分光測色計CM-M6とCM-512m3Aとの違い

分光測色計CM-M6だからできるること

自動車外装の自由曲面測定における課題と背景

近年、自動車外装形状は高意匠デザイン化が進み、見る方向によって刻々と表情が変わる流麗で複雑な自由曲面の採用が出てきています。CM-512m3Aの構造上、測定部位先端がお椀状になっており、また、測定径がΦ12mmとなっているので、ボディとバンパーの"キワ"の部分、ドアハンドルやサイドモールなど、測定したくても測定困難なところや測定している箇所が確認しにくいケースがありました。

測定困難だった箇所を測定可能にするための解決策

分光測色計CM-512m3Aは上述の通り、測定器の先端構造が大きくなってしまう課題がありましたが、環状に18方向から照明を当てる「リング照明」方式を採用しており、測定器の向き(回転ズレ)に影響されることなく、自動車の実車測定において優れた測定安定性を発揮するメリットもありました。この課題である先端構造の大きさを解決し、且つ測定安定性を保つことを実現するために、弊社では光学系「ダブルバス光学」を独自に開発。
CM-M6にこのダブルパス光学を搭載したことで、リング照明のように測定結果の安定性を得ることと同時に、測定部位先端形状(測定径は約6mmΦ)もスリムになり、これまで測定することが困難とされてきた箇所も測定できるようになりました。

安定性を実現するダブルパス光学系とは?

自動車外装の曲面を正確に測定するには、試料の法線方向に対して測定器が傾かない様にして測定する必要があります。しかし、測定器の姿勢の傾きが生じると、測定試料に対する照明角および観察角が変化しますので、観察する角度が正反射角に近づくと測定値は高くなり、逆に正反射角から遠ざかると測定値は低くります。このように、正反射に近い角度では、観察角度変化に対する反射率の変化量が大きくなり、それに起因して誤差感度も高くなり、測定再現性に課題がありました。

そこで、測定器を正しい姿勢に制限するのではなく、多少傾いた姿勢であっても誤差が生じない方法として開発されたのが、基準軸に対し対称な2つの光学系を持つ「ダブルパス光学系」です。
対称な2つの光学系を有することで、測定器が傾いた場合でも、一方の測定値は高くなるのに対し、相対する他方の測定値は低くなるため、これら両方の測定値を用いることで姿勢誤差を相殺し、常に誤差がない場合相当の測定値を得ることができるのです。

測定器が傾いた場合、測定試料に対する照明角および観察角が変化しますが、一つの光学系では角度が正反射角に近づくと測定値は増加し、逆に正反射角から遠ざかると測定値は減少します。
CM-M6では対称な2つの光学系を有し、一方の測定値は増加(A)するのに対して相対する他方の測定値は減少(B)するため、これら両方の測定値を用いることで姿勢誤差を相殺し、常に誤差がない場合(C)相当の測定値を得ることができます。

測定できる箇所が増え、測定もスムーズ

分光測色計CM-M6は測定部位先端を細くしたことにより、車体ボディやバンパーなどの隣合わせの”キワ”部分やドルフィンアンテナのような小物部品の凹面部位をはじめ、塗装の色見本帳の色票など測定したいポイントにあてやすく、測定もスムーズにできるようになりました。

車体ボディの曲面
小物部品の凹面部分
塗装帳色見本

CM-M6とCM-512m3Aの測定部位先端と測定径を比較

以下はCM-M6とCM-512m3Aを正面と側面で捉えた画です。
左側の真正面の画では、同じくらいの大きさに見えますが、右側の側面の画では、測定器の厚みがCM-M6の方が半分以上スリムになっていることが一目瞭然です。
そのため、測定器の先端をどの測定部位に当てているかが良くわかるようになりました。

以下は測定径を比較した画です。
CM-512m3AのΦ12mmに対し、CM-M6は約Φ6mmと小さくなっており、部品と部品のキワの部分や小物部品なども測定可能になりました。
また、バックソナーなどの更に小さな部位も測定できる小口径カスタムもオプションでご用意しております。