オフィスは単なる業務の場所というだけではなく、会社の顔ともいえます。内部の人間が快適に働けて、訪問者によい印象を与えるためにも、内装工事への理解を深めておくことは大切です。せっかく工事を実施したにもかかわらず、思っていたような効果が得られなくては何にもなりません。今回は、内装工事を成功させるために、あらかじめおさえておくべきポイントについて解説していきます。
目次
オフィスに必要な工事の種類
オフィスの工事を考える際には、優先順位をつけて計画を立てていく必要があります。そのためにはまず、オフィスに必要となる工事の種類を確認しておかなければなりません。
主なオフィス工事の種類には以下のようなものがあります。
内装工事
床
いまどきのオフィスには数多くの電子機器が導入されるため、配線が複雑に入り組んでいます。コンセントを自在に配置でき、たくさんのケーブルを隠すことができるOAフロアは、それぞれのオフィスのニーズにあわせられるというメリットがあります。床材は価格も素材もバリエーションが豊富ですが、クッション性とデザイン性に富み、配置をあとからでも変更できるタイルカーペットが主流となっています。
壁
最近は、いかにもオフィスという内装よりも、あまり堅苦しさを感じないデザインが好まれます。壁材も多様化が進んでおり、モザイクやレンガ調のタイル、透過性の高いガラス素材、ビニールタイルなどこれまであまり見かけなかった素材も多く取り入れられるようになってきました。壁はオフィスのなかでも特に目につきやすい部分だけに、壁をどうするかによって全体の雰囲気が大きく違ってきます。オフィスの広さや間取り、採光なども考慮しながら、じっくり選んでいくようにしましょう。
天井
最近では、組み換えが可能なシステムタイプの天井が登場しています。天井パネルや照明器具の配置を自由に変えられるため、パーティションなどを使ってのレイアウト変更にも柔軟に対応できます。ただ、従来型の天井に比べて吸音性が低い傾向があるため、従業員の人数や業種にあわせて選択するとよいでしょう。内装は、床・壁・天井のバランスが重要です。素材感やカラーなどでちぐはぐな印象を与えないように検討していくとよいでしょう。
電気工事
オフィスではパソコンやプリンタ、コピー機など多くの電子機器を利用するため、オフィスの工事においては電源計画が非常に大切です。屋内配線は「幹線」と「分岐回路」で構成されていますが、接続できるコンセントの定格電流は分岐する回路によって異なります。そのため、どの場所にどのくらいの電流が必要となるのか、OA機器の消費アンペアを考慮しながら計画していく必要があります。
空調・衛生工事
仕事をするうえでの作業効率は、オフィス環境と密接なつながりがあります。社員が快適に業務に集中できるようにするためには、室内の空気環境や衛生環境に配慮しなければなりません。空気の流れが滞ったり、空調の効きにかたよりがあったりすると知的生産性の低下をまねきかねないため、建物全体の構造を軸に、無理・ムダのない設計を検討することが重要です。
防災工事
熱感知器や煙感知器などの防災機器は、消防法によって設置が義務化されています。機器によって設置基準が異なるため、防災工事に先がけて確認しておくことが必要です。あとから個室を加える場合などにも、必ず設置基準と照らしあわせるようにしましょう。そのほか、非常放送スピーカーや誘導灯、スプリンクラーなど、設置義務が定められている防災設備は多数あります。基準をクリアできているかなど不明点がある場合には、必ず消防署や建築指導課の指示を仰ぐようにしてください。
防犯工事
社外秘の機密情報や顧客情報を守るためにも、防犯対策の強化は企業運営の重要なポイントです。防犯関連のオフィス工事には、セキュリティゲート、監視カメラシステム、無人受付システム、入退室管理システムなどがあります。また、セキュリティに強いレイアウトのゾーニング計画など、総合的な防犯対策を事前に行うことができていればより安心です。
TEL/LAN工事
インターネット回線や電話回線などの工事は電気通信工事と呼ばれ、通信設備の設置を前提として行います。自社で必要となる通信機器がどのようなものなのかによって、配線や必要な工事の種類が変わってきます。
ビジネスフォンや自社サーバなどを利用する際には、専用の設定が必要となります。あらかじめ何をどのように使用するのか、計画段階から明らかにしておきましょう。
オフィスの内装工事を進める際の手順
オフィスの内装工事は、大きくは計画と工事の段階にわかれます。オフィスの内装工事を進めていく際の一般的な手順は、以下の通りです。
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- オフィスのコンセプト決め
- デザインの希望のまとめ
- 業者の選定
- 設計書の確認と費用見積もり
- 契約締結
- 工事開始
オフィスによく見られる20坪程度の広さであれば、内装工事にかかる期間は1~3カ月程度です。細部にこだわりがある場合や、オフィスのサイズが大きい場合には3カ月以上に及ぶこともあります。
使用開始から逆算して、十分に余裕をもたせながら早めにスケジュールを組んでいくとよいでしょう。
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オフィスの内装工事を成功させるためのポイント
オフィスの内装工事がスタートすると、そう簡単には内容を変更することができません。満足度の高い内装工事とするためには、以下のようなポイントをしっかりとおさえて進めることが重要です。
オフィスの用途からコンセプトを明確にする
業種や働く人数、来訪者の有無、事業運営の形態など、オフィスの使い方によってその姿も異なります。実情にそぐわないオフィスでは、働く意欲も向上させられません。オフィスの用途からコンセプトを明確に決め、そこから逸脱しないよう統一感をもって進めていくことが大切です。
業者選びを吟味する
工事の仕上がりの満足度は、業者の選定にかかっています。一般的なオフィスの工事では、デザイン設計会社と施工会社の2つの会社に依頼します。デザインと施工の両方を手がける企業もありますが、いずれにしても、依頼主との意志疎通がしっかりとできることが重要なポイントとなります。オフィス工事の実績が豊富で独自のノウハウをもっている、信頼できる業者を見極めていくことが大切です。
契約上の不明点は早期に明らかにしておく
契約時には、ささいな疑問点や不明点を残さないようしっかりと追求する姿勢が大切です。それが、後々のトラブルを回避することにつながります。見積書にはどこまでの費用が反映されているのか、追加工事の可能性があるのかなどを確認しておけば、費用の超過を回避できる可能性が高くなります。
契約上の不明点を放置したばかりに大幅な工事の変更が必要となり、費用が膨大にかさんだり工期が延びてしまったりという事態に陥ってしまうこともあります。すべてを予定通りに、スムーズに完了させるためにも、契約書にはしっかりと目を通しておきましょう。
工事の進捗状況をこまめにチェックする
オフィス工事を成功させるためには、施工会社に丸投げせず、自分たちの目で工事の状況を逐一確認することが大切です。現場に足を運ぶことで進捗状況のチェックをするとともに、イメージ通りに細部が仕上がっているのかもチェックできます。すべてができあがってしまった後に、色や仕様の違いに気づいても元には戻せません。施工主としての意識をもって、工事を見守りましょう。
まとめ
オフィスの内装工事をスムーズに進め、成功させるためには工事の全体の流れを把握し、ポイントをおさえておくことが必要です。信頼できる業者を選び、密にコミュニケーションをとっていくことで、想定通りのオフィスが実現します。工事着手後もこまめに現場に足を運びながら、事業の拠点となる満足度の高いオフィスづくりを実現しましょう。
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