家族になる
Column 02

海外ではどんな子育て支援があるの? ~海外の産前産後ケア~

海外には産前産後のサポートがしっかりしている国があります。
育児はとても大変で、どのママも上手に手を借りて子育てをしています。
新米ママにも参考になることがたくさん!
ここでは海外の産前産後ケアの一部をご紹介します。

中国~産後は専門施設でしっかり休養~

女性の就業率が高く、共働きも多い中国には、もともと陰陽原理の伝統医学に基づいた「坐月子(ズオユエズ)」というシステムがあります1)
これは産後、ママに食事の提供や母体のケアを行うことで、出産で失われたエネルギーを回復し、病気などの発症を防ぐねらいがあります。日本にも「産後の肥立ち」という言葉がありますね。
ママは出産後、「坐月子中心(ズオユエズセンター)」という専門施設で1ヶ月程度、食事をはじめ育児に関するケアを受け、ゆったりと過ごします。その後も、両親と同居したり、近くに住むケースが多いため、赤ちゃんの面倒をみてもらうなど手厚いサポート体制が整っています。

イギリス&東南アジア~育児と教育は「ナニー」と二人三脚で~

イギリスや東南アジアなどには、「ナニー」という専門職があります2)
母親に代わって、育児だけでなく教育にも関わるのが特徴で、中には住み込みで長期的に子育てに参加するナニーもいます。
他にも産前産後、ママの心強い味方として相談に乗ってくれたり、出産に付き添ったり育児をサポートしてくれる「ドゥーラ」という専門職もあり3)、一時的に子どもの面倒を見てくれるベビーシッターなどと使い分けて子育てを行っています。

フィンランド~子どもの健康管理を国と一緒に~

フィンランドには、妊娠期から継続的に子育て家族を支援してくれる「ネウヴォラ」という施設があります4)。自宅出産が主流だった頃に、訪問看護サービスとして始まったもので、現在は保健所に設置されており、ママへの支援だけでなく家族全体への支援を行うところにその特色があります。
妊娠時から6歳児までを対象としたこの「ネウヴォラ」は、親子の健康管理と幼児ケアのために利用され、学校進学時には、学校の保健師にも情報が共有されます。こうしたスムーズな連携により、ママのストレスを軽減、家族の健康管理に一役買っています。

ママが仕事を持つのが当たり前の国、文化的背景から産後の母体の回復に重きをおいている国、社会的背景から家族全体を支援する国…。その国に合わせた子育て支援の形が整えられているのです。
日本では、まだあまり浸透しているとは言えませんが、「子育て支援を受けることは当たり前」と考えて、利用できる支援やサービスを使って、楽しく無理のない子育てができたらいいですね。

参考文献 1. Zheng Xujuan, Watts Kim, Morrell Jane:Chinese primiparous women’s experience of traditional postnatal practice of “Doing the month”: A descriptive method study. Japan Journal of Nursing Science (1742-7932)16巻3号,253-262,2019.07
2. 吉田佳代. イギリスの子育て支援体制―オックスフォードにおける実態調査より― 言語と文化.第18号, Page 85-102
https://konan-u.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=569&item_no=1&page_id=40&block_id=38
3. 木村章鼓. なぜ今メンタルヘルスなのか?小児科からの取り組み ドゥーラに求められる役割の違いー継続ケアの実現にドゥーラを活用する欧米 周産期医学 47(5), 665-670, 2017-05
4. 木脇奈智子.太田由加里.多様化する子育て支援の現状と課題:第3報 ― フィンランドの家族支援「ネウヴォラ」に着目して―
https://fujijoshi.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=736&item_no=1&page_id=13&block_id=21