フリーアドレスの目的から導入手順のほか、“全員でのフリーアドレスは難しい” という場合の選択肢、導入後の課題と解決策までまるっとご紹介!オフィス改善のヒントに、ぜひご覧ください。
リモートワークやフリーアドレス制など、多様な働き方に対応しやすい仕組みを取り入れる企業が増えつつあります。働く場所・時間を従業員が選択できる「ABW」もそのうちの1つです。
この記事では、ABWの概要や導入するメリット/デメリットについて、わかりやすくまとめています。ABWを導入すべきか迷ったときの判断基準や具体的な導入ステップ、導入した企業の事例もあわせて紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)とは

ABWはActivity Based Working(アクティビティ・ベースド・ワーキング)の頭文字を取った言葉です。ABWの定義や主な種類、フリーアドレスとの違いを押さえておきましょう。
働く場所や時間を選択できる働き方
ABWは、働く場所・時間を各従業員が自律的に判断し、選択できるワークスタイルのことです。各自がその時々の業務内容や活動内容に応じて、働く場所とタイミングを自由に選べます。
たとえば、資料作成を集中的に行いたいときには、在宅勤務のほうが生産性を高められるケースは少なくありません。一方、社内で打ち合わせや会議が開催される日にはオフィスへ出勤したり、必要に応じてサテライトオフィスからオンライン会議に参加したりすることも可能です。このように、働く場所・時間ありきではなく、仕事の内容に合わせて働く場所・時間を柔軟に選べることがABWの大きな特徴といえます。
ABWの種類
ABWには、大きく分けて「広義のABW」と「狭義のABW」の2種類があります。
広義のABWとは、働く場所・時間ともに自由に選べる働き方のことです。業務内容に応じてオフィスのほか、自宅やコワーキングスペース、カフェといったように、就業場所を自由に選択できます。
これに対して、働く場所がオフィス内に限定されていたり、勤務時間中は指定された就業場所で業務を進めるよう指定されていたりするのは狭義のABWです。本記事で単にABWと記載している場合、広義のABWを表しています。
フリーアドレスとの相違点
フリーアドレスとは、固定席を設けずオフィス内の座席を自由に選べる運用方法のことです。ABWとフリーアドレスには、「ワークスタイル」「主な狙い」の2点に違いがあります。
ワークスタイルの違いとして、ABWはオフィス以外にもさまざまな場所で就業できるのに対して、フリーアドレスで認められている就業場所はあくまでもオフィス内に限られるという点が挙げられます。
また、ABWの導入には従業員の自主的・自律的な働き方を実現する狙いがあるケースが多くみられます。一方で、フリーアドレスの導入目的は社内コミュニケーションの活性化やスペースの有効活用であるケースが少なくありません。このように、従業員の意識改革につなげることが導入の狙いに含まれている点がABWの大きな特徴です。
ABWを導入するメリット

ABWの導入によって、企業・従業員はともに多くのメリットを得られます。具体的なメリット面は次のとおりです。
生産性が向上する
1つめのメリットは、従業員の生産性向上につながる点です。従来のオフィスでは就業場所や就業時間が明確に決められているため、業務内容によっては「できれば1人で集中して取り組みたい」「議論を通じて新たな着想を得たい」といった思いを抱えている従業員が少なからず存在する可能性があります。仕事の内容や目的に応じて働く場所・時間を柔軟に選択できるようになることで、生産性向上に寄与する点がABWの大きなメリットです。
ワークライフバランスの実現につながる
従業員のワークライフバランス実現につながることもメリットの1つです。たとえば、自宅でも取り組める業務が中心であれば、在宅勤務にすることで通勤時間を削減できます。往復の通勤時間が削減されれば、その分の時間をプライベートに充てられるでしょう。結果としてライフワークバランスを実現しやすくなり、仕事と暮らしをいっそう充実させられるでしょう。
従業員満足度が向上する
従業員が、各々のライフスタイルに合わせて就業場所と時間を自律的に選択できるようになることで、従業員満足度が向上する効果も期待できます。勤務先から指定された場所・時間に受動的に働くのではなく、仕事の内容や目的に応じて適した場所・時間を主体的に選択できるからです。より成果につながりやすい働き方を自律的に選べるかどうかは、従業員満足度に大きく関わる要素といえます。
優秀な人材を確保しやすくなる
ABW導入は、人材採用の面でも有利に働く可能性があります。就業場所と就業時間が厳格に決められている場合、たとえば育児や介護、自身の体調などを理由に離職せざるを得ない従業員が出てくるケースは十分に想定されるでしょう。働く場所と時間を柔軟に選べるようになることで、優秀な人材に活躍の場をより多く確保できます。能力を発揮しやすい環境が整うことによって、さらに優秀な人材が集まりやすくなるという好循環を生み出すことにもつながります。
ワークスペースを最適化できる
働く場所を自律的に選べるようになれば、必ずしもオフィス内に全員分の座席を用意する必要がなくなります。空いたスペースをコミュニケーションの促進を目的としたカフェスペースにしたり、リラックスして過ごせるリフレッシュスペースに充てたりすることで、さらなる生産性向上や新たなアイデア創出につながるでしょう。このように、ワークスペースをより合理的・効率的に活用し、最適化を図れることはABWの大きなメリットといえます。
コスト削減効果が期待できる
省スペース化によってオフィスをコンパクト化できれば、固定費の削減につながります。さらに、通勤交通費やオフィスで使用する消耗品類のコストも少なくなると想定されることから、トータルでみるとコスト削減効果は決して小さなものではありません。業務の質や成果を高めつつ、無理なくコスト削減を実現できることは、ABWを導入するメリットの1つといえます。
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