責任あるサプライチェーン
責任ある鉱物調達への対応
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取り組みの背景
コニカミノルタは、紛争にともなう人権侵害を防止するために、責任ある鉱物調達への対応に取り組んでいます。
コンゴ民主共和国および周辺地域におけるタングステン、タンタル、金、スズの鉱物資源の採掘は、紛争の資金源になる可能性が指摘されています。紛争にともなう児童労働や強制労働などの人権侵害を防止するため、経済協力開発機構(OECD)による「紛争地域および高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデュー・デリジェンス・ガイダンス」(以下、「OECDガイダンス」)が制定され、企業にサプライチェーンでの責任ある取り組みが求められています。また2010年に成立した米国金融規制改革法1502条により、米国上場企業には、紛争鉱物(3TG)※1についての情報開示が義務づけられています。また、2021年にはEU紛争鉱物規則の施行、紛争地域および高リスク地域リストが公開されました。一方、企業団体の取り組みとして、グローバルでは「Responsible Minerals Initiative (RMI)※2」、日本国内では「電子情報技術産業協会(JEITA)※3」の中に設置された「責任ある鉱物調達検討会」などが、責任ある鉱物調達に関する取り組みを推進しています。
- ※1
- 紛争鉱物:スズ石(スズの原鉱石)、コルタン(タンタルの原鉱石)、金、鉄マンガン重石(タングステンの原鉱石)およびその派生物。3TGとも表記
- ※2
- Responsible Minerals Initiative (RMI) :紛争鉱物や高リスク地域からの鉱物調達に関する企業の責任ある行動を支援する国際団体
- ※3
- 一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA):日本のIT・エレクトロニクス分野を中心に約400の企業・団体が加盟する業界団体
取り組みのフレームワーク
コニカミノルタは「OECDガイダンス」による「鉱物サプライチェーンにおけるリスクに基づいたデュー・デリジェンスのための5ステップのフレームワーク」に準じた責任ある鉱物調達の取り組みを行っています。
ステップ1:強固な管理システムの構築
コニカミノルタは「コニカミノルタ責任ある鉱物調達方針」を定め、紛争による人権侵害の防止に取り組んでいます。この方針は、すべての直接材のサプライヤーにも周知を図るとともに、取引基本契約のなかで責任ある鉱物に関する取り組みを求めています。また、サプライチェーン上の精錬/精製業者(以下「精錬業者」)を特定するために、国内外の生産関連会社を含めて責任ある鉱物調査を行う仕組みも整えています。調査を担当する調達部門などのマネジメント/スタッフには紛争鉱物に関する教育を行い、責任ある鉱物の取り組みに関する理解・意欲の向上を図っています。またRMIが構築した苦情処理プラットフォームを活用しています。
ステップ2:サプライチェーンにおけるリスクの特定と評価
コニカミノルタは、RMIの発行する「Conflict Minerals Reporting Template(CMRT)」、「Extended Minerals Reporting Template(EMRT)」を利用して、当社製品の高機能化に不可欠な鉱物(3TG、コバルト、マイカ)に関する調査を行っています。調査では、3TG、コバルト、マイカの含有確認、原産国調査、自社サプライチェーン上の精錬業者の特定、精錬業者のデュー・デリジェンスの確認を行っています。調査の結果、特定されたサプライチェーン内の精錬業者の情報をもとに、サプライチェーン全体やお取引先ごと、製品ごとのリスク評価を行っています。その結果は担当役員に報告されています。
ステップ3:特定されたリスクに対処するための戦略の構築と実施
リスク評価の結果に基づき、すべての直接材のサプライヤーに紛争非関与に向けた取り組みを要請するとともに、お客様から懸念があると指摘を受けた場合は、懸念がある精錬業者を利用しているサプライヤーにお客様の懸念を伝え、精錬業者の再精査実施の要請など適切な対応を求めています。あわせて、責任ある鉱物に関する規制等に関する啓発活動など、紛争非関与に向けた間接的な取り組みも行っています。
ステップ4:独立した第三者による精錬業者のデュー・デリジェンス行為の監査を実施
コニカミノルタは精錬業者の紛争非関与監査プログラム(Responsible Minerals Assurance Process以下「RMAP」)を推進しているRMIのメンバーです。また、JEITAの活動を通じて、精錬業者にRMAPへの参加を働きかけています。
ステップ5:サプライチェーンのデュー・デリジェンスに関する年次報告
コニカミノルタの責任ある鉱物の取り組みは本ウェブサイトで毎年公開しています。
鉱物調達調査
調査結果
デジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業で2024年度に実施した、CMRTを用いた紛争鉱物調査とEMRTを用いたコバルト・マイカの調査の回答回収率は、それぞれ95%と94%でした。
インダストリー事業と画像ソリューション事業においても、お客様からの要望に基づき鉱物調査を実施しています。
また調査の実施に際して、精錬所情報の不明回答低減によるサプライチェーンの透明化や紛争非関与に向けたデュー・デリジェンスの実施をお取引先にお願いしました。
3TGおよびコバルト・マイカ調査回答をデュー・デリジェンスした結果、精錬所484社、RMAP取得精錬所281社、Active精錬所※20社を特定しました。
サプライチェーン上における3TGの原産国と考えられる148の国または地域を特定しました。(2025年3月31日時点)
これらの調査の結果、主要製品の一つであるトナー、光学レンズと機能フィルムの一部製品が紛争非関与であることが確認できました。なお、調査したすべてのサプライチェーンにおいて、紛争への関与を示す証拠は確認されませんでした。
- ※
- Active精錬所:RMAP監査中、または監査を受けることを約束している精錬所
| 重点施策(KPI) | 実績 | 目標 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2020 年度 |
2021 年度 |
2022 年度 |
2023 年度 |
2024 年度 |
2024 年度 |
2025 年度 |
|
| 紛争鉱物調査に関するサプライヤーからの回答の回収率 | 98% | 96% | 96% | 95% | 95% | 95% 以上 |
95% 以上 |
| 特定された 精錬所数 |
紛争非関与が確認された精錬所、 監査プロセス中の精錬所数 |
割合 | |
|---|---|---|---|
| 金 | 182 | 98 | 53% |
| タンタル | 47 | 42 | 89% |
| スズ | 72 | 54 | 75% |
| タングステン | 57 | 37 | 64% |
| 3TG合計 | 358 | 231 | 64% |
| コバルト | 97 | 64 | 66% |
| マイカ | 30 | 7 | 23% |
お客様からの調査要請への対応
2024年度もデジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業をはじめ、インダストリー事業や画像ソリューション事業に多くのお客様から責任ある鉱物調査の要請がありました。それらすべてのお客様に対して責任ある鉱物調査票の提出など適切に対応しました。また、調査以外の責任ある鉱物に関するお問い合わせについても、調査結果や自社の取り組みに基づき適切に回答しました。また、2018年度からはコバルト、2021年度からはマイカに関する調査を実施し、お客様からの調査要請へも適切に対応しています。
| 重点施策(KPI) | 実績 | 目標 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2020 年度 |
2021 年度 |
2022 年度 |
2023 年度 |
2024 年度 |
2024 年度 |
2025 年度 |
|
| お客様からの調査要請への対応率 | 100%対応 | 100%対応 | 100%対応 | 100%対応 | 100%対応 | 100%対応 | 100%対応 |
外部団体との連携
外部団体と連携した活動として、JEITA「責任ある鉱物調達検討会」メンバーによる精錬業者にRMAPへの参加を働きかける取り組みに参画しています。ほかにも2019年6月14日に開催したJEITA主催「JEITA紛争鉱物(コンフリクト・ミネラル)調査説明会」において講師を務め、責任ある鉱物規制に関する啓発活動をサポートしました。
