JAUNDICE METER黄疸計 JM-105

JAUNDICE METER黄疸計 JM-105

認証番号:225AABZX00063000

Q&A(原理・技術編)

1. 黄疸計は何を測っているのですか?
黄疸とは、身体にビリルビンが過剰にあることで眼球や皮膚などの組織や体液が黄染する(黄色く染まる)状態です。
黄疸計 JM-105は、この皮下組織の黄染度を、光を使って数値化する医療用測定器です。皮下組織の黄染度と、黄染の原因である血液中のビリルビン量の間には、通常は高い相関があります。JM-105ではこの黄染度を、相関のある血清総ビリルビン濃度相当値に換算した値として経皮ビリルビン値をmg/dLという血清総ビリルビン濃度と同じ単位を便宜上使って表示しています。
血清総ビリルビン濃度(Total Serum Bilirubin)はTSBと略されますが、黄疸計で測定されるビリルビン濃度は経皮ビリルビン値(Transcutaneous Bilirubin)であり、TcBと略されます。
TcBとTSBは、通常は高い相関がありますが、それぞれ全く異なるものを測定していますので、JM-105はあくまでTSBのレベルを推定しているだけであり、TSBを測定しているわけではありません。
2. 黄疸計の値(TcB)と採血して測定した血清総ビリルビン濃度(TSB)に乖離があります。故障でしょうか?
Q1で述べた通り、TSBとTcBは全く異なるものを測定しています。
TcBはあくまで皮下のビリルビンによる黄染度を示し、それをTSBとの相関を確認して得られた換算式によって便宜上TSB相当として、同じmg/dLを用いてデジタル表示したものであり、TSBを測定するものではありません。
以下の様な原因によって、経皮黄疸計の値と採血で測定した血清総ビリルビン濃度が乖離する可能性があります。
  1. 採血して測定したTSB自体の誤差
    TSB測定の基準器はHPLC(高速液体クロマトグラフィ)で、黄疸計 JM-103/JM-105もHPLCでの相関を確認しております。
    一方、臨床現場におけるTSB測定はHPLCではなく、比色法、ジアゾ法、酵素法など様々な手段が使われており、それぞれ施設ごとにTSBの差異が存在しています 1)2)
    TSB測定は、採血の手技、採血サンプルの輸送・保管により試料が変化する事があります。その結果、差異が生じる可能性もあります。
  2. 黄疸計の測定手技に由来する誤差
    黄疸計は光学的な測定をしております。測定器の傾きによって受光量に増減が生じる事もあり、それによって測定値が変わる可能性があります。特に、発光した瞬間にすぐ離したり、機器を動かしたりすると誤差が大きくなります。
    測定時に次の2点に注意する事で、傾きによる誤差を軽減できます。

    (1)赤ちゃんの動きが落ち着いていることを確認して、測定プローブが測定部位に対し垂直となるようしっかりと保持し、発光するまでゆっくりと押し込みます。発光した瞬間に機器が動かないように注意してください。

    図1

    (2)単回測定モードで測定を3回行い、3つの表示値の中央値(2番目に高い数値)を選択します。

    図1
  3. 被測定者に由来する誤差
    被測定者に由来する誤差として、下記の3つが挙げられます。

    (1)TSBが急峻に上昇している被験者を測定している場合
    TSBが急峻に上昇している際には、血液中のビリルビンの上昇スピードと皮下組織が黄染されるスピードに乖離が生じます。
    特に、血液中のビリルビンは生後72時間まで急峻に上昇します。この期間はTcBによるトレンド確認が重要です 2)

    (2)測定部位が一定量の光を浴びている場合 光療法では光照射により、まず皮下組織に存在するビリルビンが水溶性物質に変化し体外に排出されるため、TcBの方がTSBより先に低くなります。また、日齢が経過した場合には、自然光を浴びる事で光療法と同じ作用が働き、TcBが低くなります。

    (3)測定部位による誤差
    ビリルビンによる皮下組織の黄染度は、血流分布や組織の黄染されやすさの違いなどで、異なってきます。
    黄疸計では、血流量の多い前胸部(胸骨部)または前額部での測定を推奨しています。
    一方、退院したのち外来での再検査時には、前額部は外光の影響を受けやすくTSBとTcBの相関が悪くなる可能性があります。そのため、外来での使用時には前胸部での測定を推奨します。
    また、TcBによるスクリーニング判断基準を使用する場合には、その基準が作られた測定部位を確認の上ご使用ください。

  4. 黄疸計自体の器差の問題
    黄疸計に限らず測定器には機器毎にいくらかの値のズレがあります。
    また同じ測定器であっても経年変化によって測定値に変化が生じます。安心して使用して頂く為に、メーカーによる年に1度の定期校正を推奨しています。
3. 黄疸計の測定原理は?
  1. ビリルビンの黄色味を2波長域の光学濃度差でとらえる
    新生児の黄疸の原因となっている皮下組織内のビリルビンは、青色の光(中心波長 450 nm)はよく吸収し、緑色の光(中心波長 550 nm)はほとんど吸収しません。黄疸計は、皮下組織に存在するビリルビンの黄色味の度合を、これら2波長域の光学濃度差としてとらえます。
    測定プローブの先端を新生児の前胸部または前額部に押し当てることにより内蔵のキセノン管が発光し、ガラスファイバーを通じて皮膚表面から皮下に照射されます。照射された光は、皮下組織中で散乱・吸収を繰り返しながら後方散乱光として受光側ファイバーに戻ってきます(図1参照)。
    図1
    図1
    皮下組織の黄染度が強いほど青色の光は吸収され、弱くなって戻ってきます。一方、緑色の光は皮下組織の黄染度に関わらず戻ってきます(図2参照)。
    図2
    図2
  2. 血液成分の影響を減弱する測定プローブの仕組み
    一方、皮下組織には血液も通っています。血液中のヘモグロビンは青色も、緑色も吸収するため測定時には測定域での血液成分の影響を除去する必要があります。JM-105ではプローブ(図3参照)そのものが測定スイッチとなっており、皮膚を圧迫し血液成分を測定域から押しのけるまで押し込んだところで発光し血液成分の影響を減弱するように工夫されています。血液成分の影響を減弱したうえで得られた2波長域の光学濃度差は、一定の条件下で同時測定したTSBと比例関係にあります。
    図3
    図3
  3. メラニン色素の影響を抑える2光路方式の採用

    さらに、JM-105の測定プローブの構造として2光路方式を採用しています(図4参照)。この方式により、メラニン色素や皮膚の成熟度などによる影響を最小限におさえて測定することができます。

    2つの光路長の違いによる測定原理は以下のようになります。

    (1)受光側ファイバーへの入射光のうち、組織の浅い部分からの後方散乱光は主にファイバー内芯(短光路側)を、深い部分からの後方散乱光は主にファイバー外芯(長光路側)を通って2波長受光素子に到達する。

    (2)受光側ファイバーへの入射光のうち、組織の深い部分からの後方散乱光は主にファイバー外芯(長光路側)を通って2波長受光素子に到達する。

    (3)短光路と長光路でそれぞれの光学的濃度差が得られ、さらに、その差分を求めることにより、表皮や真皮に共通した部分は差し引かれ、皮下組織部分の2波長域光学的濃度差を求めることができる。

    図3
    図4

  4. 2光路方式は、皮膚の成熟度の差による影響も抑える
    正期産児に対して早産児は真皮の成熟度が低くなります(厚みが薄くなります)が、表皮や真皮に共通した部分の影響は差し引かれます(図5参照)。そのため、実質測定箇所は、正期産児と早産児で変わらず、皮膚の成熟度の差による測定値への影響を最小限に抑えられます。
    図4
    図5
4. 黄疸計 JM-103と黄疸計 JM-105はどこが違いますか?
測定原理や測定光学系は JM-103と JM-105は同一で、測定値には互換がありますが、主な違いは下記の4つとなります。

(1)JM-105では、発光の安定化により、JM-103に比べて単回測定の測定ばらつき(繰り返し誤差)が軽減されました。
※ 同じものを同じように測定しているのに、出てしまう値の差異(=ばらつき)のこと。

(2)JM-105では、JM-103の4.2倍の面積の大型タッチパネルディスプレイを採用し、3回分の測定値を同時に表示する事が可能となりました。これにより、3つの値の中央値(2番目に高い数値)を選択する効率的な測定方法が簡単にできるようになりました。

(3)JM-103のおよそ16倍の速度で急速充電が可能となりました。充電が空の状態から、約2時間でフル充電が可能です。

(4)メモリモードで測定を行う事で、100件(1件あたり最大3回の測定値)の結果を本体に記録する事が可能になりました。

5. チェッカーモードのL, S, ⊿は何を測っているのですか?
JM-105では皮膚表面の深い部分を通った光を測る長光路(Long)と、浅い部分を測る短光路(Short)があり、L及びSはそれぞれの光路の光量を示す値(光量値)です。
長光路(L)、短光路(S)それぞれの光量値から導かれた値が⊿(L-S)であり、これは測定値特性(=TcB)への影響度合いを検査しています。
チェッカーモード

参考文献

1)厚生労働省「新生児黄疸の実態調査」1985; 445-452

2)日本新生児黄疸管理研究会「黄疸計 JM-105の推奨使用法」2021; 1-11

3)Maisels MJ, Ostrea EM, et al: Evaluation of a New Transcutaneous Bilirubinometer. Pediatrics 2004; 113(6); 1628-1635

4)Kuboi T, Kusaka T, Kawada K, et al: Hour-specific nomogram for transcutaneous bilirubin in Japanese neonates. Pediatr Int 2013; 55: 608-611

5)日本医療研究開発機構(AMED)難治性疾患実用化研究事業「早産児核黄疸の包括的診療ガイドラインの作成」班「早産児ビリルビン脳症(核黄疸)診療の手引き」2020; 1-73

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