• 2022.04.21

    効果を生む新しい働き方の取り組み方とは?柔軟な働き方を実現するスマートワークの指針

    関連タグ働き方改革事例
    効果を生む新しい働き方の取り組み方とは?柔軟な働き方を実現するスマートワークの指針
    2020年以降、テレワークをはじめとした新しい働き方に注目が集まり、Beforeコロナの2019年と比べて働き方改革に取り組む企業は増えてきています。しかし、依然としてテレワークや新しい働き方の実現は難しく、多くの企業が従来の働き方以上の効果を出す方法を模索しています。そこで今回は、新しい働き方の浸透に向けた取り組みの標準化を図るJSA規格「JSA-S1013(スマートワークーテレワークを含む働き方改革の指針)」を開発されたご担当者様をお招きし、新しい働き方を効果的に実現するポイントについて教えていただきました。

INDEX

新しい働き方の規格を開発した背景

――今回は、一般財団法人 日本規格協会 テレワークJSA規格開発委員会(以下、JSA規格開発委員会)事務局の森田 晴香さんにお話をお聞きします。森田さん、よろしくお願いいたします。

森田さん「こちらこそよろしくお願いいたします。」

――はじめに、一般財団法人 日本規格協会様の組織概要を教えてください。

「当会は、『標準化で、世界をつなげる。』のスローガンのもと、モノづくりからサービスまで広範な産業界の標準化ニーズを探求し、我が国の総合的標準化機関として、ISO(国際標準化機構)規格やJIS(日本産業規格)などの規格開発、普及・啓発といった多様な事業活動を展開している組織です。このような標準化を軸とする事業を通じて、社会経済の健全な発展と国民生活の向上に寄与することを目指しています。」

――こうした規格は形のあるモノに設定されているイメージですが、今回「働き方」における規格を開発されました。なぜ「働き方」に関する規格を開発することになったのでしょうか?

「新型コロナウイルス感染症の収束の気配が見えないなか、社会的にテレワークを導入する組織が増えた一方で、今までと違う働き方の中でのコミュニケーションの問題や、仕事の生産性に疑問を抱く声が少なくありませんでした。そこで、これら課題を標準化によって解決できないかと考えたことが契機になっています。実際には、お客様の声等を調査した上で、2021年7月からJSA規格「JSA-S1013(スマートワークーテレワークを含む働き方改革の指針)」の開発に取りかかりました。目的は、ポストコロナを見据えたテレワークを含む新しい働き方を導入する組織が、生産性を維持・向上することを支援できるようにというものです。なお、ISO、JIS等といった「規格」のタイプとしては、課題解決を早期に支援できるよう、迅速かつ透明性・公平性及び客観性を確保した民間規格である『JSA規格』を選択しました。」

一般財団法人 日本規格協会 森田さん
一般財団法人 日本規格協会 テレワークJSA規格開発委員会 事務局 森田 晴香さん

――社会的に課題や疑問となっていることとして、答えを指し示すような立場で規格を開発されたということですね。実際にお客様の声も調査されたということですが、具体的にどのような課題があったのでしょうか。

「当会もそうですが、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機にテレワークを導入したものの、『新しい働き方の効果的な活用』と『新しい働き方の導入に伴う問題やとまどいの解消』という2つの側面に課題があると考えました。例えば、テレワークで仕事自体はこなせるものの、これまで職場にいることが当たり前だった環境から、急に離れた場所で働くことになり、従業員同士がどうコミュニケーションを取れば良いのか、上司がどのように部下の評価をすれば良いのか、オフィススペースの無駄をどうするか、オンとオフの切り替えが曖昧になる、など環境変化に伴う問題やとまどいは多々あります。新しい働き方の中でそれらを解決しつつ、組織としての生産性の維持・向上にどう努めるべきか、またはコロナ以前の働き方に回帰すべきか、は、皆さん悩まれている点かと思います。」

――コニカミノルタジャパンでも同様の課題がありましたし、お客様に新しい働き方の実現支援をする際に伺う課題感と同じです。当社でも新しい働き方に求められるオフィスの機能を「つなぐオフィス」で検証していますが、まだどこの企業も新しい働き方がどうあるべきか、模索していると思います。こうした状況を受け、各省庁からもテレワークに関するガイドラインなど、新しい働き方の実行方法に関する情報が発信されていますが、今回、規格でまとめられている情報と何か違いはあるのでしょうか。

「一番の違いは、対象としている組織のテレワークへの取り組み段階です。各省庁から発行されているガイドラインは、これからテレワークを導入する段階の組織を対象として、どのようにテレワークを導入するか、どのように社内体制・ルール・環境を構築するか、どのように情報セキュリティーの対策を講じるかといった内容がまとめられています。他方でこのJSA規格は、既にテレワークを導入している組織が主対象となります。また、もう一つの違いとして、テレワークを含む「新しい働き方」を支援するのがこのJSA規格の目的であることが挙げられます。テレワークを一つの手段として活用し、①ワークスタイル、②ワークプレイス、③インフラ、④コミュニケーションという4つを軸として、時間や場所にとらわれない働き方を実現しながら、組織の生産性を向上し、イノベーションの機会を創出し、ウェルビーイングの向上をも目指す。これを『スマートワーク』と定義し、スマートワークを実現するために何に取り組めば良いかというところに焦点を当てて、指針としてまとめています。」

新しい働き方を実現するメリット

――社会状況は日々変化しており、最近では外出もしやすい状況になったことから、新しい働き方やテレワークへの関心は少し低くなってきているようにも感じます。今後アフターコロナへと状況が変化しても、企業が新しい働き方に取り組むメリットはあるのでしょうか。

「テレワークのメリットとしても言われていることではありますが、第一に自然災害発生時の出退勤リスクの回避という意味で、「事業継続性が向上」するというメリットが挙げられます。それに加えて、スマートワークによって、柔軟なワークスタイルを提供し、仕事や各個人の状況に応じた最適な場所や時間帯で働くことができるようになると、プライベートとの両立もしやすくなりますので、「ウェルビーイングの実現」も期待されます。このことは、「リクルート力の向上」にも繋がる要素だと考えています。また、従業員がより働きやすい環境へと職場を整備することは、従業員の組織への愛着が増すことにも通じますので、「離職率防止」にも繋がり得るという点で、人材確保・育成に悩まれている中小企業にとってもメリットのあることだと考えています。」

――BCP対策や労働人口の減少という日本社会が抱える課題を解決するためにも、新しい働き方を実現するメリットは十分にありますね。

より効果的な新しい働き方を実行するポイント

――ここからは「スマートワークーテレワークを含む働き方改革の指針」のJSA規格の内容についてお聞きします。まだまだ新しい働き方に関しては実施事例が少ないと思いますが、どのように標準化をしていったのでしょうか。

「有識者の方のご知見、実際の様々な企業のグッドプラクティス、既存の関連規格などを参考にしつつ、JSA規格開発委員会で議論を重ねていきながら、規格の作り込みを行いました。ただ、その中でも『中小規模の組織であっても実現可能な内容か』という視点は重要視したポイントの一つです。スマートワークを推進する上で、とりわけ中小規模の組織の場合は、トップマネジメントの理解とコミットメントが鍵になりますので、まずはトップにスマートワークに取り組むことのメリットを理解していただけるよう、このJSA規格が目指す姿を明確に示す工夫をしています。」

一般財団法人 日本規格協会 森田さん

――新しい働き方の実現というと大企業の施策イメージが強いですが、日本の企業の大多数は中小規模ですから、中小企業が取り組める内容にすることが基準となるということですね。中小企業が新しい働き方を実行するにあたって押さえておくべきポイントはありますか?

「中小規模の組織の場合、リソースも限られていると思いますので、自社の課題と照らし合わせながら、優先順位を付けて新しい働き方に取り組んでいくのが良いと思います。」

――この実行方法はコニカミノルタジャパンの働き方改革自社実践の取り組み方と同じです。当社でも課題を明確にして一つずつ対策してきたおかげで、コロナ禍のテレワーク対応もスムーズに実現できました。

「はい、コニカミノルタジャパンさんの進め方は実行ポイントを押さえられた方法だと思います。決定したゴールに対して、PDCAサイクルに基づき、具体的な目標、計画を立て、実行し、改善していくことがより有効なポイントになります。例えば、生産性を向上するために労働時間を適切にマネジメントするというゴールを目指し、その実現のための計画として会議時間・回数などの削減の具体的な目標を示し、それを社内に展開、浸透させていくことで、従業員一人ひとりが意識的に時間をマネジメントできるようになっていくと思います。」

――身近なところから時間を意識して働くことで、いずれ一人ひとりが自立した働き方を実現できるまでになるということですね。その場での大きな効果より、小さな結果を積み重ねることで新しい働き方を継続的に実行でき、効果を生み出し続けることができます。

JSA-S1013(スマートワークーテレワークを含む働き方改革の指針)
詳しくはこちら

まとめ

――最後に読者の皆様へ一言お願いいたします。

「最後まで読んでいただき、ありがとうございます。昨今、社会環境は急速に変化しており、それに伴い、各組織が抱える課題も多種多様です。当会では今後も標準化を通じて、様々な社会課題の解決に貢献していきたいと考えております。また、本JSA規格もその一つとしてご活用頂けるよう、実際の企業事例や優先順位付けの参考になるチェックリストも掲載しておりますので、ぜひ皆様の新しい働き方実現のヒントとして一度ご覧いただけると嬉しいです。ご不明な点やご要望、ご相談などは遠慮なく、当会までお寄せいただければ幸いに存じます。」

テレワークや新しい働き方に取り組んでみたい方や、導入したけれど効果を創出できていないという方は、今回ご紹介したJSA規格を参考にしてみてはいかがでしょうか。コニカミノルタジャパンでは働き方改革自社実践で得たノウハウをもとに、お客様企業に合わせた新しい働き方の実現を支援しています。お気軽にご相談ください。

30秒でわかる「働き方診断チャート」
30秒でわかる「働き方診断チャート」

いいじかん設計 編集部

関連記事

タグから記事を探す

 
ニューノーマル時代の働き方づくりに役立つ資料が満載!無料ダウンロードはこちら
ニューノーマル時代の働き方づくりに役立つ資料が満載!無料ダウンロードはこちら
オフィス見学 OFFICE TOUR
オフィス見学 OFFICE TOUR
メルマガ登録 MAIL MAGAZINE
メルマガ登録 MAIL MAGAZINE
お問い合わせ CONTACT
お問い合わせ CONTACT