「日経ニューオフィス賞」を受賞したコニカミノルタがデザインしたオフィス事例をまとめた一冊です。最新のトレンドが知りたい!新しいオフィスのアイデアが欲しい場合などにご活用ください。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、緊急事態宣言が発出された2020年は、多くの企業がテレワークを導入し、新しい働き方が定着した年でもありました。一方で、テレワークを導入してもさまざまな課題があり、従来のオフィスワークに戻ったという企業も少なくありません。しかし、社員満足度の低下や企業イメージの低下の防止策として、またBCP対策の一環としても、課題を解決してテレワークを導入したいと考える企業は多いと思われます。
そこで、テレワークの導入にはどのような課題が挙げられるのか、および課題解決のポイントについて解説します。
テレワーク導入の現状
東京都が2020年4月に行った調査では、アンケートに回答した東京都内の企業(従業員数30人以上)のうち、62.7%がテレワークを「導入している」と回答していました。「今後予定あり」の6.1%も含めると、68.8%もの企業がテレワークに前向きな姿勢を見せていたことがわかります。緊急事態宣言が発令される前の2020年3月に実施された同様のアンケートでは、「導入している」と回答した企業は24%でした。1ヶ月で、実に2.6倍も増加したことがわかります。
企業単位ではなく、テレワークを実施している社員の割合で見た場合、2020年4月調査では平均49.1%の社員がテレワークを実施していました。
テレワークの導入における課題
2020年4月の時点で70%近い企業がテレワークを導入していた一方で、約30%にあたる企業はテレワークの「導入予定なし」であったのはなぜなのでしょうか。総務省公表の「通信利用動向調査(令和元年調査)」に記載されている、企業がテレワークを導入しない理由の内容をもとに、テレワーク導入における課題を以下に解説します。
1位 テレワークに適した仕事がないから(71.3%)
同調査によると、テレワークを導入しない理由としてもっとも多いのは、「テレワークに適した仕事がないから」です。おもに接客業や販売業など、業務内容としてテレワークが不可能な業種が該当します。
2位 情報漏えいが心配だから(22.3%)
機密情報や個人情報の漏えいを懸念する企業は22.3%にものぼり、2番目に多い理由となっています。テレワークに対応できるシステムが導入できない、現在利用中のシステムではセキュリティ上の課題があり情報漏えいのリスクが懸念される、などの理由からテレワークに踏みきれないケースです。
3位 業務の進行が難しいから(21.3%)
情報漏えいのリスクと並んで、20%以上の企業が挙げている理由です。テレワークに対応した業務の立て付けができていないケースで、テレワークの導入には大幅な業務フローの変更が求められるため、すぐに対応できないことが多いのです。
4位 社内のコミュニケーションに支障があるから(10.8%)
顔の見えるオフィスワークとは異なり、相手の状況が見えないことで話しかけるタイミングがつかみづらいなど、社内コミュニケーションへの支障を理由として挙げる企業も10%以上にのぼります。
5位 文書の電子化が進んでいないから(10.1%)
オフィスワークとは異なり、物理的に離れた場所で業務を行うテレワークでは、ペーパーレス化が大前提となります。そのため、電子化が進んでいない場合は社外から書類やファイルにアクセスができず、業務が滞ってしまいます。10%以上の企業がペーパーレス化への対策が進んでいないからと回答しています。
6位 導入するメリットがよくわからないから(9.7%)
テレワークそのもののメリットが理解できていないため、導入に踏みきれない企業も10%近く存在します。メリットがわからないということは、具体的に導入に向けた準備や検討も行われていないことも考えられます。
7位 人事制度導入に手間がかかるから(9.4%)
勤怠管理の方法やテレワーク運用のルールが策定されていない企業も多く、10%近い割合にのぼっています。
そのほかに、「通信利用動向調査」で得た回答ではありませんが、「なんとなくオフィスでなければ業務ができない気がしているから」「オフィスではないとマネジメントできないと感じるから」「上司が出社しているので出社しなければいけない雰囲気があるから」など、心理的な要素が影響している場合もあるようです。
テレワークの課題を解決するために有効なツール
テレワークの導入におけるさまざまな課題を解決するためには、システムやツールの準備といったハード面での対応と、業務フローの見直しや立て付けといったソフト面での対応が求められます。テレワークの導入に失敗する企業のなかには、ハード面の準備や検討にばかり気をとられてしまい、ソフト面での検討や準備が不足しているケースも少なくありません。解決すべき課題を見極め、以下のようなシステムやツールを有効活用し、テレワーク環境を整備しましょう。
クラウド勤怠管理システム
従来のタイムカードによる勤怠管理ではなく、スマートフォンやタブレット、パソコンなどから勤怠の打刻および社員の勤怠状況を確認できるのが、クラウド勤怠管理システムです。テレワークで活用できるだけでなく、出張や外まわりの多い職種の社員も時間や場所を問わず打刻が可能になるため、勤怠管理において非常に有効なツールです。
コミュニケーションツール
ビジネスチャットツールやビデオ会議システムなどは、物理的に離れた場所で業務を行う場合でも、コミュニケーションにかかわる課題を解決できるツールです。業務上不可欠なコミュニケーションの手段として活用することはもちろん、テレワーク社員の孤独感や不安を払拭するために使う方法もあります。
クラウドストレージ
クラウドストレージは、業務に必要なファイルやデータを格納し、複数人で共有できるツールです。アクセス権限を付与することによって、情報にアクセスできる社員や部署を管理できます。また、ビジネス向けに提供されているクラウドストレージは、セキュリティ対策も強固で信頼性が高いという特徴があります。
テレワークに不可欠な「ペーパーレス化」は、クラウドストレージを活用するためにも実施が必要です。ペーパーレス化について詳しくは「今こそ取り組むべき!ペーパーレス化の最新事情と導入のコツ」をご参照ください。
テレワークの課題を解決するために重要なポイント
テレワークの実現に向けた手段や方策以外に、押さえておくべき重要なポイントを3つご紹介します。
現状と理想のギャップを知り課題を網羅的に把握する
ツールやシステムを導入しただけ、または「とりあえずテレワークを始めてみましょう」というスタンスでは、働きやすい環境が整備されずじまいになり、生産性が下がってしまう可能性があります。また企業によっては、社員やマネジメント層の「出社しなければ」という意識を根本から変えることが難しいケースもあるでしょう。
課題を解決するためには、企業がどこに向かっていくのかという道筋を明確にして、それを社員に周知することが求められます。そのうえで、ICTやマネジメント、コミュニケーションなどの課題を網羅的に把握し、ひとつずつ解決していくことが重要です。
テレワークに向けて業務フローの整理・変更を実施する
情報漏えいの懸念や文書の電子化といった具体的な課題を解決するためには、それぞれに対応したツールやシステムの導入が有効です。しかし、それ以前にすべきことがあります。テレワークが可能な業務と不可能な業務を整理したうえで、現在の業務フローがテレワークに対応できる業務フローなのか、必要に応じて業務フローを変更することも検討しなければなりません。
オフィスワークとテレワークの併用を柔軟に検討する
業務フローを検討する場合、たとえば紙ベースでなければできない業務、セキュリティ上オフィス外では行えない業務は、物理的にテレワークの実現が難しいでしょう。
テレワーク一辺倒ではなく、機密情報や個人情報などの厳格な管理が求められる業務はオフィスで行い、そのほかの業務はテレワークに移行するといった方法を検討してみましょう。テレワークに対応した業務フローを検討することは業務の棚卸しにもつながり、業務フローの見直しや効率化が実現できます。
テレワークとオフィスワークとの併用も検討しよう
テレワークが徐々に浸透してきたとはいえ、課題は多く残されています。ツールやシステムの活用によって解決できる課題もあれば、解決が難しい課題もあるでしょう。業務内容によっては、テレワークに対応できずオフィス出社が必須となるケースも出てきます。すべての業務をテレワークに対応させることは現実的には困難なため、テレワークとオフィスワークをバランスよく組み合わせて、組織全体での業務効率化を実現することが求められます。
コニカミノルタでは、現状の課題がわかるテレワーク診断を提供しています。まずは現状の課題をきちんと把握することからはじめませんか?興味のある方はこちらからぜひお問い合わせください。
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