セキュリティー効果の高いゾーニングのポイント
セキュリティーの効果を意識したゾーニングを実現するためのポイントを見ていきましょう。
用途別のスペースをリストアップ
ゾーニングで最初に行うのが、用途別にスペースをリストアップしていくことです。オフィスコンセプトにあわせて、どのようなスペースやエリアが必要なのかを洗い出していきます。
たとえば、来客が多い業種であれば、入り口付近のスペースを広めにとる必要性があるでしょう。そこから、業務スペースや高度なセキュリティーが必要な部屋をどのように配置するべきかの検討を進めていきます。プロジェクトごとにチームを組むような仕事が多いのであれば、ミーティングスペースの確保を優先的に考えなければなりません。
このように、セキュリティーと並行して業務のしやすさや人の集散、快適さを加味してリスト化していきます。セキュリティー強化が必要な対象物のリストアップとともに、保管レベルを決めておくことも必要です。何をどのくらいどこに保管するのかが決まれば、そのスペースと配置基準が定まります。後から「あの位置でないほうがよかった」ということにならないよう、まずは安全性が確保できる配置を十分に検討できる材料をそろえることが大切です。
不正行動防止効果の確認
セキュリティーを考える際には外部からの侵入や攻撃のほか、内部の不正行動についても多様な角度から検討する必要があります。悪意の有無に関わらず、社員の行動にともなう企業資産流出のリスクを極力排除しなければなりません。関係者以外の不正入室の防止、物品の持ち出しや情報漏えいに関わるメディアの携帯など、どのように管理していくのかを現実に即して考えていきます。不正退出を複数の段階でチェックできるような体制をどうすれば確立できるのかは、業種や業態によって異なります。社員教育の徹底とともに、ゾーニングの効果を最大限に生かせるよう計画していくことが大切といえるでしょう。
念入りな動線計画
業務の効率化とセキュリティーを両立するためには、単なるクラス分けではなく、人の動きを考慮したゾーニングでなければなりません。また、企業によっては外部の人間を奥まで案内する場合などを想定し、セキュリティーに関わるエリアを目立たせない工夫を考えるといったことも必要となるでしょう。社内外の人間すべてを含めた、動線計画を立案していくことが重要です。
各ゾーンのセキュリティー手段の決定
基本的なゾーニングができたら、各ゾーンのセキュリティー手段を決定していきます。監視カメラなどの機器類の導入や認証方式の設定など、それぞれのゾーンに適したセキュリティーであるかを検討します。セキュリティーを厳しくしすぎて、業務上不便となるなど弊害が起こることもあります。逆に、比較的セキュリティーレベルの低い共用スペースにも、カメラを設置するなどしたほうがよいケースもあるでしょう。人の出入りや動きにあわせ、柔軟性をもって対応していきます。ゾーニングによるセキュリティーを生かかしていくためには、IDカードによる認証において権限管理と権限付与に関するルールづくりをしっかりと行うことも求められます。