コニカミノルタウイズユーが実践する“印刷×協働”の現場づくり

コニカミノルタウイズユー株式会社様の導入事例です。

コニカミノルタウイズユー株式会社様

従業員数

184名(うち障がい者雇用 131名)
(2025年4月時点)

業種

印刷業務、複合機のメンテナンス、BPO業務など、
多岐にわたり事業を展開

導入目的

誰もが安心して仕事に取り組める環境を目指す

実現手段

充実した制度と、スキルレスな機械やシステム
導入による働きやすい職場づくり

コニカミノルタウイズユー株式会社(以下、ウイズユー)は、「障がい者雇用」の促進と安定を目的とし、「協働共生カンパニー」を目指して2013年11月に特例子会社として認定された、コニカミノルタグループの一員です。
障がいを乗り越えて、いかに「協働」を実現するかを実際に現場で働くメンバーと、彼らをサポートする指導員にお話を伺いました。

課題解決のポイント

導入の背景:継続性と発展性を持たせた「障がい者雇用」への取り組み

メンバーが安心して働ける職場づくり

安心して働ける職場づくりについて、メンバーの指導員をつとめる菊池様は以下のように考えられています。
「弊社のメンバーには知的障がいのある方が多いので、例えば身体が不自由な方向けのスロープをつけるといった物理的な配慮よりも、安全面における注意喚起や予定の見える化、徹底したマニュアル管理など、システム面でのサポートに重きを置いています。
また、障がいの特性上、先の予定が見えないことで不安を感じやすい方も多いので、掲示物やホワイトボードを活用して予定をすぐに確認できる環境を整えています。実際の作業では、マニュアルやチェックシートを細かく用意して、業務中における判断の負担をできる限り軽減する、どうしても体調や気持ちに波がある方のために1人になって休憩や作業ができる場所を用意する、業務内容によってはリモートワークの選択も可能にするなど、様々なケースに備えて工夫をしています。」

さらにウイズユーでは「障がい者雇用」に、より継続性と発展性を持たせるためジョブローテーション制を採用しています。その狙いについて菊池様は、次のように続けます。

「ジョブローテーションは、環境が変わってしまうことが得意ではないメンバーにとってはハードルがかなり高く、向いている業務で固定する方が良いのかもしれません。しかし、あえてたくさんの経験を積んでもらうことにより、メンバーの強みや可能性をもっともっと引き出せるのではないかと考えています。」

メンバーが安心して働ける職場づくりについて語る事業推進1部の菊池様
事業推進1部プリンティンググループ 菊池様

実際にウイズユーではジョブローテーションを実践しながらも、2017年以降、メンバーの定着率が95%を下回ったことはありません。
この高い数値を実現させているものは何なのか、同じく指導員をつとめる中塚様は、次のように分析します。

「業務自体は定型のものが多く、繰り返しできて覚えやすい内容ではありますが、その中でも特に コミュニケーションは大事にしています。メンバーにはそれぞれ担当の指導員が充てられ、定期的に面談が行われます。また、人事グループや産業医からもフォローが入るので、担当指導員がキャッチアップできない部分も拾い上げることが可能です。研修期間を終えた後も、社会人として働き続ける上で必要なブラッシュアップ研修など、メンバーに対する研修体制が充実しており、そういったところが定着率の高さにつながっているのかもしれません。」

実際に働いているメンバーはどのように感じているのでしょうか。ウイズユーで「働く」ということについて、プリンティンググループで印刷業務に従事するメンバー2名にお話を伺いました。

「特に意識はしたことはないのですが、入社して働きはじめてから、あっという間に10年が経ったことに自分でも驚いています。諦めないでここまでやってきたことが自信にもつながりました。今では後輩やほかのメンバーに自分が仕事を教える機会も増えてきて、責任も感じますし、ちょうど頑張り時かなと思っています。」(村田様)

「私は高校までは一般校に通っていたので、特別支援学校などで提供される実務寄りの教育を受けていたわけではありません。そのため最初は不安でしたが、入社してみると研修やサポート体制が手厚く、指導員や先輩メンバーにもかなり助けていただいたので、今では楽しく働くことができています。自分に合っていると感じる“印刷業務”に就いているというのも大きいですね。」(西村様)

現場での様子を語る村田様と西村様
事業推進1部プリンティンググループ
写真左から西村様、村田様

2人は入社後3年間のジョブローテーションを経てプリンティンググループに本配属となり、そこからは異動もなく業務を続けてきたとのことです。
コメントからも、立場や感情の変化があったことが分かります。

導入の効果:全員が戦力化できる、印刷現場の工夫

印刷業務のやりがいにつなげる

西村様が所属するプリンティンググループは、コニカミノルタおよびグループ社内外の名刺、マニュアル、各種パンフレットなどの印刷・製本を行っています。印刷業務はウイズユーの設立当初から社史管理や園芸作業とともに存在してきた業務です。近年の「障がい者雇用」では、雇用率だけでなく事業貢献も求められる傾向がありますが、設立以来、 順調に売り上げを伸ばしており、同社の主戦力部門にまで成長しました。

その背景には、誰でも簡単にプロ品質の仕上がりを実現できる印刷機を提供するメーカーであるコニカミノルタだからこそ、その活用方法について理解しているという強みがありました。
メンバーが印刷業務の中でどのようなことに気を付けているかを、次のように話していただきました。

AccurioPress C4080の写真
導入されたAccurioPress C4080

「印刷業務は専門用語も多いですし、最初は少し大変な部分もありました。ただそうした点については 回数を重ねることで克服できますし、いざやってみると操作は簡単で、むしろ自分であんなに大きなプリンターを操作しているということに感動しましたね。今は教える立場になって、今度は専門用語をどう言えば伝わるのか、模索しながらなんとかやっています。たまに自分でも忘れてしまうときがあるので、指導員に助けていただきながら取り組んでいます。」(村田様)

製本した印刷物を検品する村田様
製本した印刷物を検品する村田様

「特に納期前は、“間に合わせようとして品質を落としてしまわないように”と日々気を付けています。品質が良くないものは、信頼を損ねることにもつながります。ですので、作業者と検品者で常にダブルチェック。改善点が見つかるたびに試行錯誤し、確認フローもアップデートされ続けています。

ウイズユーの業務でいうと、例えば園芸作業は1日のノルマは決まっていますけど納期はありません。その点、印刷には必ず納期があります。クオリティーを落としてもいけないし、チェックもあるし、忙しいときに限ってイレギュラーが起きたりします。ただ「品質」と「納期」があることで、それが目標になっていることも事実です。多い仕事量をやっと発送まで終えたときは、すごく達成感があります。そうした点に、この仕事のやりがいを感じますね。」(西村様)

設定した印刷内容を確認する西村様
設定した印刷内容を確認する西村様

印刷業務と「障がい者雇用」の親和性

プリンティンググループは、ウイズユーの設立時点ですでに存在していたCRD(企業内印刷室)がそのまま特例子会社になるという形で立ち上がりました。その背景には、障がいがあるメンバーに取り組んでもらう業務として、印刷は相性が良いという側面もあります。
指導員の菊池様は親和性の高さについてこう話します。
「印刷業務は基本的に繰り返しの作業が多いです。障がいの特性上、一つのことに 抜群の集中力を発揮する方も多いので、そういった方たちに向いている業務だと思います。西村さんと村田さんは細かいところによく気がつきますし、印刷後の検品というところでも強みを活かしてくれています。」

名刺発注システムでさらなる業務効率化

さらに指導員とメンバー両方の負担を軽減するシステムがあります。それはコニカミノルタジャパンが提供している、名刺印刷を効率化するクラウド型サービス「Epri(イイプリ)」をはじめとした、名刺の受発注システム。
どのように効率化を実現したのか、担当の中塚様に伺いました。

「印刷物が出来上がるまでには、お客さまから指示をいただき、校正データを作って、それを校了するまでやり取りをする印刷前工程があります。このフローは複雑で、メールが何往復にもなったり、電話で直接確認したりすることも少なくありません。こういった工数が、システムを導入したことで大幅に削減されました。
お客さまご自身で注文内容を入力し、その内容をシステム上でご確認いただけるため、発注の時点で既にお客さまの確認が完了している状態になります。使用する紙や印刷枚数など、指示書も簡単に出力できるようになっていて、指導員だけではなくメンバーもすぐに把握できるようになりました。あとは決められた手順通りに印刷・断裁・加工を 行い、検品・箱詰めをして、伝票をつけて発送。フローに沿って操作すれば全てが完結します。」

名刺発注システムで業務効率が図れている状況を語る中塚様
事業推進1部プリンティンググループ 中塚様

こうした仕組みは、コニカミノルタグループが長年蓄積してきた印刷分野のノウハウと、誰もが取り組みやすいように工夫されたシステム導入によって実現されたものです。印刷業務における工程の可視化や手順の平準化はメンバーが安心して働ける環境を作り、彼らの丁寧かつ正確な作業は品質向上に貢献しています。こうした業務と人財の親和性こそがプリンティンググループの強みであり、事業の持続可能な成長を支えています。

今後の展望:事業貢献につながる可能性を広げた「印刷業務」

スローガン「BEYOND」に込められた想い

協働共生カンパニーを目指して、会社として掲げたスローガンが「BEYOND」。この言葉には、どのような想いが込められているのでしょうか。
最後に、代表取締役社⻑の築澤様にお話を伺いました。

「障がいの有無に関係なく、慣れていて快適な環境から抜け出さないと、人はなかなか成長できません。
そんな中で弊社のメンバーは非常に高いポテンシャルを持っているので、このままではもったいないと感じる場面が多くあります。能力のある人たちをこのままにして良いのだろうか。ポテンシャルの高い人には、より成長する機会を提供したい。それをどう言葉で伝えるべきかを考えたときに“BEYOND”というキーワードが適していると考えました。」

ウイズユーの実績から「障がい者雇用」は社会課題の解決のみならず、事業貢献にもつながり得るものだということが見えてきました。
また、その可能性を広げるものの一つが「印刷業務」と言えるでしょう。

会社のスローガン「BEYOND」に込められた思いを語る代表取締役社長の築澤様
代表取締役社長 築澤様

コニカミノルタウイズユーとコニカミノルタジャパンの共創活動

コニカミノルタウイズユーは、グループ販売会社であるコニカミノルタジャパンと協働し、『お客様の「はたらく」を豊かにし、未来につなぐ』活動の支援を行っています。両社の共催で、ウイズユーの実践経験から得たノウハウをわかりやすく紹介する無料ウェビナーや、実際の業務風景を見学できる職場見学会を定期的に開催しています。また、これまでご要望の多かった、業務を体験しながら実践的なノウハウを学べる『印刷業務体験研修サービス』も開始予定です。

今回ご紹介した印刷業務をはじめとする多様な業務を通じて、コニカミノルタウイズユーは「障がい者雇用」の可能性をさらに広げ、社会課題の解決と事業貢献の両立を目指しています。

お客様プロフィール

コニカミノルタウイズユー株式会社 様

コニカミノルタのロゴマーク

名 称

コニカミノルタウイズユー株式会社

住 所

東京都八王子市石川町2970
コニカミノルタ東京サイト八王子

従業員数

184名(うち障がい者雇用 131名)
(2025年4月時点)

導入した製品について

名刺受発注システム イイプリのロゴマーク

名刺受発注システム イイプリ

イイプリはクラウド型のWEB名刺受発注システムで、多くのECサイトと同様にインターネットに繋がる環境であれば、いつでもどこからでも操作が可能です。
全国にスタッフを抱えるような法人の名刺も、PCやタブレットから、ブラウザ上で名刺の印刷内容の編集からプレビュー確認、発注まで操作ができます。