2022年7月29日
Googleアナリティクス「パラメータ」の生成・集計方法をマスターし、分析の精度を上げよう

Web解析ではスタンダードなツールとも言えるGoogleアナリティクスですが、Webページの流入だけではなく、Web広告や紙媒体のQRコードなど、多岐に渡る媒体からの流入や、行動データを収集することができます。しかし、より精度高く分析を行っていくためには、パラメータを生成し付与していく必要があります。
今回は、Googleアナリティクスにおける、パラメータの生成から集計方法を解説していきます。
Googleアナリティクスのパラメータとは

Googleアナリティクスにおけるパラメータとは、URLの末尾につける文字列のことを指します。URLの末尾に「?」を付け、続けて「名前=値」といった形でパラメータを設定していくことで、本来なら計測不明とされてしまうDMなどの紙媒体からの流入も、Googleアナリティクス上で正しく取得することができるようになります。
パラメータの活用例
パラメータを設定することで、Googleアナリティクス上で媒体別の表示回数や、どこからきたのかといった経路毎のアクセス数など、より高度なデータを取得することができます。では、実際にどのような場面で使用し、活用することが出来るのかについて事例を紹介します。
チラシやDMのアクセスを計測する
チラシやDMなどの紙媒体から、QRコードでWebサイトへ誘導する手法がよく使われます。QRコードにするURLにパラメータを追加することで、下記のようなデータの取得が可能です。
例:
- いつ配布した紙媒体か
2022/6/8に開催のキャンペーン用パンフレットからのアクセスを取得したい場合
(パラメータ例)
utm_source=qrcode&utm_medium=pamphlet&utm_source=campaign_20220608 - どの種類のチラシからアクセスされたか
新商品を紹介するDMから来たアクセスを取得したい場合
(パラメータ例)
utm_source=qrcode&utm_medium=dm&utm_source=newitem
目的に応じたパラメータ設定をすることで、紙媒体の精度を上げるためのPDCAサイクルを回すことができます。
Web広告からのアクセスを計測する
リスティング広告やアドネットワーク広告などを経由して流入したユーザーを、パラメータで検索エンジンからのアクセスなどと分けて計測できるようにすることで、広告の効果や他の施策との比較ができるようになります。新規のユーザーがどのようなメディアや検索ワードで流入してきたかを分析することで、注力するべき広告や出稿場所などをあぶり出す事ができます。Googleアナリティクスの指標と、各広告ツールが持つ指標には同じ項目名でも集計方法の違いなどで数値が異なる場合がありますので、各種ツールと合わせて計測する際には注意が必要です。
例:
2022/6/8に開催のキャンペーン用クリック報酬型広告(cpc)からのアクセスを取得したい場合
(パラメータ例)
?utm_source=yahoo&utm_medium=cpc&utm_campaign=campaign_20220608
リスティング広告などの「キーワード」を特定する
リスティング広告など検索連動型の広告で、出稿時に指定したキーワードをパラメータに指定することで、Googleアナリティクス上でも出稿キーワードに合わせた計測が可能になります。どの出稿キーワードがきっかけで、ユーザーが広告を表示し、クリックに至ったのかを把握することができるため、出稿キーワード毎の効果検証がしやすくなります。ただし、キーワードは多岐にわたるケースが多いため、管理が煩雑にならないよう注意が必要です。
例:
鞄のセールを開催したときのリスティング広告で、「ハンドバッグ」という出稿ワードからの流入を取得したい場合
(パラメータ例)
?utm_source=yahoo&utm_medium=ppc&utm_campaign=bag_sale&&utm_term=handbag
Googleアナリティクスのutmパラメータの種類と役割
パラメータには必須項目と任意項目があります。役割・用途に合わせて最適な組み合わせを選び、設定していくようにしましょう。
複数メンバー・複数部署が関わる場合にはパラメータ設定におけるルールづけを行い、分析が競合・混線しないようにするなどの周知も大切です。
ここではutmパラメータの役割や種類をパラメータ例とともにご紹介します。
utmパラメータの役割
utmパラメータの役割は、主に以下の3つに集約されるでしょう。
①紙媒体など参照元不明となるアクセスも判別できるようになる
②メールマガジンやSNSなど媒体ごとの流入を分析できる
③リスティング広告やディスプレイ広告などの詳細の分析ができる
Googleアナリティクスで媒体や施策毎にアクセス数や流入経路を把握し、より高度な効果検証をしていくためには、utmパラメータの設定は重要です。
utmパラメータ一覧
パラメータ名 | 役割 | 必須 / 任意 |
---|---|---|
utm_source | 参照元を指定する | 必須 |
utm_medium | メディア(媒体)を指定する | 必須 |
utm_campaign | キャンペーン(施策・商品など)を指定する | 必須 |
utm_term | 検索広告などのキーワードを指定する | 任意 |
utm_content | 広告タイプを指定する | 任意 |
どこから来たのかを指定する【utm_source】
Googleアナリティクス上では「参照元」という項目で表示され、検索エンジンやSNSなど、どこのサイトやサービスからアクセスしたのかを示します。自社サイトのTOPページなど、不特定多数の流入が見込まれるページでも、utm_sourceを設定することによって、他の流入からの計測と混ざること無く、正しい参照元を取得することが可能になります。
設定例
参照元 | パラメータ例 |
---|---|
Yahoo | utm_source=yahoo |
LINE | utm_source=line |
※パラメータ名は大文字小文字も認識が分かれるため、煩雑にならないよう、小文字に統一しておくことをおすすめします。
どんな媒体から来たのかを指定する【utm_medium】
Googleアナリティクス上では「メディア」という項目で表示され、前述したutm_sourceパラメータの「どこ」から来たのかという項目に対し、広告やメールマガジンなど、「どんな」媒体からアクセスしたのかを示します。この項目に設定する名称は、Googleがあらかじめ定めているチャネル(流入経路)の定義と同じ名称にしておくと、Googleアナリティクスの「集客」や「マルチチャネル」といった分析結果のページにおいて、チャネル定義にあわせた判別・分類が自動的に反映されるようになっているため、分析においての分類の手間が減り、整理がつきやすくなります。下記の例を確認の上、チャネル定義にあわせた名称設定をすることをおすすめします。
主なチャネル定義の例
チャネル(流入経路) | パラメータ名(utm_medium) | 反映場所 |
---|---|---|
有料検索(リスティング広告/検索連動型広告)など | cpc,ppc,paidsearch | 集客サマリー チャネル、有料検索 マルチチャネル |
ディスプレイ広告 | display,cpm,banner | 集客サマリー、チャネル、マルチチャネル、一部の有料検索 |
その他の広告 | cpv,cpa,cpp,content-text,affiliate | 集客サマリー、チャネル、マルチチャネル、一部の有料検索 |
ソーシャルネットワーク(Facebook、Twitterなど) | social,social-network,social-media,sm,social,network,social media | 集客サマリー、チャネル、マルチチャネル、ソーシャル |
メール | 集客サマリー、チャネル、マルチチャネル |
※最新の情報はこちらをご確認ください
どのキャンペーンから来たかを示す【utm_campaign】
Googleアナリティクス上では「キャンペーン」という項目で表示され、例えば、「春のセール」「紹介キャンペーン」といった施策ごとに設定したり、「靴」「スーツ」といった商品ごとに設定するなど、計測の目的に合わせて様々な用途に使用できるパラメータです。
設定例
施策名・商品名など | パラメータ例 |
---|---|
春のキャンペーン(2022年度) | utm_source=spring_cp_2022 |
スーツ | utm_source=item_suit |
検索広告などのキーワードを指定する【utm_term】
Googleアナリティクス上では「キーワード」という項目で表示され、主に、リスティング広告などの広告管理画面等で設定した、キーワードと合わせて管理・計測したい場合などに使用します。設定することにより、広告キーワードの整理と把握がしやすくなる反面、キーワードは非常に数が多い項目なので、管理が煩雑になったり、ユーザーが実際にどのようなキーワードで流入したのかなど、詳細の検索語句(検索クエリ)が取得できなくなるため、使用には注意が必要です。
また、任意の設定項目のため、必要な場合にのみ設定するのがよいでしょう。
A/Bテストなど広告の区別に使用する【utm_content】
Googleアナリティクス上では「広告のコンテンツ」という項目で表示され、どんな広告タイプなのかを指定します。例えば、バナー広告のA/Bテストを行うときなど、広告の区別をしたいときに使用します。
また、任意の設定項目のため、必要な場合にのみ設定するのがよいでしょう。
設定例:2種類のデザインでバナー広告のA/Bテストを行った場合
広告タイプ | パラメータ例 |
---|---|
デザインAのバナー | utm_content =banner_a |
デザインBのバナー | utm_content =banner_b |
utmパラメータは「サイト内」リンクで使用しないよう注意
utmパラメータをサイト内のリンクに使用してしまうと、それまで引き継いできたutmパラメータの情報が上書きされてしまい、Googleアナリティクスに蓄積されているデータが、置き換わってしまうため注意が必要です。
例えば、SNSからのリンクにutmパラメータを設定していた際に、経由する途中のページに(TOPや詳細情報ページなど)utmパラメータが挿入されていると、その時点でutmパラメータが上書きされてしまいます。
utmパラメータは「サイト外」からの誘導時に使用するもの、と覚えましょう。
Googleアナリティクスのパラメータ生成方法
ここからは具体的にパラメータを作成する方法について解説していきます。
パラメータの作成方法には、手動で作成するほかに、自動作成ツールを使用して作成する方法もあります。
自動作成ツールは、フォームに必要な項目を入れればURLが発行されるため、生成時のミスも少なく簡便である一方、既存のURLパラメータの一部を変更し量産する場合などは手動で対応するほうが効率的な場合もあります。作成するシーンによって手動設定か自動作成ツールを使用するかを選択してください。
キャンペーンURLビルダーでパラメータを自動作成する
キャンペーンURLビルダーはGoogleアナリティクスの公式が提供しているパラメータ付きURLを自動で生成できるツールです。必要な値の名前をフォームに入力すると自動的にパラメータ付きのURLが生成できます。
step1.キャンペーンURLビルダーにアクセスする
Googleアナリティクス公式のキャンペーンURLビルダーへアクセスします。
→【キャンペーンURLビルダー】はこちら

step2.必須項目を入力する
下記の必須項目を入力します。

例)LINEで告知した春のキャンペーンページへの流入を計測したい場合
項目 | 生成される内容 | 入力例 |
---|---|---|
①Website URL | 計測したいページのURL | https://www.konicaminolta.jp/business/spring_cp_2022/ |
②Campaign Source | utm_sourceに指定する値 | line |
③Campaign Medium | utm_mediumに指定する値 | social |
④Campaign Name | utm_campaignに指定する値 | spring_cp_2022 |
例の用に入力すると「Share the generated campaign URL」の領域に図のように(赤枠:generated URLの部分)utmパラメータを含むURLが生成されます。

step3.自動生成されたURLをコピーする(赤枠部分)
図の赤枠部分をクリックすると、URLがコピーできます。

パラメータを手動で作成する
キャンペーンURLビルダーを使用しなくても、手打ちで作成することも可能です。手動作成の際は、パラメータ表記の間違いや、半角スペースなどの混入など、ひとつ間違うと計測が行えなくなるため注意が必要です。まずはURLパラメータの構造を理解していきましょう。
URLパラメータの構造

utmパラメータは以下の要素で構成されています。
①パラメータの始まりを意味する記号「?」
②utmパラメータ名と値をつなげる「=」
③複数パラメータをつなげる「&」
では、これらを使用した具体的な設定方法を解説します。
step1.「?」をURLの末尾に付ける
パラメータの記述を開始する際、URLの末尾は必ず「?」を付ける必要があります。この「?」が無いと、パラメータと認識できず、正しい計測ができません。
また逆に複数の「?」を入れてしまうと、一番最後に付与されている「?」以降だけがパラメータとして認識されてしまうため注意しましょう。
step2.使用するパラメータと値を作成する
使用するutmパラメータと値を決定したら「utm_source=line」のような形でパラメータと値を「=」でつなぎ、パラメータを作成します。
step3.「&」でパラメータを連結する
複数のパラメータを使用したい場合、「?」の後に、最初のパラメータを設定した後、2つ目以降のパラメータを「&」でつなぎます。
番外編.「#」(ページ内ジャンプ)を設定したい場合
「#」ページ内ジャンプを使用したい場合にはURLの最後尾に設定します。設定を誤るとページ内リンクは作動しませんので注意しましょう。
例)
◯正しい記載補法
https://www.konicaminolta.jp/business/spring_cp_2022/?utm_source=line&utm_medium=social&utm_campaign=spring_cp_2022#link
✕誤った記載方法
https://www.konicaminolta.jp/business/spring_cp_2022/#link?utm_source=line&utm_medium=social&utm_campaign=spring_cp_2022
パラメータの除外と確認方法
広告用などの各種パラメータが設定されている場合、Googleアナリティクス上では、パラメータ毎に別URLとして計測されてしまうため、余計なパラメータを除外し、まとめて集計したいケースが発生します。ここでは、パラメータの除外方法を2つ解説します。
方法1:「除外するURLクエリパラメータ」
除外するURLクエリパラメータとは、URLに含まれる特定のパラメータを除去するための設定項目です。設定を行うことでパラメータの異なるURLを合算することができます。
①Googleアナリティクスの管理画面にて、変更したいビューを選択

②ビュー列の「ビューの設定」をクリック

既存のビューに除外設定をすると、設定後Googleアナリティクスからパラメータが消えてしまうため、残しておきたい場合は「ビューを作成」または「ビューをコピー」を選択し、新たなビューとして設定することをおすすめします。
③「除外するURLクエリパラメータ」に除外したいパラメータ名を入力

カンマ「,」で区切ることで、複数のパラメータをまとめて指定できます。
※utm_campaignやutm_mediumなどの、utmパラメータは、自動で除外されるので設定は不要です。
④「保存」ボタンをクリックして完了
設定後、不要なパラメータは削除され、数値が合算されます。
※パラメータの除外は、設定後のアクセスデータのみが対象となり、過去のデータには適用されません。
方法2 :フィルタで除外する
「除外するURLクエリパラメータ」はビュー単位ですべてのデータからパラメータを除外する方法ですが、特定の領域のみ除外したい場合には「フィルタ」を追加して設定する方法があります。
(例)「/item/」以下のページでパラメータを除外したい場合
①Googleアナリティクスの管理画面からフィルタを追加したいビューへ遷移し、該当ビューの「フィルタ」を選択

②「フィルタを追加」をクリックし「フィルタ名」に任意の名前を入力(例:item以下のパラメータを除外)、フィルタの種類から「カスタム」を選択する

③選択肢の中から「詳細」を選び、各項目を設定

④「保存」ボタンをクリックして完了
設定後、指定領域の不要なパラメータは削除され、数値が合算されます。
※パラメータの除外は、設定後のアクセスデータのみが対象となり、過去のデータには適用されません。
▼①〜③の設定項目
項目 | 選択肢 | 入力 |
---|---|---|
フィールド A -> 引用 A | リクエストURI | ^/item/ |
フィールド B -> 引用 B | リクエストURI | ^(.*)?.* |
出力先 -> 構成 | リクエストURI | $B1 |
④は全てにチェックを入れます。
Googleアナリティクスのutmパラメータをマスターしよう
Googleアナリティクスで分析をする上で、必須ともいえるutmパラメータ。パラメータを使用することで、分析の解像度が上がり、仮説検証の見直しや、改善策の精度も向上します。utmパラメータをマスターしてマーケティング施策のPDCAを回していきましょう。
![]() コニカミノルタジャパン株式会社 白井杏奈 |