BCP対策としてのテレワーク導入
その有効性と実施の際のポイントを解説

机上にBCPが記された本がある

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毎年のように各地で起こる自然災害や感染症の流行、悪意あるサイバー攻撃など、企業運営にとって避けがたい脅威は数多くあります。事業の継続を守るためのBCP対策は、企業規模を問わず喫緊の課題と言えるでしょう。テレワークはそのなかでも比較的着手しやすく、多様な働き方が推奨される社会にあっては、前向きに検討したい施策です。BCP対策の観点から見たとき、テレワークはどのような有効性があるのでしょうか。ここではBCP対策の基本的な知識とともに、テレワーク実施に向けたポイントをあわせて解説していきます。

BCP対策とは

安全具が並べて置かれている

現代企業には自然災害やテロといった、さまざまなリスクを想定したうえでの運営体制が必要です。どのような状況下でも事業継続を可能とする、BCP対策が大きな課題となります。最初にBCPの基本的な考え方と、その重要性について解説します。

BCP対策の基本    

BCPとは、「Business Continuity Plan」の略語で「事業継続計画」と訳されます。

現代の企業が置かれている立場は、過去と比較しても厳しさを増しています。近年頻発する台風や地震、水害といった自然災害、突発的な大規模停電、またはテロ行為や感染症流行などによって、事業の継続が困難となる可能性は無視できません。

BCP対策とは、こうした状況下でいかに事業を継続、あるいは早期に回復できるかを考え、緊急事態に対して事前に備える取り組みを指します。

あらゆる脅威に対して企業が行うべきは、社員や顧客への影響を抑え、事業への損害を可能な限り軽減しながら、事業の継続と早期復旧を図ることです。このとき、最大の目的となるのは企業の主力となる重要な業務の維持にほかなりません。

BCP対策では、「どうやって」「どのように」事業をいかに早く再開させられるかが主眼となります。

企業におけるBCPの重要性

内閣府発表の2020年版 防災白書」によると、大企業のBCP策定率は68.4%にとどまり、政府が目指していた「2020年までに100%」には、はるかに遠い実態となっています。一方、関東から九州までの広範囲に大きな影響を与えるとされる南海トラフ地震、あるいは日本の中枢機能を直撃する首都直下地震が発生する確率は、今後30年以内で70%といわれています。 

また、2019年から世界中に流行している新型コロナウイルスの影響で、各国の企業は大きなダメージを被っています。加えて昨今の異常気象は、季節を問わず常に企業運営を阻害する要因となり得ます。

現在の企業経営では、取引先や顧客からさまざまなニーズが寄せられ、それに対して迅速な対応が求められます。対応を怠ると、企業の信頼性に関わり、社会的な評価を低下させる元凶ともなります。災害によって自社事業が平常通りの進行が難しい場合でも、こうした企業に対する要求が止むことはありません。事業内容によっては、むしろ一層の対応が求められる可能性があります。

しかし、緊急事態下での事業継続には多くの課題があります。通勤手段が遮断されて出社できる社員数が不足する、設備の稼働が困難になるなどで障害の発生や、通信インフラが不能となれば、社内での連絡経路が失われることになります。そうなると指示系統の混乱が起き、平素からの弱点が大きくクローズアップされるケースも考えられるでしょう。

社会が不穏なときこそ、短時間で迅速に対応できなければ、事業自体の存続が危うくなりかねません。そうした事態への備え、リスク回避を図るためにBCP対策が喫緊の課題となります。

BCP対策の例

企業が実施できるBCP対策の主な例としては、以下のようなものがあります。

  • 分散化
    業務拠点、重要データ、基幹システム、主要物品の在庫などを、本社以外の各地方に分散化させる
  • 代替手段の確保
    自家発電による電力の確保、手動での作業継続など
  • クラウド化
    クラウドサーバーやストレージ、クラウドアプリの活用
  • ネットワークの冗長化
    システム障害の発生に備え、予備装置による全体機能の保全を図る
  • 訓練
    災害、テロなどさまざまな脅威に対する訓練を定期的に行う。社内の危機管理意識を高め、緊急時に各人が行うべき行動を予測する
  • テレワーク
    通勤不可の場合でも平常の業務が遂行できる体制を整備する

自社で着手可能な手段から進め、最終的に統括的なBCPへの体制を整備することが理想的です。

参考記事

BCP対策におけるテレワークの有効性

雨の日に男性がパソコン業務をしている

テレワークは、コロナ禍によって急激に社会に浸透しました。BCP対策のひとつとしても注目されるテレワークですが、どのような点が有効なのかについて確認していきましょう。

物理的な人との距離

テレワークでは社内一か所に集中することなく、社員が自宅やその他の場所でそれぞれの業務を行います。新型コロナウイルスをはじめとする感染症対策においては、職場での感染症クラスター発生の回避策となります。

物理的に人との距離を取ることができ、通勤時の不特定多数との接触回数を低減させられるため、経路不明の感染リスクの抑制につながります。

通勤困難下における業務の継続

自然災害により公共交通機関が使用不可な場合でも、出社せずに業務を継続できます。個々の社員が、本社の状況にかかわらず自分の仕事を進めることが可能です。

重要データの分散化

テレワーク導入に当たり、業務遂行に必要となるデータに外部からのアクセスが可能となる体制が整備されます。これによって、事業に必要となるデータの分散化が自動的に図られます。

平時から緊急時に向けて実施が可能

テレワークは働き方改革の一環としても、国が推奨してきました。平常時でも自社内で部分的に少しずつ試しながら、拡大していくことが可能な施策です。緊急時を想定しながらテレワーク実施の課題を修正しておけば、万一の事態が起きたときでも、冷静に対処ができるようになります。

企業規模に合わせた導入が可能

テレワークへのニーズが社会的に高まり、導入のためのサービス提供も充実してきました。以前よりも比較的コストを抑えながらの導入が可能となっています。

さらに、テレワーク導入への多彩なサービスが提供され、ノウハウのない企業でも導入が容易です。自社の事情に合わせ、無理のないところからの導入を検討することができます。

BCP対策としてのテレワークを考える際に、災害時に取るべき行動を確認したい場合には以下をご覧ください。

参考記事

BCP対策におけるテレワーク実施のポイント

ビジネスマンがチェックボックスを映している

企業によってテレワーク導入の主眼となる目的は異なります。ここでは特にBCP対策の観点から、テレワークを実施する際のポイントを確認します。

中核となる事業の確定

働き方改革への関連や、ワークスタイルの多様性といった目的であれば、テレワークがしやすい部署から徐々に開始していくこともできますが、BCP対策を主とする場合には優先されるべき業務があります。

実施に際しては、緊急時に最も持続・再開が必要な業務は何かを明確にし、可能な限りそこから逸脱しないように進めていかなければなりません。優先すべき業務の洗い出しを行い、テレワークによる緊急時対策の可能性を探っていきます。

テレワークによりカバー可能であることを検証

BCP対策では、最終的には全業務がテレワーク移行となることが理想的ですが、現実的には難しいと思われます。まずはテレワーク対象となる社員の業務が、BCP対策が必要な業務と一致しているかを見極めていく必要があります。

重要な業務だからといって無理やりテレワークに移行し、業務に支障が出るようでは意味がありません。テレワークによるBCPの効果が十分得られるか、平常と同様に成果が上がるのかに着目していきます。

定期的な運用体制の見直し

テレワーク実施後は、現行のやり方で問題がないか実際にテレワークに従事する社員から意見を収集し、定期的に見直しを図ります。具体的には、テレワーク勤務の体制や環境に無理はないか、業務に支障がないかを確認しながら、表出する課題の解決に向けて修正を重ねていくようにしていきます。

テレワークによる業務はBCP対策であると同時に、通常通りの成果が得られ、事業への貢献が見られなければなりません。客観的に評価を行い、順調であれば他業務へのテレワーク拡大を図っていき、BCP対策をより確固としたものにしていきます。

導入後に抱える課題のチェック

すでに、テレワークを導入してみたものの何かうまくいかないという企業が増えてきています。そうした導入後に抱える課題に対して、チェックすべきポイントには以下のようなものが考えられます。

  • ツール先行になっている
    システムやツールの導入にばかり目が向き、現場の業務フローが置き去りになっている
  • 各項目においてギャップを正しく把握できていない
    ICT環境、コミュニケーション、ペーパーレス、マネジメント、ルール策定と運用など、テレワークを取り巻く項目と現状のギャップが認識されていない
  • 企業が目指す目的、働き方とのズレ
    目的・目標が不明確。目的に合わせた優先軸を設定し、課題を整理しながら段階的に検証を重ねつつ実施を進めるというステップのいずれかを怠っている
参考記事

事業の持続性を強化するBCP対策としてのテレワーク

ビデオ会議をしている

テレワークは、多様で柔軟な働き方を実現する施策として以前から注目されてきました。コロナ禍を経て、BCP対策のひとつとしても関心が寄せられています。テレワークにはさまざまなメリットがありますが、BCP対策として導入する場合には、核となる事業を中心とした取り組みにしていく必要があります。テレワーク導入でどの程度のBCP対策効果が得られるか、自社の軸となる事業内容と照らし合わせ、慎重に検討していくことが求められます。

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