介護施設の補助金一覧【2025年】
種類や申請可能な項目を詳しく解説

2026年3⽉2⽇

物価高騰や人件費の上昇、人材不足といった状況の中で、2024年の介護報酬改定で示された「生産性向上」や「処遇改善」を実現し、持続可能な経営を行うためには、ICT導入などの設備投資が欠かせません。しかし、限られた予算の中で十分な投資を行うことは容易ではなく、二の足を踏んでいる事業主も多いのではないでしょうか。
そこで活用したいのが、国や自治体が提供する補助金・助成金です。

この記事では、介護施設が活用すべき補助金を「ICT導入」「人材確保」「職場環境整備」の3つのカテゴリーに分けて紹介するほか、補助金情報の見つけ方、採択率を高めるために必要な対応を解説します。

介護施設が補助金・助成金を活用すべき背景

今や介護業界において補助金や助成金の活用は、経営戦略の要です。これまでの補助金活用といえば、経営が苦しいときの赤字補填といったイメージが強かったかもしれません。しかし、2024年の介護報酬改定で「生産性向上」が強く求められている現在、その役割は大きく変わっています。

今、補助金は「攻めの投資にも使える」という点に焦点があたっています。ICT機器や介護ロボットの導入には、どうしても初期費用が必要です。このコストを補助金でまかなうことができれば、財務リスクを最小限に抑えながら、最新の環境を整えることができます。

また、機器導入によって職員の業務負担が軽減すれば、離職率の低下やケアの質の向上につながっていくでしょう。さらに、質の高いケアを提供する施設として地域での評判が高まると、利用者に選ばれ続け、経営も安定します。補助金は、この好循環を生み出すためのものとぜひ捉えてください。

介護報酬改定については、こちらの記事「介護報酬改定とは?2025年の重要ポイントと生産性向上の方法を解説」でも詳しく解説しています。

ICT導入・生産性向上に関する補助金

現在、国は「介護DX」を推進しています。そのため、ICT導入や生産性向上に関連する補助金は予算規模も大きく、まさに「攻めの投資にも使える」補助金といえます。
ここでは、どのような補助金を介護施設が検討できるのか見ていきましょう。

IT導入補助金2025

IT導入補助金2025は、中小企業・小規模事業者等の労働生産性向上を目的とした、経済産業省管轄の補助金です。介護事業所も対象であり、業務効率化に寄与するITツールの導入費用が補助されます。

■ IT導入補助金2025の概要

項目 内容
補助対象 介護ソフト(記録、請求、勤怠管理など)や、それに伴うタブレット端末・PC等のハードウェア導入費用
補助額 最大450万円程度(通常枠は150万~450万円未満など、申請類型により異なる)
補助率 1/2~2/3(類型や要件により変動)
特徴 汎用的なPCやタブレットも補助対象になる場合があり、使い勝手が良いのが特徴。インボイス対応も見据えた会計ソフトの導入などにも活用可能

介護テクノロジー導入支援事業(地域医療介護総合確保基金)

介護テクノロジー導入支援事業は、厚生労働省が所管し、各都道府県が窓口となって実施する補助事業です。介護ロボットやICT機器の導入、Wi-Fi環境の整備などを包括的に支援します。

■ 介護テクノロジー導入支援事業の概要

項目 内容
補助対象 介護従事者の負担軽減や業務効率化に資する介護ロボット、ICT機器、通信環境整備費用など
補助額(ICT導入) 職員数に応じて設定され、100万~260万円程度(導入支援含む)
補助額(介護ロボット) 移乗・入浴支援ロボット等は上限100万円/台、見守りセンサー等は上限30万円/台など
特徴 見守りセンサーやインカムといったハードウェア導入のハードルが下がる点が強み。Wi-Fi工事などの環境整備も対象となる

介護DXについては、こちらの記事「介護DXとは?ICT導入でここまで変わる施設運営と経営メリットの実例集」でも詳しく解説しています。

人材確保・処遇改善に関する助成金

深刻な人手不足が続く介護業界において、人材の確保と定着は喫緊の課題です。国は、賃上げや雇用の安定化、キャリアアップに取り組む事業所を支援するために、さまざまな助成金を用意しています。

業務改善助成金

業務改善助成金は、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を一定額以上引き上げ、かつ生産性向上のための設備投資等を行った場合に、その費用の一部を助成する制度です。

■ 業務改善助成金の概要

項目 内容
支給対象 最低賃金の引き上げとセットで、業務効率化に資する機器導入などを行った場合に支給
補助額 賃金の引き上げ額と対象となる労働者の人数に応じて変動し、最大で600万円
活用例 職員の賃上げ原資を確保しつつ、介護リフトや特殊浴槽、送迎車などを導入するケースで活用される

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)は、高年齢者や障害者、ひとり親家庭の母など、就職が困難な方をハローワーク等の紹介により継続して雇用する事業主に対して助成されます。経験豊富なシニア層の活用などを検討している事業所におすすめです。

■ 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)の概要

項目 内容
助成対象 60歳以上の高齢者やシングルマザーなどを雇い入れた場合に助成
支給額 対象者の労働時間等によるものの、短時間労働者で高年齢者(60歳以上)、ひとり親家庭の母等は通常40万円/年など(条件により異なる)

キャリアアップ助成金(正社員化コースなど)

キャリアアップ助成金(正社員化コースなど)は、有期雇用労働者(パートや契約社員など)を正規雇用労働者に転換したり、処遇改善を行ったりした場合に助成される制度です。職員のキャリアパスを整備し、長く働ける環境を作る際に役立つでしょう。

■ キャリアアップ助成金(正社員化コースなど)の概要

項目 内容
助成対象 非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善を実施した場合に助成
助成額 正社員化コースの場合、対象者1人あたり最大80万円/年(現行の実績)

※キャリアアップ助成金の助成額は毎年度改正が入るため変動の可能性があります。
※助成金申請の代行は社会保険労務士の専門分野です。詳細は専門家や労働局へご相談ください。

職場環境・安全衛生に関する補助金

職員が長く安心して働き続けられる環境を整えることは、人材定着の観点からも重要です。職員の身体的負担を軽減し、安全を守るための取り組みを支援する補助金もあります。

エイジフレンドリー補助金

エイジフレンドリー補助金は、高齢の職員(60歳以上)が安心して働けるよう、職場環境の改善を行う中小事業者を支援する厚生労働省の制度です。介護業界では、高齢になっても活躍する職員が多いため、なじみやすい補助金といえます。

■ エイジフレンドリー補助金の概要

項目 内容
補助対象 転倒防止や腰痛予防のための設備改善、健康保持増進のための対策費用を補助
補助額 上限100万円
活用例 滑りにくい床材への変更、段差の解消、移乗介助機器(リフト等)の導入などに活用可能

施設に合う補助金の見つけ方

介護現場からは、自施設が対象になる補助金はどれかわからないという悩みの声も聞かれます。補助金の情報は国、都道府県、市区町村、財団など多岐にわたるため、効率的に情報収集を行うことが重要です。ここでは、自施設に合う補助金の見つけ方を紹介します。

公的サイト「J-Net21」や自治体ウェブサイトを活用する

中小企業基盤整備機構が運営するポータルサイト「J-Net21」は、非常に有用な情報源です。「支援情報ヘッドライン」というページでは、地域や分野(介護・福祉など)を絞り込んで発表されている補助金などを検索でき、新着情報もタイムリーに更新されています。

また、都道府県や市区町村の公式ウェブサイトも重要です。特に自治体独自の補助金は、公募期間が「2週間~1ヵ月」と極端に短いケースも珍しくありません。「気づいたときには終わっていた」という事態を防ぐためにも、担当部署のページをブックマークし、こまめにチェックするようにしておきましょう。

地域包括支援センターや業界団体の情報網を利用する

インターネット上の情報だけでなく、リアルなネットワークの力も利用しましょう。地域包括支援センターや公益社団法人全国老人福祉施設協議会などの業界団体からは、地域に密着したニッチな助成金情報が得られることがあります。日頃からこうした地元の団体と良好な関係を築き、「設備投資を考えているので、使える制度があったら教えてほしい」と伝えておくのも有効な手段です。

IT導入補助金の採択率が低下している理由

補助金活用には厳しい現実もあります。それは、「申請すれば必ずもらえるわけではない」ということです。特に、多くの事業所が活用する「IT導入補助金」においては、近年その採択率(交付決定される確率)が低下傾向にあります。昨今のIT導入補助金の採択率は全国平均で約30%台まで落ち込んでいます。

審査基準が厳格化された主な理由は、過去に補助金の不正受給や不適切な申請が増加したからです。例えば、導入費用の積算根拠が厳しくチェックされるようになったり、申請内容だけでなく、申請企業の経営状況も重視されるようになったりしています。安易な考えで申請しても、不採択となり、費やした時間と労力が無駄になるリスクもあるため注意しましょう。

補助金の採択率を高める方法

採択率という狭き門を突破し、確実に補助金を獲得するためにはどうすればよいのでしょうか。最も確実な方法は、補助金申請のノウハウを持つ社労士や、手厚い支援を行っているベンダー(IT導入支援事業者)を味方につけることです。彼らの「伴走型サポート」を活用すると、採択率を高めることが可能になります。

定量的な導入効果を算出する

国や自治体へ補助金の審査を申請する際には、事業計画書において「導入効果」を具体的かつ定量的に示すことが重要です。「業務が楽になります」といった抽象的な表現ではなく、「見守りシステムの導入により、夜間巡視の時間を月間◯時間削減し、その分の人件費◯万円を職員の賃上げ原資に充てる」といったように、ROI(投資対効果)で語る必要があります。

しかし、現場の業務で手一杯の中、説得力のある事業計画書を一から作成するのは至難の業です。そこで導入実績が豊富なベンダーに頼れば、過去の成功事例にもとづいた事業計画書作成のサポートや、審査のツボを押さえた計画作成のアドバイスをしてくれます。

※助成金申請の代行は社会保険労務士の専門分野です。詳細は専門家や労働局へご相談ください。

導入後の報告まで対応できる体制を組む

補助金は「採択されて終わり」ではありません。機器導入後、数年間にわたって「事業実施効果報告」などの報告義務が課せられます。もし、この報告を怠ったり、導入した機器を適切に使用していなかったりした場合、最悪のケースでは補助金の全額返還を求められるリスクもあります。

そのため、機器の導入後の運用定着から、毎年の報告業務まで長期間にわたって伴走してくれるパートナーを選ぶことが重要です。コニカミノルタジャパンのように、国の認定を受けたIT導入支援事業者として、機器の運用報告に関するサポートも一貫して対応できる企業を選ぶことが、最大のリスクヘッジとなります。

※助成金申請の代行は社会保険労務士の専門分野です。詳細は専門家や労働局へご相談ください。

補助金はコスト削減ではなく経営の安定化と介護の質を高めるもの

補助金の活用は、単なるコスト削減や資金調達ではありません。ICT化によって業務効率を高め、職員が本来のケアに集中できる環境を作ることが本来の目的です。ICT化によってサービスの質を向上させ、利用者満足度を高めて経営を安定させる「戦略的投資」と捉えましょう。

コニカミノルタジャパンでは、豊富な導入実績と補助金支援のノウハウを活かし、貴施設に最適な補助金の選定から導入後の定着までをトータルでサポートします。まずは活用できる補助金の選択から、お気軽にご相談ください。

持続可能な介護経営実践ガイド
加算取得とICT活用で経営安定化の実現を

加算取得とICT活用を軸に、経営安定と現場改善を同時に進める考え方と実践ポイントを体系的に整理。持続可能な介護経営のための必読資料です。

記事監修

コニカミノルタ 金子史歩

藤野 雅⼀(富津市天⽻地区地域包括⽀援センター センター⻑)
保有資格:社会福祉⼠、介護⽀援専⾨員

淑徳大学社会福祉学部卒業後、障害者支援施設に通算17年間、高齢者関連事業所に通算11年勤務。2017年より千葉県の高齢化率40%を超える過疎地の地域包括支援センターでセンター長を務める。2024年4月から2025年3月まで、月刊『ケアマネジャー』(中央法規出版)にて「障害福祉サービスから介護保険サービスへの移行」等をテーマに連載記事を手がける。

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