障がい者雇用の促進だけでなく、企業成長に貢献。働きがいと事業価値を両立した印刷業務とは

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エヌ・エル・オー株式会社様

従業員数

40名(うち障がい者雇用33名)
(2025年8月時点)

業種

特例子会社(印刷業務、ラベリング業務を展開)

導入目的

特例子会社における印刷業務の
効率化・安全性の向上を実現するため

実現手段

コニカミノルタのオンデマンド印刷機「AccurioPress C4080」と各種オプションを導入

化粧品大手、ロレアルグループの日本法人である日本ロレアル株式会社では、多様性・公正性・包摂性(DEI)の浸透に注力し、障がい者雇用の推進においても先進的な取り組みを続けています。その中核を担っているのが、同社の特例子会社であるエヌ・エル・オー株式会社が運営する「さいわいファクトリー」です。

印刷・ラベリング業務を展開し、現在では年間200万枚の印刷と400万ピースのラベリングを手がける「さいわいファクトリー」では、オンデマンド印刷機を活用した印刷業務の集約によって、従来では避けられなかった印刷コストの増加や品質のばらつきを解決。さらに安全性と効率性を両立したオプション機器の導入によって、多様な社員が安心して働ける環境を実現しています。今回は、現場を統括するファクトリーマネージャーの𠮷田氏、コピーセンターでスーパーバイザーを務める川村氏、印刷業務を担当する伊藤氏に、特例子会社における印刷業務の取り組みについて、お話を伺いました。

課題解決のポイント

導入の背景:点在していた印刷業務を特例子会社に集約

特例子会社が担う役割と,企業のDEI推進。障がい者雇用の可能性を広げる印刷業務

化粧品業界の世界的なリーディングカンパニーであるフランス発・ロレアルグループにおける日本法人、日本ロレアル株式会社。1963年から日本で事業を展開し、多様性・公正性・包摂性といったDEIの浸透に長年取り組む同社において、障がい者雇用に取り組む特例子会社が、今回お話を伺ったエヌ・エル・オー株式会社です。

同社では多様な人材による新たな業務分野として2009年に印刷部門を立ち上げ、翌2010年にはラベリング部門を新設。2025年現在は、年間200万枚の印刷業務と400万ピースのラベリング業務を、神奈川県川崎市の幸区にある「さいわいファクトリー」で手がけています。特例子会社の中核事業のひとつとして印刷業務とラベリング業務を選択した背景について、ファクトリーマネージャーの𠮷田氏に伺いました。

「印刷部門設立以前の日本ロレアルでは、本社各部署が個別にオンデマンド印刷機を保有し、それぞれの担当者が印刷業務を行っていたのですが、この分散型の体制では、機器の維持管理コストが高く、業務効率にも課題がありました。そこでコピーセンターとしての役割を担う、私たちの印刷部門で業務を集約することにより、コスト最適化と質の高い印刷物の提供が可能になったのです。また現在では、身体・知的・精神と様々な障がいを持ったスタッフが一緒に働いています。受け持つ案件ごとに、印刷からその他加工作業も含め一連の業務を、スタッフ各自が責任をもって担当するやり方が、多様な障がい種別を持った人々が一緒に働くことを可能にしています。

ラベリング業務は、製品やサンプルに日本語表記ラベルを貼り付けるといった反復的で集中力が必要な作業であり、そういった作業を得意とする知的で職業的重度のスタッフが多いため、作業工程を細かくわけて、各スタッフができる作業を進めるというやり方をとっています。それぞれの部門で、スタッフの特性にあわせた仕事のやり方を選択していることが、長く安心して働ける職場つくりにつながっていると思います」(さいわいファクトリー 𠮷田氏)

さいわいフォクトリー ファクトリーマネージャー𠮷田氏の写真
さいわいファクトリー ファクトリーマネージャー 𠮷田氏

現在の「さいわいファクトリー」では、さまざまな印刷物を取り扱っています。美容室やドラッグストア向けのパンフレットや製品説明書、キャンペーン企画書、納書、チラシ、PR発表会資料、ドラッグストア向けPOP広告、皮膚科向け広告物、ポイントカードなど、顧客向けから社内向けまで幅広い印刷ニーズに対応していることが特徴です。特に顧客向けのパンフレットやチラシが全体の約半分を占め、日本ロレアルにおける営業活動の重要な支援ツールとなっています。

業務の効率性と安全性を両立する。多様な人材の働きやすさを追求した印刷業務

「さいわいファクトリー」の印刷業務では、業務の流れを効率的に設計していることが特徴です。日本ロレアル社内から専用メールボックス宛に印刷の依頼文とデータが送信され、「さいわいファクトリー」の社員がデータ到着順と納期を考慮して印刷を開始します。印刷完了後は封入・発送まで行い、依頼者に完了報告をメールで送信するという流れです。印刷業務における特例子会社ならではの配慮と工夫について、𠮷田氏は「社員が安心安全で働ける環境の整備を最も重視している」と話します。

「障がいの種類や程度に応じ、個別の配慮を徹底しています。たとえば聴覚障がいのある社員に対しては、視覚的な情報伝達手段の充実や、必要に応じて代理での電話対応を行っています。また入社間もない社員に対しては、いきなり全業務を任せるのではなく、アッセンブリ作業から始めて少しずつ印刷業務全体を習得できるような流れです。

さらに物理的な環境整備も徹底しています。整理整頓の徹底はもちろんのこと、段ボール入りの大量の紙束のような重量物の取り扱いに関しては台車を活用するなど、怪我や事故防止のための基本的な対策を講じています」(さいわいファクトリー 𠮷田氏)

その他にもEHS(Environment, Health & Safety)担当者を配置し、作業場の視界を確保する観点からオンデマンド印刷機の高さまでしか用紙を積まない、避難口前には物を置かないなどの安全チェックを定期的に実施しているそうです。また、印刷業務における騒音対策も、「さいわいファクトリー」が住宅街に位置することから重要な課題として取り組まれています。オンデマンド印刷機の稼働音に対して、吸音壁や防音性の高い扉の設置など、物理的な対策を講じています。

導入の効果:業務の効率化と品質向上、そして安全性の確保を実現

オンデマンド印刷機とオプションの導入で効率化を実現。多様なニーズに高クオリティで応える

さいわいファクトリー コビーセンター伊藤氏の写真
さいわいファクトリー コピーセンター 伊藤氏

「さいわいファクトリー」の印刷業務を支えているのが、オンデマンド印刷機「AccurioPress C4080」や、トリマーユニット「TU-510」といった各種オプションです。印刷機の選定においては、印刷速度や品質、サポート体制、コストパフォーマンスなどが重視されました。特にコピーセンターで印刷業務に取り組む伊藤氏が評価しているのが、トリマーユニット(断裁機能付き多機能ユニット)です。

「従来は手作業で行っていた余白のカットや断裁作業を自動化できたことで、作業効率と生産性が大幅に向上しました。A3用紙にA4サイズを面付けして印刷コストを半減させたり、4枚分のA5サイズのデータを、SRA3サイズの用紙に面付けしたりと、コピー用紙のコスト削減も実現できています。さらに手作業ではどうしても避けられなかった断裁位置ずれや品質のばらつきも解消されました」(さいわいファクトリー 伊藤氏)

トリマーユニットだけでなく中綴じユニット「SD-506」も活用されており、小冊子タイプのパンフレット制作も内製化が可能になっています。これまでは外注されていた発表会用の資料なども、印刷後に中とじし、同時に余白のカットまで完了できるようになり、日本ロレアルからの要望により幅広く応えられるようになりました。

また、自動品質最適化ユニット「IQ-501」も採用いただいており、印刷物の紙面内にある異常を検知、自動で分析することも可能になっています。これによって印刷の準備と実行段階の色調整や表裏の位置合わせが自動化され、従来は目視と手動で調整していた作業を効率化できました。さらに社員個人の技能差に左右されず、安定した印刷品質の維持が可能になっています。

AccurioPress C4080の写真
AccurioPress C4080

ポイントは安全性の向上とリスク軽減。高品質と短納期が印刷需要の維持・拡大を実現

印刷業務におけるオンデマンド印刷機の導入が「さいわいファクトリー」で働く社員のモチベーション向上にも貢献していると話すのは、コピーセンターのスーパーバイザーとして業務全般を管理する川村氏です。

「印刷業務全般の自動化・効率化によって、以前よりも幅広い依頼に対応できるようになり、その結果、日本ロレアルの社員から感謝の声が届いています。たとえば、印刷業務が完了した際に送信する報告メールに対して、多くの依頼者から感謝の返信メールを受け取っています。こうした一つひとつの声が、社員の働きがいにつながっていると実感しています」(さいわいファクトリー 川村氏)

幅広い依頼に対して高品質・短納期で応えられるようになったことで、日本ロレアルからの印刷需要の維持・拡大を実現しています。また、オンデマンド印刷機のオプションであるトリマーユニットの導入によって、作業者の安全性向上も実現しました。危険を伴う手作業を機械化できたことで、労働災害のリスクを大幅に軽減しています。こうしたトリマーユニットの導入前後では、弊社の担当者よりサポートサービスをご提供させていただきました。

さいわいファクトリー コビーセンター スーパーバイザー川村氏の写真
さいわいファクトリー コピーセンター スーパーバイザー 川村氏

「私たちの質問にもすぐにご回答いただき、手厚いサポートを受けられました。『〜〜のような印刷を試みたが、思っていたような仕上がりにならない。どうすればよいか?』といったご相談を何度もさせていただき、そのたびに助かっています。他にも現場の作業が楽になるような機器の工夫などもご紹介いただいたことで、現場が安心してオンデマンド印刷機をフル稼働できています」(さいわいファクトリー 川村氏)

今後の展望:環境の変化や働き手の多様化にあわせ、業務改善を継続

多様な社員が、共に働く環境。常に印刷業務のあり方を見直し、改善し続けていく

「さいわいファクトリー」では今後の展望として、業務の多様化を掲げています。2025年には精神障がいを有する社員を雇用し、身体障がい、知的障がい、そして精神障がいと多様な社員が同じ空間で働く環境となったことで、一人ひとりの個性に対応し、適切な指示を出せるようなスキルがこれまで以上に重要となるそうです。コピーセンターの業務についても、現在進行系で見直しが進んでいると伊藤氏は話します。

能書(印刷業務)と試供品(ラベリング業務)の写真
能書(印刷業務)と試供品(ラベリング業務)

「現在のコピーセンターでは、一人の社員がメール受信から納品まで全工程を担当する体制を取っています。しかし、スキルレベルの異なる社員の受け入れや、将来的な人材交流を考慮し、業務の分担方法を環境の変化に合わせて見直していきたいと考えています。

また技術面でも、印刷に関連した業務の拡大を目指しています。現在はA3サイズまでの印刷対応が中心ですが、機器の入れ替えによって長尺用紙にも対応するなど、日本ロレアルの需要を幅広く受け入れる体制の拡大と、業務リソースの確保を図っていきます」(さいわいファクトリー 伊藤氏)

「さいわいファクトリー」におけるオンデマンド印刷機の活用は、多様な人材が活躍する特例子会社における印刷業務のモデルケースです。効率的かつ高品質な業務の実現にとどまらず、安心して力を発揮できる職場づくりに貢献しています。さらに企業のDEI推進の象徴としてだけでなく、グループ全体の成長を支える「価値創出の拠点」としての役割をさらに強めていくことが期待されています。

コニカミノルタのオンデマンド印刷機は、障がいのある社員が安心して働ける業務環境の構築に最適です。分かりやすい作業手順や労働災害のリスクを最小限に抑える安全性を兼ね備えています。障がい者雇用における事業の価値を高めるパートナーとして、ぜひコニカミノルタにご相談ください。

お客様プロフィール

エヌ・エル・オー株式会社 様

さいわいフォクトリーのロゴの写真

名 称

エヌ・エル・オー株式会社

住 所

神奈川県川崎市幸区塚越3-380

従業員数

40名(うち障がい者雇用33名) ※2025年8月時点

導入した製品について

AccurioPress C4080の写真

AccurioPress C4080

すべての人が安心して活躍できる環境を目指して、コニカミノルタはお客様の声をもとに印刷現場の課題解決に取り組み続けています。
特別な知識や経験がなくても高品質な印刷物を安定して生産できる環境を整えることで、誰もがいきいきと働ける印刷現場づくりを支援します。