が期待できる。

3.息抜きできる時間や趣味を共有する
オフィス内に、カフェやリラックススペースなど仕事以外の雑談が気軽に楽しめる空間をつくる。例えば、社内外の人が行き交うエントランスにソファ席やカウンター席を置くなど、リラックスして会話ができるスペースをつくるほか、社員のリフレッシュ効果が高いと広がりをみせているカフェスペースを、社外の人も利用できるよう導線を工夫する。

コニカミノルタでは、総合受付がある26階にもカフェを置き、社内外の人が自由に利用できるようにしている。またオフィスには半個室のソファー席やリラクゼーションルームがあり、会話から企画のアイデアが生まれる場ともなっている。

こうした条件を満たすためにも、まずは社員とコミュニケーションを取り、一人ひとりがどんな仕事観や人生観を持っているかを確認することからすべては始まりそうです。また、様々な人との出会いの機会が多いことが、視野や選択肢を広げるきっかけにつながります。そして何より、「楽しむ」を大切にすることで、仕事にやりがいが見つかります。そのプロセスの中で、それぞれの企業でしか実現できない「ワーク・ライフ・バランス」が育っていくのでしょう。

参考記事

多様な価値観を共有し、刺激し合うオフィスデザイン

wellbeingのオフィス

コニカミノルタが働き方改革を始めたのは2013年です。翌年には本社オフィス移転、フリーアドレスのスタート、2016年にコアタイムのないスーパーフレックス制度の導入、保管文書ゼロ化、2017年には全社員を対象にテレワークを始めるなど、時代に先駆けて「いつでもどこでも働ける」環境づくりを進めてきました。

また、2021年5月には、コニカミノルタジャパンの本社オフィスをリニューアルしました。コンセプトは「つなぐオフィス」。このオフィス空間づくりでは、社員へのアンケート結果から見えた「コミュニケーションを大切にしたい」という思いを反映し、社員やお客様など人と人との出会いやつながりを強く感じられる場をデザインしています。

「チームを超えたコラボレーションが加速する空間」や「偶然の出会いを生み出すクリエイティビティ空間」によって多様な価値観を共有し、刺激を受け合うコミュニケーションスペースがあります。社員だけでなく、お客様ともリラックスしながら交流を図れるカフェスペースも、新しい価値を生み出すきっかけの場となっています。

価値観や働き方が多様化し、「やりがい」「生きがい」を求める人が増えている今、どんな「ワーク・ライフ・バランス」が社員の仕事や人生に豊かな循環をつくることができるのでしょうか。その方向性を見つけることは簡単ではありません。ですが、多様な人が出入りしやすく、気軽に意見を出し合い、クリエイティブな思考や行動を楽しみ合う、そんな活気あふれるオフィスがあれば、その会社らしい「ワーク・ライフ・バランス」がきっと見つかるのではないでしょうか。

東京大阪オフィスツアーバナー

2021年にリニューアルしたコニカミノルタの
『新』本社オフィス コンセプトブック

2021年5月に本社オフィスをリニューアルしたコニカミノルタが考えるニューノーマルな働き方を実際のオフィスの様子と共にご紹介しております。これからの働き方や働く場所のご参考に、ぜひご覧ください。

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オフィスコンセプトブック

古山隆幸(ふるやま・たかゆき)

一般社団法人イトナブ石巻 代表理事 株式会社イトナブ 代表

宮城県石巻市生まれ。大学進学と同時に上京し、1年間のフリーランスを経て起業。ホームページ作成をはじめIT系事業を推進した後、2011年、東日本大震災をきっかけに石巻に移住し、2012年1月より任意団体としてイトナブの事業を始める。2013年12月に一般社団法人イトナブ石巻を設立、子どもたちを中心にプログラミング教育などを行う。2015年6月には株式会社イトナブを設立し、アプリ開発やWEB制作、イベント企画・運営などを行っている。

東北の子どもたちがプログラミングの一歩を学べる「東北プログラミング DAYCAMP」が2022年1月からスタートしました。小学生から高校生の子ども達がプログラミングを体感することで、学びや人生の選択肢を広げてもらうプロジェクトです。DAYCAMP終了後に、さらに知識や技術を深めるオンラインサービスも提供し、本気で技術者になりたいという子どもたちの意欲を後押しします。現在、プロジェクトに賛同するサポーターを募集中です。

イトナブ

東北プログラミング DAYCAMP

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