分光測色計CM-M6とCM-512m3Aとの違い

分光測色計CM-M6だからできるること

自動車外装にはメタリック塗装、パール塗装が多く使われており、これらは観察角度により明るさや色が変化するため、複数角度での色管理が求められています。
分光測色計CM-512m3Aの後継機種である「分光測色計CM-M6」は、6角度での色管理を実現。目視相関の高い測定が可能です。

自動車外装の塗装における課題と背景

自動車の外装塗装において、近年、高い意匠性を持たせるため塗装の構造が複雑化しており、高意匠の新塗色※1が色々開発され、採用車が拡大しています。そのため、この新塗色の特長においてCM-512m3Aの3つの測定受光角度(25°、45°、75°)だけでは、見た目の差と合わないケースが出てきました。

※1干渉パール、高輝度アルミ、キャンディカラー、金属調など

目視相関の高い測定を可能にするための解決策

例えば、正反射近くの測定受光角度(-15°、15°)で「高輝度(高い反射率)」を示す特長や従来の塗色よりも”陰影感”が増しているとします。この場合、ハイライトとシェード方向の評価も測定受光角度25°と75°ではなく、15°と110°の測定値を用いたFF(フロップフリップ)が有効になってきています。
そこで分光測色計CM-M6では測定受光角度25°、45°、75°に加えて、ハイライトで2つ(-15°、15°)、シェードで1つ(110°)の測定受光角度を追加し、新塗色のような評価も目視評価に合う測定を可能にしました。
このようにCM-M6では、国際規格であるASTM E2194※2にて規格化された5角度(as※3 15°, 25°, 45°, 75°, 110°)に加え、負角であるas-15°を追加をし、より多くの塗装で目視相関を得ることができます。

※2ASTM E2194-14: 2017. Standard Test Method for Multiangle Color Measurement of Metal Flake Pigmented Materials

※3asはaspecularの略で正反射からの角度を意味します。

受光角度 -15°、15°、110° がなぜ有効なのか?

自動車の塗装の種類には、ソリッド塗装、メタリック塗装、パール塗装などがあり、メタリックやパール塗装には、塗料にアルミフレークや半透過のパール/マイカなどの多数の微小片の光輝材が含有されており、ハイライト方向で特徴的な輝きや発色を作り、高い意匠性を作り出しています。

メタリック

メタリック塗装は、アルミフレークなどの金属表面での反射光と塗料での反射光が混ざり、観察方向により反射光強度が変化する。

パール

パール塗装は、マイカフレークなどの光輝材表面での反射光と透過光の光路差により干渉が起き、観察方向により反射光強度および色が変化する。

メタリック塗装板とパール塗装板をCM-M6とCM-512m3Aで測定

自動車外装用塗料のメタリック塗装板とパール塗装板において、それぞれの基準板と試料板の差を分光測色計CM-M6とCM-512m3Aで測定した結果が以下です。
ハイライト角(-15°や15°)で大きな色差を示しており、CM-512m3Aと比べてCM-M6の方は目視と相関する測定結果のデータが検知できていることがわかります。

メタリック塗板

パール塗板