仕様表から読み取れる大切なこと。-4

器差

複数台の同一機種の測色計で、同じ試料を同じ条件で測った時に、測色計間でわずかに発生する測定誤差のことです。測色計を量産する際にはたくさんの部品を使用しますが、光学系の部品や電子部品の寸法や性能がわずかにばらつくことにより発生する誤差のことです。

カタログ等の「仕様値」には、繰返し性の項で挙げたさまざまな測定誤差要因や温度による影響を排除した測色計本来の器差が掲載されています。温度管理された部屋でまず白色校正を行った後、測定場所を一定にする治具を用いてBCRAタイルを測定します。これが測色計本来の器差で、メーカーや機種によって大小ありますが、設計手法や製造手法を工夫することにより、小さくすることができます。

設計的工夫

まず、光学部品の寸法公差を限りなく小さく指定することが考えられます。しかし、加工精度を高めると製造コストが跳ね上がってしまいますので、部品の寸法誤差が波長ずれなどの誤差に影響が出ないように設計を工夫します。一方、電気回路にも器差を生じる要因がありますので、例えば光源を安定して発光させる回路や、センサーで受けた光を歪みなく電気信号へ変換する回路などを工夫します。

製造的工夫

測色計を量産する為に同じ光学部品をたくさん製造しますので、それらの部品を全数検査し、部品同士の誤差を打ち消す組み合わせを選定します。さらに、組み上がった測色計を適切に調整することにより、器差を抑え込みます。

このような工夫によって器差が小さくなっていても、測定する際の様々な誤差要因で測定値がずれてしまいますので、できるだけ温度管理された環境下で、場所ムラ等の影響を受けないように測定してください。

さて、器差が小さい機種で測定された値は信頼性が高くなりますので、測定値を色情報としてインターネット等を通じて遠隔地にいる相手へ伝えることができます。つまり、色見本等の実物を送ることなく、測定値を送信することにより、色情報を伝達することができるのです。
一方、入出荷色管理などで厳しい色管理を行う場合は、器差が小さくてもその影響を受けないようにしなければなりません。具体的には、色差を計算する際の基準色の値として、他の測色計で測定した値を使用しないことです。もし使用してしまうと、基準色値と比較試料の測定値に器差による誤差が乗ってしまい、正しい色差を測定することができません。また、目視による評価と結果が異なってしまうこともあります。
したがって、正確な色管理を行うためには、基準色も比較試料も、同じ測色計で測定しなければならないのです。

大きさ・質量

ハンディタイプの測色計では、小さくて軽いほうが明らかに便利です。持ち運びが楽なだけでなく、測定作業を繰り返し行った場合は、疲労度がずいぶん異なってきます。
ただし、表示部や操作ボタンが小さすぎると使い難くなりますので、操作性との兼ね合いが必要です。また、単に大きさだけでなく、握る部分の太さや指の掛かり具合など、握りやすいデザインであることも重要です。さらに重心も重要な要素で、バランスが悪いと測色計がふらついて安定性が悪くなり、疲労度にも影響を及ぼします。

一方、据え置きタイプの測色計ですが、こちらも大きさや質量は重要です。据え置きタイプは色彩以外の計測機器と共に検査室に設置されることが多いのですが、たくさんの機器が並んでいますので、少しでも小さいほうが設置性に優れます。また、質量も軽いほうが移動をさせる際に有利となります。

ページトップへ戻る