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2022年9月20日

SDGsで経営リスクを回避!脱炭素社会に向けた取り組みの本質とは

SDGsで経営リスクを回避!のサムネイル画像

SDGsや脱炭素と言う言葉がニュースや新聞に登場しない日のない現代社会において、企業はこれまでの経営を見直し、場合によっては取引先と連携していく必要があります。本コラムでは実際の取り組みをご紹介しながら、脱炭素社会を生き抜くヒントを考えます。

企業がSDGsに取り組むべき理由

今世紀初頭には大企業や環境活動に熱心な一部企業の旗印であったCSR活動は、SDGsの登場とともに、マナーを守る企業同士がビジネスを通じて社会に貢献する時代へと変化しました。その中でSDGsを用いて自社の活動を棚卸しながら、社内外に対して自社の存在意義を問い直す必要が生じてきたのです。

企業の存在価値の再認識と組織成長

SDGsといえば17色のカラフルなアイコンで知られる社会課題解決の目標群ですが、企業の存在意義を再認識し、使命感をもった組織として成長できるキッカケとなりえます。

社会的使命を掲げる企業を目指して

例えば、廃棄物事業者がワークショップを通じてSDGsを事業に取り入れたところ、分別による資源化100%を目標として掲げ、「資源」のプロ集団としての職業意識と自信を確立するまでに至りました。そして、地域の資源分別をどう徹底するかについて自治体や学校との連携を広げることで、地域になくてはならない企業に成長しつつあります。

SDGsを事業に取り入れた廃棄物事業者の説明図

ビジョン共有による組織成長

SDGsのために何か新たな活動を追加的に実施するものは少なく、自社が事業を通じて目指すべき理想的な社会の在り方について社内で意見を出し合い、社会の課題解決のために働いている自信や多様性を許容するチーム作りを通じて、組織が強くしなやかに成長する一助になるという事例です。

認識外のリスク回避

自社としては良かれと思って展開するサービスやキャンペーンは、SDGsの視点で見直すと、炎上するリスクに気づくことができたり、新たな展開の機会を逃していることに気づけたりします。

SDGs視点の欠如により想定されるリスク

■ ウェディング施設のHPで、風船を空へ飛ばす企画の画像が掲載されている。
  • 風船はどこへ行くのか
  • 周辺の生き物への影響が生じた場合の炎上可能性
  • 環境意識の高い顧客が離れる可能性
  • SDGsを学んだ優秀な人材のエントリーが減る
■ ファミレスのユニフォーム特集で、若い女性スタッフだけが取り上げられている。
  • 男女で職種のイメージを偏らせる可能性
  • 男性スタッフへの配慮不足、人材確保への影響
  • ユニバーサルなユニフォームの導入による雇用人材の多様化により、多様な顧客を想定したサービスの質の向上が期待できる
SDGs視点の欠如により想定されるリスクの説明図

事業イノベーションと受注拡大

SDGsをビジネスに実装するということは、自社の商品やサービスが社会課題にどう貢献しうるのかを突き詰めることでもあります。突き詰めた結果、得意とする領域で解決できる課題が発見でき、逆に社内で興味関心のある社会課題に対し、企業のノウハウで解決するマーケットインの考え方で新たなイノベーションを創出することもできます。こうした課題解決型の思考に裏付けされた事業は熱意と説得力をもって顧客に提案することができるため、共感とともに新たな受注に繋がるケースもあります。

SDGsを通じた事業価値の発見と新規受注

横浜のユニフォームメーカーでは、リサイクル素材などを衣服に採用するだけではなく、着用する人の様々な背景に寄り添うデザインを手掛けることで、社会の職業選択と採用選択の多様性や働き甲斐を高めることができるという、自社の企業価値の再認識に至りました。SDGsの目標10「人や国の不平等をなくす」ユニフォームを作ることで、目標8「働きがいも経済成長も」をテコのように押し上げることに繋がるというこの企業ビジョンは、共感する企業からの新規受注につながりました。

■ ユニフォーム×SDGs  ユニフォームの社会的使命
ユニフォームメーカーのSDGs活動の説明図

情報提供による取引の永続性確保

サプライヤー側においてもSDGsに配慮することが取引の永続性を担保することに繋がります。それは、SDGsに取り組む企業は、サプライヤー側に調達する原材料や物品・サービスに対しても責任をもった行動を推進するようになるためです。そして、より良い取り組みを情報発信することは、顧客やステークホルダーをはじめとする社会に気づきを与える意味でもSDGs経営において重要な活動です。情報発信をしないままでいると、せっかくの良い取り組みが社会に知られずのままとなり、従来のお客様やステークホルダーに「SDGs活動の取組をしていない企業」と認識される可能性が高くなり、従来の取引の減少や新規受注などの機会を失いかねません。

求められるビジネスのSDGs対応

例えば、印刷業においても工場を再エネ電力で稼働させたり、ノンVOCインキを用いたり、FSC認証紙を採用していることなどが発注のキッカケになるケースが増えています。

求められるビジネスのSDGs対応の説明図

これらの事例は、ビジネスにSDGsを実装させることで事業の本質的なゴールが顧客に共感を呼び、新たなニーズの掘り起こしや社会に対するインパクトを打ち出すことにも貢献できる取組みです。

大切なことは、「手法ではなくゴールの共有、継続、情報発信」

SDGsに取り組むことは、社内(チーム)の成長と社外(顧客)との新たなコミュニケーションの創造に繋がることが期待できます。そのための手法は、ワークショップの実施やサプライヤーとの連携、コンサルタントの活用などがありますが、大切なことは目指したいゴール(目標)を社内で共有し、そこへ向けて社内外を丁寧に巻き込み、継続的に情報発信をしてゆくことです。

情報発信とはすなわちSDGsに取り組む「事実の開示」であり、昨今の環境経営では重要視されるポイントです。情報開示を徹底する企業においては、発注先のサプライヤーの開示情報も自らの説得力を向上させる要素となるため、非開示情報が多くSDGsにどう取り組んでいるかが不明瞭な企業よりも、分かりやすく整理されたSDGs情報の開示が徹底された企業へ安心して発注される傾向にあります。

■ 網羅的なコミュニケーションで、業績向上につなげるサイクルの構築を目指す。
網羅的なSDGsコミュニケーションの説明図

脱炭素社会の最新動向とビジネス機会の創出

SDGsにおいて、目標13「気候変動に具体的な対策を」を目指す動きは、世界中の企業を巻き込む大きな潮流となり、様々な形で事業活動に影響を及ぼしています。温室効果ガスの排出削減は、程度の差こそあれ全ての企業にとっての義務でもあり、リスクの回避でもあり、ビジネス機会のきっかけにもなりえる世界共通の目標です。

4つの脱炭素イニシアティブとは

現在、大企業をはじめとする脱炭素への対応を進める事業者が向き合うイニシアティブとして、以下の4つが挙げられます。

1. RE100(アールイーひゃく)

年間50GWh以上の電力を使用する企業が、その電力を100%再エネ由来に切替える目標として多くの企業が参加を表明するイニシアティブで、国内では2022年7月現在72社が参加しています。50GWh未満の企業は国内において「再エネ100宣言」という目標イニシアティブが展開されており、企業や自治体など275団体が参加しています。

再エネ100宣言の説明図

2. CDP(シーディーピー)

世界中の一定規模以上の企業に対し、脱炭素活動の状況をアンケートにより質問し、その取り組み結果をスコア(A~F)などによって評価し公表するイニシアティブです。日本では2022年からアンケート対象企業がプライム企業1841社などへ拡大されました。(2021年までは時価総額上位500社)

3. SBT(サイエンスベースドターゲット)

企業の直接的・間接的CO2排出量を妥当性のある根拠に基づき算定し、その削減目標を野心的な数値で掲げることを評価認定するイニシアティブです。SBTでは、従業員の通勤や出張、取引先の工場のCO2排出量なども削減目標の対象となることから、自社の事業所以外のサプライチェーン全体を挙げてCO2削減に取り組む必要があります。

SBT(サイエンスベースドターゲット)の説明図

4. TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)

気候変動が影響をおよぼす企業のリスクや機会、それに対する戦略などに関連する財務情報の公開を促すためのタスクフォース。企業等に対し、気候関連情報公開のための方法を勧告し、賛同企業は同勧告に沿って報告書を作成し、公開する必要があります。

TCFDによる全セクター共通の提言内容の説明図

大企業が求めるサプライヤーとの脱炭素連携

国際的な脱炭素イニシアティブは大企業が先行して取り組んでいる状況です。そうした大企業の動きに先んじて脱炭素経営を推進することは、取引先企業のサプライチェーンにおける脱炭素経営に間接的に寄与することができ、選ばれやすいサプライヤーとして事業の永続性の担保にも繋がります。

取引先と連携した脱炭素活動の実績が求められている

プライム企業1841社などが対応するCDPは、サプライヤー等と連携した脱炭素活動の実績についての質問事項があり、大企業ではこの質問に充足した回答をすることでより高い評価を目指す動きが広がることが想定されます。すでに、中小企業にもかかわらず、取引先の大企業からの要請で、CDPへの回答を求められるケースが広がっています。

大川印刷が進めるSDGs視点と「CO2ゼロ印刷」

株式会社大川印刷では、自社工場に太陽光発電設備を設置し再エネを自家消費するほか、契約電力を再エネ100%に切替えることなどにより、ゼロカーボンで印刷できるという切り口で、脱炭素型の印刷会社としての業界や地域社会に広く認知されています。

大川印刷の企業HP画像

取引先企業のCDP「スコアアップ」に貢献

実際に、大川印刷の取引先企業では、CDPの回答に「再エネ100%の印刷物を調達」と回答しており、これがスコアアップに繋がれば、回答企業の株価へもプラスに影響する可能性が考えられます。

取引先から評価されるSDGs視点

大川印刷が大企業から安心して発注される理由は、脱炭素のみならずインキ溶剤や紙、従業員や地域社会など、様々な分野に対して創造的な自己否定を繰り返し続けることが評価されていることに起因します。

コニカミノルタが取り組むSDGs活動

コニカミノルタでは製品の省エネ性能を高め、顧客使用時のCO2排出量を削減するだけでなく、デジタルによるオンデマンドなラベル、パッケージ、テキスタイルの印刷ソリューションの提供による生産プロセスの改革、場所や紙にとらわれない働き方改革を進めるデジタルワークプレイス、エッジ型IoTソリューションでワークフロー変革を支援する新事業など、顧客のDXを促す製品・サービスを提供することで、顧客のビジネスを支援するとともに、業務効率化に伴う環境負荷の低減にも寄与していきます。

エコビジョン2050とカーボンマイナス

エコビジョン2050とは、「2050年までに自社製品のライフサイクル全体におけるCO2排出量を2005年度比で80%削減する」という高い目標です。また2017年には、気候変動問題を機会と捉え、ビジネスを通じて社会のCO2をマイナスにしていくコミットメントとして「カーボンマイナス」を追加し、サプライチェーン全体で取り組みを進めています。

エコビジョン2050の説明図。カーボンマイナスを2030年に前倒し

【まとめ】印刷会社とSDGs

脱炭素社会を生き抜く、選ばれる存在として

SDGsや脱炭素は、売上を増やせるから取り組んでいくのではなく、まずは「取り組んでいない」ことによる失注や採用のロスト、評判の低下といったリスクを回避し、スタートラインに立つことが大切だという認識が必要です。例えば、発注側より印刷仕様に条件を出されてすぐに対応できない、お客様の向かう理念などに沿う商品の提供ができなくなってしまう等の事態を招かないよう、早め早めの準備や対応をしたいものです。

まずはスタートラインに立つ取組みを開始し、各社なりの方法で実績を作りながら、情報開示やPRを行い、顧客や社会からの共感を地道に得ることが、持続可能な経営の基盤になると考えます。

Permanent Planet株式会社 代表取締役 池田 陸郎

Permanent Planet株式会社 代表取締役 池田陸郎

デジタルグリッド株式会社 RECマネージャー
カーボンフリーコンサルティング株式会社 国内事業部長
横浜グリーン購入ネットワーク 事務局長
事業構想大学院大学客員研究員
国内の環境関連制度に精通。日本全国において排出権の創出、カーボンオフセット企画、J‐クレジット制度における共同実施者のマッチング、普及活動(講演や研修など)に従事。その知見を活かし、自治体における環境をドメインとした活性化コンサルティングや企業向け講演会、産学連携の取り組みのアドバイザーも手がけている。