公開日2025.11.12
【導入事例】 進和ラベル印刷株式会社 様
多品種小ロット製造にデジタル印刷機を有用
積極的な設備投資で効率化推進 AccurioLabel 230は化粧品分野へ
※本記事は、ラベル新聞2023年10月15日号に掲載された内容をもとに構成しています。
進和ラベル印刷株式会社(山形県上山市蔵王の森、晋道純一社長、TEL 023-672-7577)では現在、多品種小ロットや高品質、短納期へのニーズ対応を目的に、電子写真(EP)方式のデジタル印刷機を設備。人手不足や関連資機材の価格上昇などさまざまな課題に直面するラベルの製造現場にあって、オペレーターの負担軽減や利益率向上を図るなど、生産体制の強化に努めている。製造するラベルの需要動向とニーズ対応、デジタル印刷機の稼働状況について、笹原健司取締役製造本部長と制作課の太田岳秀リーダーに話を聞いた。
製造するラベルの需要分野と昨今のニーズ動向について説明を
笹原様 製造するラベルの6割が食品で、当社の主力分野といえます。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大にあってラベル需要の停滞が懸念された中でも安定した受注を得るなど、当社の厳しい期間を支えました。それに続くのが化粧品分野で、近年は順調に売り上げが伸長しています。ニーズ動向として、高品質への要望は継続している状況です。化粧品はもとより食品用途のラベルでも、色味などの観点で高いレベルでの安定品質を求められます。
また多品種小ロット化の要望が顕著。当社で製造するラベルの枚数は1ジョブ当たり平均5,000枚前後ですが、近年はそれよりも少ない仕事が増加しています。特に化粧品ラベルはこのような傾向が強いといえるでしょう。
太田様 また納期について、当社は以前から重要視して取り組んでいますが、物流に関しては「2024年問題」が懸念されていることもあり、今後は短納期への対応がさらに厳しさを増すのではないでしょうか。加えてラベル業界でも人手不足が大きな課題に。当社は現状こそ大丈夫ではあるものの、いずれは生産に支障をきたす可能性もあります。当社に限らずラベル製造の現場では現在、生産体制の強化が求められていると認識しています。
制作課リーダー 太田 岳秀 様(左)
取締役製造本部長 笹原 健司 様(右)
課題への対策は
笹原様 当社では多品種小ロット・高品質化・短納期への対応を図るため、積極的な設備投資を行っています。現在、本社工場と庄内工場の2生産拠点を合わせて21台を保有。内訳は凸版間欠機が8台、平圧機が5台、半輪転機とオフセット間欠機がそれぞれ1台ずつ、そして加工機が4台、デジタル印刷機が2台となります。特に主力の凸版間欠機に関しては2023年10月末に、既存機から三條機械製作所製の「JNAS」へ入れ替える予定です。
太田様 デジタル印刷機はコニカミノルタ製の「AccurioLabel 230」と三條機械製作所製の「SEP-300」で、いずれもEP方式。コニカミノルタ製は4年前に「AccurioLabe 190」を設備し、やがて230の発表を受けて2年前に、機種の更新を行いました。一方、SEPは7年前に導入。ラベル業界でも初期のころだったと覚えています。
コニカミノルタ製 デジタル印刷機 AccurioLabel 230
多品種小ロットのラベルを製造
デジタル印刷機の導入目的とは
笹原様 「デジタル印刷機ならではの仕事をする」というよりも「多品種小ロットへの対応で凸版間欠機の負担を軽減する」ことが目的。当社では1ジョブ当たり100〜200メートル、枚数ならば3,000枚以下、場合によっては100枚程度の仕事も。これらを製版せずに印刷することで、生産コストの低減と短納期化を目指したのです。SEPは印刷する際に紙幅が変えられるため、既存のコンベンショナル機と同じ感覚で扱うことができることから、ラベル生産時の原価計算がしやすいといったメリットを考慮して設備しました。
太田様 これに対してAccurioLabelは化粧品ラベルの製造が目的。導入にあたって複数のデジタル印刷機をテストし、印刷品質と印刷速度の結果を鑑みて当機種を選択しました。なによりも3,600(相当)×1,200dpiという解像度で、極小文字がつぶれることなく再現できるのが強みです。もっともSEPとは異なり、AccuriLabelの対応の紙幅は固定なので、できるだけロスが発生しないように多面付を施します。これは190から230にクラスアップした現在も同様です。
AccurioLabelを230へ更新した理由を
笹原様 190は当社の目的としていた多品種小ロットや短納期といった点で評価できたのですが、ロール紙の搬送に関して技術的に克服が困難な部分があったのです。それはフィルム系基材のラベルを印刷する際、熱による収縮が発生するといったもの。前述の通り多品種小ロットや短納期とともに高品質が求められる傾向にある中で、オペレーターの作業負担を減らすために、230への入れ替えを行いました。230は課題が克服されており、見当精度も向上したと感じます。
太田氏 230は紙幅が300mmの固定で、5面付を行うことにより化粧品ラベルを印刷。さらにスリッターを連結し、ワンパスでラベルを輪切りにします。抜きやラミネートといった後工程はオフライン。なぜこのような工程かというと、面付するラベルの印刷幅がそれぞれ異なるからです。それに対応する仕様へと設定したことで、用紙のロスを削減し、生産性の向上を果たしました。
スリッターを連結し、幅の異なる多面付ラベルを加工
デジタル印刷機の導入で得られたメリットとは
笹原様 当社にとって主力である凸版間欠機の稼働率が格段に上がりました。先ほど申し上げた通り、当社が製造する化粧品ラベルはまさに多品種小ロットで、数百枚程度かつ月当たり500アイテムといった仕事。さらに色味についても安定した品質が求められますが、230ならば対応可能です。このような仕事を有版のコンベンショナル機で印刷していたならば、生産現場の効率は大幅に低下してしまうでしょう。それをデジタル印刷機でこなすことで、凸版間欠機に適したロットの仕事を割り当てられるようになりました。
課題については
笹原様 当社が製造する化粧品ラベルの基材は紙系のキャストが多くを占めるものの、近年は透明PETやネーマーなどのフィルム系基材も増えています。当社が230を設備した当時は、白トナー搭載機がありませんでしたので、白の印刷を必要とする場合、現状コンベンショナル機を活用しています。もっとも白トナーに対応するAccurioLabel 400への入れ替えは様子見の段階。慎重な設備投資が肝要です。またネーマーについてもEP方式での印刷はやや不向きと認識しており、こちらもコンベンショナル機を活用。ジョブの振り分けを行うなど、適材適所でこなしています。
太田様 フィルム系基材に関しては、EP方式の構造上、静電気に悩まされることが多いと感じます。またトナーは他の印刷方式と比べて、溶剤や水への耐性がどうしても劣りがち。これについてはラミネート加工を施すことで対処していますが、工程が増えるためにコストアップになりがちです。いずれにせよこれらの課題は、当社がこれまで培ってきた技術ノウハウを生かすことで対応しています。
最後にの展望を
笹原様 当社に限らずラベルの製造現場はいま、大きな変革期を迎えていると認識しています。原材料やエネルギー、物流などのコストは上昇し、オペレーターの高齢化に伴う技術承継や人手不足、さらには働き方改革の推進など、課題は山積しています。そのような中で生産効率を高めつつ、多品種小ロットや短納期、高品質化といったニーズへの対応を図るためには、最適な設備投資を行うことで、ある程度は克服できると考えます。
特にオペレーターの熟練度に左右されることなく安定した品質を維持する設備として、デジタル印刷は今後、さらに効果を発揮することでしょう。当社ではラベル製造の将来を見据え、これからも積極的にデジタル印刷への取り組みを加速化させることにより、お客さまのニーズ対応と利益率の向上を追求していきたいと考えています。
EP方式のデジタル印刷で高品位ラベル製造を実現
― 笠原様、太田様ありがとうございました!
お客様プロフィール
名 称 |
: | 進和ラベル印刷株式会社 |
住 所 |
: | 山形県上山市蔵王の森10番地 |
設 立 |
: | 1987年4月 |
従業員数 |
: | 69名(2025年7月現在) |
事業内容 |
: | ラベル・シールの企画、デザイン、製造 |
U R L |
: | https://shinwalabel.co.jp/ |
※掲載されている情報は取材時のものであり、閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。(取材時:2023年9月)
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