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公開日 2023.12.07

【プロが解説】フォントの種類と使い分け方とは。
読みやすさを追求するために気を付けたいこと

プロが解説!フォントの種類と使い分けのキービジュアル プロが解説!フォントの種類と使い分けのキービジュアル

皆さんは、文書やデザインを作成する際に、目的に合わせて使うフォントを選んでいますか?

利用するシーンなどにあわせてフォントを使い分けることは、さまざまな制作物を作るときの重要な要素のひとつになっています。また、内容にマッチしたフォントは相手に情報やイメージを素早く伝えられるため、適切なフォントを使うことは、スムーズなコミュニケーションにも繋がります。

本コラムでは、モリサワのフォントを元に、フォントの選び方やその考え方について解説していきます。

フォントの種類にはどんなものがあるか

日常生活で文字を観察していると、多くのフォントが利用されていることがわかります。

モリサワだけでも現在では2,000種類を超えるフォントをご提供しています。もちろん、他のフォントメーカーさんからも多数のフォントが提供されていますから、世の中にあるフォントの数だけでもおそらくは何万種類にもなるでしょう。

ここでは日本語フォントの主だった種類・分類について、モリサワフォントの代表的なフォントを見本に挙げながら、ひとつずつ解説していきます。

明朝体

一般的に利用される書体のひとつです。特徴としては、一般的には縦線が横線に対して太いこと、線に強弱があり、とめ、はね、はらいなどの、筆で描くような抑揚が文字の要素にありながらも、手で書くのとは異なる骨格である点が特徴となっています。

見たときにフォーマルな印象を与えることから、ビジネス文書の作成でも、明朝体はよく利用される書体のひとつになっています。

一般的に、多くの明朝体は文字の中心を基準とした揃いと読むときの繋がり、目線としての追いやすさなどから、縦書きとの相性が良いため、小説や新書などの文章では明朝体が多く利用されています。
個々の書体にもよるのですが、横書きで利用すると文字の間が空き気味に見えることがあるため、その点を考える必要があります。

明朝体による縦書き・横書きの見本

モリサワの代表的な明朝体は「リュウミン」で、古くから多くの印刷物に利用されてきました。その他の明朝体としては、横線のバランスを取りながらさまざまなシーンで利用できるようにバリエーションを広げた「黎ミン」や、交差する部分に墨だまりというにじみ的な要素を持つ「A1明朝」が、デザイン的な要素も加味して利用されることが多くなっています。

その他にも、モリサワフォントの利用者に長く愛されている「太ミン A101」や、毛筆のニュアンスを取り入れた新しいフォント「しまなみ」もラインナップとして揃っています。

明朝体 フォント種類

ゴシック体

名称としては、角ゴシックと呼ばれることもあります。明朝体とは異なり、縦線・横線ともに同じ太さに見えるようデザインされ、線の強弱も基本的にはあまりない、画一的な形状に見えるのが特徴です。明朝体よりも歴史が浅いこともあり、比較的モダンな印象を与えるといわれています。明朝体よりも視認性が良いことと同時に、横組みした場合にも読みやすいことが多いといわれます。

モリサワが提供する代表的なゴシック体は「中ゴシックBBB」で、モリサワの歴史としても長く提供していることや、細目のバランスのために長い文章にも利用しやすい点が挙げられます。公共的な場所でよく利用されるものとしては「新ゴ」があり、字面が大きく見える状態でデザインされていることや、中ゴシックBBBと比べると、よりモダンな雰囲気を与えることから、幅広く利用されています。新ゴよりは多少小ぶりではあるものの、力強さを感じさせる「ゴシックMB101」も利用されることが多いゴシック体です。

モリサワが提供する中で比較的新しいものとしては、A1明朝の骨格や墨だまりを受け継いだ「A1ゴシック」、デジタル時代のディスプレイ表示でも読みやすさを追求した「あおとゴシック」があります。

ゴシック体 フォント種類

丸ゴシック体

先端の形状が角張っているゴシック体に対して、丸く処理されているのが丸ゴシック体です。ゴツゴツする印象を与えるゴシック体に対して、やわらかな印象を与え、親しみやすく感じるのが丸ゴシック体といえます。こちらも公共的な場所での利用が比較的多いこと、そして細めの丸ゴシック体は読みやすさを考慮して長文などに利用されることがあります。

モリサワで代表的な丸ゴシック体は、古くから提供している「じゅん」が挙げられます。じゅんよりモダンな特徴を持つのが、字面が大きくデザインされている「新丸ゴ」です。他にも、新ゴの骨格を元にしながら丸ゴシックの特徴を持たせた「ソフトゴシック」もあります。

丸ゴシック体 フォント種類

筆書体

人の手で書いたような特徴を多く残したフォントが筆書体(ひっしょたい)です。筆や硬筆などで描く、はね、とめ、はらいを含む、文字の形について手書きの風合いを考慮してデザインしていることが特徴です。

それだけ聞くと明朝体と同じように思えたりするのですが、明朝体やゴシック体は、たとえば之繞(しんにょう)の縦棒がまっすぐになるのに対し、筆書体の場合は原則として手書きのように曲がっているなど、運筆としての風合いを残す点が異なっていたりします。しかし、筆書体というだけではかなり大雑把な括りになり、具体的にはさまざまな種類があるのが実際です。

日本語フォントの筆書体の中には古い中国の文字を基準にデザインされたものもあり、代表的なものとしても、篆書(てんしょ)、隷書(れいしょ)、行書、草書(そうしょ)、楷書(かいしょ)などがあります。また、日本の江戸時代に生まれて発展した、勘亭流や寄席文字、髭文字もあります。そして、明治初期に作られたといわれ、その名の通りの利用を主体とした教科書体も、筆書体の範疇に入ってきます。

モリサワでもこの筆書体の種類を豊富に用意しており、伝統的な内容を含むデザイン作成だけではなく、逆に現代的な内容であっても利用するようなケースも世の中では少なからず見受けられます。

筆書体 フォント種類

デザインフォント

今までご紹介した分類のように、長く利用されてきたり元の出自が古い文字とは異なるものの多くが、デザインフォントとしての分類になります。

文字を作ることは、昔は設備として考えられていたことや、金属活字として作ることもあって、基本的な文字を中心に利用することが一般的なものとなっていました。以前は金属活字をとり揃えたり、ガラスの文字盤を専用の機械で写真撮影するなどで文字を印字していたため、専門の業者や印刷会社でしか取り扱うことはできなかった、という点もありますので、整った文字を使うこと自体が今ほど容易ではなかったのです。

ちなみにモリサワは、もともと写真の技術を応用して文字を印字する機械「写真植字機」を開発・販売していたメーカーでした。

組まれた活字 モリサワの写真植字機(MC-6型) モリサワの写真植字機用の文字盤

しかし、文化や歴史の発展によりデザインを生業(なりわい)とする方が増えたこと、デザインをするための手段である道具が進化したことなどを背景に、現在ではさまざまな形状のフォントが毎日のように発表されています。

特に現代ではコンピューターを使ってデザインをすることが常態化したこともあり、プロのデザイナーだけではなく、一般の方でもフォントを作れるようになってきています。

モリサワのデザインフォントも多彩なラインアップが用意されています。シンプルながら使いやすい「フォーク」「丸フォーク」、文字のパーツを繋いだような「くもやじ」、抑揚がありアンバランスのように見えながらかわいらしい印象を持つ「すずむし」、筆書系を思わせつつも力強さのある「剣閃」、ペンで勢いよく手書きしたような印象の「くろまめ」などがあります。

デザインフォント 種類

学参フォント

筆書体の中のひとつで教科書体がありましたが、現在では教科書体以外にも多くのフォントが学校の教科書や学習用フォントとして用意されています。その分類がこの「学参フォント」です。学参フォントの役割としては「文字を習いはじめた人が手書きで書くときに混乱しないこと」であり、文部科学省の学習指導要領に準拠するようデザインされている点が特徴となっています。

モリサワの場合、明朝体であるリュウミン、ゴシック体である中ゴシックBBB、丸ゴシックの新丸ゴなどを、学参基準のフォントとして利用できるようにデザインを見直したものを用意しており、それらのフォントがこの分類として挙げられます。

また最近でいえば、後ほどご紹介する「UDフォント」の区分にも含まれる「UDデジタル教科書体」もこの学参フォントになります。もちろん、モリサワで以前から用意している教科書体「教科書ICA」も、学参フォントの種類に含まれます。

学参フォント 種類

モリサワでは、他にもさまざまなフォントをラインナップしています。モリサワのサイトでは「書体見本」のページを設けており、書体の分類や種類、利用言語などから絞り込んだり、任意の文字を入力してどのような状態になるのかを確認することができますので(※)、ぜひアクセスして実際に確認してみてください。
※ 一部のフォントは試すことができません

ただ、いままでの内容で見てわかるように、フォントの分類は、現在ではひとつの括りに収まらないことがあります。デザインフォントでも明朝風、ゴシック風、筆書体風のものも数多くあり、分類の区分が曖昧になる場合があるためです。フォントメーカーの人間がこう言ってはいけないのかもしれませんが、フォントの分類については、ひとつの目安としておくのがいいかもしれません。

フォントを選ぶための基準とコツ

皆さんは文書やプレゼン資料を作成するとき、どのようなフォントを使っていいのか悩むことはありませんか? どんなフォントが合っているのか、本当にこのフォントは読みやすいのか、その結果として渡す先の人に評価してもらえるか、なんてことを考えることもあるかもしれません。

前の項ではフォントの分類についてご紹介しましたが、実はその把握を行うことは、フォントを適切に、そして素早く選ぶためにも必要なことになっています。特に普段からよく利用するフォントについては、分類を覚えておくだけでもすばやく選ぶことができるようになります。そのうえで分類ごとの特徴も押さえておくと、フォントの使い分けがしやすくなるでしょう。

明朝体

さまざまなシーンで利用ができる分類の一つです。基本的には癖が少なく、多くの文書にマッチングしやすいため、見出しや長文などあらゆる利用に適している、オールラウンダーなフォントといえます。特にフォーマルな文書など、利用シーンによっては明朝体のみの利用が求められることもあります。見出しを含む文書については、読みやすさを考慮してゴシック体と組み合わせて使うことも考えてみましょう。また、すでに出している画像にあるように、利用する明朝体の特徴によっては、横組みで使うと隣り合う文字とのスキマがあるように見えるので、選んだフォントが縦組み向きなのか横組みにも使って問題はないのかを考慮するほうがいいでしょう。

ゴシック体

明朝体と同様、さまざまなシーンで利用しやすい分類です。縦線・横線の太さが均一である特徴から、明朝体よりも視認性が高くなるケースがあるため、同じような太さのフォントを使う場合、少し小さい文字でも読みやすさに長ける特徴があります。プレゼン資料についてはプロジェクターによる表示のことを考えると、基本的にはゴシック体を基準にして利用するのが望ましいでしょう。

丸ゴシック体

ゴシック体に類する点があるので、プレゼン資料への利用はしやすいと思います。また看板などの表示などにも利用しやすいといえるため、社内に掲示するような案内に利用することも適しています。ただ、丸っこい形状を考えると、フォーマルな文書への利用はミスマッチといえるでしょう。

筆書体・デザインフォント

これはどちらも、基本的には長文での利用に向かないものが多い、という前提があります。そのため、見出しや短文など、目立たせたり強調したいような文字列に対して使うのがいいでしょう。もちろん、利用する場合は適用する文字列のイメージに合うことを考慮しましょう。もしプレゼン資料で利用する場合、強調したい文言に対して使うことで相手にインパクトを与えられる場合があります。
ただ、プレゼンの場合は内容や説明を行う相手なども関わってくるため、シーンに合わせて利用の可否をきちんと考慮するのがいいでしょう。

学参フォント

主に小・中学生向けのフォントになります。特に学参のゴシック体や明朝体は通常のものとは形状も異なっています。そのため、一般的な利用としてはあまり向かないといえますし、異なる分類のフォントと組み合わせると違和感が出ることがあります。教科書体のみは例外で、筆書体の分類でもあることや長文にも利用しやすい点があるので、利用シーンによっては一般的な利用として検討してもいいかもしれません。

学参フォントの場合、日本語を習うという場面では、留学生の方が文字の書き方もあわせて学習していることもあるでしょうから、その場合は学参フォントのほうが向いているかもしれません。これらのことを考察すると、実際に作成したものを、誰が、どのように使うのか、などの最終的な利用シーンを考えながら対応するのが望ましいといえるでしょう。

また、これらの分類とは別に、太さなどのバリエーションについてはまた別に考えておいたほうがいいでしょう。それを集めた、デザインを統一して作っているフォントのセットをファミリーといい、太さのことをウエイトといいますが、フォントを用いる場合にはそれらの使い分けが必要になってきます。

明朝体、ゴシック体、丸ゴシック体などのよく利用されるフォントは、一般的に6~8種類前後のファミリーとして構成することが多く、提供されるフォントのウエイトを使い分けることが大事です。太いものは長文や小さな文字には向かないですし、細いものを見出しに使うとインパクトに欠けるなどの問題が出ることがありますので、利用する文字サイズや文字量を考慮して選ぶことが必要です。利用する文章の種類で文字サイズが決まることが多く、それによってフォントのウエイトについてもどれを使うのかが自然に決まってきます。

フォントのウェイトと使い分けの例

ただ、筆書体やデザインフォントはファミリーが少なかったり1種類しかないこともあります。先述の通り、見出しや短文への利用が主体になるのですが、文章自体の特性やデザイン性を優先する場合は、それらに限定せずにさまざまなシーンで使う可能性が出てきます。その場合でも、文字サイズと太さのバランスを考慮したうえで利用するのがいいでしょう。たとえば、太く力強いフォントを小さい文字サイズで使ってしまうと、潰れたように見え、読めなくなる可能性が生じるためです。

また、文書やプレゼン資料、デザインをする時にあらかじめ決めておいたほうがいいのですが、使うフォントの数量は、特別な理由がない限りあまり多くならないようにしながら、要素ごとに使うフォントをきちんと定めて対応するのがいいでしょう。多数のフォントをあまり考えることなく雑多に利用してしまうと、読みにくくなったり相手に訴求したい要点が不明瞭になってしまう可能性があります。

また、見出しや本文などの種類ごとにフォントを決めておかないと、読む人はひと目見ただけで瞬時にどんな文章の種類で区分されているのかを把握することが難しくなるためです。これは文字サイズも同様になることがあります。作成物の見た目についてはメリハリを与えながらも、統一感のある状態にすることで、見た人に対して自然に内容が伝わっていくように考慮しながら決めるようにしましょう。

文字にも求められるユニバーサルデザインの考え

現代においては、さまざまな人への配慮が欠かせないことは、皆さんも日々の生活の中において感じ取ることができるのではないでしょうか。「ユニバーサルデザイン」の観点は、生活する日常においても対応が必要であり、ビジネスを含む作り手や発信者においてもその観点が求められるといわれています。

それは、情報発信や記録伝達の一助を担う、文字においても欠かせないものといえます。

ユニバーサルデザインとは?

現在はさまざまな情報が文字として表現されるようになってきていますし、多くの情報を一度に提供しなければならないようなシーンも増えてきています。それに対して、情報を入れる場所としては物理的な制約があることもまた事実です。しかし文字サイズを小さくすると読めなくなってしまいますし、場合によっては誤読に繋がってしまう恐れもあります。

この相反する課題に対してどのように解消を図るかを検討するうちの一つとして「読みやすい形の文字を用意する」ということが、解決に結びつく可能性に繋がります。その選択肢になるのが「UDフォント」(ユニバーサルデザインフォント)です。

UDフォントの利用としては、国の施策にも関わる点があります。2016年に施行された「障害者差別解消法」により、障害のある方への合理的配慮が求められており、自治体などの行政機関ではその義務化が、事業者については努力義務としての対応が必要です。

また、2024年からは事業者でも義務が生じることになっているため、すぐにでも準備を進めていかなければならない状況といえます。

そして障害についてはそれぞれの人によりさまざまな状況や違いがあり、それは目にする文字についても影響する場合があります。なにより、一人一人の方がどのような状況なのかは具体的に確認しないとわからないのではないかと思いますが、事後を含む個別配慮には限界があります。そのため、日常から想定される可能性を考えながら、総合的な対応ができる可能な限りの配慮とそのための事前準備を行い、文字を含む表記・表現についても対応を心掛けていくことが必要になってきます。

これらを踏まえると、作成した文書の読み手が幅広い対象となる場合、現状においてはUDフォントの利用を行うのがもっとも適切な選択肢になる可能性があります。特に公共性の高い文書の場合、できるだけ読みやすくすることや誤読を防ぐことが求められる点を考えておくべきでしょう。UDフォントを使う目的として、主に高齢者や弱視者に配慮する、といわれることはあるものの、実際にはすべての年齢層に向けた対応として有効になりえます。

ただ、特定年齢や嗜好などを想定したデザイン性を優先する場合においては、一般的なフォントを利用したほうがマッチングする可能性が高いため、あらゆるシーンでUDフォントが活きるとは言い難いこともあるので、ターゲットや目的をきちんと把握したうえで選定することが望ましいです。

UDフォントのススメ

モリサワではユニバーサルデザイン向けのフォントとして、2009年に「UDフォント」としてリリースし、幅広い人が文字を通じて情報などに触れていくようなシーンにおいて、UDフォントの利用を積極的に推し進めてきました。また、最近ではSDGsの理念である「誰ひとり取り残さない」という考えも社会に浸透してきていることもあり、総合的な配慮が求められています。そしてその対応に対して苦慮されていることが多いことを、日々のお客様とのコミュニケーションの中で実感しています。

モリサワのUDフォントは、3つのコンセプトを基本としながら開発・リリースしています。「文字のかたちがわかりやすいこと」「文章が読みやすいこと」「読み間違えにくいこと」がそのコンセプトになり、違和感なく自然な流れで文字が読めることも考慮しています。

空間を作ると文字の形がわかりやすく視認性が上がる
漢字と仮名の大きさにリズムを付けると文章が読みやすくなる
濁点や半濁点を大きくすると読み間違えにくい

モリサワよりご提供しているUDフォントは豊富なラインアップをご用意しています。それぞれによって利用するシーンが異なる点がありますので、分けて解説をしていきましょう。

そして、実はモリサワのUDフォントは、Windows 10以降の環境なら誰でもすぐに使えるようになっています。ゴシック体である「BIZ UDゴシック」、そして「BIZ UD明朝」、そして学参フォントでも挙げている「UDデジタル教科書体」がOSに標準で搭載されているためです。ベーシックな利用であれば、これらを用いてUDフォントを使うことが簡単にできるようになっています。またMacの方でも、『MORISAWA BIZ+』で会員登録をしていただければ、BIZフォントの一部は無償でご利用いただけます。(macOS 14 Sonomaでは、オープンソース版のBIZフォントがOSに含まれています)

そのほかのラインナップとして、既にご紹介しました黎ミンや新ゴなどをベースにUDフォントのコンセプトを加えた「UD黎ミン」「UD新ゴ」「UD新ゴ コンデンス」「UD新ゴNT」「UD新丸ゴ」などを、日本語用UDフォントとしてご用意しています。これらのフォントは日常の文字が必要な中においてもさまざまなシーンで実際に使われているため、普段の何気ない生活の場において、みなさんも知らず知らずのうちにすでに目にしていることも多いと思います。

UDフォント

また、モリサワのUDフォントについては多言語でも活用できるようにバリエーションを充実させています。欧文系として「Clarimo UD」、中国語用や韓国語用に「UD新ゴ簡体字/繁体字/ハングル」などもあり、多言語でのユニバーサルデザインにも対応しやすいことと同時に、日本語のUDフォントと組み合わせても違和感のないデザインになっています。

日本国内においてはふたたび活発になってきましたインバウンドへの対応があるでしょうし、海外展開をしているプロダクトとしてイメージの統一を図る場合などのシーンで利用することも考える必要はあるでしょう。その際には同一のコンセプトで設計されたフォントを組み合わせて使うことで、全体的な表現統一がしやすくなります。

多言語でも活用できるUDフォント

Windowsに付属しているとして紹介した「UDデジタル教科書体」については、モリサワから提供している製品版では、Windows付属のものより多くのウエイトが使えること(Windows付属:2種類、モリサワ製品:4種類)や、小中学生向けの書き順が表示できる筆順フォントなどもラインナップしています。教科書はもちろん、学校の先生や学習塾の講師の方が独自の教材を作る場合に強みを発揮します。そのような制作物が身近にあるような場合は、これらの利用もご検討ください。

学参フォントのUD書体

UDフォントについては当事者にとって実際に読みやすいかどうか、という点がもっとも大事な要素にはなり、モリサワのUDフォントもさまざまな観点からその検証や実証を行っています。UD新ゴ、UD新丸ゴ、UD黎ミンについては、慶應義塾大学の中野泰志教授による比較研究実験により、低視力シミュレーションやロービジョンの方を対象とした検証などが実施されており、読みやすさとしての実証や評定として公表しています。

モリサワUDフォントと通常のフォントがどれくらい読みやすいのか、低視力シミュレーションで検証した結果です。一対比較法(シュッフェ法:比較したい書体のすべての組み合わせに対して、どちらがどの程度見やすいかを判断させることで見やすさの尺度を構成する方法)によって確認し、各検査項目の上位順にスコアを付けた結果、低視力条件(フィルタ利用によるシミュレート)では、横組み・縦組みともに、モリサワUDフォントが通常のフォントよりも読みやすいという結果になりました。横組みではUD新ゴ、縦組みではUD新丸ゴが尺度値で最上位を得た結果でした。
一対比較実験結果
シミュレーションによる晴眼者実験を踏まえ、ロービジョン(病気や事故が原因で視力に障害のある弱視)の方への検証も実施しました。その結果、多くのロービジョンの方にとって、UD新ゴやUD新丸ゴが読みやすいことがわかりました。とくにUD新丸ゴは、他のユニバーサルデザイン書体との比較でも、約9割の方がもっとも読みやすい書体として評定しました。

UDデジタル教科書体についても、中野泰志教授および、大阪医科薬科大学LDセンターの奥村智人氏による比較実験や読みやすさの検討などが行われており、眼疾患が無くても読み書きに困難さを抱えるような弱視の方やディスレクシア(読み書き障害)の方に対しても、見やすさ・読みやすさの評価を得ていることが確認できています。

UDデジタル教科書体と他社教科書体を用いて2種類の比較実験結果
教科書体の見やすさに関して、UDデジタル教科書体と他社教科書体を用いて2種類の比較実験を行いました。デジタルデバイス(タブレット)による国語(縦組み)と社会(横組み)の読みやすさについて、一対比較法を用いて検証したところ、いずれに評価においてもUDデジタル教科書体がもっとも見やすい書体となりました。紙に印刷したサンプルでの読みやすさでは、全国の視覚支援学校に在籍している高校生42名へのアンケートとヒアリング調査、弱視教育に携わっている教員・専門家65名へのアンケート調査、全国の視覚支援学校で弱視の生徒を担当している教員104名へのアンケート調査を実施しました。その結果、弱視児童・生徒への読書では、UDデジタル教科書体がもっとも適した書体という結果になりました。
ディスレクシア(読み書き障害)のある小学2~6年生26名を対象とし、UDデジタル教科書体を含む4書類の教科書体で縦組みと横組みの文書を作成し、一体比較法を用いた主観的読みやすさに関する検討を行った結果、どちらにおいてもUDデジタル教科書体が一番読みやすい書体として子供たちに選ばれました。

モリサワUDフォントの検証や実績としては、その他にもモリサワのWebサイトにてご紹介している内容もありますので、それらもご覧いただければと思います。

UD書体の実験・研究(エビデンス)
モリサワのUDフォントが日経225選出企業の9割でIR資料に活用
モリサワ 自治体と協働して全国初「フォント」による業務改善について検証 ~年間3,320万円分の労働時間減につながる試算も

UDフォントの利用以外にも、文字を扱うためのポイント

しかしながら、これらの実証や実績があったとしても、フォントの利用だけでユニバーサルデザインへの対応ができた、というわけにはいかないのが難しいところです。文字におけるさまざまな配慮としては、文字サイズ、字と字の間(字間)、そして行と行の間(行間)などの、文字自体の並べ方についても考えておくことが肝要といえます。

ちょっとここで、とあるサンプルをご覧いただきます。

サンプル

これをぱっと見たときに「読みやすい」と思うでしょうか? おそらく、「そうは思わない」と感じる方が多いと思います。

文字については「それぞれの人が、自分のペースで、違和感なく自然に読めること」が必要です。人によっては素早く読む人もいれば、中には時間をかけて1文字ずつ読む人もいらっしゃいますので、「自然に読めること」は人それぞれといえるのですが、多くの人は一定のリズムで素早く読む人が多いのではないでしょうか。そのことを考えると、どんな場合でも対応できるような文字の並びにしておくことも、重要といえるところです。

日本語用フォントの場合、1文字ごとに正方形の形を基準としたうえで、それを隙間なく並べることを基準として考えて作られていることを前提にすること、行と行の間についても一定の空きを入れることで、それぞれの行が区別して読めることなどを考慮してあげることで、読みやすさが変わってきます。

サンプル2

モリサワのUDフォントを利用する指標として、適切な文字の並べ方も同時に必要、としてご説明しています。あわせて、利用する文字サイズとしてもおよその基準を設け、カタログなどに掲載をしています。しかし、これは「UDフォントだから」というわけではありません。どのようなフォントを使う場合でも、小さすぎる文字サイズは読めませんし、読めない文字は相手に伝わらなくなってしまいます。そのため、どのようなフォントを使う場合でも、一般的な文書作成においても文字サイズの目安として心掛けてみてはいかがでしょうか。

使用文字サイズの目安

通常の文書やプレゼン資料作成の中で文字周りの対応に注意しつつも、UDフォントの利用も行うことで、より効果的な「読みやすさ」について対応していただくことについて、この記事をきっかけに、皆さんもぜひ考えてみてください。

フォントの種類と使い分け方の
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株式会社モリサワ 長谷川 昌紀

株式会社モリサワ 東京サポートセンター

長谷川 昌紀

Profile:印刷会社(写植、DTP業務)、広告代理店(グラフィックデザイン、エディトリアルデザイン業務)を経て、現在はモリサワに所属。現場で培った知識や経験を元に、モリサワ製品を含む各種ソフトウェアの提案・アフターサポート・各種セミナーなどを担当。

Profile:印刷会社(写植、DTP業務)、広告代理店(グラフィックデザイン、エディトリアルデザイン業務)を経て、現在はモリサワに所属。現場で培った知識や経験を元に、モリサワ製品を含む各種ソフトウェアの提案・アフターサポート・各種セミナーなどを担当。

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