• 2020.07.21

    働き方改革の目的とは何?政府も企業も働き方改革に取り組む理由

    働き方改革の目的とは何?政府も企業も働き方改革に取り組む理由
    少子高齢化が進む日本では、労働人口が将来40%減少する予測も出ています。政府はこうした状況を見越して、日本経済の活力を維持できるよう「働き方改革」に取り組んでいます。多くの企業も「働き方改革関連法」に対応するため、残業対策など働き方改革への対応を進めています。改めて働き方改革の目的とは何か、振り返ってみましょう。

    ※記事の中の各種数値は新型コロナウイルスによる影響が出る前の数値を掲載しています。

INDEX

2018年に「働き方改革関連法」が成立、2019年から順次施行始まる

長時間労働是正や同一労働同一賃金などを柱とする「働き方改革関連法」が2019年から順次施行され、各企業でも対応が始まっています。「働き方改革関連法」は労働基準法など計8本の法律をまとめて改正したものです。

「働き方改革関連法」の主な項目は、以下のとおりです。

■長時間労働の是正
・時間外労働の上限規制
・年5日の有給取得の義務化
・労働時間把握の義務化

■多様で柔軟な働き方の実現
・高度プロフェッショナル制度の創設
・勤務間インターバル制度の努力義務化

■同一労働同一賃金

では、政府が働き方改革を急ぐ背景や目的は何でしょうか。

政府がすすめる「働き方改革」の目的

政府がすすめる「働き方改革」の目的

政府がすすめる働き方改革の目的は、”働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。(厚生労働省)”とされています。

さらに、働き方改革の見取り図となる「働き方改革実行計画」では、具体的な目的を2つ説明しています。

【 目的1】
企業の生産性を高めることで、労働力が減少する時代においても企業が必要な生産を維持できる状況を生み出すこと

【 目的2】
万人が働きやすい環境を作ることで働くことのできる人の数を増やし、それにより世の中全体の労働力不足を緩和すること

また、これらを阻害する要因として、政府は3つの働き方に関する課題を指摘しています。

【 課題1】
正規雇用者と非正規雇用者との間で不合理な処遇格差が存在することが、非正規雇用者の労働意欲を低下させていること

【 課題2】
長時間労働を前提とした働き方が定着していることが仕事と家庭生活の両立を困難にし、少子化に歯止めがかからない、子育て中の人間の労働参加を難しくする原因となっていること

【 課題3】
転職することが不利になる労働市場や雇用慣行が存在することが個人のキャリア形成を阻む要因となり、日本の生産性が低い原因となっていること

政府がこのように大掛かりな法改正で働き方改革をすすめる背景には、日本が直面する「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」という構造的な問題があります。少子高齢化の結果、2030年には高齢者の割合が日本の人口の1/3にまで上昇、2065年には労働人口が5割減少するという見通しが出ています。

直近でも、2019年の出生数が90万人を下回り、総人口も鳥取県が消滅する規模で減少したというニュースが話題となりました。

単純化すると、40%の社員で今と同じ成果を出さなければいけなくなるため、日本経済の活力を維持するには根本的な生産性向上や、子育てや介護で離職せざるを得なかった社員でも働き続けられる方策などを実施していく必要があります。

労働力人口と労働力率の見通し
出典:みずほ総合研究所

企業が「働き方改革」に取り組む目的

働き方改革関連法が2019年から施行された結果、多くの企業が働き方改革に取り組んでいます。
企業の働き方改革の取り組み状況は?」の記事によると、2018年時点で40%近い企業が働き方改革に取り組んでいます。特に従業員1,000人以上の大企業では60%以上と高い比率になっています。

このように企業が働き方改革に取り組む理由は何でしょうか。

働き方改革と企業の取り組み
出典:日本銀行「働き方改革と企業の取り組み」

「働き方改革関連法」で企業に罰則付きの対応義務が発生

企業の働き方改革の取り組み内容として、長時間労働の是正や有給取得の促進などが上位になっていますが、これらは働き方改革関連法で企業に罰則付きの対応義務が発生し、コンプライアンス上対応が進んでいる、という側面があります。

時間外労働の上限規制では少なくとも年に6か月は時間外労働を45時間以内に収めないと直ちに違法となります。
また、年次有給休暇の取得義務化では、正社員・パート・アルバイトなど名称にかかわらず、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者が対象となり、年5日の取得が義務化されます。

これら働き方改革関連法の規制は、大企業と中小企業で施行時期が異なる項目もあります。例えば、2020年4月から中小企業も時間外労働の上限規制対象になっている点は注意が必要です。詳しくは、大企業と中小企業の定義含め「企業も対応が迫られる?働き方改革関連法の内容と影響」の記事でご確認ください。

人手不足対策で「働きやすい会社」が大事に

少子高齢化の影響は、人手不足という形ですでに顕在化しています。大手の飲食チェーンでも営業時間を短縮するニュースが出ているように、人手不足は企業の事業に影響が出る経営課題となっています。

データによると「2009年をピークに失業率は低下、有効求人倍率は上昇を続け、2018年通年での完全失業率は2.4%、有効求人倍率は1.61倍となった。どちらも1990~1991年ごろのバブル絶頂期と同程度の水準(リクルートワークス研究所Works Review「働く」の論点2019 より)」という人手不足に至っています。
賃金を上げる以外の対策として、最近の就職希望者はネットで企業の評判を調べているので、「働きやすい職場づくり」や「従業員満足度」を通じて魅力的な会社とアピールする対策も有効です。

つまり、働き方改革でワークライフバランスを改善することで、従業員満足度が向上して生産性が向上するとともに、求人のアピールにも役立つのです。

育児・介護を理由とする優秀な社員の離職対策として

働き方改革の実現を阻害する要因として、政府は「長時間労働を前提とした働き方が定着していることが仕事と家庭生活の両立を困難にし、少子化に歯止めがかからない、子育て中の人間の労働参加を難しくする原因となっていること」としていますが、企業にとっても育児・介護を理由に離職する社員の対策が重要になってきています。

人手不足で採用コストが上昇するなかで、仕事のやり方に馴れた戦力である社員にとどまってもらう方がメリットあることに、各企業が気づき始めています。対策としては、フレックスや時短勤務、在宅勤務やテレワーク制度などの導入などを通じて、柔軟な働き方を認める方法が挙げられます。

女性が働きたくなる職場づくり」の記事で説明したように、子育て中の女性の就労意欲は高く、総務省の労働力調査によると、男性の就業者数は2008年~2018年にかけて30万人減少したのに対し、女性の就業者数は282万人増加するなど、人手不足の対策として期待されている分野です。

まとめ

様々なデータを元に、政府がすすめる働き方改革の背景には少子高齢化による労働力不足があること、日本経済が活力を維持していくために前もって対策する目的であることを説明してきました。
企業の働き方改革に対する取り組みは、罰則付きの対応義務がある長時間労働是正や有給取得の促進から始まっていますが、少人数を大前提に企業の生産性を上げることが働き方改革の本質です。

新型コロナ対策で、従業員が出社できず在宅勤務体制に移行した企業が増えています。働き方改革は、生産性の向上はもちろんですが、有事の際の事業継続や、生産性の維持にも役立ちます。
コニカミノルタジャパンでは、2013年から継続的に働き方改革を自社実践し、そのノウハウを「いいじかん設計」として各企業に提供しています。働き方改革でお困りの方はお気軽にご相談ください。

いいじかん設計 編集部

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