目次
IT技術の導入や働き方の多様化などによりフリーアドレス制導入の敷居は下がっているように思えますが、導入の失敗事例はめずらしいことではありません。うまく導入すれば、コストの削減や生産性の向上が見込める反面、失敗してしまうと仕事が非効率になってしまったりコミュニケーションの低下が起こったりしてしまいます。
今回は、フリーアドレス導入に適している企業とそうでない企業の特徴をふまえたうえで、よくある失敗事例や失敗しないためのポイントについて解説します。
フリーアドレスに適している企業とは?
まず、フリーアドレスに適している企業の特徴について紹介します。
ITツールで情報を一元管理できている企業
フリーアドレスの場合は、どこからでも必要な情報を閲覧・更新する必要があるため、ITツールを用いて情報を一元管理できている状態が必要不可欠です。
紙媒体で情報を管理している企業や、ITを使用していても個別のPCやハードウェアに依存している状況では、フリーアドレスを導入しづらい状況であるといえるでしょう。
紙にしばられない働き方を実践している企業
契約書や稟議書などについて紙媒体の手続きに依存している企業では、書類が収納してある場所のそばで仕事をする必要があり、働く場所を選ぶことができません。
たとえば、電子署名やワークフローといったITツールを導入して、書類の押捺や稟議承認などの業務を電子化すれば、場所にとらわれないフリーアドレス制を導入しやすくなります。
フリーアドレスに合わせた意識改革ができている企業
フリーアドレス制度を取り入れ生産性を高めるには、社内のどこで働いても成果が上がっていることが大切である、といった考え方にもとづいた意識改革ができている必要があります。
たとえば、近くに部下の席がないと管理が難しいと考えるマネジメントでは、フリーアドレスを導入しても形式的なだけで、成果という点では期待しづらいでしょう。特に管理職向けに研修を行い、部下が目の届かない場所にいてもコミュニケーションや評価ができるように意識改革をしておくことが重要です。
在席率が低く、在席時間にバラつきがあり、固定席を持たない働き方に適した職種や業種であること
フリーアドレスの大きな効果の一つとして、限られたスペースを最大限に有効利用することが挙げられます。そのため、スタッフの多数が同時に在籍することの多い企業や開発・研究部門などでは固定席になりがちで、フリーアドレスのメリットが得られない場合があります。営業時間を総合すると在席率は低くても、営業スタッフが全員定時に帰社するといった場合も、人数分のデスクが必要となりフリーアドレスのメリットが生かされません。
在席率が低いことやフレックス制など、柔軟に働ける制度・ルールが整えられていることが、フリーアドレスのメリットを生かす要件といえるでしょう。
企業としての確かなコンセプトを持っていること
フリーアドレス導入の目的や意図をしっかりと持ったうえで従業員に共有しなければ、フリーアドレスは形式的なものになりかねません。生産性の向上やコミュニケーションの活性化など、フリーアドレス導入による効果をコンセプトとしてしっかりと押し出していくことが望ましいでしょう。