『オフィス移転マニュアル』
計画策定の進め方~設計・デザインから移転当日まで全行程を網羅。自社の大規模移転や100社以上のサポート経験をもとに具体的な実施内容や進め方のポイントを解説!ぜひご覧ください。
オフィス移転にあたって、準備から新オフィスへの引っ越しまで多くの段取りがあります。無駄なコストを省くのはもちろんですが、スケジュール的にもできるだけ短縮しながら、効率の良い移転を成功させたいものです。今回は、オフィス移転のスケジュールを短縮させるためにチェックしておきたいポイントをまとめます。
目次
移転目的の明確化、必要な手続きの確認
オフィス移転を成功させるためには、最初のステップが肝心です。スムーズな移転を実施する最大のカギとなるのが「目的を明らかにすること」。オフィス移転では、多くの項目を細部にいたるまで確認し、適時判断しながら進めていかなくてはならない、大変な業務です。物件選びやレイアウト決めをする際に、社員の間で意見が分かれたり、当初とは違う方向に進んでしまったりしてしまえば、予定より大幅にスケジュールが遅れてしまうこともあるでしょう。そうした場合にも判断に困らないよう、移転をおこなう目的を明確にし、関係者全員で共有しておくことがとても大切です。
また、移転の目的を明らかにする過程において、現状の課題を洗い出せるというメリットも。「現在の社員数に対してオフィスが狭かった」「デスクや部署の配置がわかりにくく訪問者が迷うことがよくあった」など、移転を機に改善したい点もチェックしておきましょう。
目的を見据えたら、移転までの細かいスケジュールを作成することになります。この段階で、オフィス移転において必要な届け出や手続きをすべて確認しておくとよいでしょう。抜けや漏れがないように、チェックリストを活用することがおすすめです。
オフィス移転スケジュールを作成しよう
チェックリストを作成したら、次に計画表を用意します。
全体の予定が俯瞰できる「マスタースケジュール」を作成してみましょう。計画開始から移転完了まで間に必要なすべての作業を、時系列にまとめるのがポイント。新しいオフィスの稼働日から準備期間を逆算することで、何を、いつまでにやらなくてはいけないのかが明らかになるでしょう。オフィス移転にかかる期間は、企業規模によって異なるものの、中規模オフィスで6~9か月程度かかるのが一般的です。
移転日ではなく、営業開始日をゴールに決める
マスタースケジュールを作成するうえで注意しておきたいのは、「引っ越し」をする日が移転完了日ではない、ということです。必要な備品や什器の移動、内装工事が終了しただけでは移転完了とはいえません。新しいオフィスで営業を開始する日を「完了日」とし、作業内容と必要な日数を逆算してみましょう。営業開始日をオフィス移転のゴールと定めることで、必要な社内環境が整い、業務がスムーズに行えるまでの作業漏れを防ぐことができます。
オフィス移転を長引かせない!スケジュール短縮のコツ
多くの工程があるオフィス移転の作業ですが、できるだけ効率よく進めながら移転完了までのスケジュールを短縮したいと考える企業は多いことでしょう。できるだけ長期化させないためのポイントを見てみましょう。
現オフィスの解約は早目に着手
オフィス移転では、ついつい新オフィスの計画に注目しがちです。しかし、オフィスの解約・退去にあたっては原状回復を行う必要があり、物件によっては想定よりも複雑な作業になる可能性があります。そのため、現オフィスの退去にかかる手順は、できるだけ早い段階で着手した方がよいでしょう。
なかでも、解約予告を行うタイミングはしっかり見極めたいところ。契約条件によって異なるものの、退去予定日から6か月以内に解約予告を行わなければいけないと定める管理会社が多いようです。たとえば、5月に新しいオフィスに移転するのであれば、前年の11月には解約の意志を伝えることになります。「新しいオフィスの詳細が決まってから……」と解約の連絡を後回しにすると、希望日に解約できず、結果的に予定外の賃料が発生することもあるでしょう。作業効率を上げるとともに、無駄なコストを省くという意味でも現オフィスの解約連絡は早目におこないましょう。
オフィス移転にかかる費用については、こちらの記事(オフィス移転にかかる費用はどれくらい?ポイントをおさえて効率の良い移転準備を)をご覧ください。
移転プロジェクトは細かいチーム分けで同時進行を
オフィス移転には多くのステップがあり、関連する業者も複数になります。それぞれのやり取りを担当者だけに任せると、その対応だけでもかなりの負担になり、場合によってはミスも起こりやすくなります。そうした不手際を回避するためにも、移転プロジェクトチームをつくって業務を細かく分担するような仕組みを作ってみましょう。総監督として全体の状況を把握、リードする担当者を中心に、実務として内装、運送、インフラ整備を担当する、それぞれのプロジェクトチームを設置します。連携した業務分担によって、全体の業務負荷を分散できるだけではなく、多くの業務を同時進行できるのも大きなメリットです。
サポート業者に相談するのもひとつの手
オフィス移転をスムーズに実行するためには、外部との連携が欠かせません。移転に関わる業者は複数になる場合が多く、それぞれの作業を邪魔しないようなスケジュールを検討する必要がありますが、それだけでもかなり手間のかかる作業です。たとえば、「サーバーの移転はA社に依頼するが、パソコン機器の担当は管理しているB社が担当する……」ということになれば、どちらを先に行うのか、それぞれどの程度の工事期間が必要なのかといった細かい調整を行いながら、スケジュールを練ることになります。さらに、電話やインターネット回線の開通といった段取りまで考えると、ちょっとしたスケジュールミスが全体に大きく影響することもありえます。こうした負担を軽減し、できる限りミスをなくしたいと思うのであれば、オフィス移転サポートのプロに相談するという方法もあります。移転に関わる業者間の調整を行ってくれるだけでなく、全体のスケジュール管理についてもサポートが受けられるため安心です。
臨機応変なスケジュール調整が大切
限られた期間のなかで、多くのタスクをこなさなくてはならないオフィス移転。しっかり段取りをしたつもりでも、実際にその通りに行くとは限りません。無理に最初のスケジュールに合わせようとするよりも、そのときどきの状況に合わせて調整することができれば、結果的にスケジュール短縮につながることもあるでしょう。計画と現状とのバランスをとって効率的な移転を目指しましょう。
『オフィス移転マニュアル』
計画策定の進め方~設計・デザインから移転当日まで全行程を網羅。自社の大規模移転や100社以上のサポート経験をもとに具体的な実施内容や進め方のポイントを解説!ぜひご覧ください。