「日経ニューオフィス賞」を受賞したコニカミノルタがデザインしたオフィス事例をまとめた一冊です。最新のトレンドが知りたい!新しいオフィスのアイデアが欲しい場合などにご活用ください。
働き方改革や新型コロナウイルス感染症などの影響により、多様な働き方が求められるようになってきた現代において、オフィスのあり方もまた変わってきています。今の時代に即したオフィスレイアウトとはどのようなものなのでしょうか。本記事では、オフィスレイアウトの基本的な考え方を抑えながら、機能的でおしゃれなオフィスレイアウトについて、事例も交えて解説します。
目次
オフィスレイアウトに必要な3つのポイント
オフィスレイアウトでまず考えるべき3つのポイントをご紹介します。
セキュリティーレベルの検討
まずはオフィスのどこに何を配置するか、ゾーニングを大まかに決めます。特に、セキュリティーレベルの設定は必須となります。レベル1〜3 の区分にあわせて検討するとよいでしょう。
- レベル1…共用スペース(社外関係者も利用する空間)
オフィスの受付やロビー、打ち合わせスペースなど従業員や関係者のみが入れるエリアです。入退室管理のログをとったり、通行証が必要となるオフィスが多く見られます。
- レベル2…業務スペース(基本的に社内関係者が利用する空間)
オフィスや会議室など、基本的に社内関係者のみが立ち入れるエリアです。部外者の立ち入りが制限され、出入りはIDカードなどで制限します。
- レベル3…最高位のセキュリティーが必要とされる場所(社内でも特定の部門や関係者のみが利用する空間)
役員室や金庫室、サーバールーム、重要書類の保管庫など、社内でも限られた人間しか入れないエリアになります。IDカードと指紋認証、顔認証など複数の施策を組み合わせて、セキュリティー強度を上げます。
導線
動線とは、フロアの中を人が自然に移動できる経路を線として表現したものを指します。働きやすいオフィスを作る上で重要なポイントの一つとなります。
- 往復や迂回(うかい)が少なく動きやすい
- ロッカーやコピー機などの設備まわりにスペースがあり使いやすい
- 人がすれ違っても接触しないなど、安全が確保できる
この3点についてはとくに重要ポイントです。
さらに、業務上連携が必要となる部署との動線や、社員同士のコミュニケーションをとりやすくするといった配慮も必要になります。
基準寸法
オフィスレイアウトを考える際、通路幅や執務スペースなどの寸法を細かく決めなくてはいけません。オフィス空間の快適性を満たす標準的な寸法は以下の通りです。
- 人ひとりが通行するための通路幅…50cm以上
- 人がすれ違うための通路幅…120cm以上
- 着座した時のスペース…70cm以上(ノートパソコンであれば60㎝でも)
- デスク間の通路幅…横並び120cm以上、背中合わせ160~180cm
- 1人あたりに必要なワークスペース…デスクのサイズ120cm×60〜70cm
建築基準法で定められた室内空間の基準寸法は、上記とはまた異なります。排煙設備など、有事の際の被害を最小限に食い止めるため、所轄の消防署などに相談の上で検討しましょう。
代表的なオフィスレイアウト
代表的なオフィスレイアウトを5つ紹介します。
対向島型レイアウト(島型)
日本企業で標準となっているスタイルで、部署やグループごとに向かい合わせで配置します。スペース効率がよく、部屋のサイズに合わせた配置が可能です。
向かい合っていることでグループ作業がしやすい、チーム内でのコミュニケーションがとりやすいというメリットがある反面、他のグループとの連携はとりにくいといえます。
同向型レイアウト
学校の教室のように、全てのデスクを同じ方向に向けて配置するレイアウトです。
全員が前方を向いているため、業務状況の監督がしやすく、両隣とのコミュニケーションはしやすい一方、その他の座席との連携はとりにくくなります。
コールセンターなどで取り入れられているレイアウトです。
背面型レイアウト
島型に似ていますが、同じチームの社員がお互い背中を向けた形になります。業務に集中しやすいので、開発や設計業務などに向いています。椅子を回転させればすぐにコミュニケーションがとれるのもメリットです。
クラスター型レイアウト
デスクをずらし、列ごとに背中合わせで配置します。個人スペースをパーテーションで仕切ることもあります。コミュニケーションがとりやすい一方で、プライバシーは確保されます。個人の執務スペースが広くとれることもメリットです。
ユニバーサルレイアウト
個人席を設けるものの、島型のレイアウトのように役職席を決めずにデスクを横並びで配置するレイアウトです。人員の増減などに対応しやすく、スペースを有効活用できます。組織変更でのオフィスレイアウト変更や配線の引き直しといった手間も省くことができます。
また部署間で座席を区切らないため、座席の配置を柔軟に変更できる点もメリットです。
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