人的資本
人事制度・オペレーション
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コニカミノルタのアプローチ
背景と課題認識
プロフェッショナル人財集団がエンゲージメントを高め、アウトプットを最大化するうえで、マネジメントに求められる役割は非常に増えています。すなわち、個々と対面しながらキャリアアップに導くという人財開発に加え、人財間の関係性の質を高める組織開発も求められています。また、個々を見たときにも、専門志向の高まりとともに、キャリアの道も「管理職として上を目指す」という単線では処遇することが難しくなっています。これらの課題に対して、 他社の追随ではなく、“コニカミノルタらしい”仕組みを導入していくことを通して、当社の持続的成長に貢献していきます。あわせて従業員一人ひとりが持てる能力を最大限発揮できるようなワークスタイル変革を推進していきます。
目指す姿
当社の組織・個人の向かうべき方向性をしっかりと捉え、人財獲得・育成・定着を実現する仕組みを通して、一人ひとりの行動・マインド変革を促していきます。
重点施策
- キャリア志向に対応する複線化の推進
- エンパワーメント・リーダー強化
管理職制度の複線化
プロフェッショナル人財を活かすうえで、現場で人財の力、組織の力を最大化することがますます重要になっています。人財の多様なキャリアに応えるためにも、コニカミノルタ(株)および主要販社のコニカミノルタジャパン(株)において、従来の“職場管理”をイメージする管理職制度を根本的に見直し、強化に向けた取り組みをスタートしています。
複線型人事制度の導入
2022年4月より、これからのリーダーに求める役割がプロフェッショナル人財集団の牽引者であることを明確にするため、職場管理をイメージする「管理職」という区分と名称を廃止するともに、管理職定義を見直し、従来の単線型の管理職制度を複線化することとしました。変更の目的は3点です。
①人財と組織に活力を与え、結果にコミットして、実行力をあげるリーダーの強化
②イノベーションを生み出し、リードするハイスペック専門人財の育成と定着
③社員の多様なキャリア志向への対応
新たな定義においては、求められるリーダー像を次のとおり二つに区分します。一つは、人財と組織に活力を与え、実行力をあげる組織リーダーです。これらの方は、多様な人財の個々の力を最大限に引き出すことを期待して、「エンパワーメント・リーダー」としました。もう一つは、既存の枠を超えてイノベーションを創出し専門性で牽引する人財です。これらの方は自らの専門性を高め、専門性を活かして事業に貢献していくことを期待し、「エキスパート」としました。そして、この「エンパワーメント・リーダー」と「エキスパート」を総称して「エグゼンプト」と呼ぶことにしました。定義変更にあわせて、求める行動を「ビジョンを持ち道筋を描けるか」「結果を生み出す実行力があるか」「多様な力を引き出せるか」そして「自らを成長させ続けているか」と明確化し、これらを評価の基準としています。加えて、求められる行動をとることができているかを、半期に1度の多面評価でチェックし、自らの行動を持続的にアップデートできるようにしています。
なおエキスパートに関しては報酬制度も刷新し、高い成果を上げたエキスパートには執行役員レベルの報酬を提供できることとなっており、これは社外の優秀な専門人財の採用にも大きく貢献しています。
キャリアの複線化イメージ

エンパワーメント・リーダー強化
エンパワーメント・リーダーは、組織・チームの力を最大限に引き出すために、さまざまな経験や専門性、価値観を持つメンバーに対し、自らの言葉で向かうべきビジネスの方向を伝え、侃々諤々の議論を通して、これまでなら考えられなかった新たな答えを導く「変革推進ドライバー」となることが必要です。同時に所属する一人ひとりのメンバーに対し、彼らがどうキャリアを積んでいきたいのか、キャリアゴールに近づいていくためには何が必要なのかを一緒に議論し、サポートしていくことも求められます。
これは簡単なことではなく、エンパワーメント・リーダーは、人と組織をエンパワーするある意味「プロフェッショナル専門人財」であり、職場・人財管理ではなく、高い「人財エンパワーメント・スキル」が求められます。
エンパワーメント・リーダーには、コーチングやチームビルディング、コミュニケーションスキルをはじめとしたマネジメントスキル強化のためのプログラムを、実際に現場の組織、チームを率いるいわゆる課長クラス全員に対し、体系的かつ継続的に実施しています。2025年度はこれに加え、V字回復・中長期の利益成長実現のコアとなる部長クラスに対して、意識・行動両面の強化に向けたプログラムを実施していく予定です。(FY22~23:300名、FY24:新任第3階層長60名)
なお、半期に1度実施している上司・部下・同僚による多面評価をみると、FY22~23受講者の平均は未受講者に比べ、すべての要件で10%程度の改善がみられることを確認しています。
エンパワーメント・リーダー強化プログラムにおける各フェーズでの実施事項

キャリア自律とチャレンジを促す評価・処遇制度
評価・処遇制度
コニカミノルタ(株)では、今後も新しい価値をお客様に提供し続けていく組織を実現するため、従業員一人ひとりがプロフェッショナル人財として、優れた知識・知見や独自のスキルを持ち、課題解決のため自律的な考えに基づく行動をとることを求めていきます。これを加速するため、一般従業員の評価・処遇制度を改定し、失敗をおそれず高い目標にチャレンジし、「コニカミノルタフィロソフィー」に沿った人財を高く評価する仕組み、そして、チャレンジ行動がとれている従業員を成果に関わらず評価する仕組みを導入しました。
なお、従業員の処遇については、統合以来、年功要素を除外し、能力発揮および成果(テーマ目標の達成度・組織貢献度等)を公平に評価して、昇格や昇給、賞与に反映しています。 昇格や昇給の結果得られる報酬は、直近の給与ばかりでなく、退職金も連動して引き上げる仕組み*となっており、長期的な能力向上と業績貢献のインセンティブとしても働いています。(*退職金は職務能力の評価に応じたポイントを毎年積み上げ、退職時の累積ポイントに基づき支払われる)
また、各個人のキャリアビジョンの実現に向けて、自己のこれまでのキャリアの棚卸しを行い、自身の能力開発上の課題、および仕事を通じたキャリア開発目標(能力開発の方向性や計画)を上司とともに考える重要な機会を定期的に設けており、上司もその目標実現を支援するべく、業務・役割アサインの検討や、日々の業務を通じてフィードバックを行うなど、対話的な育成を図っています。
多様な働き方を支え生産性を高める制度の拡充
多様な働き方を支え生産性を高める諸制度
コニカミノルタ(株)は、時間と場所の柔軟性に加え、ライフイベント支援を組み合わせた制度拡充で、生産性とエンゲージメントの双方を高めています。
フレックスタイム制や裁量労働制、短時間勤務、リモートワークなどの多様な勤務形態の選択肢を用意し、メリハリある時間管理のもと、社員が主体的に働き方を設計できる環境を整備しています。
また育児・介護と仕事の両立支援などワーク・ライフ・マネジメントの促進に力を注いでいます。
これらの制度は平均勤続年数の男女差解消や男性育休取得率77.3%(2024年度)等の成果を生み、多様な人財がライフステージに左右されず専門性を発揮できる“生産性の高い働き方”を実現しています。
