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2022年12月28日

株式会社ガリバーは、なぜDMに挑戦したのか。従来にとらわれない印刷業界の市場のカタチ

株式会社ガリバーは、なぜDMに挑戦したのかのサムネイル
株式会社ガリバー 代表取締役 中島 真一様

1991年のピーク時には8.9兆円あった出荷額は2019年には5兆円と、市場規模の縮小傾向が続く印刷業界(※)。変革が求められる業界にあって、AIやIoTを始めとするデジタル技術を活用して、製品やサービス、ビジネスモデルそのものを変革するDX(デジタルトランスフォーメーション)の果たす役割は大きい。

この流れには、これまでの生産性や事業の収益性を改善していくという目的を併せ持ち、デジタル化への取り組みは企業の大小に関わらず、避けて通れない取り組みになっている。

印刷業界においても、トップ企業を中心にDXへの取り組みは多様な形で進んでいる。

そこで今回はDXに取り組み、企業体制を変えた「DM(ダイレクトメール)」のプロフェッショナルである株式会社ガリバーの代表取締役を務める中島真一氏に、デジタル時代の印刷業界の現状やDMの可能性について、語ってもらった。

参照:年次動向|一般社団法人 日本印刷産業連合会

なぜDMにチャレンジしようと思ったのですか?

「モノづくりを起点としたコトづくり」の会社。私たちは自分たちのことをこのように表現しています。リアルでアナログなコミュニケーションツールであるDMに、ITを組み合わせることで、従来の常識を打ち破った提案をお客様にしています。

ガリバーは、1950年(昭和25年)に創業した総合印刷会社です。DMを会社の柱に据えようと思ったのは、2006年くらいのこと。新聞や紙広告の市場が縮小されていくなかで、印刷業界もどんどん厳しくなっていき、うちも含めて同業他社は年々業績が下がっていたので、このままカタログやチラシを従来の方法でつくり続けても先がないと感じていました。こうした状況を打開するために、着目したのが「DM」という手法でした。

DMによって商品が売れる、資料請求が増える、イベントの集客がアップする。このような「効果・価値」をクライアントに提供していくことが当社のミッションです。長年培ってきた印刷という技術をベースに、DMというリアルなメディアが持つ人間の感性に訴えかける力を最大限に生かしていけば、お客様のためになります。市場が縮小していくなかで、DMなら今後伸び代が十分にあるなと考えました。そういった経緯があって、効果の上がるダイレクトメールをつくろうと、事業ドメインを変更したんです。

2007年10月1日の郵政民営化に伴い「ゆうメール」が始まったことも大きかったと言えます。このおかげでDMに対する発送コストが下がり、テレビや新聞が広告を減らしていくなかで、広告郵便だけは増えていきました。

印刷業界の課題とDMが果たす役割についてどうお考えですか?

印刷業界は、大手の企業を除けば地場産業的な側面が強いと考えています。印刷は用紙代や設備投資費など含め、コストが非常にかかります。だから納品を考えると地域で完結するほうがいい。そんななか利益を出そうと思うなら、単価を上げるか、お客様を囲い込むかのどちらかしかありません。市場規模が縮小するなか、単価を上げるという選択肢は難しいことから、お客様の囲い込みを強化しなければなりませんが、そのためには効果的なマーケティングを行う必要があります。

これまでの印刷会社の主な仕事は、お客様が望む制作物を刷ったら納品して終了。乱暴に言ってしまえばただそれだけ。もちろん用紙の選択や色の調整など、職人的な側面があってやりがいのある仕事です。しかし、「とりあえずカタログやチラシをやってみませんか?」という営業はもう通用しません。

デジタル化が加速するこれからの時代は、どの業種、業界においても、効果的なマーケティングは必要不可欠なテーマです。この課題に対し、DMであれば1万通出したら何件問い合わせがあったかを明確なデータとして見られるなど、お客様のレスポンスを可視化できるので費用対効果がわかりやすくなり、クライアントにとって大きなメリットを提供できます。この印刷物×マーケティング効果こそDMが果たす役割で、私たちが提供する新しい印刷の価値だと考えています。

株式会社ガリバー 代表取締役 中島 真一氏

ガリバーが行っているサービスについて教えてください

「効果が上がるDMのガリバー」というキャッチコピーで売り出したのが、2006年ぐらいのこと。最初は問い合わせも少なかったけれど、だんだん増えてきて今ではDMが会社売上の8割くらいを占めています。

お客様が欲しいのは、レスポンスであり効果です。コンサルティング会社とまでは言いませんが、すでにガリバー=印刷会社と思って働いている社員は少ないように感じます。悩みを抱えているお客様の課題や問題解決の効果的な支援をDMという商品サービスを使ってお手伝いしている感覚です。

2・30年前なら、我々くらいの規模の会社は下請け仕事が7割でした。ところが今では新規での案件獲得にインターネットはとても大きな役割を果たします。弊社でも現在はクライアントとの直接取引がほとんどで、大手不動産や商社など昔とは違う業種のお客様も増えました。

「いろいろ広告を打ったものの、なかなか効果が上がらない」そんな悩みを抱えているお客様は、私たちが思っている以上にいらっしゃいます。私たちはそういった方たちに対して、予算やターゲットをお聞きしてこんなプランはどうですか?という提案をしています。

また、事例研究などのDM勉強会や東京ビッグサイトや幕張メッセなど販促関連の展示会に出展しています。その反応を見ていると、最近ではお客様のほうが、新しい広告手法としてのDMに興味津々な人が多いように感じますね。

効果の上がるダイレクトメールとはどういったものですか?

当初、我々が掲げていた効果の上がるDMとして、開封率を上げる、あるいはレスポンスを上げるために開けてみたくなるような仕組みや、返信しやすいようにミシンを入れたり、はがれやすくしたりといった工夫をDMに採用しました。「パタパタメール」や「ひろがるメール」がその代表です。この2つの商品を中心に、オリジナリティを出しつつお客様のご要望に合わせ、効果の上がるDMを制作・提案してきました。

そしてそのDMにさらに付加価値を持たせたものが、QRコードの存在です。QRコードがiPhone8で標準装備されるようになったおかげでアプリをダウンロードする手間がなくなり、読み込んでもらえる確率が格段に上がったのです。それを受けて「One to One log®」という仕組みをつくって宛名と連動するQRを入れ、データを可視化できるようにしました。

これは、DMを受け取った人が掲載されたQRコードにアクセスすると、誰がいつアクセスしたのかといった情報が収集可能になり、蓄積されたデータは、マーケティング戦略の重要な材料になります。紙(アナログ)でお客様に気づきを与え、その後ITとの融合によりQRコードでウェブへ誘導することで、デジタルでは補えない部分を補完するというわけです。

現在では「DMだけでなく、ITが主力だからシステムからつくってくれ」という相談も増えていることから、エンジニアやデザイナーの採用にも力を入れています。その技術を使って、イベントの抽選システムなども手掛けています。

ガリバーのDMは、なぜ選ばれると思いますか?

世の中がガラッと変わってしまい、チラシだけをつくったところで、今は誰も見てくれません。DMはメディアとしての単価が高く、より効果を求められます。要するに弊社は印刷会社というより、紙(DM)を基点としたダイレクトマーケティング戦略の会社だと思っています。

印刷会社なのにそこまでやるの?と驚かれる方がいらっしゃるかもしれませんが、お客様にしてみれば、予算をかけた分の効果がほしいわけで、結果が大切なんです。

DMを事業の柱に据えた際に社員には「我々はDMをつくっているけれど、本当に売りたいのはそのDMがもたらす効果」だと伝えました。DMによる効果をクライアントは求めており、それに我々は応えなければなりません。だからQRだったりシステムだったり、これまでは印刷業界の領域ではなかったことにも着手し、効果検証を繰り返しながらお客様が求める価値を提供してきました。我々のミッションである「印刷の可能性を最大限に追求する」です。

こうした新しい領域にどんどんチャレンジしてDMを進化させながら付加価値を創出してきたことが、選んでいただいている大きな要因になっていると思います。

お客様をつかむコツはありますか?

お客様のお話を徹底的に聞き、そこから“本当の要望”を引き出す。そして問題点を見つけ、その問題点を解決することが私たちの仕事のほとんどだと思っています。お客様が何を求めているのか、今後どうしたいのかを大切に、真摯に向き合っていくしかありません。

お客様の要望を聞いていると、広告予算は店舗とITに使いたいと考える会社が多いことに気づきます。お店に来てほしい、ITの力でホームページを収益につなげたい。だからお店とホームページの間をつなげるものを考えてほしいと言われます。お客様が言っているということは、今現在そのサービスがないということ。だからうちで挑戦してみようというシンプルな話です。印刷業会は保守的なイメージですが、弊社ではもともと先代のときから、新しいものを取り入れていく土壌があるのです。(笑)

私もDM事業をメインに据えたあたりから、若い社員のパワーには期待しています。社員から新しいプロジェクトが生まれてくることも多いです。そういう風土が会社のDNAとして根付いていき、お客様とともに新しいガリバーをつくっていければと思います。

その一方で、他社では「うちの会社なかなか新しいことにチャレンジできない…」という話をよく聞きます。でも今の世の中、常に頭を柔らかく固定概念を外していかないと、こんなに変化の早い社会では生きていけません。ではなぜ変化できないのか。それはやはりお客様目線になりきれていないからだと考えます。

「そんなことすでにやってるよ」とおっしゃる方もいると思います。でも私個人の感想としては、お客様とどれだけ長い時間を過ごしているのか、疑問に感じることがまだまだあります。お客様の目線を理解して、お客様の立場にたった提案を自然とできるようになっていく。お客様から“本当の要望”を引き出すには、それしかないと信じています。

今後、ダイレクトメールのオンリーワン企業ガリバーとして目指すところを教えてください。

これはもう、いつもそればかり考えていますが、「印刷を通じて、その先にある効果を上げること。お客様に感動を提供できる企業であろう」ということです。実現するための具体的な行動は、世の中の変化に応じて変わっていきますが、目指すところは常にこれです。

正直、今の印刷産業を取り巻く環境は厳しいです。将来的に印刷がなくなる可能性があるなかで、ダイレクトマーケティングの可能性はさらに重要視されていき、その比重がだんだん増えていくのは間違いないと思います。

社員をどんどん増やして急拡大するのではなく、堅実に。これが一番、ガリバーらしい成長の仕方だという気がしています。それを実現させるにあたって、マーケティングやクリエイティブに重心を置き、モノづくりのコアな部分で付加価値のある仕事を進めていくことになるのかなと。その根底には「発想から発送まで」、常にお客様に心から満足していただきたいという強い意識があるからです。

逆風が吹く印刷業界にあって、ダイレクトメールの専門家集団として企業の形が変わりつつあるこの会社の未来が楽しみです。

ーー中島様、ありがとうございました!