『オフィス移転マニュアル』
計画策定の進め方~設計・デザインから移転当日まで全行程を網羅。自社の大規模移転や100社以上のサポート経験をもとに具体的な実施内容や進め方のポイントを解説!ぜひご覧ください。
オフィス移転を計画するにあたって、気になることの1つが「費用」ではないでしょうか。工事業者など各種業者に依頼する前に、おおよその費用の目安を知っておくことが大切です。
この記事では、新オフィスへの入居に伴う費用・現オフィスの退去にかかる費用・引っ越しにかかる費用・その他の費用の内訳と、それぞれの目安をわかりやすくまとめています。オフィス移転にかかるコストを抑えるコツとともに見ていきましょう。
目次
オフィス移転に必要な費用の全体像

オフィス移転にかかる費用は、新オフィスへの入居に伴う費用・現オフィスの退去にかかる費用・引っ越しにかかる費用・その他の費用の4つに分類されます。それぞれの費用の内訳は次のとおりです。
| 大分類 | 小分類 |
|---|---|
| 新オフィスへの入居に伴う費用 | ・不動産取得費用 ・内装工事費用 ・設備工事費用 ・備品購入費用 ・火災保険料 |
| 現オフィスの退去にかかる費用 | ・原状回復工事費用 ・退去日までの賃料 |
| 引っ越しにかかる費用 | ・運搬費 ・不用品廃棄費用 |
| その他の費用 | ・告知費用 ・届出書類作成費用 ・住所表記変更費用 |
新オフィスへの入居に伴う費用の内訳と目安

ここからは、オフィス移転にかかる費用の内訳と目安を紹介していきます。新オフィスへの入居に伴う費用の内訳は次のとおりです。
不動産取得費用
不動産取得費用として、敷金/礼金や仲介手数料、保証料・前賃料などが発生します。それぞれの一般的な目安を見ていきましょう。
| 内訳 | 費用の目安 |
|---|---|
| 敷金/礼金 | 小規模オフィス(〜50坪程度):賃料の3〜6カ月分 大規模オフィス(50坪以上):賃料の6〜12カ月分 |
| 仲介手数料 | 賃料の0.5〜1カ月分 (不動産会社に物件紹介を依頼した場合) |
| 保証料 | 賃料+共益費の0.5〜1カ月分相当 |
| 前賃料 | 賃料の1〜2カ月分(契約内容によって変動) |
内装工事費用
内装工事費用の一般的な目安は、1坪5〜20万円程度です。ただし、独自のレイアウトにしたい場合や、デザイン性の高い内装にしたい場合などは、相場よりも費用がかさむ可能性があります。
設備工事費用
電気・電話・通信ネットワークや、空調、防災設備などにかかる費用です。一般的な目安は、1坪20〜35万円程度と考えてよいでしょう。なお、デザインやレイアウトのプランニングもあわせて依頼する際には、1坪あたり1〜3万円程度が上乗せされる場合があります。
備品購入費用
現オフィスで使用している備品をそのまま新オフィスで利用する場合は不要ですが、新たに購入する備品や什器があればその分の費用がかかります。購入する備品・什器の種類や点数にもよりますが、おおよその目安として従業員1人あたり5〜30万円程度を想定しておくとよいでしょう。
火災保険料
火災保険は、最長5年間の保険期間を設定できます。一般的には、物件の契約期間に合わせて2年程度の保険期間で契約するケースが多いでしょう。2年契約の場合、火災保険料はおよそ2万円です。
現オフィスの退去にかかる費用の内訳と目安

次に、現オフィスの退去に伴う費用を見ていきましょう。主な費用は原状回復工事費用ですが、移転が契約解除日以降になる場合には、退去日までの賃料が必要になる場合があります。
原状回復工事費用
オフィスビルの賃借契約では、一般家庭向けの物件とは異なり原状回復が義務づけられているのが一般的です。入居後に空調設備などを設置した場合や、既存の設備を入れ替えたりした場合は、入居時の状態に戻す必要があります。
費用の目安は1坪あたり6〜8万円程度、大型ビルの場合は1坪あたり10〜12万円程度です。入居時に支払った敷金があれば、原状回復にかかった費用と相殺できます。空調設備の撤去や入れ替えが必要な場合、原状回復工事費用が高額になりやすい点に注意してください。
退去日までの賃料
現オフィスの賃料はオフィスを移転する・しないにかかわらず発生する費用のため、通常は移転費用には含めません。ただし、移転日が契約解除日よりも後になる場合は、退去に伴って発生する費用として計上しておく必要があります。一般的には退去日の6カ月前までに解除通知を行えば退去日以降の賃料は発生しないケースが多いものの、詳細については賃貸契約書を確認しておくことが大切です。
引っ越しにかかる費用の内訳と目安

現オフィスから新オフィスへ移動させる必要がある物品については、引っ越し費用がかかります。オフィス移転を機に廃棄処分する物品についても、不用品廃棄費用が必要です。それぞれの目安を見ていきましょう。
運搬費
運送費の目安は、従業員1人あたり2〜5万円程度です。運び出す荷物の量や種類によって、運送費は変動します。オフィス移転件数が増える年度末や秋頃は引っ越し業者の繁忙期にあたるため、通常よりも引っ越し費用がかさむ点に注意が必要です。
また、大型の什器を運搬する場合、クレーンを使った作業が必要となることも想定されます。実際の費用については、引っ越し業者に見積もりを依頼する必要があるでしょう。
不用品廃棄費用
オフィス移転を機に処分する不用品に関しては、廃棄費用がかかります。一般的な目安は、2トントラック1台7〜8万円、4トントラック1台12〜15万円程度です。エアコンや電話機、FAX機などはリユース業者に買い取ってもらえる場合もあります。すべて廃棄するのではなく、必要に応じて売却も検討しておくとよいでしょう。
その他の費用の内訳と目安

オフィス移転に伴い、取引先など関係各所へ挨拶状を送付したり、住所の表記を変えたりするための費用もかかります。主な費用の内訳と目安は、それぞれ次のとおりです。
告知費用
新オフィスの住所や営業開始日などを告知するための案内文や挨拶状の制作・郵送にかかる費用です。一般的な目安として、従業員1人あたり1万円程度を計上しておく必要があるでしょう。部門によって必要な送付件数が大きく異なることも想定されるため、具体的な必要数を把握しておくことが大切です。
届出書類作成費用
移転に伴う各種届出書類の作成を司法書士などに依頼する場合には、10〜25万円程度の費用がかかります。役所など複数の関係機関への届出が必要になる上に、提出期限が決められているものもあるため、作成を依頼することを織り込んで費用を計上しておくのが得策です。
住所表記変更費用
Webサイトや名刺、封筒、帳票類などの記載住所を変更する際にかかる費用です。制作する点数や部数にもよりますが、おおよその目安として従業員1人あたり1〜2万円程度を想定しておくとよいでしょう。
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