セミナーレポート
「レントゲンに頼りすぎない超音波診断」とは?
第90回 日本整形外科学会学術総会

「レントゲンに頼りすぎない超音波診断」セミナーレポート

超音波診断装置は、整形外科外来でも重要度が増してきています。
「エコーガイド下注射」 をはじめ治療でも正確性や安全性から注目度が高まっており、学会最終日(5月21日)に開催したコニカミノルタジャパン共催のランチョンセミナーにも、多くの先生方が足を運んでくださいました。整形外科における超音波診療の“最前線”をひもときつつ、セミナーの見どころを紹介します。

「超音波診療」の権威をお迎えして

2017年5月21日、第90回日本整形外科学会学術総会において、城東整形外科の皆川洋至先生による「レントゲンに頼りすぎない超音波診療」をテーマにしたランチョンセミナーが開催されました。座長には、超音波診断装置の先駆者である順天堂大学の山内裕雄名誉教授をお迎えしました。

講演のテーマは、次世代の治療手技とされる超音波ガイド下での治療方法「HR=Hydro-Release(ハイドロリリース)」です。

超音波は「診断」から「治療」の時代へ

講演は、学会の開催場所である仙台市と五十肩の関係という興味深いトピックからスタートしました。五十肩という言葉は江戸時代からありますが、病態が明らかになったのは戦後のこと。当時はX線診断が常識でした。話はタイタニック号沈没からソナーの誕生にまでおよび、順天堂大学で開発された超音波断層装置が医療の発展に貢献したことなどが、テンポよくスライドで紹介されました。

近年の超音波診断装置は、性能も画質も飛躍的によくなり、より緻密な診断が行えるようになってきています。レントゲンでの判断が難しい軟部組織まで、リアルタイムで観察できるため、エコーガイド下注射など治療に使われることが増えているのが現状です。
整形外科においては、注射の標的となる筋膜や腱鞘などを画像で見ながら、針刺入から薬液注入まで正確に実施することが可能。ハイリスクなブラインド手技よりも安全なのは言うまでもありません。

次世代の治療手技「ハイドロリリース」とは?

超音波ガイド下で生理食塩水を注射するハイドロリリース。肩こりや首などの痛みに高い効果を発揮することから、湿布や痛み止めの処方で終わらない、効果的かつ根本的な治療として、患者さんからの需要も高まり続けています。

皆川先生は、頚部神経根症や神経麻痺の治療にもハイドロリリースを取り入れています。頚部神経根症の治療は、X線透視下での神経根ブロックが一般的でしたが、現在はエコー下での神経根ブロックが簡単に外来で行えます。局所麻酔剤の代わりに生理食塩水を使うハイドロリリースを行ったところ、注射直後に局所麻酔剤同様の症状改善効果が見られたそうです。
また、神経麻痺は従来「3ヶ月待っても状態が戻らなければ手術」となることが多いですが、エコーガイド下によるハイドロリリースを行うと直後に改善効果が現れます。ですから、神経麻痺症例に遭遇した場合にはできるだけ早くにハイドロリリースを行うべき、というお話もありました。

今後は「超音波ガイド下手術」が主流に

注射のみならず、超音波ガイド下手術も全身麻酔下で関節鏡との併用で行われています。低侵襲手術で低費用なので、軟部組織の手術での主流になると言われています。

今回はフックナイフを用いての超音波ガイド下長頭腱切離を例に、エコー映像と関節鏡を併用した手術の詳しい解説がありました。CT・MRIの再構築画像とエコーのリアルタイム画像を連動させる技術を整形外科で使えば、近い将来には腱板断裂の治療において、超音波ガイド下でアンカーを打ち込み、腱板を治せるようになることも期待されているそうです。

実際に治療にあたった患者さんの症例をいくつも交えてご説明いただき、非常にわかりやすい内容でした。

コニカミノルタによる超音波治療普及プロジェクト

エコーを使用した治療や手術ではエコー装置があることに加え、解剖に精通していることが重要であることから、エコーを使いこなすための企画やサポートも併せて紹介していただきました。

コニカミノルタでは、超音波治療の進歩に貢献するため、若手ドクターへのバックアッププロジェクト「SMAP」の協賛をスタートいたしました。機器の受託研究貸出や、次世代を担う高いスキルを持つ若手ドクターへの学習機会のご提供など、さまざまな取り組みを行っています。
超音波治療の需要が高まり、「使う」だけではなく「使いこなす」ことが求められている時代。今後も「レントゲンに頼りすぎない超音波診断」が広がって行くのではないでしょうか。

セミナーアンケート結果

アンケートでは、およそ87%の先生が、外来で超音波を使った診断を行っているという結果になりました。また、半数以上の先生がエコーガイド下注射を行っているという結果が出ましたが、その一方で行っていないと回答された先生が3割強、行いたいが自信がないという声も1割ほどありました。セミナー後には、ほぼ全員の先生がエコーガイド下注射への意欲を感じてくだいました。
「大変参考になった」「参考になった」がほとんどを占めていることからもわかるように、非常に満足度が高いセミナーであったことが伺えます。

セミナー動画

1.肩甲体のHR

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高画質でコンパクトなエコー

筋や腱などの細かい繊維が見える

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SONIMAGE HS1シリーズインタビュー

 

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