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食品の異物検査方法とは?

食品の品質管理に欠かせない異物検査の基本と検査機器選定の考え方を解説

食品の異物検査方法は、金属片やガラスなどの無機物から、毛髪や虫などの有機物まで、検出したい対象に合わせてX線検査機や金属検出機、光学式選別機などの機器を使い分け、必要に応じて組み合わせて行うことが重要です。異物の種類や特性と検査機器の対応関係を把握することが、適切な異物検査体制を構築する第一歩となります。
本記事では、金属検出機やX線検査機、光学式選別機、ハイパースペクトルカメラなどの代表的な検査方法について、それぞれの原理や特徴を解説します。さらに、異物の種類に応じた検査方法の選び方や、自社の製造ラインに検査機器を導入する際の選定基準まで紹介します。

食品の異物検査が重要視される背景と目的

食品の異物検査が重視される背景には、消費者の安全・清潔志向の高まりがあります。近年は微細な異物であっても苦情やクレームにつながる可能性があり、食品メーカーにはより高い水準での品質管理が求められています。
また、異物混入は製品回収による直接的な損失だけでなく、企業の信用低下やブランドイメージの毀損、取引先への影響など中長期的なリスクを招く恐れがあります。そのため、製造工程で異物混入を防止するとともに、出荷前に異物を確実に検出できる検査体制を整備することが重要です。

食品に混入する異物の種類

食品に混入する異物は、性質によって物理的異物・化学的異物・生物的異物の3つに大きく分類できます。どの種類の異物を想定するかによって適した検査方法は異なるため、まずは自社の製品や製造工程で、どのような異物が混入する可能性があるのかを把握することが検査体制づくりの出発点になります。

異物の分類主な例と特徴
物理的異物   金属片、ガラス、石、プラスチック、毛髪、虫など。形のある異物で、消費者の負傷につながる可能性がある
化学的異物洗剤や潤滑油、農薬の残留など。目に見えにくく、健康被害や風味の異常を招く恐れがある
生物的異物細菌やカビ、寄生虫など。食中毒の原因となる可能性があり、衛生管理と一体で対策する必要がある

※本記事で扱う検査手法は、主に形のある物理的異物の検出を対象としています。
化学的異物や生物的異物は成分分析や微生物検査など別のアプローチが必要です。ただし、近赤外域を含むハイパースペクトルカメラでは、分光特性の違いから、カビ・変色・成分ムラなど一部の品質異常の把握に応用できる場合があります。

食品に異物が混入する主な原因

食品への異物混入は、原材料の受け入れから製造、包装、保管まで、さまざまな工程で発生する可能性があります。適切な検査方法を選定するためには、どの工程で、どのような異物が混入する可能性があるのかを把握することが重要です。

原材料由来の異物

原材料の調達や保管の過程で、石や金属片、虫などの異物が混入している場合があります。そのため、受入検査や前処理工程で異物を除去することが重要です。

設備や機械の摩耗による異物

製造設備の摩耗や部品の破損によって、金属片や樹脂片などが発生することがあります。定期的な設備点検やメンテナンスが、異物混入の防止につながります。

作業者由来の異物

毛髪や衣類の繊維、作業現場への持ち込み物など、人に起因する異物も代表的な混入要因です。衛生管理や持ち込み管理、作業ルールの徹底が求められます。

包装/保管工程での異物

包装材の破損による異物や保管中に侵入する埃、虫などにも注意が必要です。製造工程だけでなく、包装から出荷までを含めた管理が重要です。

食品の異物検査における代表的な方法と原理

食品の異物検査には金属検出機、X線検査機、光学式選別機、ハイパースペクトルカメラ(可視~近赤外域)、目視検査など複数の方法があります。
それぞれ検出できる異物や得意とする対象が異なるため、磁界、X線、光の波長、人の視覚といった検査原理を理解し、検出したい異物に応じて使い分けることが重要です。

検査方法原理と得意な検出対象
金属検出機磁界の乱れを利用し、鉄・非鉄金属・ステンレスなどの金属異物を検出する
X線検査機X線の透過量の差を利用し、金属・ガラス・石・骨など、食品と密度差のある異物を検出する
光学式選別機カメラ画像から色や形状の違いを識別し、変色品や外観異常、目視可能な異物を検出する
ハイパースペクトルカメラ(可視~近赤外域) 複数波長の分光情報を解析し、食品と異物の分光特性の違いから、毛髪・虫・木片・一部の
プラスチック片などの検出に活用できる
目視検査人の視覚による確認として、機器では判別しにくい外観異常や包装異常を確認する

金属検出機による検査

金属検出機は、機器内部に発生させた磁界の中を食品が通過する際に生じる磁界の変化を感知して、金属異物を見つけ出す仕組みです。鉄などの磁性金属だけでなく、アルミニウムなどの非鉄金属やステンレスなども検出対象となります。
一方、ガラスや石、木片などの非金属異物は、原理上、金属検出機では検出できません。そのため、金属以外の異物も対象とする場合には、X線検査機や光学式選別機など、別の検査方法との組み合わせが必要になります。

X線検査機による検査

X線検査機は、対象物にX線を照射し、物質の密度によって生じる透過量の差を画像として解析する方法です。金属だけでなく、ガラスの破片、石、貝殻、硬質プラスチック、食肉の残骨など、食品とはX線の吸収特性が異なる異物の検出に活用できます。また、異物検出だけでなく、内容物の欠品や形状不良などを同時に検査できる点も特長です。

光学式選別機(カメラ)による検査

光学式選別機は、高解像度カメラで撮影した画像を解析し、食品と異物の色や形状の違いを識別する装置です。変色した原料や異色異物、欠けや割れなどの外観異常の検出に活用されています。
対象物がベルトコンベア上を流れる際に画像処理によって不良品を認識し、空気圧力(エアジェット)で自動的に排除する仕組みが一般的です。高速処理が可能なため、農産物や加工食品の全数検査にも利用されています。

ハイパースペクトルカメラ(可視~近赤外域)による検査

ハイパースペクトルカメラによる検査は、可視域から近赤外域までの複数の波長情報を取得し、対象物の分光反射特性や吸収に由来するスペクトルの違いから異物を識別する方法です。通常のRGBカメラでは色の差が小さく判別しにくい場合でも、物質ごとの分光特性の違いを利用することで、毛髪、虫、木片などの有機由来異物や、食品と見た目が近い一部のプラスチック片の検出に活用できる場合があります。
光学式選別機が主に色や形状の違いを捉えるのに対し、ハイパースペクトルカメラは波長ごとの反射・吸収の違いを画像として取得できるため、見た目が似ている対象でも材質や成分の違いを確認しやすい点が特長です。

一方で、X線検査のように食品全体を透過して確認する方法ではないため、主に表面・表層近傍や露出した異物の検出、またはX線検査機や金属検出機を補完する検査として位置づけると効果的です。
コニカミノルタではSpecim社のハイパースペクトルカメラを取り扱っており、食品の品質・成分分析に関する事例を以下ページで紹介しています。

> ハイパースペクトルイメージングによる食品の品質・成分分析

目視による検査

目視検査は、不定形な汚れや包装異常の確認に有効ですが、検査員の疲労や経験によって見落としや判定のばらつきが生じる可能性があるため、自動検査機との組み合わせで活用することが重要です。

> 目視検査とは?

検出したい異物別の適切な検査方法

食品に混入する異物は、金属片やガラス片、石、プラスチック、毛髪、虫など多岐にわたります。異物の材質や密度、色、成分によって適した検査方法は異なるため、検出対象を明確にしたうえで機器を選定する必要があります。

異物の種類適した検査機器とアプローチ
金属片・機械部品金属検出機とX線検査機など、それぞれの特性を生かして組み合わせる
硬質プラスチック・ガラス片・石・骨X線検査機を中心に活用する
毛髪・虫・木片などの有機由来異物光学式選別機、ハイパースペクトルカメラ、目視検査などを組み合わせる
食品と色が近い異物・材質差で見分けたい異物ハイパースペクトルカメラで分光特性の違いを確認する

金属片や機械部品の混入を防ぐ場合

金属片や機械部品などの金属異物を検出する場合は、金属検出機を中心に検査を行い、必要に応じてX線検査機を組み合わせることが有効です。
金属検出機は金属異物の検出に適している一方、X線検査機は金属以外の異物も検出対象にできるため、それぞれの特性を生かすことで、異なる種類の異物を補完的に検査できます。

硬質プラスチックやガラス片・石・骨などの場合

ガラスの破片や小石、硬質プラスチックの検出にはX線検査機が有効です。金属検出機では検出できない異物でも、食品とのX線吸収特性の違いを利用して検出できるため、食品内部に混入した異物の発見にも活用されています。

毛髪や虫などの有機物の場合

毛髪や昆虫、木片といった有機由来の異物は、食品との密度やX線吸収特性の差が小さい場合、X線検査機では判別が難しいことがあるため、光学式選別機やハイパースペクトルカメラ、目視検査などを組み合わせた対応が有効です。
特にハイパースペクトルカメラによる検査は、物質ごとの光の反射・吸収特性を分析するため、食品と同系色の異物であっても、材質や成分に由来する違いを利用して識別できる場合があります。
ただし、検査機器による検出だけですべての有機異物の混入を防止できるわけではありません。エアシャワーや持ち込み管理など、製造環境における異物の混入防止対策と組み合わせることが重要です。

異物検査方法を選定する際の基準

食品の異物検査機器を選定する際は、「何を検出するか」だけでなく、食品自体の特性や生産ラインとの適合性なども考慮する必要があります。

選定基準確認すべき要点
食品の特性(水分・塩分・温度)食品自体の影響による誤検出や検出感度への影響がないか
検査スピードとライン適合性生産効率を落とさず、製造ラインの速度や搬送方法に合わせて検査できるか
異物と食品の見え方・材質差色や形状だけで判別しにくい場合、分光特性など別の情報を利用して検出できるか
異物の種類・大きさ・混入位置想定する異物を、必要な検出精度で検出できるか

また、光学式選別機やハイパースペクトルカメラなどの光学的な検査方法では、異物の種類だけでなく、照明条件や撮像環境、食品との見え方の違いによって検出性能が左右される場合があります。そのため、実際のサンプルを用いた検証を行い、目的とする異物の検出可否や検出精度を確認したうえで、適切な検査機器や波長帯域、検査条件を選定することが重要です。

> ハイパースペクトルカメラで出来ること

食品の異物検査は異物に応じた検査方法の選定が重要

食品の異物検査では、検出したい異物の種類に応じて適切な検査方法を選ぶことが重要です。金属片には金属検出機、ガラス片や石などにはX線検査機、毛髪や虫などの有機由来異物には光学式選別機やハイパースペクトルカメラなど、それぞれ得意な検査対象が異なります。
また、すべての異物を1つの検査機器で検出できるわけではないため、異物の種類や製造ラインの条件に応じて複数の検査方法を組み合わせることが重要です。
特に、色や見た目だけでは判別しにくい異物への対応を検討している場合は、分光技術を活用するハイパースペクトルカメラが有効な選択肢となる場合があります。
コニカミノルタでは、Specim社のハイパースペクトルカメラを活用し、サンプル評価から用途検討、インライン検査への応用提案までサポートしています。
「自社製品で検出したい異物に適用できるか知りたい」 「既存の検査方法では見つけにくい異物への対応を検討したい」といった課題をお持ちの場合は、ぜひお気軽にご相談ください。

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