公開日2025.9.30
【導入事例】 大洞印刷株式会社 様
次世代印刷ビジネスの幅を広げる高度な印刷品質と生産性
現場に設置されたAccurioJet KM-1eと、同機による印刷物を確認する様子
幅広い色域と高い再現性が、印刷通販ビジネスの次なる挑戦を支える
岐阜県で90年以上の歴史を持つ大洞印刷様は、キャラクターグッズやカスタマイズ商品のパッケージなど、小ロット多品種生産が強みです。そのためオフセット印刷機に加えて複数種のデジタル印刷機を駆使し、顧客の要望に応えています。
2024年3月、4種類目のデジタル印刷機として、コニカミノルタの29インチ枚葉UVインクジェット印刷機 AccurioJet KM-1eを導入。その高い印刷品質と生産性で、同社のビジネスを支えています。
大洞印刷様が抱えていた課題
キャラクターグッズを印刷する以上、高い印刷品質が必要 |
|
再版時に初版時と同様の色味を簡単に出したい |
|
メンテナンスにかかる手間を軽減したい |
導入で解決できたこと
グッズとして販売される商品として満足できる印刷品質を実現 |
|
色の再現性が高く、再版でも色味のブレがない |
|
手間なく安定運用でき、オペレーターの負担を軽減 |
時代の変化に合わせてビジネスを変革
Webビジネスに注力し、営業を廃止
大洞印刷様は、長くビジネスフォーム(伝票)の提供を通じて、多くの企業活動を支えてきました。しかし21世紀を迎えた頃から、社会のあらゆる場面でデジタル化が進展。商取引は伝票からデジタルへと移行していきます。日本の人口減少傾向は明らかで、消費モデルもそれまでの大量生産から小ロット多品種生産に変わっていきました。このような中で、旧来のビジネスモデルに将来性がないことを察知した大洞印刷様は、新たな方向性を模索し始めました。
大洞印刷株式会社 様
代表取締役社長の大洞広和様は次のように語ります。「ペーパーレス化の流れを受け、既存の事業が縮小することは明確でした。そこで新たな分野として、クリアファイルなどデジタルに置き換えにくいモノの印刷ニーズに対応しようと、セールスプロモーション事業を立ち上げました。その販路拡大を目指し、インターネット印刷通販に参入したのが2005年のことです。従来の大ロット少品種モデルから、小ロット多品種モデルへの移行が始まりました。それぞれの好みに合わせた多様な種類の印刷物を、必要な人だけに配布するモデルです」
代表取締役社長 大洞 広和 様
同社は2005年クリアファイル通販専門の「クリアファイルのボラネット」を、2006年には販促用に特化した「ボラネットSP」を開始。さらに、2009年には同人グッズ向け「ドージンファクトリー」、2010年には「圧着ハガキのボラネットDM」をスタートしています。
ボラネットの利用者数は順調に増加。EC販売は成長を続け、2015年には旧来型の営業を廃止。新たにカスタマーサポート部を設け、顧客情報の一元管理により見積や受注対応、問い合わせ回答などを迅速かつ正確に行える体制を整えました。
「印刷業が苦戦しているとよく言われますが、苦戦しているのは昭和のビジネスモデルです。人口減少や環境問題など厳しい状況はありますが、SNS全盛の今、コンテンツはむしろ増えており、キャラクターグッズなどデジタルに置き換えにくいモノの印刷ニーズは決してなくなってはいません」と大洞様は強調します。
導入の背景:オフセット印刷と比べて違和感のない印刷品質を評価
大洞印刷様はECサイトの内製化にも取り組み、立ち上げから3、4年後には社内で構築・運用を行えるようにしました。そこで蓄積した知見やノウハウを活用し、2018年、プリントサービスプラットフォーム「MAGIC」を提供。これはキャラクターや商標などのIP(知的財産)コンテンツを所有する会社が、自社のIPを活用した印刷物を販売するためのプラットフォームです。
「MAGIC」を利用することで、例えばキャラクターを使ったグッズの販売や、記念品や販促品として定番商品のパッケージをカスタマイズして販売するといったビジネスが容易に実現します。近年は「印刷が得意なITサービス業」を標榜し、旧来の印刷ビジネスからの脱却を図っています。
左はツヤ感を出したグロスラミ仕様、右は落ち着いた印象を与えるマットラミ仕様
“推し”の魅力を高める高品質の印刷を、「MAGIC」を通した受注生産で可能にしている
このような極めてユニークなビジネスを展開する大洞印刷様にとって、印刷機に求める最大のポイントは品質です。大洞様は「当社の主流は現在、販促品ではなくグッズとして販売される商品です。そのため高い品質が必須です。その上基本的には大ロットならオフセット印刷、小ロットならデジタル印刷と切り分けています。ロットは都度変わるので、仮に印刷機が変わっても違和感のない仕上がりにする必要があります」と説明します。
同社が求める印刷品質が評価され2024年3月に導入されたのが、コニカミノルタの29インチ枚葉UVインクジェット印刷機 AccurioJet KM-1eです。
AccurioJet KM-1e
導入の効果:再版時のブレがない、高い色の再現性
AccurioJet KM-1eはJapancolorを超える色域で、安定した色再現を可能にしたデジタル印刷機です。オプションでHD(High Definition)モードに対応しており、大洞印刷様はこのモデルを導入しました。3,000枚/時の印刷が可能。インク乾燥時間不要でワンパス両面印刷に対応しているので、高い生産性も実現します。
大洞様は、その印刷品質を「KM-1eはグッズとして販売される商品として十分な品質を提供してくれ、満足しています」と評価しています。
Japancolorの色域をカバーする幅広い色域で、高精度な色再現を実現する
特に評価しているのが色の再現性です。「KM-1eは、再版時でも初版時と同じ色が簡単に印刷できるので、何の問題もありません」(大洞様)
現在AccurioJet KM-1eで印刷しているのは、カスタマイズ品の菓子の包装紙やパッケージ、紙製のクリアファイル、LIMEX※(石灰岩を原料とした用紙)の名刺などです。今後バインダー等の表紙やプラスチックカード類も印刷する予定です。
※「LIMEX」は、株式会社TBMの登録商標です。
AccurioJet KM-1eを用いた大洞印刷様のサンプル品
エコ素材として注目を集めるLIMEXを使用したクリアファイルのほか、うちわやコースター、
絵葉書やトレーディングカードなど対応可能な販促物の形式は幅広い
優れた操作性と高い生産性でオペレーターの負担も軽減
取締役製造本部長の清水誠様は、AccurioJet KM-1eへの評価を次のように語ります。「プロセスカラーの4色機でありながら、広色域を実現しており、特色を使用せずとも当社が求める色彩表現が可能です。またUVインクを採用しているため、用紙の前処理が不要。インクの高い擦過性により、製品によっては後処理も省略できます。加えて印刷機ベースで設計をしているため、印字位置精度も高いです」
取締役 製造本部長 清水 誠 様
大洞様も「操作性にも優れており、専任スキルを必要とせず、誰でも簡単に扱えます」と続けます。日常的なメンテナンスもほとんど不要で、運用負荷が大幅に軽減されました。「運用が容易で印刷スピードも速く、停止も少ないため、生産性は非常に高いです。前処理・後処理が不要な点も、短納期対応やコスト削減に大きく貢献しています」(大洞様)
導入にあたってコニカミノルタは、大洞様の「大容量給紙に対応してほしい」という要望に応え、台車から直接給紙できるよう製品の仕様を変更しました。同社のビジネスはカスタマイズ品などの多品種小ロット印刷が支えていますが、それを一案件ずつ印刷していては生産性が上がりません。そこで複数の案件を一つの案件としてまとめ、1枚目に品名や識別バーコードを記したシートを印刷することで、後工程で仕分けるようにしました。そのために重要となるのが製品の規格化。紙などの仕様をある程度標準化することで、複数案件をまとめた印刷を可能にしています。
コニカミノルタもこのような業務フローを実現する上で大容量給紙は非常に重要であり、他のお客様にも大きな価値があると考え、ご要望に対応しました。その他のサービスについて清水様は、「KM-1eはそもそも壊れにくいのですが、機械である以上トラブルは起きます。そこでコニカミノルタに連絡すると対応が早い。サポートも手厚いので助かっています」と語ります。
今後の展開:複数の印刷機の特性を生かし、ビジネスの幅を広げる
大洞印刷様ではKM-1eに加え、コニカミノルタのAccurioPressC4080なども利用しています。この複数のデジタル印刷機を柔軟に運用することが、他社との差別化につながると次のように語ります。
「機械は種類によって品質、コスト、工数などが異なり、得手不得手が必ずあります。複数の異なる武器を手に入れたことで、対応できる業務の幅が広がりました」(大洞様)
今後この複数の武器を最大限活用し、顧客に対してより魅力的な提案をすることで、自社のEC やプラットフォームサービス「MAGIC」をさらに強化していきます。新たな印刷業のスタイルを追求する大洞印刷様の取り組みから、これからも目が離せません。
― 大洞様、清水様ありがとうございました!
AccurioJet KM-1eのお客様満足ポイント
広い色域でオフセット印刷と比較して違和感のない仕上がりを実現 |
|
多品種小ロット生産を効率よく回す業務フローに対応 |
|
手間なく安定稼働を実現する信頼性と手厚いサポート |
お客様プロフィール
名 称 |
: | 大洞印刷株式会社 |
住 所 |
: | 岐阜県本巣市下真桑290番1 |
創 立 |
: | 1932年(昭和7年)7月 |
設 立 |
: | 1954年(昭和29年)8月 |
事業内容 |
: | キャラクターグッズ・紙器・パッケージの企画・制作、 インターネット印刷通販、Web to Print システム構築 |
U R L |
: | https://www.obora-pri.co.jp/ |
特殊素材への印刷や特殊なコーティングや加工に強みを持ち、デジタル印刷により多品種小ロット生産を得意とする印刷会社。複数の印刷通販ECやプリントサービスプラットフォーム「MAGIC」を運営するなど、旧来の印刷ビジネスとは一線を画す。近年は「印刷が得意なITサービス業」を標榜し、新たな挑戦を続けている。
※掲載されている情報は取材時のものであり、閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。(取材時:2025年7月)
イベント情報やお役⽴ち資料など
印刷ビジネスに役⽴つ最新情報をお届けします。
「資料が欲しい」「詳しく知りたい」など
フォームよりお気軽にお問い合わせください。














