ハイブリッドワークで悩んでいる方、必見。
オンラインファースト実践企業から学ぶ、
成功のヒント


オンラインファーストは働き方の根底を変える

──オンラインファーストによるメリットを教えてください

大槻さん:オフラインでの働き方には、地理的な壁や時間的な壁、障害による壁などがあります。東大の熊谷先生(東京大学先端科学技術研究センター准教授/障害者の立場から当事者研究を行っている)は、障害は人ではなく社会の側にあると考える「障害の社会モデル」を提示していますが、オンラインファーストはその考え方と同じで、時間や場所といった「社会の側の障害」を取り除くことができます。実際に、これまでは重要なパートナーは東京本社に勤めている営業が担当することがほとんどでしたが、オンラインファーストになってからは、大阪オフィスの営業が東京の重要なパートナーの担当者になることができるようになりました。

──メリットが可視化できれば、オンライン化のモチベーションも上がりますね。

大槻さん:身体に障害があり移動が困難な方も、デジタル上のオフィスであれば無理なく働けますし、大勢の人がいる場所で緊張するような精神的な障害があってもリラックスして働ける環境が整います。

──それは働く環境としてすばらしいですよね。一方で、リモートワークで一人ひとりの社員が何をしてるかがわかりづらいという、マネジメントの課題はありませんか。サイボウズさんでは、それについてはどのように考えていますか。

大槻さん:マネジメントの課題は、リモートワークによって発生したことではなく、もともとあった問題だと思います。コロナ以前から、どの会社にも、頑張る人もサボりがちな人もいましたよね?(笑) サイボウズでは、本人の保有するスキルや属性が、社外の人材市場ではどう評価されるかを参照する制度を実施しているので、「しっかり仕事をしているのか」という確認はそれほど重要視していません。目一杯頑張って給与を上げるのも、ほどほどに頑張って必要な給与を確保するのも、個人の選択の自由ですから。

また、「体調不良等によって生産性が向上しない場合は、遠慮なくつぶやいてください」と伝えています。男性が女性の生理について理解を深める研修を実施するなど、一人ひとりの社員を理解したり、フォローできる環境の実現に取り組んでいます。

参考記事

新入社員教育もリモートの時代に

──新卒者の教育は直接的な指導が必要なことも多いと思うのですが、サイボウズさんではどのように行っていますか。

大槻さん:いろいろな工夫がありますが、例えば、新卒のメンバーのデスクトップをオンラインで画面共有して、画面上の操作を見ながら、複数の社員が意見を述べたりしています。入力するまでのスパンや順番が可視化されることで、迷いや苦手がこれまで以上に理解できるという声もあります。

── なるほど、これまでなら背後からそっと仕事の進行の確認をしていたところを、画面上ですべてを共有しているのですね。

大槻さん:オフラインの職場では新入社員の横にマネージャーが座っているので、いろんな部署の人が相談に来た話を漏れ聞くことができます。そういったことも、新入社員にとって大きな学びになります。それをオンラインでも体感してもらうために、社員間の連絡や相談はDMを使わず、弊社システム「kintone」のオープンスペースで行っています。

──漏れ聞こえる情報のオンライン化はすごいですね!

大槻さん:もともとサイボウズでは、仕事のやりとりはEメールではなく、グループウェアで共有しながら進めていました。リモートワークやハイブリッドワークで問題を抱えている会社は、メールを使っていることが原因になっているケースが多いようです。メールだと、どうしてもやりとりが閉鎖的になってしまいますから。そういった企業には、まずはグループウェアを使って、情報を可視化することを勧めています。

今後もオンラインファーストを継続すべき理由

──世の中にはまだ「コロナが収束すればオフライン出社に戻す方がいい」と考えている企業もあると思います。「今後もオンラインファーストを継続すべき」という根拠や展望をお聞かせください。

大槻さん:一番影響が大きいのは人口構造の変化です。若い人がどんどん減っていきますし、少子高齢化で採用も困難になります。国内外から多様な人材を集めるようにシフトしなければ、いずれ人材難に悩まされるでしょう。その場合、同じ場所に集まって働くスタイルは成り立たないので、オンラインファーストが不可欠になると思います。

──就活生のアンケート結果でも、多くが「リモートワークを実施している会社が良い」と回答しています。ハイブリッドワークやリモートワークが進んでいく中で、リアルオフィスはどのような環境であるべきと考えますか。

大槻さん:トラブルの発生や、長期的なビジョンを考える時など、いつもと違う課題が生まれた時は、集まって話す方がスムーズでしょう。つまり漫然と集まるのではなく、何のために集まるかハッキリさせるべきです。現在、サイボウズではオフィスを改築していますが、チームでブレーンストーミングするスペースを増やしています。

──そうなんですね!ブレストのスペースは、どのような雰囲気の空間になるのでしょうか。

大槻さん:ホワイトボードなどを贅沢に使えるようにしています。そして、これまではオフィスは日常的な場所でしたが、これからは特別な場所になります。だからこそ、エンタメ系の演出が加わると楽しいですね。

──ハイブリッドワークはこれからも定着して行くと思いますが、まだ導入を検討中の企業や課題を抱えている企業に対して、何かメッセージをいただけますか。

大槻さん:企業の多くは社員一人一人のチャレンジによってベストプラクティスが生まれ、それをシェアしながら変革してきました。このような働き方に対して、デジタル化やオンラインは確実に成果が出ます。たとえ反対している経営陣がいても、成果には逆らえませんよね。

全社で一気に、ということが難しいなら、まずはハイブリッドワークの推進に積極的な人を中心に、小さなチームで実践してみるのはどうでしょう。そこで成果が出たら、オンライン化は必然的に進むでしょう。

そして、大切なことは、オンラインですべての社員が意見を言えることと、決定することは別のことと理解すること。それが理解できると、オンライン化に賛成しやすい雰囲気が出てくると思います。その上で、オンライン化に意欲的な人たちに権限を与え、ぜひチャレンジしてみてください。

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2021年5月に本社オフィスをリニューアルしたコニカミノルタが考えるニューノーマルな働き方を実際のオフィスの様子と共にご紹介しております。これからの働き方や働く場所のご参考に、ぜひご覧ください。

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オフィスコンセプトブック

大槻 幸夫(おおつき・ゆきお)さん

サイボウズ株式会社 コーポレートブランディング部長

大学卒業後、知人とともに株式会社レスキューナウ・ドット・ネットを創業。プロダクト企画と営業を主に担当。2005年にサイボウズへ転職。製品プロモーション、新規事業(サイボウズLive)立ち上げ、オウンドメディア「サイボウズ式」立ち上げ・初代編集長を経て、コーポレートブランディング部長に就任。社会課題と自社サービスの接点を探究し、”組織の透明化・フラット化、個人の主体性”をキーワードにして様々な施策で表現し続けている。

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