『オフィス移転マニュアル』
計画策定の進め方~設計・デザインから移転当日まで全行程を網羅。自社の大規模移転や100社以上のサポート経験をもとに具体的な実施内容や進め方のポイントを解説!ぜひご覧ください。
新しいオフィスへ移転する際には、引っ越しそのものの準備のほか、さまざまな手続きが必要です。新オフィスの選定から始まり、旧オフィスの片付けや公的機関への届け出、社員への説明など、数多くのタスクをこなさなければなりません。担当者は「何か抜けや漏れがあるのではないか……」と不安に感じることもあるでしょう。
今回は、そうしたオフィス移転における総務部の役割を改めて確認するとともに、オフィス移転の流れや必要なタスクがわかるチェックリストをまとめてみました。
目次
ファシリティマネジメントを担う総務部の役割
多くの場合、企業でオフィス移転の役割を担うのは総務部です。総務部は、会社全体に関係する事務や管理の業務、あるいは部署に属さない業務など多種多様なタスクをこなし、会社を支える「縁の下の力持ち」でもあります。そのような総務部の仕事のなかで昨今注目されているのが、「ファシリティマネジメント」への関わりであり、オフィス移転もその一環とされています。
ファシリティマネジメントとは、ひとことで言えば「経営的視点に立ってオフィス環境を整備すること」を意味します。すなわちオフィスの移転においては、引っ越しそのものをスムーズに、無駄なコストをかけずに進めるだけでなく、移転後の新オフィスの、高効率な稼働を実現しなければなりません。そのためには、入念な移転計画が必要です。
オフィス移転の流れ
では、実際にはどのように移転計画を立て、オフィスの引っ越しを実行すればよいのでしょうか。ここでは、移転の流れを見ていきましょう。
1. 移転方針の策定
まずは、オフィス移転の目的を確認します。オフィス移転は、社内のコミュニケーション改善や、業務の合理化を図るチャンスとなるため、目的を確認する際に現状の課題を洗い出すとよいでしょう。
2. 移転計画の開始
作成した移転方針をもとに、移転のスケジュールを作成します。このとき、現オフィスビルでの解約条件の確認を早めに行っておきましょう。移転先の場所や物件を選定する際には、移転先の建物に必要な面積や設備などの要件を洗い出し、予算の確認・調整を行います。
3. オフィスデザイン
選定・契約したオフィスビルでの社内レイアウトを作ります。レイアウトの考案においては、フリーアドレス制や社内カフェの設置なども検討し、働き方改革にもつなげるとよいでしょう。また、ビルによっては照明や空調などの制約があるため、条件に合わせたレイアウトを考える必要があります。
4. 実施設計・工事契約
レイアウトの確定後、新オフィスの工事を手配します。多くの業者との交渉が必要な場合は、オフィス移転を一括で請け負う業者に一任すると、労力の削減が可能になります。
5. 移転前手続き
移転に伴い、公的機関への届け出が必要です。届け出の種類と提出先を早めに確認しておきましょう。関係各所への通知や社員への告知も余裕をもって行いましょう。
6. 移転当日から移転後の手続き
新オフィスへの引っ越しを行います。公的機関への届け出が必要になるため、届け出の種類と提出先を早めに確認し、漏れがないように準備を進めましょう。元のオフィスは原状回復を行い、明け渡します
※オフィス移転の流れについてさらに詳しく知りたい方は、以下の資料をご覧ください。
オフィス移転のチェックリスト
オフィスの移転は上述のような流れで進めていきますが、その際に総務部が担うタスクは多岐にわたります。それらのタスクの進捗状況を共有し、それぞれの作業をスムーズに進めるために、チェックリストを作成しておくとよいでしょう。
移転時に必要になるタスクは、企業によって異なる場合があるため、移転の流れに合わせたチェックポイントを確認しておくのがおすすめです。たとえば、現在のオフィスで原状復帰にかかるポイントや、新オフィスでのインフラ整備など、ひとつずつ明確なタスクを作成し、その都度チェックします。行うべきタスクを早めに確認し、抜け漏れのないスムーズなオフィス移転を実現しましょう。
ここが落とし穴!チェック漏れしやすいポイント
チェックリストを作成し、ひとつずつ対応してきたつもりなのに、いざその時になってみたら失敗してしまった……ということも起こりがちです。というのも、オフィス移転には多くのスタッフが関わることになるため、時系列の部分がややあいまいになってしまうことがあるからです。オフィス移転の担当者は、チェックリストとともに、タイムスケジュールを作成してみましょう。そのうえで、以下のポイントに注意が必要です。
原状回復工事は解約日までに完了しておく
オフィス移転において、最初にすべきことが原状復帰です。契約内容によって、どの程度まで回復すべきなのかが異なりますが、予定していた解約日までに必ず回復工事を終了しておかなければいけません。解約日より前に退去し、引っ越し作業を進めるケースが多いため、新オフィスにかかりきりで原状回復のチェックがおろそかになってしまうことも。解約日を過ぎても工事が続いてしまえば、その分のテナント料金が発生したり、場合によっては違約金として費用がかかったりする可能性があります。余計なコストをかけないように原状回復工事の期間もしっかりチェックしておきましょう。
新オフィス稼働までに社内インフラの整備を徹底する
もうひとつ注意したいのが、社内インフラを手配するタイミングです。水道や電気といった手配は契約時にまとめて行うケースが多いものの、一方で電話やFAX、インターネット、社内LANといった設定は個別に手配しなければいけません。とくに問題となるのが、配線工事です。オフィスの広さやレイアウト、機器類の配置によって配線の流れが異なるため、実際に工事に入ってみたら思ったよりも時間がかかってしまった、というケースがあります。新オフィスでの業務開始時に、そうしたインフラが整っていなければ、当然業務も滞ってしまうことでしょう。配線業者との丁寧な打ち合わせはもちろん、その段取や工事に必要な日数、工程などをきちんと確認し、実際の作業中にも立ち会いながら、確実に整備を行うことが大切です。
オフィス移転は丁寧すぎるチェックで失敗を防ごう
オフィス移転は、企業にとって大プロジェクトのひとつであり、社内だけでなく社外にも大きな影響を与えるものです。ちょっとした失敗が、取引先や顧客との関係を変えてしまったり、売上低下につながったりする可能性もあり得ます。チェックリストの作成はもちろん、タイムスケジュールと照らし合わせながら、丁寧なチェックを行ってオフィス移転を成功させましょう。
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