フリーアドレス運用ルール例10選

ここからは、フリーアドレスを運用する際に策定しておくことをおすすめしたいルール例10選を紹介していきます。必要なルールは社員数やフリーアドレスの適用範囲などによって異なるため、策定するルールを検討する際のチェック項目として活用してください。
座席の流動化
フリーアドレスを採用したにもかかわらず、同じ席に毎日座る社員が増えてしまうと、固定席とあまり変わらなくなってしまいます。座席を流動的にするためのルールを設けておくのが得策です。
たとえば、毎日同じ席に座らないルールにしたり、週ごとにエリアを指定するルールを設けたりすることが想定されます。座席が近い社員が流動化することでコミュニケーションが活性化されるのは、フリーアドレスを取り入れる大きなメリットの1つです。このメリットを引き出せるよう、座席の固定化を回避するためのルールを設けてみてはいかがでしょうか。
電話・郵便物の取り次ぎ方法
電話の取り次ぎや郵便物の受け渡しは、フリーアドレスを運用する上で課題となりがちです。常に特定の社員が電話を取ったり、届いた郵便物を渡すために社内を探し回ったりすることのないよう、運用ルールを定めておく必要があります。
一例として、共用の郵便ボックスを設置する、スマートフォンで内線を使用できるクラウドPBXを活用するといった対策方法が考えられます。混乱を防ぐための仕組みとルールの策定はセットで検討する必要があるため、新たな仕組みを導入する費用対効果を考慮した上でルールを決定しましょう。
セキュリティー対策
セキュリティー対策は、フリーアドレスを導入する際に必ず検討しておくべきポイントの1つです。自由席になることにより、鍵をかけられるキャビネットを各自のデスクに設置しにくくなります。情報漏えいやデバイスの不正利用などを防ぐための対策が必須です。
たとえば、入退出管理システムを導入することで、在社している社員を記録すると同時に、部外者が容易に入室できない仕組みを取り入れるといった対策が想定されます。また、社員に貸与するデバイスはログイン時の二段階認証を必須にするなど、データの流出や不正利用を回避するための仕組みを導入するのも効果的でしょう。
整理整頓に関するルール
デスクやチェアを共用することになるため、整理整頓に関するルールを設けておくのも重要なポイントです。各自が使ったデスクは退勤時に必ず拭いておくようルール化したり、清掃の時間や曜日を決めたりすることで、誰もが気持ちよく就業できるようにする必要があります。
私物の取り扱いについてもルールを決めておく必要があるでしょう。私物を収納して持ち歩けるモバイルバッグを配布することで、私物の置き忘れや散乱を防ぐのも1つの方法です。
収納に関するルール
オフィスで使用する物品に関しては、私物と共用物を明確に分けて管理する必要があります。個人用ロッカーを設置する場合には、鍵やカードキーの管理方法など使用上のルールを決めておきましょう。
共用物については、物品ごとに収納場所をあらかじめ決めた上で周知徹底することが重要です。社員によって収納場所がまちまちになってしまうと、何がどこに収納されているのか判断しにくくなり、混乱を招きかねません。個人で管理すべきもの、共用するものの線引きを明確にし、それぞれの管理方法を周知徹底することが重要です。
共用スペースの使い方
執務スペース以外のリフレッシュスペースや食堂、会議室といった共用スペースの運用ルールについても策定しておく必要があります。たとえばリフレッシュスペースでの飲食可否や、不可にする場合は飲料のみ持ち込み可とすべきかどうかなど、具体的なルールを設けておくことが大切です。
会議室の運用に関しても、予約方法や使用時間の制限など、実際に起こり得る問題を想定したルールが求められます。社員の意見も取り入れながらルールを策定し、ルールが形骸化しないようルールブックを作成するなどして、周知徹底を図りましょう。
文書やデータの扱い方
書類やデータをどう扱うかは、フリーアドレスを取り入れる上で重要な課題の1つです。誰がどれだけの書類を印刷しているのか、データをどのように保管しているのかが不透明な状態で運用してしまうと、コスト増やセキュリティーリスクにつながる問題が発生しかねません。
一例として、コピー機や複合機で一度に印刷可能な文書の部数を制限する方法が考えられます。大量の印刷物を出力できなくなるため、必然的にペーパーレス化が促進されていくでしょう。また、データの保存場所を明確にし、重要なデータについては変更や削除をした履歴を記録できる仕組みを備えておくことも重要です。文書やデータの扱い方を個々の社員任せにせず、会社として統一されたルールを定めておく必要があります。
Web会議に関するルール
Web会議に使用する場所に関しても、ルールを定めておくことをおすすめします。リフレッシュスペースなどの共用スペースでWeb会議に参加した場合、周囲の社員の会話をマイクが拾ったり、周囲が気になって会議に集中しにくくなったりするおそれがあるからです。
集中ブースを設置したり、Web会議専用エリアを設けたりすることで、Web会議を快適に実施できる環境を整えましょう。また、集中エリアや専用エリアの使用時間に関するルールも不可欠です。特定の社員が常に集中ブースを使用しており、他の社員が利用できないといった状況が常態化することのないよう、ルールを明確に定めておくことが大切です。
飲食に関するルール
すべてのエリアに共通するルールとして、飲食の可否を明確にしておく必要があるでしょう。ドリンク可/食事は不可のエリア、ランチタイムのみ飲食可のエリア、常時飲食不可のエリアなど、スペースごとにルールを決めておくことが大切です。
スペースによっては軽食のみ可とする方法もありますが、「軽食」の定義が曖昧になりやすい点にも注意してください。お菓子などの間食のみを指すのか、サンドイッチなど短時間で食べられ、においが広がりにくい食事も含まれるのかなど、具体例を挙げてルールに記載しておくと、共通認識を形成しやすくなります。
情報共有のための仕組み
社員が日々まちまちの席で業務に取り組むようになると、情報共有の手段が課題になることが想定されます。部署やチーム単位でのコミュニケーションを促進する仕組みを導入するのが得策です。
たとえば、チャットツールや社内SNSを活用するほか、報告の頻度や必須事項を周知するといったルールの策定も必要になります。ツールを導入しただけでは、情報共有を促すための根本的な解決につながらないケースも少なくありません。仕組みとルールの両面を整備することで、情報共有が円滑に進められる環境を整えましょう。
運用ルールを策定する際のポイント

フリーアドレスの運用ルールを策定するにあたって、意識しておきたいポイントは下記のとおりです。
- フリーアドレス導入の目的を共有
- ルール策定と仕組みの整備をセットで進める
- 勤怠管理・座席管理システムの活用
- 定期的にルールの確認と見直しを行う
それぞれ詳しく見ていきましょう。
フリーアドレス導入の目的を共有
そもそもなぜフリーアドレスを導入するに至ったのか、目的を明確にした上で社員に共有しておくことが大切です。たとえば、コミュニケーションの活性化や多様な働き方への対応など、達成したい目的を社員に正しく理解してもらう必要があります。
一例として、コミュニケーション活性化がフリーアドレス導入の主目的であるにもかかわらず、常に集中ブースを利用して一人で業務を進める社員が増えてしまうと、むしろ当初の目的から遠ざかってしまいかねません。目的を共有することは、フリーアドレス導入の効果を引き出す上で重要なポイントといえます。
ルール策定と仕組みの整備をセットで進める
ルールの策定と、ルール通りに運用していくための仕組みの整備はセットで進めましょう。たとえば、適宜報告するようルールを定めるのであれば、報告のためのツールを用意するといったイメージです。
ルールだけが増えていき、かえって社員が窮屈に感じるような事態は回避する必要があります。提供されている仕組みを利用することにより、自然とルール通りの運用が可能になるのが理想です。ルールを策定する際には、実際に運用する上で無理がないか、新たな仕組みを整える必要があるのではないか、といった視点に立って検討する必要があります。
勤怠管理・座席管理システムの活用
社員の所在確認や出退勤の管理を適切に行うには、勤怠管理システムや座席管理システムを活用するのが得策です。社員が日々異なる座席を使用していても、出退勤の状況や当日の座席位置が一目で確認できるようにしておきましょう。
座席管理システムの活用は、実質的に固定席化するのを防ぐ意味においても有効です。使用した座席の履歴が残っていれば、社員ごとの座席の使用頻度を確認できます。フリーアドレスの導入効果を引き出すためにも、こうした検証や改善につながるツールを取り入れていくことが大切です。
定期的にルールの確認と見直しを行う
フリーアドレスの運用開始後も、ルールが適切に守られているか、実態にそぐわないルールになっていないかを定期的にチェックし、必要に応じてルールを見直していく必要があります。ルールを一度決めたら変えないという方針ではなく、柔軟に見直していくほうが現実的です。
たとえば、会議室の予約がすぐに埋まってしまい、会議の開催を先延ばしにせざるを得ないような状況が頻発するようなら、リフレッシュスペースや食堂の一画に簡易的なミーティングスペースを設けることで、課題を解消できる可能性があります。問題が発生していないか定期的にヒアリングを実施した上で、ルールの見直しも含めて改善策を検討しましょう。
運用ルールを適切に設定してフリーアドレス化を成功させよう

フリーアドレスの導入は、コミュニケーションの活性化や働き方改革の推進など、多くのメリットをもたらす施策といえます。一方で、ルールが不明確なまま運用を始めてしまうと、想定していなかった問題が多発する事態にも陥りかねません。今回紹介したルールの例や策定のポイントを参考に、フリーアドレスの効果を引き出す運用方法を検討しましょう。コニカミノルタジャパンでは、フリーアドレスやABWを自社にも取り入れ、失敗しないためのノウハウや知識、経験をお客様に還元しております。フリーアドレスの運用ルール策定にお悩みの事業者様は、ぜひコニカミノルタジャパンにご相談ください。
フリーアドレスでの座席管理方法については、以下の記事で詳しく解説しています。こちらもあわせてご参照ください。
フリーアドレスの目的から導入手順のほか、“全員でのフリーアドレスは難しい” という場合の選択肢、導入後の課題と解決策までまるっとご紹介!オフィス改善のヒントに、ぜひご覧ください。
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