新規事業で10倍の成長を達成!クイックスのPrintバル活用から、DM✕MAの可能性を考える

株式会社クイックス
(株式会社クイックス 写真右から 代表取締役社長 岡本 泰様、第二営業部 副部長 山下 二郎様)

企業プロフィール

企業名

株式会社クイックス

所在地

愛知県刈谷市幸町二丁目2番地

設立年月日

1947年2月

従業員数

212名

Webサイト

営業部内でマーケティングチームの立ち上げと同時に進められたMA導入

株式会社クイックス 代表取締役社長 岡本 泰氏

創業から75年以上、1947年に設立され、業務マニュアルのシステム化支援や取扱説明書の企画・翻訳・制作、Webサイト・動画などの各種メディア対応まで、幅広い事業を手掛ける株式会社クイックス(以下、クイックス)。

「印刷業から情報デザイン業へ -お客様に選ばれるクイックスであり続ける!-」を企業ビジョンに掲げる同社では、SaaS型の新規事業としてマニュアル制作と活用を促進させるクラウドサービス「i-Share®DX」「i-Share®」を提供している。また、お客様からのご依頼に応じて、Web制作やMAツールの導入支援も手掛けているという。同社の事業概要について、同社代表の岡本 泰氏にお話を伺った。

「『i-Share®』は取扱説明書など製品マニュアル制作業務を効率化・データ活用を実現するクラウド型CMSです。一方で『i-Share®DX』は、業務マニュアル、手順書などの社内文書を効率的に管理・共有できるクラウドサービスとなっており、業種・業界問わず、様々なお客様にご導入いただいております。お客様の規模感として、数千人から数万人規模の上場企業が多く、社会的に知名度も高い企業も多いですね」(岡本氏)

同社にはもともとマーケティング施策を担う専任部署はなく、第二営業部の山下氏をはじめとする営業部の限られたメンバーが兼業する体制が数年ほど続いていた。同社のMA活用歴は長く、DMを使ったマーケティング施策を実施する以前、さらには現在のマーケティング営業課が立ち上げられる以前より導入、活用していたと山下氏は話す。MA導入の背景について、当時を振り返っていただいた。

「いざ新規開拓やリード育成(リードナーチャリング)に着手しようと考えたとき、手元にあったお客様の名刺情報や企業情報がデータベース化されていない状況でした。営業は全員、展示会で獲得した数百枚の名刺に関する情報はExcelでデータをまとめており、手入力や目視でのチェック、メール送付など、すべてがアナログだったのです。30名ほどの営業社員が在籍する部署全体で概算しても、週あたり30 〜 40時間を費やしていたことになります。

そこでお客様に関するデータを集計、活用する前に、そもそもデータを格納、整理する『箱』が必要だと判断しました。しかし、具体的にどのようなツールを導入すればよいか分からなかったのですが、複数のIT系企業の方とお話ししてみるとMAを導入していることが多く、『MAが最適』とのアドバイスをいただいたのです」(山下氏)
現在はPrintバルを活用し以下図のような動き方をして営業活動をしているとのこと。

株式会社クイックスでのPrintバル活用フロー図

自社のマーケティング課題解決に加え、お客様へも紹介するためにMAを導入。特に重視していた評価軸とは

MA導入以前の同社のマーケティング施策は、おおまかに以下のような流れで進められていた。

  • 年に2、3回ほど展示会に出展し、1回あたり200 〜 250件のリードを獲得
  • 各営業担当者がExcelに入力し、入力担当以外の社員がダブルチェック
  • 営業各自でメールや電話でフォローアップ
  • 反応があれば営業し、特に反応がなければ終了

顧客情報の格納、整理に加え、メルマガの配信を目的にMAの活用を決定した同社では、Printバルの導入まで4製品を活用してきた。多くのツールを使用してきた背景として、同社のお客様からMAに関する相談があった際に、そのお客様に最適な手法を紹介できるよう検証したいという意図に加え、自社にあったMAを模索することになったという。

「お客様のWebコンテンツ制作やプロモーション支援に取り組んでいますと、『MAに興味がある』『私たちには、どんなMAが合いますか』という相談をいただくことがよくあります。代理店サービスはしていないのですが『お客様のためであれば』ということで、様々なMAをご紹介できるように勉強と比較検討を兼ねてMAを導入していくことになりました。

MAを試していく上で、機能や運用評価の比較表を作成しました。まず重視したのが、ツール活用の難易度です。専任チームがいないと使えないレベルなのか、営業担当でも通常業務の片手間で活用できるレベルなのか、運用にかかる工数と体制とのバランスを検証しました。

次に重視していたのが、サポートです。サービスサイトやマニュアルにしっかり活用方法やよくある質問などのサポートコンテンツが掲載されているか、そして担当者からのサポートは手厚いか、レスポンスといった要素を評価軸に据えています。その他にも、イニシャルコストとランニングコスト、コストに対する機能の充実さも確認しています」(山下氏)

過去4製品のMAを導入しても解決できなかった課題と、Printバル導入の決め手

株式会社クイックス 山下 二郎氏と岡本泰氏

低コストで導入できて機能も簡易的なMAや、セミナー運営でのリードジェネレーションに強いMAなど、様々なMAを導入、検証してみたものの、なかなか同社のマーケティング施策と規模感に合致するMAに出会えなかったそうだ。その最も大きな要因として、プリントメディアであるDM(アナログ)の効果測定と、Web施策(デジタル)の効果測定を組み合わせることができなかったことだと山下氏は強調する。Web施策に注力はしつつも、同社の見込み顧客にはDMのようなアナログメディアでなければ届かない業界があるため、DM施策も引き続き注力している

「例えば、健康保険事業を取り扱う組合や官公庁の外郭団体などでは、職員個人のメールアドレスがなかったり、オンライン会議ができなかったりと、充分なIT環境が整っていないことがほとんどです。そうしたお客様には、DMからWebサイトへ誘導するというアプローチ方法になるのですが、その場合はMAで計測することができないのです。

これまで4製品のMAを実際に使用してみて、デジタルとアナログの両方を組み合わせて効果測定できるMAが弊社には必要との判断になりました」(山下氏)

Web施策とDM施策の両方の効果測定ができるMAの導入を検討する上で、Printバルと数社のMAで比較検討が実施されることとなった。DM施策の効果測定機能は、Printバル以外のMAでも提供はされているものの、そのほとんどがオプション機能として追加の費用や設定が必要なほか、BtoC、BtoBどちらかに偏よった仕様になっており様々な業種業界をクライアントに抱える当社に合わないものだったという。

その一方、Printバルはサービスの設計思想から「印刷物とデジタルマーケティングの融合」を掲げており、DMに関する機能が初期状態より実装されている。そのため、DMやWebの設定を施策ごとで柔軟に切り替えることができる。こうした要素が高評価となり、同社代表の岡本氏の後押しもあって、Printバルの導入が決定した。

コニカミノルタジャパンさんに対しての信用も導入決定の背景にはありましたが、費用に対するサービス内容をしっかりご説明いただいたことで契約に至りました。現場社員からはパイロット版での評価を聞いており、今後は新規サービスでもDM施策に注力していくことから、今導入すべきと判断しています」(岡本氏)

導入から3週間後にはDM送付を開始。担当者が感じた、過去に導入したMAとの違いとは

2023年1月現在、主にPrintバルの活用を担っているのが、マーケティング営業課の全並 沙梨氏だ。もともとは印刷物やWebのコンテンツ制作やデザインを志望して入社したものの、PC操作に慣れていたこと、マーケティング適正の高さを評価され、専属でマーケティング実務を担当している。主にリード育成とCV数、セッション数の最大化を業務のミッションにしており、Printバルの導入にも携わったという。

Printバルの導入では、「DM施策の効果を最大化すること」を当面の目標に掲げ、送付したDMから自社セミナーへ誘導する施策を実施しており、特に効果測定の方法とレポーティングが施策のポイントだった。全並氏にPrintバルの導入初期について振り返っていただいた。

「初めてPrintバルを触ったとき、過去に使用していた初心者用の簡易的なMAとは違い、機能がリッチで上級者向けだな、という感想を持ちました。しかし、コニカミノルタジャパンの担当者の方から親身にサポートいただき、一度説明を聞いただけで基本操作や仕組みを理解することができました。

株式会社クイックス 第二営業部 マーケティング営業課 全並 沙梨氏
(第二営業部 マーケティング営業課 全並 沙梨様)

また、KPI、KGI、運用上での課題なども理解していただいた上で、『Printバルで何をやりたいのか』『どうすればやりたいことができるのか』などかなり細かな点まで複数回すり合わせ、お力添えいただけたことも印象的です。こうした手厚いサポート体制は、過去のツール導入時にはなかった要素ですね。

上級者向けのMAでありつつもスムーズに導入でき、結果として導入決定から3週間後には運用体制が整っただけでなく、Printバルに対応した最初のDMを発送しています」(全並氏)

一般的にはDM内に設置してあるQRコードが読み取られた時点で反響があったと計測できるが、お客様が会社支給のスマートフォンを持っていない場合、個人のスマートフォンを職場へ持ち込めない企業も増えていることもあり、QRへアクセスされることはほぼない。今回の対象企業も、デジタル活用が進んでいない業界であったため、QRからの計測に加えて、DMの到着以降に増加したオーガニック検索数もDM施策の見なし成果として計測することとなった。

これによって、デジタルとアナログを組み合わせた、よりリアルな効果測定が可能になっている。

未開拓業界の売上が1,000万から10倍の1億に成長!マーケティング施策の可視化にも貢献

過去に4つのMAを使用し、今回Printバルを導入した株式会社クイックス。デジタルとアナログを掛け合わせたマーケティング施策の実施に課題を感じていた同社では、どのような成果が得られたのだろうか。定量と定性、両方の成果について、山下氏と全並氏にお話を伺った。

「例として健康保険事業を取り扱う組合は弊社にとっては未開拓の市場でして、以前の売上は1,000万にも満たない状態でした。しかし弊社からお送りしたDMに対する評判は非常に良く、フォローのお電話で確認すると、ほぼ100%のお客様がDMを見てくださっていました。単純なTELアポのようなものでは実現できない効果となりました。

過去に実施したアナログのDMと異なり、Printバルで可視化できています。結果として健康保険組合向けのオリジナルDMサービスの売上が以前の10倍、つまり1億円を超えるまで成長しています。もともとDM事業が成長していたところ、Printバルの活用でさらに伸ばしているところです」(山下氏)

Printバルを導入したことで得られた変化として私が最も評価しているのが、デジタルとアナログ両方のマーケティング効果を、誰にでも分かるように可視化できたことです。以前はDMの効果を確認するためには、QRで読み取るURLにパラメータを付与し、Googleアナリティクスで確認するしかありませんでした。Googleアナリティクスで数字を確認するには、ある程度操作に慣れる必要があるため、担当者が限定され作業工数もかかっていました。

しかし、Printバルであれば、分かりやすいレポーティングが可能ですので、マーケティングにあまり詳しくない営業担当者にも効果を展開しやすいです。また、パラメータを振り忘れてしまったDMを間違えて送付しても、Printバルであれば様々な角度から見込み成果を可視化できるので、とても便利な存在だと思います」(全並氏)

自社で得られたDMとMAを組み合わせたノウハウを、お客様にも提供していく

「『印刷業』から『情報デザイン業』への革新」を掲げる同社では、今後は自社だけでなく、同社のお客様にも「デジタルとアナログの垣根を超えたソリューションを提供していく予定だ」と岡本氏は意気込む。新しいソリューション提供におけるPrintバルの今後の活用について、山下氏にお話しいただいた。

「今回のPrintバル活用は、社内がメインのプロジェクトでしたが、クライアントからも弊社と似たような課題をお聞きする機会が増えてきたことを踏まえ、今後は弊社のDMとMAを組み合わせたサービス提供も検討していきたいですね。実際にお客様から『DMはやったことがないからやってみたい』『DMは費用対効果が分からない』といった声をいただくことが増えています。

まだまだ実証段階ではありますが、DMとMAの組み合わせに可能性を感じています。コロナ禍をきっかけに多くの企業がメルマガ施策に取り組み始めた結果、メールの受信箱には見切れないほどのメールが届くようになり、以前よりもメール1通の価値は下がってしまいました。そもそもクリックして開封されないと読まれないメールとは違い、手元で自然と目に入るDMは、このコロナ禍で相対的に価値が上がったと思います。こうした流れの中で、MAでDMの投資対効果を改善し、DMのデザインや質の向上に目を向けるようになれば、さらに成果が得られるはずです。

今後もコニカミノルタジャパンさんにご協力いただきながらPrintバルを活用し、弊社で培ったノウハウをお客様にも還元していきたいと考えています」(山下氏)