2021年5月に本社オフィスをリニューアルしたコニカミノルタが考えるニューノーマルな働き方を実際のオフィスの様子と共にご紹介しております。これからの働き方や働く場所のご参考に、ぜひご覧ください。
優秀な社員の確保と低離職率の実現、生産性向上などを目的として、働きやすい職場づくりに取り組む企業が増えています。しかし、そもそも働きやすい職場とはどのような職場なのか、何から取り組めばよいのかわからないという経営者や担当者も少なくありません。
今回は、働きやすい職場を実現するためにどのような施策を実行すればよいかについて、詳しく解説します。
目次
「働きやすい職場」とはどのような職場か?
そもそも、働きやすい職場とはどのような職場環境を指すのでしょうか。社員によっても捉え方はさまざまですが、働きやすい職場の定義になりえるものを紹介しましょう。
社員が考える働きやすい職場
さまざまな企業やメディアで、職場環境に関するアンケートが行われています。その中でも、会社員を対象としたアンケートの結果から取り上げられることが多いのが以下の5項目です。
- 良好な人間関係
- 残業がない、または少ない
- 自身のペースで仕事を進められる
- 育児や介護と仕事を両立できる
- 休暇が取得しやすい
働き方改革の実現に向けて、長時間労働の削減や有給休暇の取得促進に取り組んでいる企業も多いでしょう。そうした取り組みを進めるにあたり、上記に挙げた5つの要素は、社員にとっての働きやすさに直結するポイントであることを改めて意識しておくことが大切でしょう。さらに、時間的な労働条件に関することだけではなく、特にハラスメントがなく良好な人間関係が構築できる職場環境であることも重要な要素といえます。
働きやすい職場環境の定義
就職や転職活動の際に会社を選ぶ基準が個人によって異なるように、社員にとっての働きやすさも千差万別です。これは見方を変えれば、不特定多数の人が同じ組織で働く以上、あらゆる社員が理想通りに働ける職場をつくることは不可能に近いことを意味します。
したがって、働きやすい職場とは、あらゆる社員が自分の理想通りに働ける環境という意味ではなく、「仕事の成果を挙げやすい、または業務遂行の障害となる要素が少ない職場」と捉えられます。
なぜ働きやすい職場環境の構築が必要なのか?
ではなぜいま、働きやすい職場が求められているのでしょうか。その理由について考えてみましょう。
内閣府が公開している「男女共同参画白書 平成30年版」に共働き世帯の推移が掲載されています。これを見ると、1997年以降は共働き世帯の数が、男性雇用者と無業の妻からなる世帯の数を超え、2017年には1,188万世帯となっています。
この背景には、女性の社会進出への意識が高まったことや、働く環境が徐々に整えられてきたことがあるとうかがえます。そのようななかで、例えば「育児や介護と仕事を両立したい」と考える社員にとっては、テレワークやフレックスタイム制、時短勤務が定着している職場のほうが働きやすいと感じるでしょう。
働き方がオフィスワークのみの場合は、子どもや親の通院のたびに有給休暇や半日休暇を取得しなければなりません。そうなると、育児や介護を両立したいと考える社員にとっては、有給休暇や半日休暇を取得申請するたびに、周りの社員への負担を気にしたり、事務手続きの煩わしさにストレスを感じたりすることになり、働きやすい職場とは思えなくなる可能性が高まります。
また、こうした社員の実感は、育児や介護を目的にした有給休暇を取得する社員以外にも影響を与え、休暇の取りづらい職場と意識することになるかもしれません。ライフワークバランスが整えにくい職場であると、社員の仕事への熱意や企業への愛着も薄れる可能性があり、結果的に生産性の低下を招く恐れもあります。
一方で、自宅で仕事に集中できる場所を用意することが難しく、テレワークでは仕事が捗らないと感じる社員も存在します。そのような社員にとっては、オフィスワークを主な働き方としたほうが働きやすいと感じるでしょう。また、感染症対策の一環として、時間と場所を自由に選択できる働き方を整備することも求められています。
このように、企業にはテレワークやフレックスタイム制を活用したい社員の要望も、オフィスワークを中心に仕事をしたい社員の要望も同時に実現することが求められています。さらに、2020年当初から日本国内でも深刻化している新型コロナウイルス感染症拡大によるパンデミックが今後、起こらないとはいえません。そうした事態にも対応できるように多様な働き方に対応できる体制を整えておくことが必要でしょう。
こうした仕事内容や状況に応じて、働く場所や時間を選択できる働き方を「ABW(Activity Based Working)」と呼びます。いま、働き方の多様化を実現するために注目されているもので、ABWは、社員にとって働きやすい職場環境を構築するうえで注目したい考え方といえそうです。
働きやすい職場環境を構築するための手順
働きやすい職場環境を構築するためには、どのような方法・手順で取り組めばよいのでしょうか。たとえば、上でも紹介したABWの考え方に基づいた職場環境とはどういったものになるのでしょうか。仕事内容に合わせて働く場所や席などを自由に選択できるオフィスにするにはどのような点を考え、構築することが必要なのでしょうか。以下の4つのポイントに分けて詳しく解説します。
1.職場における問題点の把握
はじめに、社員が働くうえでどのような問題点があるのかを調査し、把握しておくことが求められます。ESサーベイ(従業員満足度調査)を実施して、社員が仕事を進めるうえで障害となっていることや、困っていることを調査しましょう。
2.優先順位を決める
職場の問題点のなかには、すぐに解決できるものから、解決に時間を要する難易度の高い課題までさまざまなものがあるはずです。解決すれば企業や組織にとって高い成果が期待できる問題を拾い上げ、優先順位を設けて取り組むとよいでしょう。
3.問題解決の施策を実行
直近で解決すべき問題が見えてきたら、その解決に効果が見込まれる施策を実行します。例えば、長時間労働がまん延している場合には、人材の補強や業務プロセスの見直し、ツールの導入などが挙げられるでしょう。育児や介護に従事する社員が多く、仕事との両立を求めている社員が多い場合には、フレックスタイム制やテレワークの導入などが効果的な施策として考えられます。
4.施策の効果検証
実行した施策によって、職場環境がどの程度改善したかを検証します。検証にはさまざまな方法があります。例えば、問題点の把握のために行ったESサーベイを再び実施し、同じ設問でどのような変化が見られたかを調査する方法も考えられるでしょう。
ここで重要なのは、施策の効果を検証すると同時に、それによって新たな問題が発生していないかを検証することです。例えば、テレワークの導入により、テレワークを利用している社員の満足度が向上する一方で、オフィスワークの社員に業務が集中するなど、施策によって満足度が偏る可能性も考えられます。
働きやすい職場にするための取り組み事例
働きやすい職場環境を実現するための施策や取り組みとして、代表的な4つの事例を紹介します。
テレワーク・フレックスタイム制
テレワークは通勤時間が削減され、社員の肉体的負担の軽減につながります。フレックスタイム制も、通勤電車が混雑する時間帯を避けて出勤できるため、ストレスの緩和に効果的です。
育児・介護と仕事を両立する社員にとっては、テレワークを導入したからといって仕事をしながら家族の面倒をみることは難しいものです。フレックスタイム制も取り入れて併用できれば時間を有効に使えるため、働きやすい職場環境が構築できます。
フリーアドレス
冒頭で紹介したアンケート結果が示す通り、人間関係は職場環境に大きく影響を与えます。仕事で困ったことがあったとき、社内のだれがどのような仕事をしているのかが分からないと、相談相手も見つかりません。このような問題を解決するためには、社内コミュニケーションの活性化が求められます。
例えば、従来のように社員ごとに固定の座席を設けるのではなく、フリーアドレスのオフィスを構築してみましょう。部署や役職などに関係なく、さまざまな社員が同じスペースで仕事をするオフィスレイアウトでは、他部署の社員との日常的な交流が生まれ、社内コミュニケーションの活性化が期待できます。その結果、社員同士の横のつながりができ、困ったときに助け合える良好な職場環境が構築できるでしょう。
また、部署横断的なプロジェクトを運営する際には、プロジェクトメンバーが気軽に集まって業務を進めやすくなるため、効率的なプロジェクト運営も可能になるはずです。
フリースペースや個別ブースの設置
通常の執務スペースとは別に、ちょっとした打ち合わせやオンライン会議などに利用できるフリースペースや個別ブースを設けるのも効果的です。
テレワーク社員が増えると、オフィスに出社していない社員とオンラインで打ち合わせを行う機会も多くなります。そのような場合に、フリースペースや個別ブースが設置してあれば、わざわざ会議室を予約する手間もなくなり働きやすい職場環境が構築できます。
また、仕事に集中したいときに、誰からも話しかけられる心配のない個別ブースがあれば効率性も高まるでしょう。
ペーパーレス化
時間や場所にとらわれない働き方を実現するためには、ペーパーレス化が必須といえるでしょう。稟議や決裁の承認を得るために、従来のように紙に印刷された文書を回覧し捺印をもらうフローのままでは、オフィスへ出社しなければ業務を進めることができません。
ワークフローシステムを活用し、オンラインでも稟議や決裁が可能な仕組みを確立することが求められます。
コニカミノルタでは、ABWを取り入れたオフィスを体感できるスペースとして、浜松町オフィスでの見学会を実施しています。
時間と場所を自由に選択できる働き方を整備しよう
働きやすい職場のとらえ方は社員ごとに異なるため、全社員にとっての理想的な職場環境を整えることは難しいものです。そのため重要なのは、時間と場所を自由に選択できる、ABWに対応した働き方を整備することといえるでしょう。
テレワークやフレックスタイム制といったルールの制定はもちろんですが、フリーアドレスや個別ブースの設置など、オフィスそのもののレイアウトや機能の整備もぜひ検討してみましょう。
2021年5月に本社オフィスをリニューアルしたコニカミノルタが考えるニューノーマルな働き方を実際のオフィスの様子と共にご紹介しております。これからの働き方や働く場所のご参考に、ぜひご覧ください。