オフィスデザイン事例集
「日経ニューオフィス賞」を受賞したコニカミノルタがデザインしたオフィス事例をまとめた一冊です。最新のトレンドが知りたい!新しいオフィスのアイデアが欲しい場合などにご活用ください。
オフィスの新しい形として、固定席を設けないフリーアドレス制を導入する会社が多く見られるようになりました。フリーアドレスには、コミュニケーションの活発化、業務効率の向上などのメリットがあります。その一方で、収納がうまくいかずに乱雑になる、セキュリティ上の不安が生じるといった課題を抱える職場も少なくありません。フリーアドレスを導入する場合には、収納をどのように考えていけばよいのでしょうか。フリーアドレス制に伴う収納の課題と改善するコツを解説するとともに、収納に役立つグッズを紹介します。
目次
フリーアドレスで発生する収納の問題点
柔軟性のある働き方が体感できるフリーアドレス制ですが、運用に伴って発生するのが収納の課題です。収納計画がうまくいっていないと、見た目が美しくないだけではなく業務に差しさわりが生じる場合もあります。フリーアドレスで発生する収納の問題には、以下があります。
デスク周辺が乱雑になりやすい
フリーアドレスでは基本的に、業務に必要な書類やそのほかの物品は個人的に管理することになり、席の移動に伴ってその都度持ち物も移動します。置き場所が決められていないと荷物を足元に置くことが多くなります。何かの拍子に荷崩れすれば乱雑な印象を与えるだけでなく、通りかかった人が引っかかり転倒するかもしれず危険です。また、通常であればデスクの引き出しやサイドキャビネットに収められる書類や文房具類が、デスク上に散乱しがちです。おしゃれで洗練されたイメージのあるフリーアドレス制でも、デスク周辺が乱雑になるとオフィス全体が雑然としてしまいます。
紛失、盗難などセキュリティ面での不安
収納場所がなければ、業務中に短時間離席するときに書類や私物がデスク上に置きっぱなしになります。そうすると当然のことながら、紛失や盗難にあうリスクも上がります。座席が固定されていればモノの配置がある程度決まっているため、紛失にもすぐに気付きますが、フリーアドレス制の場合にはそうした習慣性も失われがちです。また隣席の人も毎日変わるので、誰かが持ち物に触っていても不審に感じないということもあるでしょう。このように、デスクが誰のものか決まっていないことで、セキュリティ面が弱くなる可能性があるのです。
個人ロッカーに入りきらないモノがある
フリーアドレス制のオフィスでも個人ロッカーは設置されていますが、ロッカーに収納できるモノは限られてしまいます。基本的には個人に割り当てられたロッカーの範囲の中で荷物の量をコントロールできるように運用していくべきですが、例えば冬のロングコートやロングブーツ、出張時のトランクなど一般的な企業用の個人用のロッカーではひとり当たりの容量が足りず、業務スペースに私物を持ち込まざるをえないこともよくあります。フリーアドレス制導入に合わせて、予備十分なスペースのあるロッカーを設置するなどといった対策もが必要です。
フリーアドレスでの収納のコツ
フリーアドレス制導入による収納の問題を解決するためには、いくつかのポイントがあります。
ルールを明確に決める
フリーアドレス制に社員が慣れていないと、現場が混乱します。これまでのオフィスと同じような感覚でいると、持ち物があふれる結果となりかねません。また、フリーアドレスをいざ導入しようとする際に「これまでの荷物が入らないのではないか。」という意見が社員の方から挙がることもあるでしょう。フリーアドレス導入にあたってはあらかじめロッカーの大きさを伝えた上でルールを明確にし、オフィス全体で意識の共通化を図ります。
座席の移動がスムーズにできるよう不要物の持ち込み禁止を徹底し、個人の持ち物は必要最小限に抑えるように促すことが大切です。また、手荷物はできるだけロッカーに入れるようにしてモノの床置きを禁止することで、乱雑な印象を回避できるでしょう。さらに、フリーアドレスの導入初期はこれまでの固定席と同じように、帰宅時に荷物を机上に置いていくことのないようにクリーンデスクの呼びかけを行いましょう。
文書管理の徹底
フリーアドレス導入は、収納スペースや業務管理の見直しを行うよい機会となります。限られた収納スペースを効率よく活用するためには、紙の文書とデータの棲み分けを行い、書類の「死蔵」を防止することが大切です。文書管理ルールを策定し、印刷物は使用後にデータ化して破棄するといった行動を促せば、オフィスに書類があふれることもなくなるでしょう。
個人ロッカーの定期的な席替え
フリーアドレスは業務デスクを毎日席替えするシステムですが、個人ロッカーについても、定期的な席替えが有効策です。ロッカーを固定しないことで、ため込みや汚しっぱなしの問題がなくなります。また使いづらい位置に割り当てられたという不満も、場所が順番に変わっていけば解消されます。不要物を廃棄する機会をつくれば個人のモノに対する感覚が養われ、なんでもロッカーに入れるという行動が修正されるでしょう。
専用の置き場を設置
個人ロッカーに入りきらないモノについては、専用の置き場を設置するとオフィス内がすっきりとします。たとえばロング丈のコートを収納できるクロークやブーツ置き場など、サイズ的に個人管理が難しい物品をまとめて置けるようにすれば、業務の邪魔にならずにすみます。社員にアンケートを実施し、要望を取り入れて設置するのが合理的です。コニカミノルタでは、女性用と男性用、喫煙者・非喫煙者の区分けをしたロッカーを導入しています。

ブーツ・コート用ロッカーを設置しています。(コニカミノルタ 浜松町オフィス)

喫煙者・非喫煙者、男女別にプレートで区分けしています。(コニカミノルタ 浜松町オフィス)
フリーアドレスで利用できる収納グッズ
フリーアドレスでは、業務上必要となる物品を座席ごとに移動しなければなりません。効率よく快適に使える、便利な収納グッズを紹介しましょう。
ミーティングバッグ
書類やノートパソコンが入るボックス型のミーティングバッグは、打ち合わせ時に物品を抱えて移動せずにすむため、とても重宝します。サイドにペットボトルを入れられる網状のポケットがついているタイプを選べば、会議中や外出時の飲み物の持ち運びにも便利です。
モバイルバッグ
ミーディングバッグと同様に書類やノートパソコンが収納できますが、内部に仕切りやペン差しが付いていてすっきりと収納できます。開口部が大きく手前に開くので、中のモノをすばやく確認できるのもメリットです。しっかりとしたつくりで手提げ型になっているタイプが多く、またロッカーにそのまま収納できるよう外側に起伏がなくなるような工夫がされている商品もあります。
ツールペンスタンド
布製や柔らかい皮革素材などが用いられているものが多く、カバンの中に入れても邪魔にならず、業務中はデスクに立てて使えるという優れものです。サイズによって、ペン以外にはさみやカッターなど、業務上あると便利なツールを入れられるタイプもあります。内側に小さなポケットが付いている商品もあり、付箋(ふせん)やクリップなどを入れて便利に使えます。
強力マグネットフック
通勤カバンを個人ロッカーに入れると、必要なときに毎回ロッカーまで足を運ばなければなりませんが、強力マグネットフックがあればデスク裏に吊り下げることができます。マグネットフックには最大10キロの荷重に耐えられるタイプもあるので、一般的なカバンであれば十分に対応できるでしょう。360度回転するフックが付いているタイプならば、どんな場所でも取り付け可能で安心です。
ファイリングボックス
持ち運びしやすく、個人ロッカーに収まりのよいファイリングボックスは、フリーアドレスに最適な業務グッズです。プロジェクトごと、あるいは未決と終了で仕分けをすることで、業務の円滑化を図れます。座席が変わっても関連書類をまとめて運びすぐに作業を再開できるので、業務効率も向上します。
まとめ
フリーアドレスはオフィスにモバイル的な要素を入れることで、すっきりとした美観を実現することもできるものです。しかし収納計画がうまくいかないと、逆にモノが散乱し、デスクまわりが雑然とした印象になりかねません。社内ルールを徹底し、収納スペースの整備と便利な収納グッズの活用をすることで、理想的なフリーアドレススタイルが実現します。フリーアドレスの導入にあたっては、収納面も含めて自社に適合するレイアウトを十分に検討する必要があるといえるでしょう。
「日経ニューオフィス賞」を受賞したコニカミノルタがデザインしたオフィス事例をまとめた一冊です。最新のトレンドが知りたい!新しいオフィスのアイデアが欲しい場合などにご活用ください。