「日経ニューオフィス賞」を受賞したコニカミノルタがデザインしたオフィス事例をまとめた一冊です。最新のトレンドが知りたい!新しいオフィスのアイデアが欲しい場合などにご活用ください。
業務に集中して取り組み、生産性を高めるには、オフィスにリラックスして過ごせる空間を設けるのが望ましいでしょう。オフィスにリラックススペース(リフレッシュスペース/休憩所)を設ける必要があるか、迷っている事業者様も多いのではないでしょうか。
この記事では、オフィスにリラックススペースを設置するメリットや、設置時の注意点について解説しています。リラックススペースの導入事例4選とともに見ていきましょう。
リラックススペースとは

はじめに、リラックススペースとはどのような空間か、そもそもオフィスに取り入れる必要があるか、の2点について解説します。
従業員がリラックスして過ごすための専用スペース
リラックススペース(リフレッシュスペース)とは、従業員が一時的に業務から離れ、リラックスして過ごせる空間のことを指します。執務スペースや作業場とは分けて、休息・休憩のための専用スペースとして設置される点が大きな特徴です。
一日のうち多くの時間を過ごすオフィスでは、従業員は大小さまざまなストレスを抱えがちです。ストレスを感じたまま業務に取り組んでいると、集中力の低下を招いたり生産性が下がったりする原因にもなりかねません。こうした事態を回避するために、業務を離れて過ごせる空間を確保することがリラックススペースを設ける主な目的です。
オフィスにリラックススペースは必要?
大前提として、リラックススペースや休憩室などの設置は法律で義務づけられているものではありません。労働安全衛生法にて、常時50人以上または常時女性30人以上の労働者を使用する事業者に義務づけられているのは「休養室」の設置です。休養室とは、従業員が体調不良になった場合などに、横になって休むためのスペースのことを指します。
一方、リラックススペース(リフレッシュスペース・休憩室)は、体調の良し悪しを問わず従業員が自由に利用できるスペースです。こうしたスペースを設けることで、後述するさまざまなメリットが期待できることから、可能であれば設置するのが望ましいといえます。
オフィスにリラックススペースを設けるメリット

オフィスにリラックススペースを設けることで、具体的にどのようなメリットを得られるのでしょうか。
メリット1:生産性向上につながる
1つめのメリットは、生産性の向上につながる点です。心身をリフレッシュする時間を確保することによって、集中力がリセットされます。ソファやクッションを用意するなど、従業員が楽な姿勢で過ごせる工夫をすれば、血流の改善や疲労回復効果も期待できるでしょう。頭がすっきりとした状態で業務を再開することにより、集中力の低下による生産性の低下やミスの発生を防げます。
メリット2:従業員満足度が向上する
リラックスして過ごせる空間を確保することは、従業員のストレス軽減を促します。結果として快適に働けるオフィス環境が実現し、従業員満足度が向上する効果が期待できるでしょう。こうしたオフィス環境を提供している勤務先への評価が高まり、従業員の定着率が高まる可能性もあります。従業員エンゲージメントの向上を図るためにも、リラックススペースの設置には大きな意義があります。
メリット3:社内コミュニケーションが促される
リラックススペースは、社内コミュニケーションの場としての面も兼ね備えています。リラックススペースで顔を合わせた従業員同士の間で、偶発的なコミュニケーションが交わされる可能性が高まるからです。業務を離れてリラックスした状態で言葉を交わすことで、相手の新たな一面を発見したり、より深い信頼関係を築くきっかけとなったりすることも考えられます。リラックススペースの設置は、社内コミュニケーション活性化を実現する施策の一環としても有効です。
メリット4:企業としてのイメージアップにつながる
リラックススペースを確保することは、企業の対外的なイメージアップにもつながる可能性があります。快適に働ける環境づくりに注力し、従業員を大切にしている経営姿勢の表れとして映るケースも少なくないからです。前述のとおり、リラックススペースや休憩室の設置は法律で義務づけられているものではありません。企業による独自の取り組みであることから、自社の方針やこだわりを対外的に示す効果が期待できます。
メリット5:優秀な人材を獲得しやすくなる
リラックススペースの設置は、人材確保の面でも効果を発揮する可能性があります。集中して業務に取り組みやすく、能力を発揮できる職場であれば、優秀な人材の目に留まる確率も高まるからです。人材の流動化が進む昨今では、優秀な人材ほどより良い環境を求めて転職するケースが増えています。リラックススペースが設けられていることが、働きやすい環境の実現を決定づける要因の1つとなることも十分にあり得るでしょう。
リラックススペースを設置する際の注意点

リラックススペースを設置する際には、いくつか注意しておきたい点があります。設置効果を十分に引き出すためにも、次の4点を押さえておきましょう。
広さや座席数を慎重に判断する
リラックススペースの広さや座席数は、従業員にとって快適な空間をつくるための重要な要素です。スペースが限られていて窮屈に感じたり、常に席が埋まっていて利用しにくいと感じたりするようでは、かえって従業員が不満を抱く原因にもなりかねません。事業所内の従業員数にあわせて、ゆとりのある広さと席数を用意するのが望ましいでしょう。
執務スペースからのアクセスを考慮する
リラックススペースと執務スペースの距離感も重要なポイントの1つです。リラックススペースが遠すぎて不便に感じたり、反対に執務スペースから近すぎて話し声が気になったりすることのないよう、適度な距離を取るのが望ましいでしょう。距離を取るのが難しい場合は、パーテーションや植栽などを活用して視線を遮るといった工夫を施すことをおすすめします。
工場に併設するリラックススペースの場合、騒音や振動への対策にも気を配る必要があります。また、併設するオフィス/事務所の環境整備もあわせて進めることで、働きやすい環境を総合的につくっていくことが大切です。
設置する目的と利用ルールを周知する
リラックススペースの設置目的と利用ルールを社内に周知することも重要です。特定の従業員が長時間利用したり、ゴミや食べかすなどを放置していたりすると、かえってトラブルの原因になる可能性があります。ルールを細かく定めるよりも、共用スペースとしての設置目的について理解を促し、従業員による自律的な運用を定着させていくのが望ましいでしょう。掃除を当番制にするなど、一人ひとりが当事者意識をもって利用してもらえるよう工夫することをおすすめします。
従業員の意見を取り入れたレイアウトにする
リラックススペース内のレイアウトを検討する際には、従業員向けにアンケートを実施するなどして、多様な意見を取り入れることをおすすめします。「一人で過ごせるスペースがほしい」「仮眠できる場所があるとよい」といった従業員のニーズをヒアリングし、できる限り取り入れることで満足度をいっそう高められるからです。
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