科学的介護推進体制加算(LIFE加算)とは?
算定要件と運用の注意点

2026年1⽉23⽇

「科学的介護推進体制加算(LIFE加算)は取りたいが、日々の記録業務に追われて余裕がない」「データ提出はしているものの、厚生労働省からのフィードバックを活かしきれていない」。そんな悩みを抱えている介護事業者は少なくありません。特に、介護記録を手書きやExcelで行っている施設では、科学的介護推進体制加算の運用が大きな負担になっているようです。

この記事では、科学的介護推進体制加算の制度概要や算定要件、運用におけるつまずき、そしてICT化による業務改善のポイントを解説します。

科学的介護推進体制加算(LIFE加算)とは、厚生労働省による介護報酬の加算制度

科学的介護推進体制加算(LIFE加算)は、介護事業者が利用者ごとのデータをLIFEに提出し、そのフィードバックをもとにケアを改善することを求める加算制度です。2021年の介護報酬改定で新設され、客観的なデータに基づく介護の実現を狙いとしています。

ここでは、科学的介護推進体制加算の目的や対象サービス、最低限必要な要件などについて見ていきましょう。

加算の目的と対象サービス

科学的介護推進体制加算の目的は、科学的根拠にもとづいて介護の質を高めることです。国が利用者の状態変化をデータとして蓄積・分析し、介護事業者は全国平均のデータなどと比較しながらケア内容を具体的に改善していくことができます。

科学的介護推進体制加算の対象は、特別養護老人ホームや介護老人保健施設といった施設系サービスが中心です。通所リハビリテーションのような一部の通所・居住サービスも対象となっていますが、記録をデジタルで管理できる体制が前提となります。

科学的介護推進体制加算の要件

科学的介護推進体制加算は、LIFEにデータを提出しただけでは要件を満たしません。厚生労働省からフィードバックされたデータの活用も必須です。科学的介護推進体制加算の要件は大きく3つに分けられます。

<科学的介護推進体制加算の要件>

・施設利用者全員分のデータをLIFEで提出する

・厚生労働省からのフィードバック結果を分析し、ケア内容へ反映する

・会議記録やケアプラン変更履歴など、LIFEのデータを活用した記録を残す

紙やExcelで介護記録を運用している介護事業者では、この一連の作業がすべて手作業となります。科学的介護推進体制加算は、3ヵ月に一度の提出が必要なため、その作業に丸1日かかってしまうケースもあるでしょう。また、紙やExcelでの運用は、転記ミスのリスクも高くなってしまいます。

科学的介護推進体制加算(I)と科学的介護推進体制加算(II)の違い

科学的介護推進体制加算には「科学的介護推進体制加算(Ⅰ)」と「科学的介護推進体制加算(II)」の2種類があります。それぞれの違いは下記のとおりです。

<科学的介護推進体制加算(I)と科学的介護推進体制加算(II)に必要な対応>

科学的介護推進体制加算(Ⅰ):利用者のADL(日常生活動作)や栄養状態、認知機能などの基本データを提出
科学的介護推進体制加算(II):加算Iに加えて施設利用者の疾病や服薬情報など、より詳細なデータを提出

科学的介護推進体制加算(II)には、より詳細なデータ管理と分析体制が求められます。なお、特別養護老人ホームや地域密着型特別養護老人ホームについては、服薬情報の提出は任意となっています。

加算運用が「形骸化」してしまう理由

科学的介護推進体制加算は、正しく運用すればケアの質が高まる仕組みです。しかし現場では、データを提出すること自体が目的化し、本来必要なPDCAが機能していないケースも見られます。ここでは、加算運用が形骸化してしまう主な要因を見ていきます。

PDCAが回らない

介護ケアのPDCAを回せない現場はまだまだ多いようです。しかし、科学的介護推進体制加算は、「フィードバックを活用し、計画書や機能訓練などの見直し、サービスの質の管理を行うこと(PDCAサイクルの運用)」が算定要件に入っています。
LIFEによって厚生労働省から得られるフィードバックは、利用者の状態変化や全国平均との比較を数値やグラフで示しています。ただ、これを読み取って改善行動に結びつけるには相応の体制が必要です。

例えば介護データを紙やExcelで運用している介護施設では、「フィードバックの内容を見てもわかりづらい」「忙しくて活用できない」といった課題が発生し、データ提出のみしか行えないケースもあります。
3年ごとに介護報酬は改定されるため、どの介護事業者もフィードバックを読み解いてケアに活かすという本質的な目的に立ち返ることが、今後ますます重要になるでしょう。

手書き・手入力の非効率な業務

紙やExcelで介護記録を運用している介護事業者は、それらの介護記録をCSV形式に転記する作業が必要です。しかし、転記の際にミスがあれば、LIFEからのフィードバックを正確に得られません。

さらに、手書き記録は共有や振り返りが難しく、サービス担当者会議での分析や意思決定の遅れを招きます。ICT化されていない介護現場では、科学的介護推進体制加算の意義そのものが感じられにくくなるでしょう
このような状況が続くと、「科学的介護推進体制加算の運用は手間ばかりで、メリットが感じられない」という空気が現場に蔓延し、制度そのものが形骸化してしまうかもしれません。

活用の証拠を効率的に残せない

科学的介護推進体制加算では、データの提出だけでなく「データ活用の証拠」も求められます。指導や監査では下記のような記録が監査時に確認される可能性は高いです。

<指導や監査で求められるデータの例>

・サービス担当者会議やケアカンファレンスの議事録
・ケアプラン・アセスメントの見直し履歴
・フィードバック内容に対する改善アクションの記録

手書きやExcelでこれらの記録を残している場合、記述内容や様式が属人化しており、情報共有が困難となっているケースもあるようです。
なお、介護記録ソフトを導入し、介護現場をICT化すれば、こうした履歴を自動で残せるため、監査対応の負担を大幅に軽減できます。

ケアプランについては、こちらの記事「ケアプラン文例はどう書く?第1表・第2表の役割とニーズ別の具体例」でも詳しく解説しています。

アセスメントシートについては、こちらの記事「アセスメントシートとは?厚労省の課題分析標準23項目と書き方を解説」でも詳しく解説しています。

なぜ介護記録ソフトが必要なのか

科学的介護推進体制加算を継続的に運用するには、介護記録ソフトによるICT化が不可欠です。
たとえば「ほのぼの」シリーズのような介護支援ソフトでは、日常の記録を入力するだけでLIFE提出用データが自動作成され、報告・分析・フィードバック活用がスムーズに行えます。

ICT化は介護記録の転記や集計の手間を減らすだけでなく、データの正確性も向上させます。
介護記録ソフトがあると、どのように労働生産性の向上や、経営の安定化に貢献するか見ていきましょう。

介護現場のICT化は労働生産性の向上をもたらす

介護現場のICT化は、現場改革の手段であり、結果として労働生産性の向上をもたらします。ICT化によって記録作業が短縮すれば当然、労働時間に余裕がもたらされます。その余った時間をケアやカンファレンスに充てることで、介護サービスの質は高まっていくでしょう。

深刻な人材不足解消と経営安定化に貢献する

介護記録ソフトが必要な理由は、深刻な人材不足解消と経営安定化につながるからです。

介護現場の多くは慢性的な人材不足という課題があり、業務の属人化や非効率な作業によって職員にかかる負担が大きくなっています。結果として離職率が高まり、人材が集まらない負のスパイラルに陥ることになります。

そういった職場環境は、ICT環境に慣れた若い世代に敬遠されることもあり、ICT導入が遅れている介護事業者は採用活動で苦戦しているのが現状です。

また、介護事業者では「職員の人員配置基準(例:入居者3人に対し、介護・看護職員1人以上)」を満たすことが入所者の受け入れ要件となるため、人手不足は定員割れによる収益悪化や行政処分のリスクに直結するおそれもあります。

こうしたリスクを回避し、安定的な施設運営を実現するためにも、ICT化による業務の効率化と職場環境の改善は不可欠です。

補助金活用も検討できる

ICT導入の課題としてはコスト面の懸念が挙げられますが、国や自治体による補助金制度を活用すれば、それらの導入費用を抑えることもできます。
厚生労働省が管轄する「介護テクノロジー導入支援事業」など、ICT機器の導入などにかかった費用を国が補助する制度の利用も検討しましょう。

手書き運用からの脱却方法

手書きやExcelによる介護記録の運用をしている介護事業者がICT化に踏み切る際は、課題の整理と外部支援の活用がカギとなります。

ここでは、手書き運用からの移行を成功させる例として、課題の整理と外部サービスの活用の2つの脱却方法を解説します。

ICT導入への課題をまとめる

ICT導入の課題をまとめておくと、手書き運用から抜け出すための糸口になることもあります。例えば、下記のような課題は多くの介護事業者に共通しているため、自事業所が該当しないか確認してみてください。

<ICT導入課題の例>

・ITスキルへの不安:高齢職員など、ICT操作に慣れていない層が抵抗感を抱きやすい

・コスト面の懸念:システムや機器導入費用が負担になる

・導入期間:稼働まで3~6ヵ月かかる場合もあり、現場の手順の調整が必要

上記のような課題は、必ずしも解決できない課題ではありません。ICT導入期間に作業の変更に慣れていけば「操作が簡単になった」「情報共有が楽になった」といった成果を実感しやすい分野でもあります。

手書き運用から脱却する際は導入課題を明確にし、続いてその課題を外部サービスに共有していきましょう。

外部サービスを利用する

手書き運用から脱却するには、外部サービスを利用するのが近道です。現場の記録効率化や科学的介護推進体制加算への対応、職員の働きやすい環境づくりを同時に実現するには、専門知見を持つパートナーとの連携が不可欠ともいえます。

外部サービスを導入する際は、単なるツールの導入で終わらせず、「業務改善の仕組みづくり」まで支援してくれる企業を選ぶことが大切です。例えば、コニカミノルタジャパン株式会社では、介護記録ソフト導入から定着支援、補助金申請サポートまで一貫して伴走支援しています。幅広いラインナップから課題の解決に必要なツールやサービスを適宜ご用意します。

科学的介護推進体制加算の安定運用にはLIFE完全対応システムを活用しよう

科学的介護推進体制加算を正しく運用するためには、LIFE対応の介護記録システムの導入が不可欠です。
たとえば「ほのぼの」シリーズなら、ケア記録から提出データの作成、フィードバック活用までを一元管理でき、科学的介護推進体制加算も安定して運用できますので、「ほのぼの」シリーズの公式サイトをご覧ください。

LIFEの使い方については、こちらの記事「LIFE(科学的介護情報システム)とは?目的と使い方を詳しく解説(リンクを挿入)」でも詳しく解説しています。

なお、コニカミノルタジャパンは、ケアプラン作成をはじめとした介護現場の業務を支援するソリューションを多く提供しています。介護業界の課題と改善のヒントが詰まった資料もご用意していますので、ぜひご覧ください。

介護施設の業務改善ガイド
現場の声から⾒える課題とデジタル活⽤のヒント集

人材不足や業務負担の軽減、ICT・DX活用による効率化、スタッフ教育や補助金活用まで、トータルで支援する具体策をご紹介

記事監修

コニカミノルタ 金子史歩

藤野 雅⼀(富津市天⽻地区地域包括⽀援センター センター⻑)
保有資格:社会福祉⼠、介護⽀援専⾨員

淑徳大学社会福祉学部卒業後、障害者支援施設に通算17年間、高齢者関連事業所に通算11年勤務。2017年より千葉県の高齢化率40%を超える過疎地の地域包括支援センターでセンター長を務める。2024年4月から2025年3月まで、月刊『ケアマネジャー』(中央法規出版)にて「障害福祉サービスから介護保険サービスへの移行」等をテーマに連載記事を手がける。

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