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オフィスデザイン事例集
「日経ニューオフィス賞」を受賞したコニカミノルタがデザインしたオフィス事例をまとめた一冊です。最新のトレンドが知りたい!新しいオフィスのアイデアが欲しい場合などにご活用ください。
オフィスの雰囲気を変えて心機一転を図ったり、どうも使い勝手が悪いと感じたりしてオフィスのレイアウト変更を検討することもあるでしょう。とはいえ、そうしたプロジェクトを始めて、自分が担当することになっても、そもそもどこから手を付ければよいのか、どんな業者に頼めばいいのか、費用はいくらぐらいかかるのか……わからないことが多いものです。今回は初心者だからこそ知っておきたいオフィスレイアウト変更の基礎知識をまとめました。
まずは流れをチェック
オフィスのレイアウト変更を実施するにあたり、まず確認しておきたいのが、どのような流れで行うべきかという点です。業種によって異なる部分もありますが、一般的には次のようなステップで進めるとよいでしょう。
【オフィスレイアウト変更を実施するまでの5つのステップ】
1. 目的やレイアウトのコンセプトを考える
2. 業者を選定
3. 業者と打ち合わせを繰り返したうえで、最終見積と発注
4. ToDoとスケジュールの確認(社内外への告知も含む)
5. レイアウトの変更を実施
なかでも特に注目したいのが、最初の「目的」「コンセプト」の重要性です。オフィスのレイアウト変更は細かい確認や作業が必要であり、状況次第で判断に困るケースも出てきます。そうした作業を効率よく進めるためには、「そもそもなぜレイアウトを変更するのか」「どんなオフィスにしたいのか」といった目的を明確にしておかなければいけません。最終的なゴールが明確であるほど、一貫した判断ができることでしょう。
目的とコンセプトが決定した後は、希望を形にしてくれる業者を選定します。業者選びに難航することもあり、オフィスのデザインと内装工事をトータルで依頼するのか、それぞれの工程を別々の業者に頼むのかによっても実際の進行状況が異なるため、十分に検討しなければいけません。その後、業者からの見積を検討したら、いよいよ発注です。実際の工事が始まるまでに、やるべきことを業者とも相談しながら、タイムスケジュールとともにToDoリストを作成しておきましょう。どのタイミングで社内外への告知を行うのかも、決めておくとよいでしょう。
気になる費用は?
オフィスのレイアウト変更作業自体は、大まかな流れが見えやすいものですが、次に気になるのが必要な費用です。限られた予算のなかでスムーズなレイアウト変更を実施するためにも、おおよその目安を知っておきましょう。
オフィスの規模や工事内容によって費用は異なりますが、一般的に基本となる設計に20~50万円、内装工事費として坪単価10~30万円程度(一例として30坪のオフィスであれば350〜500万円程度)が相場となっています。特に内装工事はオフィス規模が大きくなるほど坪単価も高くなる傾向があるため、事前の見積もりが欠かせません。
コストに見合った業者選びのポイント
もちろん、業者によっても価格に幅があるため、複数の業者から見積もりを取り、比較したうえで決定することになります。ただし、価格の低さだけで業者を選定してしまうのは考えものです。業者を選定する際には、見積もり内に含まれる作業内容と価格が見合っているか、また、求めるクオリティを実現できる内容になっているのかをしっかり確認するようにしましょう。
例えば、デザインから内装までトータルで対応する業者であっても、内装工事の質が高くても、デザイン的な部分で満足ができないというケースもあるでしょう。デザインにこだわりたいのであれば、設計と工事を異なる業者に依頼する必要があるかもしれません。一方で、多くの業者とのやりとりを避け、社内負担を減らしながら短期間でのレイアウト変更を実施したいのであれば、一貫して請け負ってくれる業者を選択するほうが安心です。加えて、実際の工事を外注しているのかどうか、コンサルティングまで行ってくれるのかといった点も、業者選定のポイントになります。それぞれの業者が公開されている事例などを参考にしながら、より良い業者を選ぶようにしましょう。
知っておきたいオフィスレイアウトの基本
ここからは実施にあたって担当者が押さえておきたい基礎知識として2つのポイントを紹介します。
オフィスレイアウトの基本その1:面積と寸法
まず最初に、レイアウトをつくるにあたり必要な面積と寸法を確認してみましょう。
1人の社員が業務を行うために必要な面積は少なくとも2~3坪程度が必要だとされています。社員10人の小規模オフィスであれば、最低20坪の業務スペースを確保することになる計算です。仮に20坪のオフィスで12人の社員が常駐するのであれば、1人あたり1.66坪となりやや狭いと感じるかもしれません。こうした場合にはデスクや書類棚の効率的な配置を考えながら、無理なく業務が行える環境を整える必要があるでしょう。
また、オフィスのレイアウトを考える際には、動線を想定することも大切です。なかでも人が行き来する通路の寸法を把握しておく必要があります。通路の幅が1,000mあれば、1人が待機することですれ違うことができ、1,400mm~1,600mmあれば無理なく2人がすれ違うことができる寸法です。また、壁を背にしてデスクを配置した場合、座るスペースに400mm、通行する最低スペースを800mmと考えると、余裕をみて1,200mm~1,400mm程度が必要であることを覚えておきましょう。
オフィスレイアウトの基本その2:法令の遵守
上述したような作業環境の確保は必要ですが、同時に消防法や労働安全衛生法、建築基準法、ハートビル法といった法令に従ったレイアウトであることが基本です。火事や災害時に命を守り、被害を最小限に抑えるために、オフィスに必要な条件が法律で定められています。
消防法では、消火・警報・避難設備(消火器やスプリンクラー、火災報知器や避難器具など)の設置を義務(全ての建物に義務付けられてはおりません)付けており、排煙設備が必要なエリアも決まっています。特に拝煙設備については、建築基準法においても定められており、床面積500㎡以内に自然排煙か機械排煙の設備を、防煙区画内において30m間隔で設置しなければいけません。パーテーションで仕切った区画を「部屋」とみなし、それぞれの部屋に対する設備の設置が求められるため、レイアウト変更によって規定から外れないように注意する必要があるでしょう。
また、建築基準法では、避難経路として確保すべき通路の幅を定めています。通路(廊下)の両側に部屋がある場合は1,600mm、片側のみの場合は1,200mmを最低限確保する必要があるため、デスク等の配置を決める前に考えておくとよいでしょう。法令順守できるよう管轄の消防署に設計段階で相談し、指導を仰ぐことをおすすめします。
加えて、労働安全衛生法で定められた「快適な職場づくり」のポイントもしっかり押さえておきたいところ。より良い作業環境となるようなレイアウトを意識し、休憩室やリフレッシュコーナーといった「疲労回復支援」となるエリアや運動施設の設置、あるいは植樹を検討しましょう。
オフィスレイアウトの種類を知っておこう
オフィスレイアウトを変更する目的は、企業によってさまざまですが、コミュニケーションの活性化や業務効率の向上といった結果を求めているケースも少なくありません。そのため、近年注目されているのがデスク配置のあり方です。
日本のオフィスでもっともよく見られる島型の配置は、対向式レイアウトとも呼ばれ、部署ごとにデスクを対向させてまとめるスタイルです。パーテーションで仕切る場合もありますが、1つのグループが向き合って業務を行うため、グループ内のコミュニケーションがとりやすいという特徴があります。
加えて、近年になって日本でも導入されつつあるのがフリーアドレス型です。その名のとおり、個人のデスクを決めず、自由にデスクを選ぶというもの。固定席をなくすことで、さまざまな社員と触れ合うことができるため、組織横断的なコミュニケーションの活性化につながるとともに、営業のような外出の多い部署では場所を効率的に使えるという利点があります。
そのほか、業務内容に合わせてデスク・チェアを選ぶAWB(アクティビティ・ベースド・ワーキング)型も近年話題になっているスタイルです。
オフィス内では、1人で集中して作業したいと感じるときもあれば、ミーティングのように複数人で集まるようなときもあります。そこで、それぞれの業務形態(アクティビティ)に合わせて場所を選んでいくのがAWBです。AWBを実現するためには通常業務用のデスクと打ち合わせスペース、集中スペース、ラウンジといった複数の異なる空間を配置する必要があります。効率的なレイアウトを検討するうちに、業務内容の洗い出しにもつながるため、業務改革にも貢献するものとして注目されています。
ポイントを押さえて的確に進めよう
オフィスのレイアウト変更は単なる模様替えではなく、働きやすさの改善につながる大きなプロジェクトでもあります。レイアウト変更のポイントを押さえて、快適なオフィスづくりを目指しましょう。コニカミノルタでは、移転はもちろんレイアウトの変更もご相談いただけますので、ぜひお困りの点があれば、お問い合わせください。
「日経ニューオフィス賞」を受賞したコニカミノルタがデザインしたオフィス事例をまとめた一冊です。最新のトレンドが知りたい!新しいオフィスのアイデアが欲しい場合などにご活用ください。