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労働人口の減少、国による働き方改革の推進といった社会的な背景を反映して、ただ働く場所であったオフィスのイメージが大きく変わってきています。1日の長い時間を過ごすオフィスに対しては、効率性とともに、快適性が求められるようになりました。そうした流れのなかで注目されているのが、オフィスカフェです。以前はIT系ベンチャー企業のような一部の企業でしか見られなかったオフィスカフェが、近年急速に一般化する傾向を見せているのです。オフィスカフェを置くことにより企業が得られる効果と、導入事例を紹介します。
オフィスカフェってどんなスペース?
オフィスカフェという響きだけでもくつろぎを感じますが、具体的にはどのようなスペースなのでしょうか。
「休憩所」から一歩進めたリフレッシュ空間
オフィスカフェは、単なる休憩スペースにとどまらず、さらにリラックス感やリフレッシュ効果をもたらすように工夫された空間です。居住性のよい椅子やベンチ、テーブルを備え、まるでカフェにいる気分になれるよう配慮されています。多くのオフィスカフェでは、ドリンクも提供されています。
業務スペースとは雰囲気の違う空間に身を置くことで、業務から精神的に離脱することができます。また、リラックスした雰囲気のなかでは仕事以外の話にも花が咲くでしょう。社員同士の関係性にもよい影響を与えることは容易に想像できます。
福利厚生だけではないカフェスペース設置の意味
カフェスペースを設置することは、社員の福利厚生以外にも意味があります。
カフェスペースには自然と人が集まり、部署やプロジェクトなどの垣根を越えた交流が期待できます。今日の企業において、活発なコミュニケーションは活力を生みだす重要な要素です。縦横のつながりを強化するためにも、業務以外でのコンタクト発生の場が必要といえるでしょう。
また、リラックスできる場所を企業が提供することで、社員からの好感度アップも期待できます。カフェスペースが生み出すなごやかな空気は、内外からの企業への評価向上に貢献することでしょう。
オフィスカフェを設置する効果
オフィスカフェを設置する効果をさらに詳しく見ていきましょう。
業務効率の向上
業務に集中するためには、メリハリが大切です。誰でも利用できるオフィスカフェがあれば、年齢層や性別に関係なくリフレッシュすることができます。適度な息抜きはよい気分転換となり、次の仕事に対する集中力も高まることでしょう。外出しなくても「カフェ」効果が得られるため、金銭的、時間的な節約ができるのも利点のひとつです。
自然発生的なコミュニケーションの創出
人と人が顔をあわせれば、何気ないあいさつをきっかけに会話がはじまるものです。業務スペースから一歩離れたリラックス空間では、普段、業務上では言葉を交わす機会のない相手とのコミュニケーションも自然と生まれることでしょう。世代や部門を越えた社員同士の多様な人間関係構築の場として、企業内のよい雰囲気づくりにも貢献します。新しい社員の採用活動においても、好印象を与えるアピールポイントとして一役買ってくれるはずです。
アイデアの創出
よいアイデアは、リラックスしているときに生まれやすいものです。ささいな雑談から、思いがけない企画が誕生することもあります。オフィスカフェにホワイトボードを設置しておけば、おしゃべりと落書きから新発想が生まれ、企業の未来を左右するようなプロジェクトへと発展する、なんていうことも。デスクや会議室で頭を抱えていても浮かばないような斬新なアイデアが、コーヒーの香りとともに飛び出してくるかもしれません。
社員の健康促進
一説によると、座りすぎは健康被害を誘発し、死亡リスクを高めるといわれています。特に仕事熱心で知られる日本人は、世界の中でも「座りすぎている」民族です(※1)。
国でも連続作業の適度な休止を奨励しています。デスクワークから離れる機会を促進するのは、もはや企業の義務といっても過言ではありません。オフィスカフェの設置によりデスクから立ち上がる人が増えれば、社員の健康増進対策の一環となるでしょう。
(※1)座りすぎの死亡リスクは最大40%増——日本人は世界一座りすぎている | Business Insider Japan
コニカミノルタのカフェ導入事例
コニカミノルタジャパンでも、東京の本社にオフィスカフェを導入しています。社員同士はもちろん、社外からの訪問者も利用することができ、毎日多くの人で賑わっている人気のスペースです。リフレッシュできる設(しつら)えはもちろん、利用され続けるための運用も工夫しています。
お客様も社員も使えるカフェスペースを設置
コニカミノルタジャパンでは、オフィス移転に際し、社員からのリクエストに応えてカフェスペースを設置しました。カフェスペースはオフィス内の眺望のよい場所に設置されており、木目調のリラックス感あふれる空間となっています。社員のリフレッシュ空間としてだけではなく、来客者と利用する社員も多く、おもてなしスペースとしても活躍しています。提供されているのは、社員が選んだ香り高いコーヒー豆です。
カフェを利用しやすい工夫も
コニカミノルタジャパンのカフェスペースは無人ではなく、本格的な有人カフェです。しかし、あくまでも社内カフェということで価格を抑え、1杯100円台からと格安に設定しています。ポイントカードもあり、たまると1杯無料になるというお得なサービスもあります。また、カフェスペースの利用促進のため、社内の自動販売機にはコーヒーを置いていません。その効果もあって、1日当たりの売上は約600杯と黒字経営が実現しています。
オフィスカフェの導入事例
他社においても、オフィスカフェ導入の参考となる事例が多く見られます。
大規模にカフェスペースを確保
ある大手SNS運営企業では、広々としたカフェスペースを確保し、常駐のカフェスタッフがドリンクやデザートを提供しています。ソファ席やテーブル席、カウンター席など多様なタイプのシートが設置してあるため、気分や用途によって好みのスタイルでくつろぐことができます。プロジェクターも完備されており、リラックスしながらプレゼンテーションもできる多目的スペースとなっています。
小規模だが落ちつけるカフェスペースを設置
社員自らがDIYを行い、小規模ながら落ちつけるカフェスペースを確保している企業もあります。
ボックスシートとカウンター席があり、思い思いに過ごすことができます。コンパクトなスペースながら、座り心地にこだわったシートや落ちつきのある照明を採用していて、社員の憩いの場として愛されています。ランチ時も利用可能で、社内で食事をすませる社員が増えたとか。窓際のスペースのように比較的狭いスペースでも展開しやすいスタイルは、小規模オフィスの参考となりそうです。
終業後はアルコールも提供
一般的なオフィスカフェとは一線を画し、内装に徹底してこだわった本格的なバースタイルのカフェスペースを持つ企業もあります。黒一色で統一された洗練されたインテリアは、とても企業内とは思えない雰囲気を醸し出しています。
午後6時半以降は無料でアルコールが提供されるため、終業後も社内に残って歓談する社員も多いといいます。会議や商談、勉強会、交流会などに幅広く活用でき、社外からの評判も上々です。
コンセプトを明確にして自社にあわせたスタイルを採用
オフィスカフェの設置は社員の心身の疲労を軽減し、業務効率の向上への貢献が期待できる施策です。しかし、オフィスカフェを置いたからといって、すぐにさまざまな効果が出るというわけではありません。運用方法を間違えると、コストばかりが目立つといった結果になる可能性もあります。会社の規模や業種、従業員の層などからコンセプトを検討し、社員の声を聞きながら自社にあわせたカフェスタイルを採用していきましょう。
「日経ニューオフィス賞」を受賞したコニカミノルタがデザインしたオフィス事例をまとめた一冊です。最新のトレンドが知りたい!新しいオフィスのアイデアが欲しい場合などにご活用ください。