物体色と光源色の違いについて

これまで、光が物体で反射したときの色(物体色)について述べてきましたが、電球などのようにそのもの自身が発光している光源の色(光源色)は、物体色とは異なります。
ここでは、物体色と光源色の違いについて、簡単に触れてみます。

定義式の違い

人は物体の色を見る場合、1物体を照らしている光源の色、2物体そのものの色、4人の目の感度の三つの要素が関係しています。それに対して、光源の色は、3光源のそのものの色と4人の目の感度の二つの要素が関係しているのです。
このため、人が感じるのと同じように色を数値で表すための定義式は、物体色と光源色で異なります。

物体色の場合、物体を照らすための照明光源が必要です。また、照明光源が違うと色が違って見えることから光源の色、すなわち照明光源の分光分布を決めて評価する必要があります。
光源色の場合、光源そのものの色が知りたいのですから、照明光源は必要ありません。

照明および受光の幾何学条件の違い

物体色は見る角度によって見え方が違うことから、「照明および受光の幾何学条件」についてCIEやJISなどで定められている6種類の条件を紹介しました。光源色では、こういった条件が定められていません。ただし、LCDのように光源の種類によっては、見る角度によってかなり色味が変わる「角度特性」を持っているものがあります。この場合は、見る角度を一定にするなどの工夫が必要です。

光源色を表す表色系

一般的に、光源色を数値で表す場合、xy座標系やCIE 1976 UCS色度図(u'v')、「色温度」が多く用いられています。

色温度は、光源色特有の表示方法です。詳細は以下「色温度」のパートをご覧ください。
また、L*u*v*色空間(CIE LUV)を用いられることもあります。
ただし、L*u*v*色空間は、完全拡散反射面の色を原点にした色空間なので、光源色で用いる場合は、基準光を決める必要があります。

色温度

黒体(完全放射体)というエネルギーを完全に吸収する理想的な物体は、温度が上昇していくと、発する光の色が赤→黄→白と変化していきます。このときの絶対温度T[K]を色温度といいます。また、この温度と色の軌跡(黒体軌跡)をxy色度図上で表すと、図37のようになります。
さらに、xy色度図上に黒体軌跡と等色温度線・等偏差線を描くと、図38のようになります。
光源の色が黒体軌跡上にない場合、完全に一致しないが最も近似の黒体の温度を「相関色温度」といいます。
一般的に相関色温度は黒体軌跡からの偏差(Δuv)と共に表されます。

図37 xy色度図上の黒体軌跡
図38 xy色度図上の黒体軌跡と等色温度線・等差線

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