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働く価値を高める5つのゾーニング
それでは、奈良の案内のもと、読者のみなさまに、ABWの考えを取り入れた新オフィスをご案内します!
新オフィスの前に、まだリニューアルしていない旧スタイルのオフィスの様子を少しだけご紹介します。
旧スタイルのオフィスはキャビネットや仕切りが見当たらないワンプレートメガオフィス、しかもフリーアドレスのオフィスです。旧スタイルと呼んでいますが、すでに十分新しい時代に対応している事例の一つとも言えるでしょう。一体その旧オフィスが、新オフィスではどんな進化を遂げたのでしょうか。
集中にも種類がある – High Focus エリア
新オフィスの扉を開け、一歩を踏み入れた印象は、オフィスとは思えないデザイン、色の豊さ。そして、鼻をくすぐるアロマディフューザーの良い香り。入り口から、新オフィスへの期待が高まります。
まずは、横長のオフィスの右奥側、ハイフォーカス(High Focus)エリアへ。
文字通り、作業に集中したい時、一人で没頭したい時のために作られた場所なので、基本的に電話はNG。場所によってはWeb会議もNGと徹底しています。周りに音や声が漏れづらく、隣のエリアの声が届かなくするためのサウンドマスキングという仕組みを導入し、集中できる環境を作り上げています。
ハイフォーカスエリアに入ると気づくのが、照明のトーンの違い。ダウンライトを用い、白色ではなく暖色を選んでいるそうです。フリーアドレスになっているどの席も集中できるようにデザインされていますが、壁際の区切られた狭い個室から、デスクの左右に仕切りのある図書館のような席、四方を囲んだ個室のような席、デスクが上下に可動し立って仕事をすることもできる席、窓から東京湾を臨める席ーーなど多様性にあふれています。
狭い場所が落ち着く人、視界が広い方が落ち着く人、集中できる環境は人やタイミングによってそれぞれですから、合うものを選べるようになっています。
オフィスを見渡すとパッと目につくのは、随所に配置されている電話ボックスのような箱。コロナ禍で進んだ働き方改革によって需要が高まり、駅などにも設置され始めている「Web会議ブース」です。声の大きさや周囲に内容を聞かれる心配がなく、Web会議に集中することができます。
このフロアだけで、3社3種類のWeb会議ブースが配置されているそう。
1箇所で3社のボックスを実際に見られるのはこのオフィスだけ
確かに、机の形や座り心地などそれぞれ違うので、ABWを意識したオフィスデザインを検討している方にとって、いろんなタイプを実際に見て試せる貴重な事例と言えるでしょう。
「いつもと違う」ことに意味がある – High Collaboration エリア
ハイフォーカスエリアをぐるりと回った後は、ハイコラボレーション(High Collaboration)エリアへ。利用予約が必要なこのエリアは、自発的なコミュニケーションの活発化を狙ったスペースです。
それぞれのスペースは壁やパーテーションで仕切られていませんが、床に描かれた白いラインによって一つ一つのスペースの区切りを視覚的に理解できる仕組みになっています。1グリットごとに、まるでショールームのように異なるデザイン、形、色の椅子やデスクが配置されています。
その狙いは、「いつもと同じ」にしないこと。フリーアドレスのオフィスであったとしても、いつも同じメンバー、同じ場所で会議をしていては、新しい発想や画期的なアイデアは生まれづらいですよね。インスピレーションが湧き上がるような、通常とは異なる環境を意識したそうです。
「なるほど!」と膝を打ったのは、デスクや椅子を購入するのではなく、サブスクリプションで利用していること。斬新なデザインのものだからこそ、実際の使い勝手は使ってみないとわからないもの。社員のアンケート結果などを見ながら1年ごとに入れ替えられるように、この仕組みを取り入れたそうです。
フロアの入り口に一番近い場所には、雛壇のようなスペースがあります。プロジェクターでスライドを映し出しながらプレゼンをしたり、オフィス見学ツアーにいらっしゃったお客様にご説明する場所として使えるようになっています。
グランピングにプラネタリウム – High Creativity エリア
芝生、テント、ぶら下がり棒ーーまるでグランピングのようなアイテムが配置されているこのエリアは、リフレッシュしたり、リラックスすることで想像力を高めることを狙ったエリアです。通常のオフィスとは大きく異なる環境下では、偶発的なコミュニケーションが生まれやすくなり、ちょっとした出会いや会話がインスピレーションになります。
靴を脱いで入る芝生エリアでは、ゴロンと体を横たえることも可能。個室がプラネタリウムになる特別な空間は、目を休ませたい時、集中してたかぶった神経を落ち着かせたい時など、心身両面で健全な状態を保つのに役立ちそうです。従来のフリーアドレスを大きく超えた、これぞABWと言わんばかりの斬新なデザインのエリアです。
バッタリ出会って話が盛り上がったら、エリア内にあるミーティングブースに移動して、腰を落ち着かせて話すこともできます
テーブルにさりげなく置かれた砂時計は、時間を区切って考えたり発表できるようにとの計らいから。とてもリアルな鳥のさえずりは、サウンドマスキングといって、隣の会話などが耳障りにならないように音をかき消してくれる仕組みです。ハイフォーカスエリアでは鳥のさえずりではなく、空調音のようなサウンドマスキングが流れています。
High Function、High Secure エリア
3つの会議室が並ぶハイファンクション(High Function)エリアですが、ただの会議室ではありません。テーブルの天板、壁がそのままホワイトボードとして使えたり、会議の種類に合わせて形態を自由に変えられるテーブル、椅子を導入をするなど、多様な利用方法があるようです。
コロナで増えた社外とのWeb会議にもストレスフリーで対応できるWebカメラやモニターなどのツールを充実させています。
ハイファンクションエリアと反対側にあるハイセキュア(High Secure)エリアは、セキュリティが求められる情報や議論を扱うスペースで、社長室や役員室が並びます。個室とはいえ社長室もガラス張りになっているので圧迫感なく、広がりが感じられます。
書類キャビネットや、個人ロッカーは?
ドラマに出てきそうなオシャレで機能的なオフィスですが、気になるのは「書類や個人の荷物はどこに置いておくの?」という点ではないでしょうか。すでにフリーアドレスを採用していた旧オフィスのエリアには、一人に1つの個人ロッカーがありましたが・・・
以前は1人1コマ割り当てられていたロッカーも、ABWの新オフィスを作るにあたり、思い切ってやめました。必要な人は、1日ごとに借りられるロッカーを使うことができますが、書類を置く場所は一切ありません。 販売促進で使う備品など、どうしても必要なものは部門に1台のキャビネットに収納していますが、基本的に置いておくものは何もないです。でも、意外と困らないんですよ
5年前から「保存文書ゼロ化」の取り組みを全社的に進め、紙文書を88%削減も実現した流れがあってこそできる部分もあるかもしれませんが、コニカミノルタでは文書管理のサポートもしているので、オフィス移転やリニューアル検討時には合わせてご相談ください。
かゆいところに手が届く! モバイル式バッテリー
さて、新オフィスで目が止まったものの一つが、モバイル式バッテリーのステーション。WifiによってLANケーブルが不要になりましたが、電源は無線で飛ばすことができません。フリーアドレスが進んだオフィスでも、最後まで電源という縛りがつきまといます。
これを解消するのが、オフィス備え付けの充電式のモバイル式バッテリー。PCのACアダプター不要、ダイレクトにPCと繋ぐことができるものなので、出社時に重いACアダプターを持って来る必要がありません。2、3時間は充電が持つので、とても快適に使えます。
デジタル機器を使って自由に働くためには、電源が重要です。ですが、オフィスの床のあちこちにOAタップが転がっているのはイマイチですよね。モバイル式バッテリーは、そんな悩みを解決してくれる、フリーアドレスやABWのオフィスには不可欠なアイテムといえます