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2022年4月11日

倒産危機から印刷会社を救う!事業継続に求められる知識と打開策とは?

印刷会社 倒産のサムネイル

ペーパーレス化や顧客が求めるニーズの多様化により、紙媒体の需要は減少傾向にあります。事業悪化による倒産など不安要素が増えている今、印刷会社が事業を継続していくためには、どうすればよいのでしょうか。この記事では、これからの印刷業界で生き抜いていくために求められる知識と打開策について解説します。

なぜ印刷業界の倒産が続いているのか?

経済産業省の調査によると、印刷産業の出荷額・事業所数・従業員数はともに1997年以降減少傾向が続き、2019年の出荷額は1991年のピーク時と比べて55%まで減少。事業所数も同じように、およそ半分近くまで減っています。なぜ印刷業界の廃業や倒産が続いているのでしょうか?

印刷産業の出荷額、事業所数、従業員数推移

参照:年次動向|一般社団法人 日本印刷産業連合会

ペーパーレス化の波

印刷業界を取り巻く状況は厳しく、そのなかでも大きな影響を与えているのが、さまざまなシーンで進むペーパーレス化が挙げられます。ここ数年、全世界的に注目される環境問題を語られるときに、ペーパーレス化は重要なキーワードとして取り上げられるなど、直接的に印刷業界に関わらない人にとっても、ペーパーレス化は日常生活に大きな変化をもたらしています。

例えば、経理に関連する書類や通販カタログ、パンフレット、チラシ、各種マニュアルなど、さまざまな印刷物が紙から電子化されることで、私たちの生活から多くの印刷物が減ってきました。インターネットの普及で多くの情報はPCやスマホから得られるようになり、さらに電子書籍などの登場で、本や雑誌、新聞などの売上も減少。印刷会社にとって大きなクライアントだった多くの出版社なども不況から倒産に追い込まれています。

そのほかにも、2012年に国連が策定し、全世界に向けて発表したSDGs(持続可能な開発目標)の影響も印刷業界に大きな打撃を与えました。印刷する際に使用される漂白剤や薬品は土壌や水を汚染する環境破壊が懸念されるようになったことも、ペーパーレス化の波を加速させるひとつの要因となっています。

参考:紙・板紙内需の推移グラフ

出典:日本製紙連合会

紙だけではありません。ビニールなどをはじめとする包装材にもさまざまな印刷が行われていましたが、SDGsの環境保全の観点から包装材を減らそうとする動きが高まっています。世の中のエコの流れと需要が変化していくことにより、この20年の間に印刷業界の仕事の数は激減してきたのです。

このような印刷物減少の背景を皆様も肌で感じているのではないでしょうか?印刷物を作り出す複合機やデジタル印刷機を製造・販売しているコニカミノルタにとっても皆様と同様に頭の痛い課題となっています。

売上の大半を数社に依存している

印刷会社の倒産や廃業が続く2つ目の理由として、売上の大半を数社に依存している印刷会社の経営課題が挙げられます。例えば、自社の売上の明細を確認すると、大半の売上を占めるのは数社しかないという会社が少なくありません。単発の仕事ではなく、リピートでオーダーが来ることが多い印刷業界はひとつ仕事の依頼が来たら大きな売上を確保できる代わりに、その仕事が失注してしまった場合、突然大きな売上が失われるリスクを常に抱えています。今、多くの印刷会社がその危機に直面しているといえるのです。

さらに印刷需要が減っているため、同業同士での競争は激化。結果、相見積もりで安いほうに流れていってしまうケースも見受けられます。

利益率が低い

こうした値下げ競争になると、会社の利益率は必然的に下がってしまいます。この状況を打破するためにいろいろな手段を検討されていることと思いますが、利益率が低くなってしまう課題は、市場での印刷業界のポジションが影響している面もあります。問題は「下請け」のビジネスモデルです。
印刷需要が豊富な時代は、印刷会社同士の仕事のやり取り、いわゆる下請け的なモデルでも充分利益が確保できていましたが、競争激化で印刷単価が下落した場合、自社の取り分は少なくなってしまいます。しかし、業務効率や利益率改善を追求する経営にすぐに転換することは容易ではありません。

クライアントからの値下げ要求を受けざるを得ない

また大半のクライアントは、少しでも安い印刷会社を求めて、相見積もりをとっています。そのため新規の受注を獲得するためには競合の印刷会社よりも少しでも安くする必要があり、クライアントから値下げ要求を受けた場合は、要求を受けざるを得ない状況です。
また、制作した分だけコストが発生する印刷業では少しのミスも許されず、チェックミスやミスプリントが発生した場合、クレームとなり、丸ごと再印刷をかけなくてはいけないケースもあります。

しかしそのコストは印刷単価に転嫁できず自社負担になってしまい、利益を圧迫した経験もあるのではないでしょうか。そのような経験があったとしても、クライアントは安さを求めていることから、初めからリスクヘッジした費用を載せた見積もりを提出することが厳しい状況です。

こうした体質から脱却するには、ビジネスモデルそのものを変える、大きな変革が求められるのです。

事例から考察する印刷会社が倒産する理由

印刷会社は、なぜ倒産に追い込まれてしまうのか。事例をもとに考えてみましょう。

株式会社Aの事例

A社は、印刷業界のなかでも長年の実績と取引基盤を持つ老舗の印刷会社でした。活版印刷からスタートし、時代の変遷に合わせてオフセット製版に移行。広大な新工場を竣工し、高い品質が求められる大手企業向けのカタログやパンフレットなど、大量の印刷加工を受注し、順調に業績を伸ばしていました。しかし、大量生産を可能にした設備を準備したにも関わらず、世間のニーズは少ロット多品種の注文が増加。単価の高い受注につながりにくい流れができてしまい経営は悪化し、倒産に追い込まれてしまいました。

印刷会社B社の事例

B社は、大手新聞社が全額出資の印刷会社です。新聞を中心とした折り込みチラシや別冊のほか、ポスターやカタログ・社内報・各種広報誌などの商業印刷を手掛けていました。

しかし、デジタル化やペーパーレス化の波に対応しきれず、2000年頃から約20年の間に売上は半分以下に減少。さらに追い打ちをかけるように新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、旅行関連のポスターやフリーペーパー、訪日観光客向けの印刷物の製作などが相次いでキャンセルされるなど事業環境は悪化していきました。

このように、予期せぬ災害の影響なども受けたことで倒産してしまったケースも多く見られました。

倒産する印刷会社の特徴

上記の事例は、主に外的要因の打撃を受けた例ですが、倒産してしまう印刷会社には、いくつか共通する特徴があります。

困難を極める事業承継

1つ目は、事業継承の問題です。印刷業界は、“斜陽産業”というイメージもあり、有能な人材を確保しにくいという課題があります。今後、必要になってくるのは新しいサービスに目をつけ、需要をいち早く察知し、実現する行動力を持ち合わせた人材ですが、なかなかそういった人材とめぐり会うのが難しい状況です。

ここで問題となってくるのが、事業継承です。将来性が見出せず、事業継承は困難を極めることから、会社をたたむことを決断する(あるいは決断せざるを得なくなった)ケースが増えています。

顧客ニーズについていく知識と経験が追いつかない

2つ目は、ニーズの変化に対応しきれていないというケースです。高度成長期とともに、多くの印刷会社が業績を伸ばした時代のビジネスモデルは、下請けや請負が基本でした。しかし、ペーパーレス化の波や大量印刷から小ロット多品種へニーズが変化していく時代で求められるのは、多様化する顧客のニーズに応える提案力だといわれています。印刷会社のアンケート調査でも、提案力強化、営業力強化を一番に上げられているようです。

こうした環境が大きく変化していくなかで生き残っていくためには、会社のビジネスを変革しなければなりません。しかし、顧客ニーズについていく知識と経験が追いつかず競争力を失った結果、なかなか新規の契約が獲得できないといった課題があります。

収支管理が不明瞭

そして3つ目の課題として、アナログ経営から脱することができず、収支管理が不明瞭なことが挙げられます。低価格大量印刷が求められていた時代は、納期を守るために印刷機も人員もフル稼働させて対応していました。その結果、追加の作業や外注費用がいつの間にか膨らんで粗利益が減ってしまうことが常態化してしまった会社が少なくありません。

印刷業は、案件によって原価もバラバラになることがあり、細部まで把握しきれずに収支管理が煩雑になってしまいがちです。こうした印刷単価下落の状況下や収支管理が不明瞭な状態が続けば健全な経営はできなくなり、破綻してしまうのです。

印刷会社に外注する理由をあらためて考える

そもそもクライアントは、なぜ印刷会社に外注するのか考えてみましょう。印刷を注文する企業の立場に立ってその理由をあらためて考えてみると、そこには事業を継続していくためのヒントがあるはずです。

DTPを扱うことができない

デザインソフトの普及により多くの人がフォトショップやイラストレーターなどを自在に扱うことができるようになっていますが、複雑なデザインのものや高いレベルのクオリティやセンスを求める場合は、やはりデザイン機能を有する印刷会社などに外注したほうがよいと判断される場合があります。

種類やページ数が多すぎて内製が間に合わない

パワーポイントやPDFファイルで対応できるA4表裏のチラシぐらいなら扱うことはできても、総合カタログや会社案内などはページ数も増えるため、より高度な技術が求められます。また、高品質に仕上げたい周年記念の冊子なども外注することを選ぶ企業が多い傾向があります。

ホームページや動画などと体裁を揃えたい

ホームページや動画、カタログ、会社案内、ノベルティといったマーケティングツール全般のテイストやデザインを統一してブランディングを行いたいと考える傾向が高まっています。

しかし、カタログは内製できても、デジタルまでを含めたすべてのマーケティングを社内で請負うのは、知識や時間が足りないことがあります。そんなときは費用がかかってもマーケティングをサポートしてくれるパートナーに依頼を検討することがあります。

このとき例えば、印刷会社として単に印刷物を作成するだけでなく、マーケティング視点、販促支援視点で、各種印刷物にデジタルマーケティングの強みを活かしたダイレクトメールやチラシの効果測定ができる機能を付加価値として提案すると、クライアントにとっては魅力的に感じられるかもしれません。印刷物を納品して終わりではなく、分析を行うことで次の施策をより効果的なものに高めていくことができるからです。印刷会社としては、データに基づいた仕様やデザインを提案することで、価格勝負ではない、継続的な受注が期待できるようになります。

印刷会社が倒産しないために行うべきこと

現在の印刷業界を取り巻く環境や現状を鑑みると、先行きは明るくないように感じられるかもしれません。しかし、クライアントのニーズはあきらかに見えており、求めているものは印刷物だけでなく印刷も含めたマーケティング支援です。印刷業からマーケティング支援業への変革が今一番重要だと考えます。ポイントは、「マーケティング支援のなかに印刷物がある」というサービスを考案・提案し、企業全体のマーケティングを掌握する動きです。

紙に依存しないビジネスモデルを確立する

デジタルメディアは即時性が高く、手軽であることからデジタルメディアのニーズが増えてきています。一方、印刷物のほうが有効なものもあります。ペーパーレス化の波に対応していくためには、印刷物の付加価値をさらに高めるビジネスモデルをつくることを課題として検討していく必要があります。そのためにも印刷会社はデジタルメディアと印刷物の両方を扱ってゆく必要があります。例えば、これまでは紙で印刷していたDMをデジタルマーケティングで行う仕組みづくりを提案することが印刷会社にはできます。なぜなら印刷会社はコンテンツデータをゼロから作り上げるノウハウ、スキルを有しているからです。

また、印刷会社だからこそ、紙の印刷物の魅力をあらためて理解することも大切です。例えば手元に残したい写真集や周年記念の冊子、ここぞというときの営業ツールなども、紙やモノに印刷することで魅力が増します。そうした印刷物の魅力をクライアントに伝える力も求められるでしょう。

営業ノウハウをアップデートする

クライアントから求められるものを提案でき、痒いところに手が届く存在であることで、クライアントの信頼を得ることができます。印刷会社で求められる営業力には以下のようなノウハウが挙げられます。

顧客の課題を解決する企画・提案力

印刷業界ならではの経験を活かしてクライアントの抱える課題を考え、解決できる力を発揮することで、価格だけの印刷受注から抜け出す必要があります。

例えば、開封率の高い圧着DM(ダイレクトメール)を提案することで、顧客の販促活動を支援することができます。圧着DMは個人情報保護の観点からも有効で、質の良い圧着DMは、印刷会社だからこそできる、特殊な印刷物です。

またエンドユーザーの多様化が進む傾向に対し、顧客もよりターゲットを狭めた商品を開発していくことが求められます。そこで印刷会社として何ができるか。例えば、デジタル印刷機を導入するなどインフラの整備は必要になりますが、同じ商品やラベル等でも可変印刷(バリアブル印刷)でいくつかパターンを変えた印刷を施し、エンドユーザーにとって特別感を演出する商品に仕立て上げるといった提案ができます。

こうした多品種小ロットのニーズに対しても印刷のテクノロジーを活用し、顧客の課題解決につながるマーケティングと絡めた印刷物を創造することが、これからの印刷会社には必要になってくるでしょう。

信頼を得るコミュニケーション力

「あの人なら良い案を持ってきてくれる」とクライアントに思ってもらえることが重要です。クライアントの「不便」「不明確」「不安」などさまざまな「不」を解消していくことで信頼を得ることができます。そのためには、定期的にクライアントのもとに出向いたり、メールなどで困っていることがないかを確認したりする地道な作業が求められます。

トレンドに敏感な情報収集力

トレンドカラーや、流行の印刷物のデザインのみならず、SNSの特長、新しいサービスなどの情報にもアンテナを張っていると、新しい提案も行いやすくなります。これは、営業だけではなく、社内のデザイナーにも同じことがいえるでしょう。デザイン力はもちろん、最新のトレンドも加味した、常に新しいアイディアを提案する力が求められるのです。

効率的な営業体制をつくる

前述した改革を推進していくためには、さまざまなデジタルツールを活用し、少ない人数で多くの人に効率よく働きかける営業体制を構築することが、強い印刷会社を作り上げるポイントとなってきます。

例えば、待ちの営業スタイルは廃止し、積極的にマーケティングオートメーションツール(MAツール)などを利用して受注につながる効果的な攻めの営業に改善していくことも選択肢のひとつです。コニカミノルタのPrintバルは、MAツールとプリントメディアをシームレスに連携したマーケティングツールです。即時性のあるデジタルメディア・可読性の高いプリントメディアを併用でき、他社のMAツールに比べて多くのユーザーに効率よくメッセージを届けることができるのが利点です。これからの時代を生き残っていくためにも、効率的な営業体制の構築は重要です。印刷物の付加価値を高めるデジタルマーケティングツール、ぜひ検討してみてください。

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コニカミノルタジャパン株式会社 寺崎 薫

Profile:1986年小西六写真工業株式会社(現:コニカミノルタ株式会社)へ入社し、印刷業界畑一筋で、営業職、マーケティング職に従事。途中デジタルマーケティング企業への出向等もあり、現在は印刷業界におけるプリント創造、受注支援を行っている。