公開日2026.09.14
【導入事例】 ダイヤモンド印刷工業株式会社 様
モノづくり転換点へ、デジタルの練度と運用高度化
※本記事は、ラベル新聞2026年6月15日号に掲載された内容をもとに構成しています。
少量だけではないデジタル運用術
「AccurioLabel 400」導入 “これから”担う戦略機
ダイヤモンド印刷工業株式会社(さいたま市桜区田島、長田行平社長、☎ 048・836・2370)は、食品スーパー向けのラベルや販促物などの企画販売を行う株式会社朋ジェーエス・ピーの関連会社だ。さいたま市桜区に2拠点、山梨県南都留郡に1拠点製造工場を持ち、シール・ラベルの印刷を行っている。
このうち埼玉第2工場はデジタル印刷機の拠点としており、同所に昨夏コニカミノルタ製のデジタルラベル印刷機「AccurioLabel 400」が導入された。高精細、高速印刷、色の高安定性の特徴から大ロット印刷にも運用中だという。導入の背景や運用術をダイヤモンド印刷工業のデジタル部マネージャー、松岡謙太氏に話を聞いた。
ご自身の経歴は
現在11人が所属するデジタル部門のマネージャーを務めています。約10年前にこちらの部門に異動してきましたが、それ以前は製版部門に所属していました。
事業部の紹介を
部署名を現在のデジタルにしたのは今春のことで、それまでの名称はオンデマンド部門。当初は必要な時に必要な量だけ、というオンデマンドの強みを発揮する狙いで同部門が誕生しました。納期の短いものや突発的な仕事がこなせる瞬発力はデジタルの強み。しかしそれ一辺倒では、当事業部は業務内容や労働量に安定性を欠いたまま日々従事することになります。
会社が推進する働き方の見直しや労働環境の改善を図る一策として、現在デジタルは一印刷方式であると捉え直し、今後は生産機としてコンベンショナル機と併用しながら運用していく方針に。そうした姿勢を示す狙いもありオンデマンドから改称しました。デジタルを生産機としていく方策も、今回導入したコニカミノルタ製「AccurioLabel 400」の存在が大きく影響しています。
松岡 謙太マネージャー
事業部のここが特長!と胸を張れる部分は
最大の強みは従業員です。日々、チームメンバーに恵まれていることを実感しています。どんな課題に対しても簡単に諦めたり断ったりせず、前向きに取り組む姿勢は非常に心強くとても頼もしく映ります。
われわれの事業部は比較的残業が多く、これを減らせるよう改善したい思いが常にありました。会社も優れたデジタル印刷機を導入して作業を減らすための環境を整えてくれますが、とはいえ最後に大切なのは人。いくら機械が高価で優秀でも、それを扱う人間がバラバラでは組織は成り立たず目標達成は叶いません。
そのために気にかけていることなど
課員とのコミュニケーションを特に大切にしています。意見交換ができるよう、普段から話しやすい雰囲気づくりを意識しています。課員一人ひとりの考えや悩みを把握し自ら積極的に声をかけ、コミュニケーションを図るよう心がけています。
デジタルの歴史と変遷 貴社が最初にデジタル機を迎えたのは
グループ会社である朋ジェーエス・ピーのパネル出力を担う狙いから、15年ほど前にオーシャンテクノロジー製ワイドフォーマットのインクジェットプリンタを導入しました。シール・ラベル用の粘着紙にも対応するという触れ込みだったので、どちらも補えると選択したものの、もっぱらラベルのサンプル刷りがメーン。パネルの出力はほぼなかったと聞きます。いずれにしても、入り口は小ロットを多量にこなすという主旨ではありませんでした。
現在までの変遷は
次いでシートのプロダクションプリンタとしてコニカミノルタ製「bizhub PRESS C71hc」を導入した後に「同C1070」を増設したほか、リコーの「ProC7200」を導入。その後、当社初の本格的なロール・ツー・ロール方式のデジタル印刷機としてザイコン製「CX3」を2019年に迎えました。その後、同機と入れ替わる形で22年9月に「AccurioLabel 230」を迎えました。ちなみに三條機械製作所の「SEP-300」も2台保有しますが、現在はもっぱら後加工機用途で運用中です。
ここまでは最初のワイドフォーマット機を除いて電子写真方式の歴史ですが、これらとは別に水性インクジェット方式としてエプソンの「SurePressシリーズ」も2台設備。ダイヤモンド印刷工業の第2工場は、これらデジタル印刷機と後加工機が集積する拠点との位置づけです。
ダイヤモンド印刷工業の第2工場はデジタル機器で構成
写真のフロア2階にはシート機やプロッタも並ぶ
ジョブの振り分けはどのように
トナーとインクジェットで基材の得意・不得意があり、特殊素材はSurePressに回します。また枚数も判断基準となり、基本は1万枚以下がSurePress、2~5万枚までをAccurioLabelに振り分けています。
230と400を設備するAccurioLabelの評価は
先述の通りデジタルの生産機はシート機のみだった中、ザイコンを導入して初めてロール・ツー・ロール方式の大型機に挑戦。難しかった部分や想定と異なる面も含め、運用を通じて多くの貴重な経験を得ました。そうした蓄積を経て、当社の課題を解消した後継機がAccurioLabel 230。オフセット印刷と同等の高精細性に加えて生産機としての印刷速度も備える機種として現在もしっかり運用しています。
22年導入の「AccurioLabel 230」
新機種で新構想へ その上位機種「同400」最初の出会いは
冒頭の通り、当社ではデジタル印刷機は少量印刷物を刷ることが目的ではなく、もっとコンベンショナル印刷機と同じように柔軟に運用していきたいとの考えがありました。そのためには色ブレがあってはなりません。AccurioLabel 230を設備して中~大ロットもデジタル機で行えるようになりましたが、その一方でロングラン印刷を行う場面では刷り始めと刷り終わりで同じ色味を担保するために一工夫を講じる必要がある場面もありました。
例えば
最も多いのは、ロングランの場合は途中メーター数を区切って何度かに分けて刷っていく運用。特にベタが多いデザインだと、色の差異が現れやすい傾向にあります。これを解決し、われわれの今後のデジタル構想を現実化していくのがAccurioLabel 400でした。
同機の評価について
昨年10月に導入したAccurioLabel 400 は、色管理ユニット「IQ-520」が連続印刷中の色変化や版ずれをリアルタイムでフィードバックすることで、常に安定した印刷品質を保ちます。このため同230に比べて色の安定性が格段に向上しました。色ブレの問題を避けるためメーターごとに小分けして印刷を行う必要がなくなり、適応可能なジョブを選別することなく大ロット印刷を委ねられるように。われわれの構想に合致する機種であると評価できます。
機能面ではほかにも、白が打てたり最大毎分約40メートルの高速印刷が行えたり、さらにタッチパネル上でジョブ管理や印刷設定も可能。導入後1年も満たないですが、オペレーターは苦にせず活用しています。
昨夏導入したコニカミノルタのデジタルラベル印刷機「AccurioLabel 400」
ボリュームゾーンである2~5万枚の案件もこなしている
現在は
枚数はAccurioLabel 230だと1万枚ぐらいが限界でしたが、同400では3万枚まで拡張。サイズ次第ではそれ以上も可能となり、仕事の取り組みが増やせるようになりました。これにより、1万枚から3万枚までのジョブを第2工場でも製造可能に。今後は、運用次第でオフセットの置き換えとして当該機種を選択していく考えです。
異なるデザインを刷ったり(左)
同デザインを大量印刷したりと守備範囲の広い生産機として運用
次の時代の姿を仲間と ここまでの効果測定
デジタル印刷機を今後生産機として運用していくというわれわれの構想において、AccurioLabel 230 はその実現に向けた過渡期の機種。同400を迎えたことで、デジタル部門もようやくほかのコンベンショナル印刷機と肩を並べることができ、対等な存在となるための準備が整った印象です。
デジタル印刷の今後の期待値や可能性について
コンベンショナル印刷機は、これからも必要とされるでしょう。一方で、企業が今後持続可能なものづくりを実践していく場面では、デジタル印刷という選択肢も必要となるはず。当社が歩んできたデジタル挑戦の歴史と蓄積、生産機として大ロットにも積極利用する他社にない解釈は、これからのものづくりにおいて優位性を発揮すると期待します。
あとは人手の課題。今後働き手を確保していく場面で、インキや油で汚れることのない工場・働きやすい労働環境を整えることで、印刷への印象も変えていけるのでは。また、スキルレスというデジタル印刷の特徴を一層追求して残業のない職場を目指し、例え少人数でも安定供給していける仕組みづくりを構築したい考えです。
10年後、あるいは10年以内に主役がデジタル印刷に置き換わるような大きな転換点が到来するでしょう。会社が今デジタル印刷部門に期待をかけ投資してくれる以上、事業部の仲間と期待に応え、新時代に向けて進化した形を実証していきたいですね。
木川田直樹・取締役統括部長に聞く 効率性を重視して〝手段〟選択
当初は「AccurioLabel 230」で従来のコンベンショナル印刷機の仕事も取り込めるようになるのでは、と考えていました。しかし実際に運用すると、期待したほど仕事を振り替えられませんでした。次に導入した「同400」により、初めてこれまでコンベンショナル印刷機の領域と考えていたボリュームゾーンの仕事まで、自社のデジタル設備で対応できる可能性が開けました。
現在アナログとデジタルの垣根を超え、同じ製造設備として一体的に運用していく考え方へ移行しています。営業が受注した案件を、工務部門が生産効率に応じて自由に振り分けられる体制の確立へ、すでに運用を開始。どの印刷機で製造しても採算が取れるように設計しているため、デジタルに回したから利益率が下がる・コンベンショナルだから上がるということはありません。重要なのは「最も効率よく製造できる設備を選択すること」です。
注目したのは、当社のボリュームゾーンである2~5万枚の処し方。この領域をデジタル印刷でも応じられるようになったことが、新機種導入の最大の効果だと考えています。同230では届かなかった領域に手が届くようになり、「大ロットもデジタルでできる時代が来た」と実感しています。われわれがデジタル化を推進する中で重視している要素は「労働分配率」の適正化。人員を増やさなくても売上を伸ばす、そのために必要な仕組みづくりを進めています。
デジタル印刷のボトルネックは後加工。今後はここを加工機械メーカーと協働するなどして、成功モデルを作りたい考えです。この工程を解決できれば印刷から後加工まで一層の省人化が図れ、人や従業員の負担を増やすことなく売上を伸ばしていけるはずです。
こういった仕組みづくりを追求できる余地を持つのがデジタル印刷。これを実現することで、ダイヤモンド印刷工業における工場運営の効率化と労働分配率の適正化を推進するロールモデルの構築を目指します。
木川田直樹 取締役統括部長
― 木川様、松岡様、ありがとうございました!
お客様プロフィール
名 称 |
: | ダイヤモンド印刷工業株式会社 |
住 所 |
: | 埼玉県さいたま市桜区田島9-14-8 |
設 立 |
: | 1999年8月 |
U R L |
: | https://www.tomo-jsp.co.jp/ |
※掲載されている情報は取材時のものであり、閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。(取材時:2026年5月)
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