ちょっと複雑な「条件等色」(メタメリズム)の問題。

物体の色は照明光源の違いによって、いろいろと変化して見えるということが分かりました。ところで、例えば「太陽の下で同じ色に見えていた2つの試料が、室内に入って見たら違う色に見える」という場合があります。
図29を見てください。試料A試料A’を分光測色計で測定すると、分光反射率グラフで分かるように、分光反射率がそれぞれ違っています。また、測色用標準イルミナントD65で測定した値(L*a*b*)は同じですが、測色用標準イルミナントAで測定した値(L*a*b*)は違っています。このように、分光反射率が異なる2つの色が特定の光源下で同じ色に見えることを、条件等色(メタメリズム)と呼んでいます。条件等色(メタメリズム)は、着色材(顔料、染料)の種類が異なっていると起こりやすくなります。不思議ですね。では、この「条件等色」の問題を解決するためにはどうすればよいのでしょうか。

条件等色の評価は、測色用標準イルミナントD65と測色用標準イルミナントAのように、発光特性の大きく違う2種類以上の光源で測定する必要があります。刺激値直読方法の測色計には、1種類の光源しか内蔵されていません。したがって、条件等色を測定することができないのです。
その点、分光測色計には、たくさんの照明光源のデータが内蔵されていますから、条件等色を測定することができます。さらに、分光測色計の大きな特徴でもある分光グラフ表示機能によって、二つの色の違い(波長成分の違い)をグラフによってはっきりと示してくれるのです。

画像はイメージとして説明していますので、実際の条件等色の見え方とは異なりますのでご了承ください。
図29

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