特殊な色の測定。

メタリック色

自動車用のメタリック塗料には、アルミやマイカのフレーク(微小な薄片)が混ぜられています。このフレークは、ほぼ同じ方向に面を向けながらもある程度のバラツキを持たせているため、正反射光がいろいろな角度に反射します。このため正反射光成分(正反射光の総光量)と拡散光成分(拡散光の総光量)が図32のようになります。フレーク表面による正反射光が存在する方向(ハイライト)では、正反射光の光量が見る角度によって、異なるため、人の目にもかなり見え方が違って見えるのです。一般的に、メタリック色の物を測色計で測る場合は、正反射光の影響を受けない方向(シェード)を含めた複数方向(具体的には、正反射方向に対して、25˚、45˚、75˚、または15˚、45˚、110˚の方向)から測定し、評価すると有効であると言われています。

図32

蛍光色

蛍光という言葉はよく耳にし、実際に蛍光色のものを目にしたことがあると思います。蛍光色の物を見ると、光源でもないのに、あたかもその物が輝いているかのように見えますね。
蛍光色の物体に光があたったとき、その光のうち紫外域の光線や紫や青い波長域の光線が吸収されて、別の可視域で放出されます。可視光線とは、およそ380 nm~780 nmの電磁波です。例えば、蛍光増白のように360 nmの電磁波が吸収され、460 nmで放出されるとき、460 nmの反射率の測定値が100%を超えてしまう場合があります。このとき人の目には、そのものが輝いているように見えるのです。
蛍光色を測色計で測定する場合、紫外域を含めた照明光の分光強度をコントロールする必要があります。

こんなところに蛍光!?

薄暗く、紫色の照明で照らされた部屋などで、白いシャツや白い靴下、壁の模様などが紫に光って見え、なんとも幻想的でおしゃれな感じがする場所を経験したことはありませんか?

その場所は「ブラックライト」という照明で照らされているのです。ブラックライトは、見た目には紫色の暗い照明で、最近では「蛍光のジグソーパズル」を照らすといった用途で市販されたりもしています。実は、このブラックライトというのは、紫外域の光の照明であり、ブラックライトに照らされて光って見えるものには、蛍光剤が含まれているのです。
白という色は、可視域のすべての波長の光を100%に近い、高い率で拡散反射する色です。しかし、白を作り出すのは、大変難しいので、一般的には反射率の低い波長を蛍光剤で補って、白く見えるようにしている場合が多いのです。
だから、白い服などが、紫外域の光を多く含んでいるブラックライトに照らされると、光って見えるのです。
また、白い服を何度も繰り返して洗っているうちに、だんだん黄ばんでくることがありますね。これは、黄色い色が付いて汚れているのではなく、蛍光剤が洗い流されて、もともとの生地の色が浮かび上がってきているのです。黄ばんだ服を蛍光剤の入った洗剤で洗い、再び真っ白に戻す「蛍光増白」というのも、これで納得。

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