はじめにデジタイゼーションとは何か、ほかの関連用語との違いについて解説します。
デジタイゼーションは英語の “Digitization” で、直訳すると「デジタル化」です。具体的には紙媒体やアナログ情報、手動で行っている作業などのデジタル化を指し、業務フローを変えることなく要素の置き換えを行います。デジタルとは「情報の処理方法」であり、アナログの対義語と考えられます。
総務省によるデジタイゼーションの定義は、以下のとおりです。
“既存の紙のプロセスを自動化するなど、物質的な情報をデジタル形式に変換すること”
デジタイゼーションの一般的な例としては、次のようなものが考えられます。
■紙ベースの顧客リストをデジタルデータに変換してデータベース化する
■オンライン会議システムを導入して、会議開催にかかる作業などを効率化する
デジタイゼーションは、作業における各要素をデジタル化することにより、最終的には業務プロセスの効率化やコスト削減につなげていくことを目指します。
例えば以下のようなことがデジタイゼーションを進めることにあたります。
デジタイゼーションと関連性の深い言葉との違いを確認していきましょう。
DX(デジタルトランスフォーメーション、Digital Transformation)は、デジタル技術による変革を指します。経済産業省の定義では「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」とされています。
DXは、デジタル技術を用いて仕事のやり方や消費の在り方を変えることを意味する全体的な概念と言えるでしょう。
デジタイゼーションと混同されがちですが、デジタライゼーションはさらに大枠での見方となります。デジタライゼーションは、組織のビジネスモデル全体を一新し、クライアントやパートナーに対してサービスを提供するより良い方法を構築することを指します。
IT化とはIT技術を導入することです。IT(Information Technology)は情報を活用するための技術を意味し、例えば業務フローを管理するためのツールや、スケジュール管理、電子契約書に対応するためのツールといったITツールの導入などがIT化にあたります。
IT化を進め、IT技術を広く導入することでデジタイゼーションが進むことになるため、物理的な変化については同様のものだと意識されがちです。
上記のように細かく見ていくと、それぞれが意味する内容には違いがあるというだけではなく、デジタイゼーション、IT化、デジタライゼーションはいずれもDXを推進していく上でのステップであるとも言えます。
デジタイゼーション・IT化は、その第一段階に当たり、デジタイゼーションやIT化により、デジタライゼーションを行い、DXの実現を目指すという順番で考えるのが一般的です。
DXについては以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
デジタイゼーションに取り組むことにより、次のような効果が期待できます。
デジタイゼーションによって、作業が簡略化され、業務効率が向上し、労働力の削減による人件費、紙や印刷代・郵送費などのコスト抑制につながります。
また、情報をデータ化することにより、リアルタイムでの情報共有がしやすくなります。こうした作業効率を高めることは、今まで同じ作業にかかっていた時間を短縮することにもつながります。さらに業務の自動化ができれば煩雑な作業をカットでき、人手不足への対策となります。
作業の自動化が進められることで、見間違い、入力ミス、うっかりミスといった人的ミスが軽減されます。
製造過程・供給過程をデジタル化することにより、ニーズを把握してから製品企画・開発までがスムーズに進められるようになるので、製品の提供までの時間も短縮できる可能性が高くなります。また製品の品質向上が図られ、顧客満足度向上、市場競争力の強化が実現します。
デジタル化を進めておくことで、新システムの導入をはじめ、新しい業務体制に移行しやすくなります。デジタイゼーションはワークフローの見直しを図る上でも必要であり、先にも述べたようにDX推進においては、不可欠なプロセスと言えます。
企業がデジタイゼーションに取り組む際のポイントとしては、以下のようなものが考えられます。
デジタイゼーションでは業務の要素をデジタルに置き換えていきますが、いきなり全ての領域でアナログから脱却を図ろうとすると、現場が混乱する恐れがあります。ペーパーレス化が社会の流れとなってきているものの、業務や作業の内容によっては紙の書類でなければ不都合な場合もあります。デジタイゼーションを進める際には、最も効果が高いと考えられる業務からスモールスタートを行い、状態を見ながら対象を拡大していくのが賢明です。
あらかじめ、デジタルデータ移行後にどのような影響があるのかも推し量る必要があります。デジタル化によって、現行のシステムや業務フローに支障が出るようでは逆効果です。ただ、単に慣れていないという問題であれば、一時的な停滞があってもいずれ改善されると考えられます。
デジタイゼーションによる効果を確認しながら拡大を図るためには、企業内での組織的な推進が重要です。事前に全社的な意識のすり合わせを十分に行い、デジタイゼーションの最終的な目的を理解した上で着手する必要があります。
トップダウン的に強硬に進めても、効果が出ないばかりか逆戻りする可能性があります。否定的な意見、抵抗する声にも丹念に耳を傾け、そこにある課題を掘り起こしながら改善策や妥協点を探っていきます。
デジタイゼーション導入後も効果検証を重ね、可能な限り不都合な点を是正しながら進めることが、DX実現へのベースづくりとなります。
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企業にとって、DX推進は今や避けられない課題となってきています。しかし一足飛びに進めていくのはリスクが大きく、挫折の原因となります。デジタイゼーションはDXの実現に向けて、アナログをデジタルへと変換する工程です。どのように優れたシステムであっても、データとして使えるものがなければ業務には役に立ちません。まずは小さく、手近なところから開始することで、いずれは全体的なDXの実現へとつながる道筋が見えてきます。
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デジタイゼーション推進の具体的な取り組みについては資料でご紹介しています。あわせてぜひご覧ください。
いいじかん設計 編集部
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