レイアウトが優れているオフィスは働きやすく快適ですが、セキュリティーの観点からもゾーニングは非常に重要です。出入りの多いエリアと重要書類の保管されているエリアが同じ場所にあれば、情報漏えいの危険性が高まることは容易に想像できます。セキュリティーを考えるうえでは、エリア別の用途や性質によるレベル分けが必要となります。オフィスのゾーニングについて、その重要性とセキュリティーレベルの段階、効果的なゾーニングを行うためのポイントを解説します。
目次
セキュリティーとゾーニングの関係
オフィスのあり方は時代とともに変化しています。最近では、オフィスとは思えないような、おしゃれで明るく開放的な空間が好まれる傾向にあります。しかし、オフィスとしての機能を考えたときには、見た目や快適性だけでなく、ゾーニングも重視しなければなりません。ここでは、セキュリティーとゾーニングの関連性を見ていきましょう。
オフィスづくりでゾーニングが重要な理由
かつてセキュリティーが重視されたのは、開発や研究を行ったり危険物を扱ったりするなど、特殊な分野における企業というイメージでした。しかし、個人情報やマイナンバーの取り扱いに厳重さが求められる昨今は、一般的なオフィスにもセキュリティーへの高い意識が求められるようになっています。個人情報や顧客情報の流出といった事故は、企業への信頼が損なわれ、社会からの評価を低下させます。オフィスづくりをするうえで、セキュリティーに関する視点は欠かせないものとなりました。
たとえば、人の出入りが多い場所と機密性の高い書類の保管場所が隣接していると、情報漏えいのリスクが高くなります。また動線を間違えると、必要のない箇所を通り抜けるといった無駄な動きが生じ、業務内容を無関係の人にのぞかれるケースも含め、セキュリティー効果が低下する可能性も高まります。このようなリスクを回避するために、業務効率の向上だけでなく、セキュリティーの観点からもゾーニングを慎重に考える必要があるのです。
プランなしのゾーニングのデメリット
十分な検討がなされていないゾーニングでは、さまざまなデメリットが発生する可能性があります。セキュリティーを重視するあまりに人の動きを考慮していないと、業務効率の悪いオフィスとなってしまうかもしれません。適切なレイアウトにするためには、複数の観点からのゾーニングが求められます。実際の業務を開始してから不備のある箇所が見つかると、目隠しのための間仕切りや防犯カメラなどの機材を取り付ける必要が出てくるでしょう。ゾーニングの不具合が、本来不要なコスト発生を引き起こすこともありえるのです。
また、関係部署とそこで使用される資料の保管場所が離れていると、非効率なだけでなく、重要な書類が散逸するリスクも高まります。面倒なく行き来できる部屋の配置、また部署ごとの連絡についてもゾーニングの条件として留意しなければなりません。先述したように、セキュリティー対策とゾーニングは密接にかかわっています。情報漏えいによる損害が生じてからでは取りかえしがつきません。リスクを回避するためには、自社のオフィスの用途や性質をよく把握したうえでのゾーニングが必要です。