コニカミノルタジャパン公式noteより(公開日2026年7月9日)
「日経ニューオフィス賞」を受賞したコニカミノルタがデザインしたオフィス事例をまとめた一冊です。最新のトレンドが知りたい!新しいオフィスのアイデアが欲しい場合などにご活用ください。
オフィスは、ただ仕事をするための場所ではありません。
そこで働く人の動きや会話、集中のしやすさ、来訪者に伝わる企業らしさ──さまざまな要素が重なり合い、日々の働き方を支える大切な環境です。
今回「探検隊」が訪れたのは、コニカミノルタジャパンが空間デザインを手がけ、2025年3月に竣工した郵船ロジスティクス様の本社オフィス。機能性とブランディングのバランスを追求しながら、「実際に使われること」を軸に設計された空間です。
本記事では、郵船ロジスティクス様の総務部業務支援課の皆さんと、担当デザイナーの辻さんへのインタビューを通じて、設計に込めた狙いとプロジェクトの舞台裏をひも解いていきます。
目次
まずは、移転プロジェクトの舞台裏から

オフィスを巡る前に、まずは今回の移転プロジェクトの全体像についてお話を伺いました。
──オフィス移転を検討された背景について教えてください。
小松さん:
分社化に伴い、日本のコーポレート部門が新たな拠点へ移ることになったのが出発点です。
以前のオフィスは、当時のトレンドを取り入れたデザイン性の高い空間でしたが、社員アンケートを通じて見えてきたのは、会議室が不足していたり、おしゃれな什器があっても実際にはあまり使われていなかったりといった、細かな運用面での課題でした。
やはりオフィスは、毎日働く場所。だからこそ今回は見た目だけでなく、「今の働き方にフィットしているか」「社員がストレスなく使えるか」を重視し、機能面から見直そうと考えました。
──新しいオフィスに期待していたことは?
柳さん:
使いやすさ、これが最優先でしたね。
集中して作業したいときや、少人数で軽く打ち合わせをしたいとき、Web会議をしたいときなど、その時々の目的に合わせて有効な場所を選べるようにしたかったんです。
また、来客や採用の場面で“郵船ロジスティクスらしさ”が自然に伝わることも意識していました。過度に飾り立てるのではなく、日常の延長線上で企業の雰囲気が感じられる。そんなバランスを大切にしたかったんです。
──辻さんは、最初にお話を聞いたとき、どのように受け止めましたか?
辻さん:
強く感じたのは、「デザインのためのデザインにしてはいけない」という点でした。
空間の見栄えは働くモチベーションや採用にもつながりますが、今回軸にあったのは、“日常、日々の業務”。社員の皆様へのヒアリングやアンケート回答などを参考に、現状の良さは残しながら、会議室不足や集中しやすい場所の必要性など、優先度の高い課題をプランに落とし込んでいきました。
社員の皆さんが使う場所はナチュラルで落ち着いた雰囲気に。来客動線は印象に残る設えにするなど、使う場所と見せる場所にメリハリを持たせています。全体としては「安定」が7、「少しくだけた遊び」が3程度のバランスで、“ちょうどいい”空間を目指しました。

【Profile】
辻 仁実さん
プロダクトマーケティング統括部 空間デザイン事業推進部 デザイングループ デザイナー
2023年に第二新卒でコニカミノルタジャパンに入社。大学でデザインを学び、現在はオフィスのレイアウト設計から意匠設計など空間デザイン領域を担当している。
──本プロジェクトに関してはスケジュールもタイトだったと伺いました。
平田さん:
辻さんはとにかくレスポンスが早くて、本当に助かりました。図面を見ながら細かな相談を重ねる中で、「ここを少し変えたい」といった追加の要望にも、定例会を待たずに丁寧に対応してくださいました。短期間でもプロジェクトがスムーズに進んだのは、そのおかげです。
辻さん:
ありがとうございます。本プロジェクトは通常約1年かかる規模の移転を、約7カ月で進める必要がありました。だからこそ、「動線をどうするか、什器の配置はこれでよいか、会議室の数や使い方はどう考えるか──など、細かな論点を一つずつ整理しながら、複数案をご提示することを意識していました。その場で意思決定いただけるケースも多く、皆さんの判断の早さにも大きく支えていただきました。
いよいよオフィス探検へ!
ここからは、いよいよオフィス探検へ。
郵船ロジスティクス様の新オフィスのコンセプトは「GROUND」。本社機能を会社を支える“⼤地”と捉え、海や樹木といった自然の要素を各エリアに重ねながら、快適性と機能性を両立した空間を描いています。

辻さん:
既存の建物の仕上げを活かしながら、木の温かみを感じられる空間に整えました。入口は企業の第一印象を決める場所ですから、郵船ロジスティクス様の信頼感を軸にしつつ、過度に堅くならないよう、自然に迎え入れる雰囲気を大切にしています。
チラ見せゾーン──“見せたいところ”を、きちんと見せる

廊下を進んだ先、エントランスから会議室へ向かう来客動線には、大きなガラス越しにオフィスの一部が垣間見える場所が現れます。ここが今回のポイントのひとつ、「チラ見せゾーン」です。
──この区画には、どのような狙いがあるのでしょう?
辻さん:
採用面接やお客様の訪問時に、郵船ロジスティクス様の働くオープンな環境を自然に感じていただくための仕掛けです。
当初ここは壁にする想定だったんですが、来客動線を検討する中で、「ここをガラスにすれば、エントランスの先に広がるオフィスの雰囲気を少し感じていただけるのでは」と気づいたんです。そこで、会議室へ誘導する間仕切りの一部を透明ガラスにして、このあと巡る「カジュアルワークエリア」や「リフレッシュエリア」が見えるポイントとして設計に取り入れました。
ただしオフィス全体を見せるのでなく、社員の皆さんが実際に仕事をする「ベースワークエリア」は隠す形にし、見せる場所と見せない場所のメリハリを意識しています。
小松さん:
ここは本当に皆さんの反応が良いんです。訪問された方の関心も高いですし、社員にとっても「対外的な価値を意識する場」という認識が浸透しています。
すぐ隣には、来場者の印象に残るよう工夫した、「フォトスポット」も用意してあります。

辻さん:
広報等の用途として写真撮影ができる場所がほしいという要望から生まれた場所になります。フロアで唯一スポットライトを配置し、モニュメントやグリーンの見え方、立ち位置の余白なども考えながら来客された方の記憶に残るポイントとして設計しています。
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